黒龍物語   作:一芽

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 いろいろとⅤと関係無い施設などの話が出てきて困惑させてしまいましたらすいません。
作のドラクエⅤの世界観では、魔王死後の世界の変化と再生みたいなのを書けたらなと思ってこんな風にしました。

そして、ゴジラ作品のあの怪獣とあの人物を少しながら出しています。

ではどうぞ。


リュカの思い

 暗く閉ざされた深海の洞窟、そこにクロマはいた。

 辺りを見渡すが、見えるのは岩壁と暗闇だけであった。

 ふとクロマは、この間のように黒き龍の姿になってないか、体を触ってから近くの水溜まりに映る自分を観てみる。

 

「…ふう、大丈夫か…」

 

 

 いつもの自分の姿だったので、クロマは一安心して近くの岩に腰掛ける。

 

 その時、目の前の暗闇の奥から足音のようなものが聞こえた。

 

「誰だ!」

 

 クロマは立ち上がり、暗闇に向かって叫んだ。

 

 すると、暗闇の中から一人の男が姿を現したのであった。

 

「…あんたは…?」

 

 クロマは見覚えのない男に警戒しながら、何者か問う。

 男はバーダックよりは若く見え、髪は黒く右眼に眼帯をしており、科学者なのだろうか、白衣を纏っていた。

 

「僕の名は芹沢……かつて、悪魔の発明をしてしまった男さ…」

 

 『芹沢』と名乗った男はどこか暗い口調で言う。

 

「悪魔の発明…?…なんだそれ…」

 

 クロマは、芹沢の言った悪魔の発明が何なのか問うた。

 

「それについては教えられない…ただ、僕はその発明を世に出さないためにもう一つの巨大な悪魔、ゴジラと共に海の底で命を散らしたんだ」

 

「ゴジラ…だと…?」

 

 芹沢の口から漏れたゴジラという単語にクロマは直感的に反応した。

 その名は、クロマがいつか立派なサイヤ人に成長した時に名乗ることをベジータ王に許されたクロマのもう一つの名であったからだ。

 

「君はどうやらあの悪魔、忌まわしき黒き龍…いや、僕と同じ悲しみの運命を背負った龍の名を知っているんだね……む…?君に生えてる尻尾のようなもの、ゴジラのものと似ている…?」

 

 芹沢は、クロマに生えた尻尾の存在に気づき、自分の知るゴジラの尻尾とよく似ているように見えたので、顔を近づけてクロマの黒い尻尾を観察した。

 

「…なあ…オレの尻尾はあんたの知るゴジラの尻尾と似てるのか…」

 

 クロマはどこか震え声で芹沢に聞いてみる。

 すると、芹沢は見開いた左目でクロマの顔の方を見た。

 

「ああ、太さや大きさはまるで違うが、見た目がとても似ている…君、もしかして水爆というものをその眼に見たことはないか…?」

 

 芹沢は、クロマに水爆は見たことはないかととても真剣な目つきで聞いてみた。

 

「水爆…?いや、見たことも聞いたこと…も……ウッ…!…何だこれは…!」

 

「大丈夫か!?」

 

 急に頭を抱えて苦しみだすクロマに、芹沢は驚きながらも心配して声をかける。

 

「…なんだよ…!…これは……水爆……?…島…?……都市……?…」

 

 クロマの頭の中に、水爆実験や、見たことのない島、たくさんの人々が逃げ惑う夜の都市のビジョンが次々と流れていった。

 

「まさか君は…!」

 

 芹沢は、クロマの口から漏れる単語や尻尾、そして背中の方に微かに生えているのが確認できる背鰭らしきものを見て何かに気がついたようだ。

 

「…なんだよこの記憶…!…ああ…!ああああああああああああ!!」

 

 憎悪に染まった感情がクロマの頭の中に流れ込んできて、クロマは苦しみの叫び声を上げる。

 

「君…!」

 

 芹沢はクロマに声をかけるが、クロマはそのまま意識を失ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あぁ!?…なんだ、また夢か…」

 

 芹沢という男と出逢い、謎のビジョンを見せられた悪夢から、クロマはやっと目覚めることができた。

 

「………」

 

 クロマはゆっくりと背中に生えかけている背鰭に触れた。

 つい数週間前までは、何かの破片か何かだと思っていた存在であったが、日に日に黒くなって大きくなるそれは、間違い無く背鰭だと気づき始めており、ただ、尻尾のこともあってかそこまで気にしておらず、周りの者達も一応知っているが、いろんな魔物がいるこのグランバニアではそこまで大きな衝撃は受けていなかったが、心配する者はたくさんいた。

 

「……おはようサンチョ」

 

 ベッドから起きたクロマは、台所にて朝食を作るサンチョに声をかける。

 サンチョの方もにこやかな笑顔をクロマへと向ける。

 

「おはようクロマ坊ちゃん!朝食はまだだから待っててくださいね!」

 

 朝早くから元気な声のサンチョに対し、クロマは少し微笑を浮かべて返した。

 どうやら、悪魔で苦しんでる様子は見られてはいないようだ。

 そしてクロマは、朝食ができるまで家の外を軽く散歩することにした。

 

「……」

 

 グランバニアで暮らしているクロマは、現在サンチョの家で共に暮らしている。

 お互い、最初は慣れない人間関係であったが、自然と打ち解けていったのだ。

 

 特に言葉を発さずにグランバニアの城の周りを歩くクロマ、そんなクロマを見かけたリュカの魔物達が話しかけてきた。

 

「おはようクロマ!早起きだなお前も!」

 

 朝から大きな声で挨拶してくるのはホークマンの『ホークス』である、ホークスの周りにはおばけきのこの『マッシュ』、ベホマスライムの『ベホマン』がいた。

 

「…ああ、おはよう…」

 

 クロマはどこか眠たそうな目で返事を返し、それを観たベホマンがクロマに近づき触手をクロマへと向けた。

 

「ザメハ!」

 

 ベホマンが唱えたザメハという呪文は、優しい光を放ってクロマを包み込み、クロマの眠気を取り払った。

 

「…すまないなベホマン」

 

 クロマはベホマンに礼を言うが、ベホマンは「イエイエレイハイイデス」と触手を振りながら礼はいいと言った、その横でマッシュは胞子のようなものを飛ばそうとする。

 

「おいマッシュ!お前朝っぱらから胞子飛ばすなよ!クロマに使ったザメハの意味がなくなるじゃねえか!」

 

 ホークスは怒鳴りながらマッシュが胞子を飛ばそうとするのを止める、マッシュの胞子には相手を麻痺させる、眠らせる、毒に犯させるなどがあるため、そんなものを朝っぱらから使われたらホークスやクロマにとってもたまったもんじゃなかった。

 マッシュは「ケケケェ…」と小さな声を上げると、胞子を出すのを中断してから黙り込む、胞子を出せなかったのが不満なのだろう。その後、ホークスとクロマはお互いの剣の腕を競うためにグランバニアの外で軽い練習試合のようなものをした。

 

「参った、俺の負けだよ、にしても成長早いよなクロマ」

 

 練習試合にてクロマに負けたホークスは剣を下ろし、どこか嬉しそうな言い方でクロマに言う、クロマに剣術を教えたことのあるホークスとしては、クロマの成長は素直に嬉しかったのだ。

 

「オレ自身もびっくりだ…(それにしても、力は大きく落ちてるな…)」

 

 クロマは、自分の剣術が上達していくのが嬉しい反面、惑星ベジータにいたころよりも明らかに戦闘力が下がっていることが気になって仕方なかった、一応手元にあるスカウターで確認したりしたのだが、1340と異常なまでに戦闘力が落ちていた。

 

「どうしたクロマ?難しい顔なんかして…?」

 

「ケケケッ?」

 

 ホークスとマッシュ、離れた場所から試合を観戦していたベホマンが心配そうな目でクロマを観ていた、クロマの方は「大丈夫…」と言って、ホークス達の心配を取り払った。

 

「シテモクロマ、ダーマシンデンッテシッテルカ?」

 

「…ダーマ神殿…?」

 

 カタコトで話すベホマンの口から聞き取れたダーマ神殿(シンデン)という初めて聞く単語に、クロマは少し戸惑った。

 

「ダーマ神殿ってのは、中央の大陸で建設されてるデッカい神殿のことさ、お前はもう知ってると思うが、昔、俺がリュカ達と共に乗り込んだ『光の教団』の大神殿があった場所を土台に作ってるんだとよ」

 

 ホークスの言う大神殿とは、中央の大陸の巨大山脈にて、光の教団の奴隷達が強制労働をさせられて建設された神殿であり、リュカ、ヘンリー、マリアもかつては光の教団の奴隷であったため、大神殿に関しては憎き記憶ばかりがある。

 

「…リュカおじさんやヘンリーおじさん達は反対とかしなかったのか…?」

 

 クロマは、憎き記憶を思い起こさせる大神殿のあった場所、それどころかその大神殿を土台にダーマ神殿を建設してることに対し、どう思っているのか気になっていた。

 そんな疑問を問うクロマに対し、ホークスは複雑な表情で口を開く。

 

「実はさ…ダーマ神殿建設の最高責任者ってのはリュカなんだよ…」

 

「…………………は?」

 

 ホークスの口から放たれた衝撃的な事実に、クロマは思考停止してしまった。

 

「…オイホークス…リュカニオコラレルゾ…カッテニハナシタリシテ…」

 

「ギキィ…」

 

 ベホマンとマッシュは、どうしようもない奴を観るような目でホークスを観る、ホークスの方はとりあえず思考停止して固まってるクロマをサンチョの家へと送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サンチョの家にて朝食を食べたクロマは、やっと頭の中が落ち着いたので、リュカに直接会ってダーマ神殿建設にていて聞いてみることにし、玉座へと来ていた。

 

「おはようクロマ君、ホークスからだいたいの事は聞いたよ…ダーマ神殿の事だよね?」

 

 リュカは真剣な目つきのクロマを観て、よけいな話をせずにすぐにダーマ神殿について話すことを決めた。

 

「うん…まさか、リュカおじさんが神殿建設の一番偉い人なんてびっくりした…おじさんが奴隷だったというのもあるし…」

 

 クロマはどこか複雑そうな表情を浮かべてリュカに言い、それに対してリュカは少し黙り込み、静かに口を開いた。

 

「少し長くなるかもしれないけどいいかな?」

 

「う、うん…」

 

 クロマは少しキョドりながらも返事を返した。

 

「じゃあまずは、どうしてダーマ神殿を大神殿のあった場所に建設するのかって辺りから話そうか…。

君は僕が奴隷として強制労働させられていた大神殿の跡地に新たな神殿を建設するのが気になったんだよね、それについてはわかるよ、ビアンカやサンチョに何回も聞かれたことだから………、普通の神経ならまず嫌な記憶がある場所に神聖な建物を建てないだろうけど、僕は気づいてたことがあるんだ」

 

 クロマは、リュカの口から出た気づいたことが気になった。

 

「…確かに、あそこはできれば跡形もなく消したいって思ったよ、けど、僕個人だけの問題だからそんな事はしてはいけないってのは前々から気がついていた…そして、その後に気がついた事は、あの神殿を跡形もなく消したりするのは

、大神殿を死ぬまで建設した人達の生きた証すらも消してしまうのではないかって」

 

「………」

 

 リュカの言ったことをクロマは深く心に刻んだ。

 

「たとえどんなに忌々しくても、大神殿は死んでいった奴隷の人達の生きた証であることには変わりなく、その事実を後世に伝えていかねばならない者として、あえてダーマ神殿を大神殿跡地に建てることにしたんだ、ヘンリーやマリアさんは反対すると思ったけど、夫婦共々賛成してくれて、ヘンリーが弟のデール王に進言してラインハットの協力も得れるようになったんだ。僕の判断はどこかハッキリしてない未練たらしいものかもしれない、そう思ってもらっても構わないと思ってる」

 

 そう言うリュカの瞳は、過去の悲しみや後悔を秘めながらも、未来への決意や覚悟も感じられるものだった。

 

「…ううん、リュカおじさんはそれだけの覚悟があるんだし、強い人間…オレにはないもの持ってる…」

 

 クロマは暗い口調だが、どこかリュカを慰める、応援してるような感じも見られた。

 

「君にそう言ってもらえるだけでも、いろいろとスッキリしたよ。……それで、次はダーマ神殿について説明しようか、他にも話してもいい事もあるから、それらについても話すよ」

 

 リュカは一度水を飲んでから息を整え、再び口を開く。

 

「そもそも、ダーマ神殿と呼ばれる神殿はとても大昔には存在してたんだ、それについて知ったのはつい最近で、魔界にあったらしい書物に記されていたんだけどね」

 

 魔界の王『ミルドラース』をリュカ達が倒した後、魔界が消滅する前にこちらの世界へと転移した魔物からリュカは書物を貰ったようだ。

 どうも、ミルドラースを良く思わずに暮らしていた魔物だったので、住んでいた魔界は消えたものの、生き苦しさを味合わせてきたミルドラースを倒してくれたリュカ達は心からの恩人だったのだろう。

 

「それでその書物には、ダーマ神殿以外にも世界樹や見たことのない魔物、ミルドラースよりも昔の魔王、そして僕達がやっとのことで勝つことができたエスタークなどについても記載されていたんだ、読んでてわかったことは、魔王があなくても、悪しき魔物達が存在する限りはまた新たな魔王が生まれたり、死んだ魔王を蘇らせたりするらしい」

 

「……」

 

クロマがリュカから聞く単語の一部は、最近この世界の歴史について学んだ際に聞いたこともいくつかあった、そのためか、敏感に反応してしまう。

 

「ミルドラースがいなくなってからは、悪しき魔物はほとんど見られなくなって、できる限りはプックルやスラリン達のように仲間になるように努力はしている、ミルドラースに勝てたのも彼らのような正しき心を持つ魔物達の助けがあったからのもあるから、魔物を根絶するような考えが広まらないでほしい…僕のワガママの様なことで悪いんだが、デール王や他の大陸の偉い立場にある人達は魔物の根絶は考えてなくて良かったけど…。

それに、魔物達を根絶しようとして行動するとかえって、魔物達を変に刺激して取り返しのつかない事になるかもしれないしね…それでも、いざという時、いつか僕達が死んだ後も人類が悪しき存在に立ち向かえるためにダーマ神殿を建設することになったんだ、ダーマ神殿は戦いのため、生きるための職業に転職ができ、体が弱くても自分に合った職業で扱いやすい特技を使えるようになるとも言われてるしね…」

 

 長く話すリュカの瞳からは強い意志が感じられ、クロマはその意志を感じ取り、どこかやる気が沸くような気分になった。

 

「…大神殿を土台にしてるからか、建設が完了するまでそう年月はかからないと思う、大神殿の時と違って、今回は世界中の人達や心優しい魔物達が希望を持って作ってるからね…」

 

 リュカはどこか嬉しそうな、泣きそうな感じで言う、大神殿建設の時は強制労働で地獄のようなものだったためか、ダーマ神殿を強制労働ではなく、力を合わせて協力して作る事にいろいろと思うことがあったのだろう。

 

「…オレも何か手伝おうか…?」

 

「クロマ君が?」

 

 自分からダーマ神殿建設の手伝いがしたいと言うクロマに、リュカは驚いた。

 

「うん…オレでもできることあるなら」

 

「……そうか、お言葉に甘えて君の力を借りるとするよ」

 

 リュカは、こんな小さなクロマが手伝いをしたいと言うなんて思わなかったが、本心では絆が深まってるのを感じていて嬉しかった。

 

 

 

 そして二時間後、リュカとクロマはルーラで神殿建設現場に飛んだ。

 

「…凄いたくさんいる…」

 

 クロマは、建設現場にいるたくさんの人々や魔物の協力し合う姿に驚いた。

 そんなクロマの様子を見て、リュカは優しく微笑みを浮かべる。

 

「そうだね、皆お互いに協力し合ってダーマ神殿を完成させようとしてる。

本当に嬉しい事だよ……………とりあえず、クロマ君は空が飛べて力も強いから障害物の破壊や、空からの建設現場の状態確認をしてくれないかな?」

 

「…わかった」

 

 リュカの頼みに対し、クロマはすぐに返事を返す。

 そして、リュカに案内されてクロマは自分に任された仕事を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、建設現場の地下の洞窟に一人の男がいた。

 愛馬ラッキーと共にラインハットへと職を求めて動いていたあの男だ。

 

「ええっとよぉ…ここを拡張すりゃあいいんだな?」

 

 男は近くの兵士に気の抜けた声で聞く。

 

「ああそうだ、力強く観察力の高いお前ならここの仕事は任せられると思ってな、安心しろ、頼まれておいた馬の世話はちゃんと俺の部下がやっている」

 

「そうか、じゃあおっ始めましょうかね!」

 

 男は先ほどの気の抜けたような感じから、急に気合いが入ったような顔つきになって口からでる声もどこか力強い感じが兵士には感じられた。

 

 そして男は、地図を片手に洞窟を素手でどんどん掘り進んでいき、男の掘った後には崩れる様子のない綺麗なトンネルが出来ていった。

 

「す、凄い…、ニドルと言ったなあの男、洞窟の構造がわかってるかのように上手く掘っていっているな…」

 

 兵士は驚きの表情で洞窟を掘り進んでいる男、『ニドル』の方を観ていた。

 

 ニルドが掘って拡張しているこの洞窟、実は大神殿の建設の際に中途半端に掘られて放置されていた洞窟なのだ。

 その洞窟を上手く拡張し、いろいろな設備を作る事が決まっているらしく、兵士はその拡張作業を担当する事になったニドルを見守る係としてラインハットから派遣されていた。

 

「たぶん、あと昼前くらいには拡張程度の作業ならどうにかなるぞ~」

 

 洞窟を掘る手を一度止めたニドルは、近くでニドルの仕事ぶりを観ていた兵士に言った。

 

「…そんなに早く終わるのか…」

 

 兵士は呆然とした顔で呟いた。

 

 

 

 

 

 その後、ニドルの拡張作業は無事に昼前に完了し、昼過ぎから拡張された洞窟を綺麗にしてからいろいろな設備の設置作業が行われることになった。

 

 

 

 

 

「ああ~暇だな…」

 

 昼食を取り、同じく昼食を取っていた者達と雑談をして一人になったニドルは、特に仕事が無いので人のいない高台にいた。

 

「おーっ!結構高い所にあるんだなここ!」

 

 ニドルは興奮した声で言う。

 彼の目の前には、周りの高い山々や遠くの海が見える絶景が広がっており、ジメジメした洞窟で作業していたニドルにとっては、とても身にしみる光景であった。

 

「いやあ、凄いな……ん?」

 

 ふと、ニドルは上空の方を向いてみると、小さな人影が空を飛んでいるのに気がついた。

 その人影はある位置で制止すると、しばらくその場から動こうとせず、再び動き出すと、建設現場の周りを一周見渡すかのように旋回してからニドルの近くへと降り立った。

 

「…あんた、オレが手伝ってる間ずっとオレを観てたろ…」

 

 降りてきた人影…クロマは、変な奴を観るような眼でニドルの方をじっと観た。

 

「いやぁ、悪い悪い。それにしても、空飛べるんだなお前!その歳であんなに飛べるなんて空を飛べる魔物もビックリだ!」

 

「…は、はぁ…」

 

 やたらとテンション高く喋るニドルに、クロマの返事に困った。

 

「あれだけ離れた所飛んでると空間的な加護も届かねえし、いろいろと凄いなお前。そうだ!暇だから俺がお前の仕事手伝ってやるよ!俺はニドル!よろしくな!」

 

「…ク、クロマだ…」

 

 クロマは、若干引きながらもニドルに名を名乗った。

 ちなみに、ニドルの言った空間的な加護とは、かなりの高さにあるここの建設現場で酸素や強風で苦しくならないための特別な加護であり、その加護はニドルの言うとおり、かなり高い所を飛んだりしてると加護の有効圏内から外れてしまい、現にクロマは外れた状態で飛んでいた。

 

「「(にしても…)」」

 

 二人はお互いの尻尾を眺める。

 

「「(いや…この世界にはいろいろな種族いるから、それの内のどれかだろ…)」」

 

 そう勝手に決めつけた二人は頭の中で勝手に解決させ、特に気にする様子も見せずに別の作業現場へと共に歩いていった。

 

 

 そしてクロマは、力強いニドルの手伝いなどに戸惑いながらも、協力して作業を進めていった。

 クロマは元気を振り撒くニドルに対し、逢ってからそんなに経ってないのに心を開いていった。

 

 

 

 

 

 そして夜になり、今日やる作業を終わらせた者達は次々と現場近くにある旅の扉からそれぞれの国へと帰って行った。

 さすがにこんな所で一夜を過ごすわけにもいかないので、リュカとデールが協力し合って設置した『旅の扉』を用いて簡単に様々な国との移動を可能とした。

 

 ニドルも、リュカやクロマと共にラインハットにて休むこととなり、宿屋にて食事を取った三人は、デールが用意してくれた宿屋のVIPルームにて寛ぎ、ベッドにて眠り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…うぅ、なんか気分が…」

 

 眠りから覚めたクロマはベッドから降りて、部屋の外にある窓から空へと飛び立ちどこかへと飛んでいった。

 まるで、何かに吸い寄せられたかのように…。

 

「…クロマか?」

 

 そんなクロマの姿を、偶然外で夜の散歩をしていたニドルは見つけてしまった。

 

「…何か胸騒ぎがする、追いかけてみるか」

 

 そう呟くニドルは、クロマが飛んでいった方へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 この日、夜空にはきれいな満月が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…こんな所まで来てしまった」

 

 ラインハットからある程度離れた山の麓まで飛んできたクロマは、地上へと降りて、周りをただ歩き回っていた。

 

「……ん、背鰭が疼く…何かが起きるのか…?」

 

 背鰭が疼いていたクロマは、まるで背鰭に案内されたかのようにこの場所へと降り立ったのだ。

 

「……それにしても、月の光は強いな…」

 

 クロマの周りを照らす月光に、クロマ自身は月の方を観た。

 

「…ハッキリと月が見える…それにしても満月か、オレはともかくとして他のサイヤ人ならば大猿になるのかなぁ………ん?…」

 

 満月の方をじっと眺めていたクロマであったが、何か身体の様子がおかしくなってきてることに気がつく。

 

「…(熱い?…それに何かオレではないオレの姿に変わっていくような…)

 

 よく観ると、クロマの体色は徐々に黒く鳴り始めており、表皮もどこか固まり始めていた…。

 

「…なんだ…コレ…オレはクロマだろ…?…オレはクロマ…オレはクロマ…オレ……ハ………ゴジ…ラ…?」

 

 クロマの言葉がおかしくなり始め、クロマの顔は大猿にかわるサイヤ人のように変化し始めていた。

 

「…アガァ…グルググアァ…」

 

 だが、変化していくクロマの顔は、大猿とは違い、どこか強力を思わせるようなものに変わっていく…。

 

「…ギグググ!…グガァガァァァァアア!!」

 

 クロマは遠くまで聞こえるほど大きく叫ぶと、大猿のように巨大化を始める。

 遠くから見ていた野生動物や魔物は、巨大化していくクロマの様子を見たり感じたりして、次々とどこかへと逃げていった。

 そしてクロマの姿は大きく変貌する…。

 

 それはまるで…

 

 

 

「(嘘だ…夢の中だけのことだ…こんな姿になるのは…!)」

 

 

 

 

 その姿は、クロマが夢の中でなっていた黒い龍そのものであった…。

 クロマの声も、龍の叫び吠えるものにしかならなかった。

 

「グルルグァ…グガアァァァアンアアァァァァン!!」

 

 黒い龍の言葉にならない叫びは近くの山や大地を揺らした。

 

 その時、クロマは自分のものではない大きな鳴き声の様なものを耳に捕らえた。

 

「…グガァァ…」

 

 クロマはそう小さく叫びながら、鳴き声の様なものが聞こえた方を観る。

 

 

 

 

 

 

 すると、奴が姿を現した…。

 

 

 

 

 

 

「ガアァァァァァンンアアァン!」

 

 

 

 

 クロマの様な巨大さを誇る怪獣…暴龍『アンギラス』であった…。

 

 アンギラスは、もの凄い速さでクロマへと突進してくる。

 

「ググルガァ!?」

 

 すると、クロマの中でどこか理性が飛び、龍としての本能のスイッチが入った。

 

 

 

 

「ガガガァァァァァン!グガァァン!」

 

 

 

「ガァァァァァァァンアアァァァン!!」

 

 

 

 

 

 今、この世界において、クロマ…いや、黒龍『ゴジラ』と暴龍アンギラス二匹の龍の戦いのゴングが鳴った…。




アンギラスの正体はいろんな意味でバレバレでしょうが、理性のあるクロマからでもアンギラスの正体はわからない感じになっています。
あと、怪獣の鳴き声は自分の中のイメージですので、皆様の中のイメージとはかけ離れてる場合がありますのでご了承ください。
あと、ホークマンの名前はオリジナルです
元のとは違っててすいません。
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