なお、最後辺りに出てくる新キャラF(フリーザじゃなくてイニシャル)ですが、ゴジラFINALWARSの没イラストの怪獣で、歴史の表舞台に出ることの無かった個体、イレギュラーな個体と思ってください。
それではどうぞ。
サモンとクロマが目覚めた頃、北東に、コード.Xとコード.Mがいた。
「おいおい、Xよぉ…。あの壺返しちまったのかよ…」
コード.Mは、コード.Xが壺をティミー達に返したことがどこか気に入らなかった。
そんなコード.Mを、コード.Xは面倒くさい子どもを見るような目で見た。
「コード.M。あの壺は他の世界で役に立つと思うか?」
「ウッ…言われてみたら、他の世界の奴相手に使うにも赤の他人のだからな…」
コード.Mは、リュカの魂が入った壺が今後何かの交渉の材料となると思って持っていたが、材料として通用するとしてもこの世界くらいで、別の世界では、そもそもリュカの存在を知る者もいないため意味がなく、その上、壺を取り返そうとするティミー達にしつこく関わられてはむしろ邪魔な存在でしかないのだ。
「そうだろう。では早く本部へと帰るぞ…」
「おやおや、ちょっと待ってくれないかな?」
「「ッ!」」
二人は、突然聞こえた第三者の声を聞き、近くの岩の上にいる少年が目に入った。
「誰だ貴様…」
二人は、光線銃を少年へと向ける。
「おやおや、そんな物騒な物しまいなよ。僕は、君達の持つ情報とこの世界で手に入れた物を全部こちらにくれればいいんだ」
「あぁ!?舐めた口をきくなよクソガキ!」
コード.Mはつい光線銃を撃つが、放たれた光線は、少年の身体から放出された電撃によって消された。
「なに!」
コード.Mが驚いてる間に、少年は目にも留まらぬ速さで二人に近づき、電撃を纏わせた爪を二人に向けた。
「その能力に爪…貴様人間ではないな…」
「当たり、だけど正体は教えられないね」
コード.Xは少年を睨むが、少年は特に怖がる様子もない。
「とりあえず、無事に帰りたければ言うこと聞いた方がいいよ?」
「おいX…!こんなガキの言うことなんて「わかった」…ハァ!?」
コード.Mは、コード.Xは簡単に少年の言うとおりにすると決めた事に驚きを隠せなかった。
「やけに素直だね…?」
「…早く済ますぞ」
軽い口調の少年に、コード.Xは苛立ちを覚えていた。
そして二人は、この世界で手に入れた進化の秘法の書物や黄金の腕輪を渡し、『本部』に関する事を除く自分達の情報を提示した。
「X星人のクロス、M宇宙ハンター星雲人のマックス…へぇ、聞いたことはあるけど、なんかイメージと違うね」
「イメージと違って悪かったな…」
M宇宙ハンター星雲人『マックス』は顔に青筋を浮かばせる。
「悪かったね…まあ、いろいろあると思うけど、とりあえず…ブラックオーブを渡してくれないかな…?」
少年は笑顔ながらも、冷たく言う。
「残念ながら、すでにここにはない」
X星人の『クロス』はどこから出したかわからない煙草を吸いながら言う。
「そうなんだ残念。じゃあ……そろそろ、捕まってくれるかな?」
「「…ッ!」」
二人は高速で後ろへ下がり、光線銃とレーザー剣を構えた。
「…と思ったけど、君達に変に干渉すると後々面倒くさいことになりそうだ。ここはこのままお互いに別れようか…」
電撃を纏う少年は、頭をかきながら言う。
「…そうだな…では行くぞM…」
「お、おう」
クロスとマックスは、少年を警戒しながらその場から消えた。
「行っちゃったか…さて、次は彼等の所かな…」
少年…竜王神は、すでに闇の世界を後にしたクロマ達の元へと行くために、旅の扉がある祠と飛んだ。
そして、北東の塔の頂上にいるクロスとマックスは、本部のある世界へと帰還する準備をしていた。
「…そんでX、書物のいらない物だけを、黄金の腕輪も模造品を渡して誤魔化したってところか」
「静かにしろ。こっちは思い出したくもない名まで話すことになったのたぞ…」
「へいへい…」
マックスの言うとおり、竜王神に渡した書物も進化の秘法の書物の中でも、それほど必要性のない書物で、黄金の腕輪も、クロスとマックスがこの世界の錬金術を試して作り出した模造品で、進化の秘法の制御はできない事はないのだが、腕輪をはめた者に使われた秘法を抑えようと、その者の命すらも奪いかねないというある意味成功作である意味大失敗作な劣化版である。
そして、二人が提示した情報はあくまで自分達が何者かで、どういう組織のどういう立場かは決して言わなかった。これは、彼等の所属する組織の存在を守るためであるからだ。その代わり、彼等はかつて棄てた名まで言わされるはめになったのだが。
「それにしても懐かい名前だな。昔もいろいろと「昔の話は止せ…」わかったよ…」
そんな二人の近くに、一人の魔物が近づいてきた。
「お二方お揃いで、やっとお帰りか…待ち遠しかったぞ」
「待たせたなエビルプリースト」
クロスは、魔物『エビルプリースト』をじっと見る。
「お前の情報もあってか、進化の秘法等もなんとか手には入った。条件通り、本部へと連れて行こう」
「ありがたき幸せ…」
そう、クロスとマックスに進化の秘法やダークドレアム等の様々な情報を教えたのはエピソードであったのだ。
偶然発見されたこの世界を調べていた二人は、デスマウンテンにてエビルプリーストに出逢い、進化の秘法等について聞かされ、それらの入手方法と交換条件として、エビルプリースト自身が二人の所属する組織へと入る事になっていたのだ。本部からすぐに了承も得られたため、事は速く進んでいった。必要な道具が集まるのにはかなりの歳月を要したのだが。
「では行くぞ」
三人の前に次元の裂け目が開く。
「じゃあとっとと帰っちまおうぜ…疲れたぜ俺は…」
「此方もだ…」
「…(大丈夫なのかこの二人は…)」
そして、三人は次元の裂け目の向こう側へと消えていったのだった…。
戦いを終え、サモンとリュカの魂を救い出したクロマ達は、リュカの魂を身体へと定着させるため、世界樹の植えられた場所へと集まっていた。
「大丈夫なのかなレオ…世界樹を一気に大きくするとか言ったけど…」
ティミーは複雑な表情をして、上空を飛んでいるモスラ・レオを見ていた。周りにいるポピーやクロマ等の面々も同じような様子であった。
「さっき通信が繋がったレオのお姉さんが言ってたから大丈夫だと思うけど…」
「…レオお姉さん大丈夫かな…」
ポピーもサモンも、小さな世界樹の木が一気に巨大な世界樹へと成長させるというレオの事が不安だった。
「…まあ、俺は大丈夫だと思うぞ…俺達と違って、癒やしに関する力を持ってるしな」
「お前も不安そうだがな…」
ニドルの説得力の感じられない発言に、周りの者達は呆れ顔を見せる。サモンもクロマも、レオの力について安心感はあったが、それが世界樹へと作用するのかは正直よくわからなかった。
「まあ見守ろうよ皆」
サモンの一言で、とりあえず一同は不安な顔をせず、見守る目でレオの方を見た。
「…キュウゥ…(私には自然に生命を与える力は確かにあるけど、大丈夫かなぁ…うんうん!私はできる!自身を持とうレオ!)…キュウウウ!」
レオは気合いを入れるように鳴き、世界樹の木の周りを飛ぶ。
「…(パルセフォニック・シャワー!)」
レオは、緑色の鱗粉を世界樹の木へと大量に降らす。
「あの鱗粉でどうにかなるのかな……え?」
ポピーは目の前で起きたことを観て驚愕の顔色になる。
なぜなら、降り注いだ鱗粉は、周りの荒れた大地に草花や木を生やし、そして、その中心でに生える世界樹の木が、みるみるうちに大きくなっていき、三分もかからずして巨大な世界樹の大木へと成長を果たす。
その急速な成長を観ていたティミー達は、あまりの凄い出来事と目の前に現れた巨木の存在に言葉を失っていた。
そんな空気の中、人の姿へと戻ったレオが疲れ果てた顔でティミー達の元へと歩いてきて、ハッと目が覚めたような感じのティミーとポピーはレオの体を支えた。
『パルセフォニック・シャワー』は、本来失われた自然などを再生するのに使われるのだが、世界樹のような生命を司る神聖な巨木を復活させるために、まだ小さな世界樹の木を急速に成長させるのにはかなりの力と精神力を消費するのだ。
それらの消耗による疲れが重なっているレオであったが、次の行動のために口を開く。
「ポピー……ドラゴンオーブを…リュカさんの身体を…それと壺を世界樹の元へ…」
「う、うん!わかったよレオちゃん!ありがとう!」
ポピーは、ドラゴンオーブを左手に、リュカの魂の入った壺を右手に持ち、世界樹の木の下へと歩いていく。
「世界樹…」
ポピーは息を呑んで世界樹を見つめ、世界樹の木の幹にある大きなくぼみを見つけて、そのくぼみにドラゴンオーブと壺を入れた。
実はドラゴンオーブの中にはリュカの身体が隠されており、リュカの魂が戻ってきた際にいつでも一つに戻れるようにとマスタードラゴンが、防御呪文をドラゴンオーブに施してリュカの身体を守るためにもやったことで、ポピーに渡されていたのだ。
「頼みます…還ってきて……お父さん…!」
ポピーは目を閉じて世界樹へと強く祈ると、世界樹全体が緑色に輝く。
その輝きに呼応したのか、ドラゴンオーブと壺も緑色の光を放つ。
「リュカおじさん…」
クロマは落ち着きながらも、どこか不安そうに呟いた。
リュカの魂の中、リュカの意識は過去の多くの記憶を振り返るということを何度も繰り返していた。
「そろそろ戻らないといけないな…」
意識の底のでリュカは、自分の身体と魂が一つに戻ろうとしている事を感じていた。
「父さん、貴方の孫は立派に成長しましたよ」
リュカは、目の前に映る父との記憶を見て優しく言う。
「じゃあ、還るよ」
『いってらっしゃい』
「…ッ!?」
父と母の声が聞こえたような気がして後ろを向こうとするリュカであったが、リュカの意識は薄れていった。
「還ってきた…のか…」
リュカはゆっくりと目を開く。
すると、リュカの目の前にいたティミーとポピー、サモンが今にも泣きそうな顔をしており、リュカが手を開くと三人はリュカへと飛びついてきた。
「ただいま。心配をかけてすまなかった…」
「お父…さ…ん」
ティミーは涙をボロボロとこぼしながら言い、リュカは優しい笑顔を見せて、リュカの涙を拭き取った。
「ティミー、今回の事は全部見ていたよ。本当に頑張った。ポピーも、クロマも他の皆もだ」
リュカはその場にいる者達の顔を一つ一つ見渡した。
「リュカお父さん…」
サモンは気難しそうな顔でリュカの顔を見るが、目が合うとすぐに目を逸らす。
「僕…僕は…」
「サモン。君の今の精神状態を考えると上手く言葉にできないけど、僕は君にとって両親の代わりにならなくても、せめて、君の家族でありたい。その気持ちだけは変わらないよ」
「う、うぅ…リュカお父さん…」
サモンはリュカの胸で泣く。溜まっていたものを全て吐き出すように。
そんな中、レオは魔物達の手で体力を回復させられ、クロマとニドルに歩み寄り、二人はレオの方を見た。
「お疲れさん。今回の件ではいろいろ頑張ったな」
「レオ、ありがとうな…」
二人は疲れからかぎこちないながらも笑顔をレオに見せた。
「ありがとうございます。それと、このタイミングで言うのもあれなんですがこれからの事をー」
「レオちゃ~ん!やっと会えたよ」
「「「ッ!?」」」
三人は、突然現れた少年…竜王神の存在に驚きの顔を見せる。リュカ達もすぐに気がついて竜王神の方を見て、警戒する魔物達は武器などを構えるが、レオが仲間という事を説明してなんとか落ち着かせた。
「いやいやぁ、久しぶりだねレオちゃん!お姉さんのレインちゃんも心配してたよ。いろいろとあったようだねお疲れ様」
「竜王神様、まさか、こっちの世界に来ていたとは…」
「竜王神なんて恥ずかしいからやめてよ。…そうだ!今度からは『叢雲 古金』って呼んでよ!この世界に来る前に考えてた僕の名前」
竜王神…いや、『叢雲 古金(ムラクモ コガネ)』は、子どものような純粋な笑顔を見せながら言った。レオはコガネと呼ぶ事にしたが、急に現れた古金の存在にとても困惑しており、正直、面倒くさい気分であった。
「それで竜…古金様、いったいどういう目的でこちらの世界へ?」
「それは後で説明するよ。今はあの方々休ませることを優先しないと」
古金は笑顔でリュカ達の方を見て、レオも、ひとまずは古金との話は後でするということで納得する。
「じゃあ、彼等をグランバニアまで送ったら、噂のサモン君とターク君、ティミー君を連れてダーマ神殿まで来てよ。そこでいろいろと話をするからさ。また後で!…あっ、クロマ君とニドル君ももちろん来たまえよ!それじゃあ!」
「ちょ!ちょっと古金様!…あーあ、行っちゃった…」
古金を呼び止めようとしたレオであったが、古金は既に高速飛行でダーマ神殿の方へと飛んでいった。
周りの者達は、突然現れて時間もそこまで経たずに飛んでいった古金に対して、なんと反応したらいいかわからない感じであったが、クロマとニドルは青ざめた顔で立っていた。
「クロマ…あのチビの戦闘力、ドレアムの野郎みたいな未知数ではないが、スラッグ以上じゃねえか…!」
「あ、ああ…しかも、あの戦闘力でまるで本気な感じがなかった…ドレアムのような絶望感があるわけでもない…だからこそ、今まで見たことも感じたことがない……得体の知れない奴だ…レオには悪いが、オレにはあいつが化け物に感じたぜ…」
二人は、今まで見たことも感じたこともない、得体の知れない強大な存在、叢雲古金に対してかつてないほどの恐れを感じていた。
そして、一同はグランバニアへと帰った。
ちゃんと帰ってきたサモンとリュカを見て、ビアンカは涙を流しながら二人の帰りを喜び、戦いを終えたクロマ達はひとまずダーマ神殿へ行くのは後日にしてもらうことにして、レオに頼んで古金へと通信を送って了承を得た。
了承を得なくても、古金自身はそこまで急がせる気は無かったらしく、どこか申しわけなさそうだったらしい。
短いようで長かった戦いを終えたクロマ達は、その夜はただ身体を休ませる事を考えていたが、クロマとニドルはわざわざサンタローズの家まで帰って休んだ。
そして、次の日の昼過ぎ、レオは古金に呼ばれていた者達に加え、付いてくる頼んできたベレック、リンガー、ブオーン、ポピーと一緒にダーマ神殿へ来た。
ダーマ神殿を訪れたレオ達は、神官達が職業などについて話し合う地下の会議室へと案内された。
会議室へと来たレオ達は、自分達と同じように古金に呼ばれていたプサンと変化の杖で大柄な男の姿になっているおにこんぼうと、頭に角を生やしてミイラ男のように身体中の皮膚が見える箇所を隠している男を目に入った。
実はこの包帯角男、変化の杖で人間の姿になったエスタークで、本人曰わく、今の自分の姿が進化の秘法を使う前の自分と瓜二つで、昔の頃をあまり思い出したくないエスタークは、そんな自分の顔を見たくないがために包帯を顔に巻いたらしい。なお、角だけは変化の杖でもどうしようもできなかったらしかったが、角に関してはエスターク自身はそこまで気にしていなかった。
タークは記憶喪失のため、父の素顔を覚えていなかったが、息子にすら顔を見せようとしない地獄の帝王を見て、かつては敵同士であったマスタードラゴン…プサンも呆れ顔であった。
そして、レオ達が部屋へと来てから20分くらい経った頃、皆を呼び出した古金が部屋へと入ってきて、クロマが「遅いぞ…」とつい言葉を漏らしたが、古金本人は遅くなった事を素直に詫びて、皆を部屋の巨大なテーブルの下にある椅子をメイドに並ばせて、一同を座らせる。
「じゃあ、これから、クロマ君達のこれからについて話すんだけど、この世界の神であるマスタード…いや、今はプサンさんかな。プサンさんと、進化の秘法に大きく関わっているエスタークさんにも来てもらいました。皆様ありがとうございます~」
古金はどこか軽い口調で言い、立ったままがつまらないのかやたらと歩き回っている。
実はレオの仲間の中で一番長寿らしいのだが、長寿な雰囲気がまるで感じれなかった。
「そういえば天竜王様は、コードというのを持つ彼等とスラッグについては何か知っておられるのですか?」
プサンは、普段のどこかふざけた様子も無く、率直に古金へ気になることを聞いていく。
「ああ~彼等ね。わかってる事は、コード.Mって呼ばれていた方の彼が、僕とレオちゃんと同じ聖獣の子と同じ世界出身だってことかな。まあ、地球ではない星出身なのは直接会った時に本人達から聞いたけど。あ、彼の名前はマックスって言うらしいよ」
「「「会った!?」」」
古金がマックス…コード.Mと会っていたという事実に、ティミー、ポピー、レオの三人は驚いていた。
「いつですか!?そもそも、なんで捕まえてこなかったんですか!」
レオは興奮した様子でバンバン言っていくが、古金は冷静な顔で口を開く。
「君達が知っているコードの二人、彼等と会った…というか上手く遭遇したのは世界樹の所で君達と会う前だよ。あとレオちゃん。捕まえてこなかったって言うけど、彼等はなんだかんだで普通に二つの世界を繋ぐ次元の裂け目を開く危なっかしい二人だよ?彼等がもしも捕まえれたとして、彼等の得体の知れないお仲間がこっちの世界へとたくさん来たりにでもしたらそれこそ最悪な事になりかねないよ?」
「うぅ…」
古金の発言にレオはいろいろ考えさせられる。そもそも、コードの二人が仲間がいるということはスラッグの存在の時点でハッキリしてる事で、彼等の発言からしても他にも複数の仲間がいるのは想定できることだった。
得体の知れない彼等だからこそ、捕らえたりして、スラッグ以上の実力を持つ敵を複数送ってくる可能性だって考えれるのだ。
「だけど、僕がとやかく言う資格は無いね。首一本完全で、他が半分にすら満たないほどの力しか解放できてない僕が情け無いのもあるんだし」
「…」
古金の発言にレオは、古金がなんでこんなに小さな姿なのかやっと分かった。古金は本来、首が三本ある強大な力を持つ聖獣の姿へなれるのだが、その強大さが故に様々な世界に破滅をもたらすイレギュラー的存在等と多くの戦いをしていたのだが、いくら強大と言えど、戦いの数が多すぎれば消耗した力の回復も追いつかなく、消耗する一方となるとその力も不完全となり、せめて完全に戦える首へと力を集中するのだ。だから、今の古金は首一本分だけでも完全さを保っており、全体的には力が不完全なため、力によって反映される人の姿は小さいという事なのだ。
「とりあえず、コードの彼等に関しては、進化の秘法と秘法を制御する黄金の腕輪、ブラックオーブが渡ってしまった以上、もしも出くわした時のためには強くならないといけないね。まあ、その事については後で話すとしよう」
古金は言い終わると、クロマとニドルの方をじっと見た。
「今度は君達のこれからについてだね。これについて話す前にクロマ君、前にレオちゃんとレインちゃんに話をされた様々な世界を護るという話を覚えているかな?」
「あ、うん…聖獣としてかオレ…クロマとして様々な世界を護るってやつだろ…少なからず、オレはクロマだからな」
「わかってるわかってる。で、実際はどう考えてるの?」
古金は、クロマにプレッシャーをかけないように優しく聞いた。
するとクロマは、間を置かずに口を開いた。
「どういうもんかはよくわからないけど、別にやってもいいとは思ってた…だけど、オレには探してる家族が…」
クロマ自身は、いろんな世界を護る事については別に良かったのだが、彼はまだバーダックを見つけていないし、フリーザがまだ生きているのならばフリーザを倒さなければという思いもあったのだ。
「大丈夫だよクロマ君、別に聖獣になろうがならまいが、世界を護ると言っても僕達がやることはそう多くないからね。もしもの時の切り札みたいな事が多くて、様々な世界と言っても10もないから」
10もない時点でもかなり多いと思ったクロマであったが、あえて触れなかった。
「それに、君には協力を偶に頼む程度で、基本的には君が探している育ての親御さんを探せる時間はたっぷりあるし、こちらも手助けするよ。とりあえず、協力関係ということでどうかな?」
古金に協力関係を提案されたクロマは、数分ほど黙って考え込み、口を開いた。
「わかった。こっちの都合も考えてるみたいだから…」
「ありがとうクロマ君。じゃあ、ニドル君」
「あ?何だよ俺には」
ニドルは、クロマよりも聖獣について知らない事が多いため、古金への警戒は解かずに応えた。
そんなニドルを観て、古金は笑顔ながらもどこか真剣な目つきでニドルの方を観た。
「君さ、聖獣にならないかな?ちょうど大地の聖獣が足りてなくてね。君みたいな強い怪獣が欲しかったんだよ」
「「ハァ!?」」
ニドルとレオは古金の口から出た爆弾発言に驚きの表情を見せる。ニドルは、突然聖獣なんて凄い存在にならないかもいう驚き。レオは、聖獣になる逸材はずっとクロマだと思っていたため、まさか、聖獣の長が直々にニドルを指名するとは思いもしなかった驚きである。
「だ、だけど、なんかゴチャゴチャして面倒くさい事には関わりたくねえし、俺は自由に生きたいんだよ…」
ニドルは自由な人生が好きなため、本人としてはあまりゴチャゴチャしたものに関わりたくないのだ。窮屈さを感じるのも嫌というのもニドル本人にはあるのでなおさら抵抗があった。
「ゴメンね急な事聞いて、面倒くさい仕事はレインちゃん達がやって、君達はクロマ君達と一緒に行動していいからさ~さすがに、空席なのが続くのは聖獣の長としては良い気分じゃないから頼むよ~」
「可哀想なお姉ちゃん…」
面倒事を押しつけられるレインが不憫だとレオをはじめとした周りの者達は思っていた。
「ああ…わかった。なってやるよ聖獣ってのによ」
「ありがとうニドル君~いやぁ、まだ空席あったりするんだけどねアハハ」
ニドルは面倒くさそうに返答をした。軽い口調ながらも、必死に頼み込む古金に対して断るのも気に引けたのと、断ったら断ったで戦う羽目になるんじゃないかというのも考えられた。
まあ、聖獣になっても、クロマと行動できるなら大丈夫という思いもニドルにあった。
そして、二人に対しての問答を終えた古金は、次の話へと切り替える。
「じゃあお二人さんいろいろ聞いてごめんなさいな。じゃあ、次の話。君達のこれからについてに関わるであろうことをいろいろとだね。ダークドレアムやコードの彼等、そして、様々な世界で暴れたり殺戮をしたりする怪獣の事も一緒に話そう」
「「……」」
クロマとニドルは、暴れたり殺戮を犯す怪獣について聞いた瞬間、複雑な表情を見せた。
そして、古金は今度は顔も口調も真剣に話を始めた。
まず一つ目、ダークドレアムについてだが、ドレアムが次元の裂け目をくぐった先で何かをやらかしたらしく、様々な世界へとダークドレアムの持つ悪夢の欠片のようなものが拡散してしまったのが確認できたらしい。
悪夢の欠片のほとんどは、魔物へと姿を変え、一部の欠片は災いに作用するらしいのだが、今のところは欠片に動きはほとんど無いらしいが、いつ動き出すかもわからないらしい。
次に二つ目、コードの二人やスラッグに関しての話なのだが、前々からいろんな世界で、危険な力や物を集めるのは確認されている事がわかったらしく、それら全部がコード.Xとコード.Mの二人による者だと考えられているらしい。
また、スラッグに関しては、世界そのものはクロマと同じ世界が出身なのはわかっているのだが、どういう経緯でコードの二人と仲間、もしくは協力関係になったかはまるで分かっていない。しかし、スラッグだけではなく、コード.X自身もかなりの強さを持つという事は確認されているため、先ほどの古金の話のように技術はとても高度だが、得体の知れない危険な存在には変わりなく、また、マスタードラゴンは、ダークドレアムが消えた次元の裂け目の向こう側からは未知数ながらも強大はエネルギー反応が確認していた。
彼等がダークドレアムと結局協力することになったのかは現段階では分かっていないが、彼等が協力するとなると取り返しのない事がたくさん引き起こされる危険性だけは確実にあった。
そして三つ目、ゴジラやアンギラスのような強大な力と巨体を持ち、様々な世界について暴れまわり、破壊や殺戮のかぎりを尽くす怪獣達の話だ。そのほとんどは、クロマやニドルのような人間体を持ち、本来の強さの古金ですら苦戦を強いられる怪獣もいくつかいるらしく、古金の話では、元々いた世界は違う怪獣達が結集させられ、どういうわけか共に破壊などを繰り返してるそうで、その中には平行世界のゴジラのG細胞により強大な怪獣となったものもいるらしく、その辺りの事もあり、古金は、クロマにG細胞を悪しき者や怪獣に取られないように注意をした。
今のところ一番危険なのはこの怪獣達で、聖獣の一部も怪獣達から異世界を護るために戦っているそうだ。
さらに、この三つのどれかが関わっているのかは定かではないが、様々な世界に次元の裂け目が発生し、本来その世界の存在ではない者などが異世界から迷い込むという事が二年以上前から起きており、世界のバランスを守り保つためレイン達は主にそちらの対応をしており、異世界の者を元の世界に帰すなどしている。
古金がこれらの話をクロマ達にしたのは、既に異世界へと関わっていた者として、それらの代表を集めて話すべき義務があると感じていたからだ。なお、リュカを呼ばなかった理由は、魂と身体が分離していた人間にたくさんの事を話して不安を与え、疲労を溜めさせないためだった。そのため、なるべく最小限の数だけ呼んでいた。呼んでないが来た者に古金がとやかく言わないのも知る権利を考えてらしい。
それに、クロマの場合は、これからバーダックを探すのに様々な世界へ訪れることになるため、なおさら話すべきてまあり、ニドルもクロマと共に行動するのなら聞くべき話であった。
そして、話を終えた古金は、この世界の神であるマスタードラゴン、サモンが立派な魔族の王になるまで、魔界の代わりとなる闇の世界を治める事になった帝王エスタークと協力関係を結び、ダーマ神殿にて一同と夕食を共にした。
夕食後、古金は一同をダーマ神殿の地下深くにある扉に呼び寄せていた。
「ここは…?神殿が出来た頃にはこんなもの無かったぞ」
ニドルは興味深そうに、反面怪しい物を見るような目で目の前の巨大な扉を眺めていた。
よく見ると、扉の左右には巨大な砂時計があった。
「これなんだけど、クロマ君のいた世界について調べてたんだけど、それで地球の神と交信していていろいろ教えてもらって、その中の一つの精神と時の部屋ってのを、この世界にある時の砂というのを使ったりして自分なりに作ったんだ。その部屋の扉がこれね」
クロマの世界の『精神と時の部屋』を元に作り出されたこの扉や砂時計、そして扉の向こう側の空間は、レオがこちらの世界へと来た頃に、古金が作ったものらしいのだが、そこまで上手くできたわけでもなく、扉と時の砂を使った砂時計自体は、時の砂を昨日入手して一晩で設置とかしたため、元の精神と時の部屋よりかは完成度は高くないらしい。
事実として、限られた時間の中ではなく無制限で使いたい放題なのだが、一年経過するのに6日かかり、その上、重力は地球の5倍以上なのだが、元の精神と時の部屋よりは重力は高くなく、温度もさほど上がり下がりは無く、面積も中央大陸くらいとなっている。
元と同じなのは、空気の薄さくらいで、温度の変動の激しさがそこまで無いということの代わりとして、マグマの大地や、吹雪が嵐のように吹き荒れる大地などを設置している。
そんな擬似精神と時の部屋の説明を聞いた一同であったが、クロマがハッとした表情を見せた
「地球って言ったよな…しかも、オレの世界の地球って事はカカロットがいるんじゃないのか…!?」
そう、クロマの言うとおり、クロマの世界の地球には赤ん坊のカカロットが送られているはずだった。
「ああ、いるらしいね。レインちゃん達が調べた君の情報を元に、あの地球の神様に調べてもらったから。ただ、赤ん坊の頃に…なんか、強く頭をぶつけて、ちゃんと生きてたけど、サイヤ人らしい凶暴さが無くなったらしいけど…」
クロマは、古金の口から出た衝撃的な事実に目を見開いたが、すぐに落ち着いた顔をした。
「そうなるとオレの事は覚えてなさそうだな…けど、サイヤ人の凶暴さが無くなったのは、それはそれで良いと思う」
クロマ自身、カカロットが野蛮に育つのあまり良く思っていなかった。そのため、サイヤ人の凶暴さが失われたことはかえって嬉しい事だった。
「カカロット君について他に聞きたい事があったら、後で教えてあげるよ」
「ありがとう…」
古金の優しい言葉に、クロマは笑顔で返した。
「では、これを作った理由なんだけど、メチャクチャな怪獣とかが増えて僕としては、ただ力が戻るのを待ってるだけでは駄目だと思って修業用に作ったんだ。どうせ聖獣の皆くらいしか使わないと思ってたんだけど、君達ってダークドレアムとの戦いでまるでかなわなかったらしいから、君達にも使わせてあげようかなと思ったんだ」
「「「「「「「………」」」」」」」
古金は、一同の心にグサッとくるような発言を軽く言ったため、一同の顔はどこか重くなる。
しかし、さほど時間が経たずに、一同は心のどこかでニヤリと笑う。
「面白いじゃねえか。ようはその部屋の中で鍛えればあのキザ悪魔の野郎に勝てるようになるってことだな…?」
ニドルは扉の前に立って言った。
「その中で鍛えたからって、すぐにあの悪魔に勝てるようになるとは思えないけど、人の姿で怪獣の時よりも強い力で戦えるようにはなれるんじゃないかな。用は、生身の力だけでも怪獣以上の戦闘力にまでなれるって事だけど」
「ヘヘッ…良いじゃないか。やってやるよ、強くなってやる」
ニドルは、なおさらやる気になり、他の者も次々と扉の前に立つ。
「僕も強くなりたい…みんなのように…!」
小さなサモンもやる気のようで、クロマやティミーも、一人でもスラッグのような相手に勝てるようになりたかったので積極的な様子であった。
「皆さんやる気充分だね。だけど、入る前に準備とかした方が良いと思うね。それにこの部屋自体は二人までしか入れない仕様だからね。まあ、作り主の僕はそういうのは縛られないんだけど」
その古金の発言を聞いた一同は、お互いに顔を見合わせた。
「じゃあ、どの二人から行くんだ?」
ニドルはそう言うと、皆が皆考えこんだ。
そんな一同を見て、古金は優しく声をかける。
「まあ、そんなに急がなくてもいいんじゃないかな。君達は、まだ先日の戦いの疲れは残ってそうな感じだし」
「言われたらそうですね…皆さん、天竜王様の言うとおり、休むだけ休まないと5倍以上の重力には耐えられませんよ」
古金とプサンの発言に、皆は素直に納得して扉から離れた。
「んじゃ、誰が入るか決まったら僕に教えてね~。この扉を開けるには僕がいないといけないからさ」
古金はそう言うと、階段を登って上の方へと戻っていった。
一同も上へと戻り、誰が入るかを話し合い、話し合いの結果、最初に入るのはティミーとタークに決まった。
どのくらいの期間入るのかは、本人達の限界次第などで本人達に任されることになっていた。と言っても、さすがに二年分は入らないと予想できたからであった。
その日の夜、各々が古金から聞いた話を元にこれからについて話し合っている中、クロマ、ニドル、レオの三人は、神殿の最上階から出られるバルコニーへと行き、バルコニーにいた古金が目に入った。
「あらあら、どうやら、まだ僕に聞きたいことがありそうだね?」
「ああ…」
クロマはとても真剣な表情で返事をした。
「オレは今、サイヤ人のクロマとして生きている。だけど、前世の…黒龍…怪獣王と呼ばれたゴジラ、そのゴジラが死んだ後の世界、オレが死んだ後も海底の洞窟にて生きている同族達について…知ってるなら教えてくれないか?」
「クロマ…」
ニドルは心配そうにクロマを見た。
クロマ自身は、レオに自分が何者かと教えられてから、この事が心の底で気になっていたのだ。既に他のゴジラの記憶を持っているからなおさらその気持ちは強かった。
そんなクロマに対し、古金は難しい顔をする。
「ニドル君のはすぐにわかるんだけど、クロマ君の場合は、様々な平行世界の分岐前の怪獣だからいろいろとややこしいんだよね…」
「分岐前…?」
クロマは、古金の言う分岐前の怪獣というのがよくわからなかった。
「まあ、捉え方にはよるけど、特異点というのも一つの言い方や意味合いとしては合ってるかな。実はさ、僕やレオちゃんを入れた聖獣達は、君が…初代ゴジラと呼ばれた存在が死んだ後、死んでいなくても東京に出現した後に人前に出現した怪獣という過去があるんだ…ああ、とりあえずは知ってること説明するよ」
「あ、うん…頼む」
クロマの返事を聞いた古金は、どこか早口な感じで初代ゴジラの死んだ、もしくは存在していた世界などの説明をした。
何度も日本へと現れる中で他の怪獣と共に地球外の怪獣と戦ったりして、いつの間にか子どもがいたりして、人間達の味方となったゴジラについては、既にクロマには記憶があるため、人間目線、他の怪獣目線の話だけでそんなに長くはなかったが、次に語られた平行世界のゴジラの話はいろいろと衝撃的であった。
その世界での初代の次に出現したゴジラは、前述のゴジラとは違い、出現したのも初代ゴジラが現れた30年後で、凶暴性と初代を越える大きさを持っていたとされ、人類や自らの持つG細胞で怪獣と化した存在など様々な戦いを繰り広げたが、最期はメルトダウンを引き起こしそうになりつつも、同族のために戦い抜いたと言われ、そのゴジラが死した後は、死んだと思われていたその同族が、ゴジラから出た大量の放射能を吸収して新たなゴジラになったとらしく、その後については古金も、よくは知らないらしい。
その次の平行世界のゴジラは、初代の次に出現した個体も自らのG細胞を取り込んで怪獣化した異星の生命体と戦いを繰り広げた存在だった。
その次の平行世界のゴジラは、初代ではない違う容姿のゴジラが初代ゴジラで、そのまま現代でも生きていた世界の存在があったりするという、先ほどまでの初代ゴジラとは別のゴジラが暴れたりしてたという変わった世界であった。
次に語られた平行世界のゴジラに関してで、それは古金が昔いた世界の個体についてなのだが、どういうわけか古金自身の記憶がゴジラの辺りをほとんど喪失しているらしい。ただ、その世界のゴジラで覚えてる事によると、古金が知ってるゴジラの中では最も恐ろしく絶望感が溢れる個体だったそうだ。
そして最後に語った世界のゴジラは、初代ゴジラがいたにはいて、他にも出現したゴジラがいるのだが、歴史がいろいろと情報が抜けているらしく、巨大な上に動きも激しく強いゴジラが、様々な怪獣に勝利していき、最後は同族と共に海の向こうへと消えていったくらいしか古金は語らなかった。
他にもゴジラがいた平行世界はあるらしいのだが、古金が知っているのは、基本的には聖獣達が過去にいた世界のゴジラなので、それ以外は調べるのにかなりの時間がいるらしいてのことだった。
そして、古金からそれらのゴジラなどについて聞いたクロマは、「話してくれてありがとう…」と言った後に複雑な顔をしていたが、小声で「あいつらの生き方だからオレにとやかく言う資格はないか…」と呟き、それからすぐにバルコニーを立ち去っていった。それを見たニドルとレオはクロマの後を追っていった。
「言っちゃったか……まあ、事実は事実でも辛いからね……あの世界についてだけはあえて話さない方が良かった…」
古金は実は、知っているが話さなかったゴジラの世界があったのだが、その世界の初代ゴジラは死した後も、とある存在として生まれ変わって同族と戦わされたというのがあるため、それを知らないだろうクロマ自身には精神的な状態も考えてあえて話さなかった。
そして、なによりも、新たな生を受けて人の姿となったゴジラがクロマ以外にいることに関しても古金は話そうとしなかった。
この事については、数がハッキリとしない事実があったのも理由の一つだったが、古金は、新たな生を受けたゴジラ同士が、お互いに仲の良い関係でいられる保証がないのも理由の一つとして考えていた。
古金はバルコニーから空高く飛び、静かな夜の大空にて、様々な世界と通信を取って、怪獣や悪夢の欠片への注意を呼びかけていた。
それらの呼びかけが終わったのは早朝であった。
「ふあぁ…あの世界の神様、なんで昔からあんなにお堅いのかな…。まあ、かなりの実力の持ち主だから大丈夫なんだろうけど、危なっかしいところがあるから変に関われないよ……」
古金が呼びかけていたとある世界の破壊神は、古金がクロマの世界で昔会ったことのある破壊神とは別の意味で面倒くさい破壊神であった。
「眠い……あっ、ファング君から通信だ…」
ファングという知り合いからの異世界通信が入った古金は、眠気すらも吹き飛んでいた。
「もしもしファング君、そっちはどうなってるんだい?………………ふむふむ………ほうほう、へぇ、いろいろとそっちも頑張ってくれてるみたいだね。聖獣じゃないのに協力感謝するよ!…あっ、君に話さなければならないことがあるんだ…。君の同族…ゴジラの生まれ変わりの少年についてでさ…」
「初代ゴジラ…まさか、あの大先輩のが生まれ変わってたなんてな…けど、別に会ったところで面倒事に巻き込まれそうだ…」
とある世界の密林の中にて、古金との通信を終えた黒髪の若い容姿の男『ファング・レッドハート』は、古金から伝えられた自分と同種族であるゴジラの生まれ変わり、クロマについて衝撃を受けていた。
だが、衝撃は受けたものの、そこまで会いたいという思いはなかった。
すると、そんなファングの元へと、ファングくらいの若い容姿を持つ金のメッシュが三つほど入った黒髪の男が近寄ってきた。
「どうしたファング…何かあったか?」
「天竜王さんからの面倒くさい敵の情報だ」
男の問いに、ファングは敵と答え、あえてもう一人のゴジラ…クロマについて言わなかった。
「そうか…チッ、面倒事ならとっとと片づけるぞ」
「わかったぜ、バト兄さんよ」
バト兄と呼ばれた男とファングは、荷物をまとめて聖獣の仕事のために出発した。
黒龍の物語の長い序章の終わりが近づく中、暗く汚れた世界に怪獣の力を持つ長身で茶髪の男がいた。
その男の名は『ラバーサ』、天を美しく飛ぶ怪獣の力を持ち、同時にその怪獣の生まれ変わりである男であった。
そんなラバーサは、様々な世界にある文明の結晶…その残骸等が流れ着いて墓場とまで呼ばれた世界にて新たな生を受けて生きていた。そして、残骸から再生させた異世界転移装置を使い、この世界にある残骸が元々あったとされる世界をいくつも回っていた。
そして、現在ラバーサは、あちこちに霧が立ち込める森の中の大きな湖にいた。
「ハァ…あいつが無事に生きてるか気になってまともに寝れない…」
ラバーサの言うあいつとは、生前のラバーサ…空の怪獣『ラドン』が生前気にかけていたとある小さなゴジラザウルスの子どもであある。ラドンは、弟と思い、人間の手から守ろうとしたそのゴジラザウルスの子どもを、
自分より強いゴジラに託そうと死にかかった自分のエネルギーを全て捧げて命を散らしたのた。
だが、どういうわけか、人の姿を得て新たな生を受けてしまったため、どうも、その子どもが現在どう生きているのか気になって仕方なかった。
というよりも、ラドン…ラバーサ自身が寂しかっただけなのかもしれないのだが。
しかし、会いたいという気持ちもある中、この世界に流れ着いた残骸から漏れるエネルギーによって、まだ小さいながらも得体の知らない力を得てしまったラバーサは、あの子どもに会おうとまでは思っておらず、ただ、生きているという事が分かるだけでもいいという思いがあった。
そんな彼は現在、残骸から作った装置などでなんとか自分の力を抑制しており、他の世界へ行く際にはその装置の予備なども持っていくほど気にしていた。
「…とりあえず、あいつの安否を知るために本格的にどうにかしなくてはな…。私のように新たな生を受けた者、私と同じ世界で生きていた者を探すとしよう…」
そう言ってラバーサは、異世界転移装置のメンテナンス作業へと取りかかるのであった。
ファングやラバーサ、彼等はいつか、クロマと出逢う運命にある。
しかし、その事はまだ誰も知らなかった…。
物語の歯車は大きく回りだす。
次なる物語の舞台となる世界への橋もほとんど架かりかけていた。
橋が架かった時、様々な世界の者達の運命は大きく動き出す。
次話は、旅立ちと新たな世界の両方を書いていく予定です。
フリーザ様がいつか本編に出す時は、ゴールデンフリーザで出せたらなと思います。
自分を倒した超サイヤ人の悟空やトランクスと同じ金色という何か因縁めいた、皮肉めいており、ゴールデンフリーザが好きになりましたのでなおさら出したいです。
自分としては、目の下のラインが金と紫で別れてるのはフリーザ一族らしくて良いと思ってますし、角を生やしたりしなかったのも安心感ありました。