黒龍物語   作:一芽

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やっと書けました。
なんか、いろいろ新しいの出たりしますのでご注意を。



神竜と願い

 エルヘブンの南、湖に囲まれた「元」洞窟、そこにリュカとニドル、そして、マスタードラゴンの人間態である『プサン』がいた。

 

「にしても、世界樹ってのはどれくらいの年月かければちゃんとした状態になるんだ王様?」

 

 ニドルは、マスタードラゴンの手によって山諸共消されてきれいな更地となった洞窟跡地に生えた世界樹の小さな木を観て言う。

 

「さあ…苗を植えたのは僕だけど、それはプサンさんの方が詳しいかな。説明お願いしますプサンさん」

 

「むう、少なくとも100年以上はかかりましょうな。定期的に力を送っていけば早まるかもしれませんがね。まあ、完全な状態ではなくても、世界樹の葉は落とすでしょうし、もしかしたら、幻の世界樹の花も早く咲くかもしれません…まあ、今日みたいな曇りの日には落とさないでしょうが…」

 

 今日は全国規模で空が曇っており、世界樹の苗もどこか元気がなかった。

 

「へぇ、そうなんだな。それにしても、その世界樹の葉って命を蘇らせるんだろ?すげえよな」

 

 リュカとプサンは、どこか複雑な笑みをニドルに返す。

 

「生き返ると言っても、死体が無ければ意味がなかったり、自然的な死やかなりの時間放置された死体が生き返らなかったりと、万能でないんだけどね…まあ、使える者が増えたザオリクよりも効果が高いことには変わりないんだよね」

 

「リュカの言うとおりですね。まあ、神竜様の叶える願いによっての蘇生は、時間や死体の有無関係ないので、あの方と比べたら遥かに劣るかもしれませんが、そもそも、効率的には世界樹の葉が楽というのがありますからね…神の私が言うのもあれですが…」

 

 プサンの発言に、ニドルとリュカはあることを思い出す。

 

「その神竜に勝てば願いを叶えてもらうんだったらしいが、クロマ達、その神竜と戦って勝つとか言って天空の塔に行ってるんだよな今…」

 

「ティミー達も付いて行ってるんだよなぁ…大丈夫かな…プサンさんはどっちが勝つと思います?」

 

 クロマ達が心配そうな二人を見たプサンは、二人の肩を叩きながら「大丈夫大丈夫!」と笑顔で言った。

 

「神竜様は確かに強いですが、クロマ君達もかなり腕を上げてますから、私から見ると良い勝負になると思いますよ!」

 

「「…(どっちが勝つとは言わないのかこの竜神…)」」

 

 二人はプサンを見て、小さく溜め息を吐いた。 

 

 

 

 

「…(しかし、伝説の大悪魔が現世に現れるのも時間の問題だ…ブラックオーブのこともあるし、リュカの元にいる例の子どもの秘密も不明なままでは、いろいろと危険だ…)         」

 

 プサンはリュカの顔を一度観る。そして、心の中でいろいろと考えがゴチャゴチャになっていた。それらが立て続けに問題が起こさないことを祈り、引き続けて積極的に地上で活動するプサンであった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして天空の塔にいるクロマ達は、塔の中を悪しき魔物や塔を守る魔物達と戦いながら、どんどん進んでいた。

 

「…しかし、なんだこの面子は…」

 

 クロマは後ろを見る。そこには、リンガー、パオウ、ティミー、ポピー、ターク、バトラー、そして、ポピーが仲間にしたビッグももんじゃの『もーびん』がいた。

 

「…ここの頂上にいるらしい神竜と戦いたい奴は付いてこいと言ったが、まさか、お前ら兄妹二人とも付いてくるとはな…」

 

「いいじゃないかクロマ!クロマも僕達もいろんな職業を極めたんだから、強くなった者同士力を合わせようよ!」

 

「もーびんだって、強いんだよ。ねぇ」

 

「もっもぉー!」

 

「…ハァ…まあ、とっとと登るぞ」

 

 個性豊かな面々は、塔に巣くう魔物達を蹴散らしながらも、どんどん上へと登っていく。

 

 

 

 

 なぜ、この面々が天空の塔にいるかなどの事の発端は、3日ほど前に、クロマがグランバニアを訪れた時であった。

 

 

 

 リュカ達と世界の変化について話をしていたクロマは、修繕された天空の塔の頂にいるとされる竜の話をリュカから聞き、勝った者のどんな願い事も叶えてくれると言われる存在、神竜に、バーダックを見つける願いを叶えてもらうために、神竜と戦いたいと思う強者を集めて天空の塔に行くという話になったのだが…。

 

「ごめんねクロマ!これから世界樹に関する事でいろいろと忙しいんだ!…ニドルさんも、マスタードラゴン…プサンさんと一緒に立ち会う予定だから、ニドルさんも行けないかな…」

 

「いいよリュカおじさん、無理しなくても…。オレ個人の願いだし、自分と付いてきたい魔物の皆とだけで天空の塔へ登「クロマ!僕も付いていくよ!」…ティミー…」

 

 クロマとティミーがいた玉座の間に、突然ティミーが入ってきて、クロマの元へと走ってきた。

 

「…今回の相手はマスタードラゴン並みの竜神だが大丈夫なのか…?」

 

「大丈夫だって!僕だっていろんな職業を通してかなり強くなったんだから!」

 

「そ、そうか…少し不安もあるが頼む」

 

「ああ!じゃあ他のメンバーも探しに行こうよ!」

 

 ティミーはクロマの手を引っ張って、玉座の間から出ていった。

 

「あはは…子ども達は自由で元気だな」

 

 リュカは苦笑いながらも、どこか嬉しそうな様子で呟いた。

 

 クロマ達は魔物達を集めて神竜と闘いたい者を決めることになり、なんだかんだでパオウ、リンガー、ターク、そして、リュカが仲間にした魔物の中でも最強格の魔物であるヘルバトラーの『バトラー』まで決まった。

 

「…よろしくバトラー…」

 

「ムハハハハ!頼まれもうした!」

 

 変な口調のバトラーに、クロマとティミーは引きつった笑みを浮かべる。

  

「ん?」

 

 ティミーは、こちらに走ってくる男の子が目に入った。

 

「クロマお兄さん!」

 

「うおっ…!?」

 

 男の子はクロマの胸に飛び込んできた。クロマは、「やれやれ…」と言いながら男の子を抱きかかえてから降ろす。

 

「サモン…お前の気持ちはわかるが落ち着け…」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「別に謝るなって…まあいい、時間はあるから少し遊んやる…」

 

「ありがとうクロマお兄さん!」

 

 男の子『サモン』はとても嬉しそうな表情をクロマに見せた。

 

「ごめんねクロマ君…」

 

 サモンを見つけて歩いてきたビアンカが、クロマに頭を下げる。

 

「…いいよ別に。それよりもティミー、ごめん、メンバー決めるの少し遅れそうだ…」

 

「いいって!なんなら、僕が探してくるからさ!サモンのことを頼んだよ!」

 

「…わかった、じゃあサモン。外の庭でも行こうか」

 

「うん!」

 

 クロマはサモンを連れて外の庭へと歩いていった。

 

「ふふ、まるで本当の兄弟のようね。ティミーも気がつかないうちにあの子がクロマ君に懐いても知らないわよ?」

 

 ビアンカはどこか意地悪そうに良い、大きく膨らんだ自分のお腹を撫でる。

 

「赤ちゃんは大丈夫?…産まれる予定日も近いらしいから無理しないでねお母さん…」

 

「わかってるわよティミー。昔みたいな無茶はしないから」

 

 ビアンカのお腹の中にはティミーやポピーの新しい兄弟が宿っており、ティミーは、自分達がお腹にいたころに母ビアンカが無茶をしてリュカと旅をしていたのを知っているため心配であった。

 

「サモンも合わせて、二人のお兄ちゃんになるのよねティミー。しっかりしなきゃ駄目よ?」

 

「大丈夫だって!サモンと赤ちゃんの兄らしく頑張るから!」

 

 ティミーの気合いの入った言葉にビアンカは自然と笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 実は、サモンはビアンカ達の子どもではなく、そして、ティミー達の実の弟でもない。9ヶ月以上前にタークがグランバニアの洞窟の南の方にある森の中で拾った子どもなのだ。

 白髪でエルフのような尖った耳を持っていた少年サモンであったが、その身元はサモン自身が名前とある程度の基本的な知識を除いて記憶を失っていたためわからず、ただ、『ルビーの涙』というエルフの流す涙の結晶が入った小瓶を所持しており、エルフに関係がある子どもと思われていた。

 その反面、魔封じの包帯に巻かれた強大な力を持つ剣、盾、兜、鎧が近くに落ちていたり、小瓶とは別に背中に背負った袋に禍々しいほどに黒い宝玉が入ってたりしてたため、何か大きな秘密を抱えてるのではないかとリュカは考えていたが、どういう過去を持つ者であれ、クロマよりも少し小さいサモンが心配で放っておくことができないリュカは、ビアンカと相談した結果、養子として引き取ったのだ。

 

 そしてティミーは、クロマ達と入れ違いをように現れたポピーともーびんと目が合った。

 

「お兄ちゃんにお母さん?何かあったの?」

 

「いいところに来たなポピー!とりあえず説明するからこっちに来いよ!」

 

「「?」」

 

 ポピーともーびんは首を傾げ、とりあえずはティミーの説明を聴くことにした。

 

 そして、神竜と闘うことについてティミーに説明されたポピーは。

 

「…そうか、よく考えたら、クロマって大切な家族を探してたんだよね……よし!あたしも協力する!」

 

「「「「「え…」」」」」

 

 ビアンカを除くその場にいたティミーや魔物達は面倒くさそうな表情を見せ、ポピーは「なによ!その顔は!」と顔を膨らませながら怒鳴った。

 

「いやぁ、ごめんごめん。最近ポピーの戦う姿を観てないから大丈夫かなと思ってね……」

 

「大丈夫だよ!あたしともーびんはかなり強くなったんだから!」

 

 そんなポピーの強気な意志を感じ取ったティミーは、ポピーともーびんをメンバーに加えることにした。「なんでもーびんも付いてくるんだ…」という愚痴を小声で呟いたりしたが、これでメンバーは決定したことになる。

 

 

 

 

 

 

 そして、今回のメンバーになったのだ。

 

 ちなみにメイッキーとベレックは、神竜との戦いが怖いのか、グランバニアで新しく暮らし始めたレオという少女とグランバニアで留守番してたりする。

 サンタローズに帰るにも、双方ルーラが使えないというのもあるため、結局はグランバニアで待つしかない。

 

 

 

 そんなこんなで、塔の頂上へと近づいていき、目の前の浮遊エレベーターで上がれば頂上へと着く。

 ちなみに、今回のクロマの職業は攻撃力がかなり高まる『ドラゴン』で、ティミーは魔力と攻撃力などの安定を考えた『勇者』、ポピーは『賢者』となっている。

 クロマ自身は、魔物使い以外にもいろんな職業を極めてるおかげで、使える呪文や特技は多く、今回はその中から、自分に合うドラゴンの職業で闘うことにしたのであった。装備の方も様々な攻撃への耐性を強化した改造戦闘服や尾牙を始め、すばやさを上げるためにほしふる腕輪を装備していた。

 

 

「パァオォォォン!」

 

 パオウが大きく鳴くので前を観てみると、やっと頂上が見えてきた。

 

 そして、頂上へとクロマ達は降り立ったが、ティミーとクロマは何とも言えない表情を浮かべ、口を開いた。

 

「…あれ?神竜どころか人すらもいないようだよ」

 

「……確かにスカウターの反応すら無いな…」

 

 そう、そこには神竜どころか誰か魔物すらもいないのだ。クロマ達は少し休憩をし、神竜が現れたと時の作成を練っていた。

 

 そして、頂上へとクロマ達が来てから一時間ほど経つと、空に裂け目が出現した。

 

「なんだあれ?…まあ、おまちかねの神竜さんかな…」

 

 ティミーの予想通り、裂け目から出てきたのは神竜であった。

 

 

 

「…ほう、先日マスタードラゴンからこの塔にいると、強い相手と戦えると聞いていたが、どうやら…本当のようだな」

 

 マスタードラゴンは、クロマ達を見渡して、強き者達に出逢えた喜びからか微笑を浮かべた。

 

「…こっちも、あんたみたいな強い奴に逢えて光栄だ…」

 

「クロマも嬉しそうだね!」

 

「お兄ちゃんもね…まったく」

 

 そして、神竜は頂上の台座の上まで降りてくる。

 

「全力で挑んでくるがいい。私に勝てば、勝者であるお前達

の願いを一つだが叶えてやろう」

 

 神竜のその言葉に、クロマの闘志に火が点いた。

 

「…いいぜ…俺達の力であんたに勝ってやるさ…!」

 

「ではくるがいい!」

 

「言われなくとも…!いくぞ!」

 

「「「「「おぉ(パオォン)!」」」」」

 

 

 ここに、クロマ達と神竜との闘いのゴングが鳴ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クロマ達が闘いを始める二時間くらい前のこと、グランバニアに残っていたレオは、グランバニアでクロマ達の帰りを待つメイッキー達と遊んだりし、今は、リュカの妻であるビアンカからいろんな話を聞いていた。

 

「へぇ~、ビアンカさんとリュカさんが結婚するまではいろいろあったんですねぇ。ティミー君やポピーちゃんがお腹にいる時もリュカさんに黙ってたなんて驚きです」

 

「…まあ、黙ってた自分の事を振り返ると、かえってリュカに迷惑をかけて、お腹の中にいたティミー達にも悪いことをしたなって今は思っているかな。けど、そんな私に笑顔を向けてくれたリュカ達を観てると、後悔してウジウジしてるだけじゃいけないんだなと思ったわ」

 

「そうですね。後悔してばかりだったら、辛いだけですし、それにあの子もいますからね」

 

「そうね」

 

 その時、どこかから声が聞こえた。

 

「お母さん!姉さん!」

 

 城内の庭でスラリンを追いかけ回してたサモンであった。ビアンカとレオはサモンの方を観た。

 

「サモン君がビアンカさんとリュカさんの実の子どもではないことに最初は驚きましたね。気分を悪くしたらすいません…」

 

「いいのよ、実の子ではなくても、あの子は私達の家族でティミーやポピーの弟、そして、お腹の子のお兄ちゃんなんだから」

 

「ふふふ、仲の良い四人兄弟になるといいですね」

 

「ありがとうレオちゃん」

 

 ビアンカは、膨らんだ自分のお腹を優しく撫でて笑顔を浮かべる。

 

「元気な赤ちゃん産んでくださいね!そうだ、元気な赤ちゃんが産まれるために良い効果のある薬草を探してきます!」

 

「別にいいわよレオちゃん。その気持ちだけでも嬉しいから」

 

「いいえ、できる限りの事でもいいからビアンカさんのためになることがしたいです!」

 

「じゃ、じゃあ頼もうかしら…」

 

 ビアンカは少し不安もあるが、レオの張り切った様子を観て、素直にお願いしてみることにした。

 

「では行ってきますね!メイッキー!ベレック!行くよ!」

 

「「え、え~…」」

 

「え~じゃない!ほら早く!」

 

 そして、メイッキーとベレックは気乗りしないものの、どうせやることも無く暇だったから別にいいかと開き直ったような感じでレオと共に薬草探しに同行することにした。

 

「行ってらっしゃい」

 

「「「は~い」」」

 

 一人と二匹はビアンカに見送られながら城を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、南東の山へと来たレオ達は、お目当ての薬草を見つけることができ、必要な分だけの薬草と、ビアンカのために栄養が高い食材を探していたりした。

 

 

 

「お~い!このキノコはどうだ?」

 

「ベレック、そのキノコは毒キノコ!ちゃんと探して!」

 

「へ、へ~い…」

 

 ベレックは毒キノコをとりあえず、地面へと埋めた。

 

「レオ~、ちょっと来て~」

 

「今行く!」

 

 レオはメイッキーのいる岩壁の下まで駆け寄る。

 それを見たメイッキーは、上から何かを落とし、慌てながらも落ちてくる何かを掴んだレオは、それは、普通のものと少し形や色が違う人参であった。

 

「これって……あっ!そういえば、本で見たことあるよこの人参。たしか、この人参は味や食べやすさ、そして身体にも良い人参だよ!たくさん採られて数が減ってたらしいけど、岩壁に生えてたから見つからなかったんだ。お手柄だよメイッキー!」

 

「キッキキィ!ありがとう~♪」

 

 メイッキーは嬉しそうに飛び回る。そしてメイッキーは、近くの岩壁にも生えた人参もくわえ、首にかけた小さなカゴに合計四本の人参を入れた。

 

「お、終わったか?」

 

「ベレック、どこに行ってたんだ~…って、あらあら…」

 

 ゆっくりとメイッキーの近くを飛んでるベレックは、近くに生えてた野苺をムシャムシャと何食わぬ顔で食べていたので、メイッキーとレオは呆れ顔であった。

 

「じゃあ帰ろう!」

 

「「おお~」」

 

 レオ達はグランバニアの方へとキメラの翼で跳ぼうとする。

 

「…ん?どうしたんだレオ?」

 

 レオは、キメラの翼を握ったまま固まったように動かなかった。

 

「…なに……この反応…?」

 

「レオ…?」

 

 メイッキーの声はレオの耳に入らず、レオは、ただ目を見開いた状態で何かを呟いていた。

 

「……くっ…こんな時に限って!ベレック!メイッキー!先にグランバニアに帰ってて!私はこれからリュカさん達の所へ行くから!」

 

 レオは急にメイッキーとベレックの方を観たと思ったら、大声でグランバニアに帰るように言った。

 

「「えぇ!?ちょっとレオ!」」

 

「早く!」

 

「「ヒッ!?」」

 

 レオの強気な目線に、ベレック達は変な声を出す。そして、レオは背中に翼を出現させて、凄いスピードを出してリュカ達の元へと飛んでいった。

 

「ど、どうしようベレック~!」

 

「とりあえずさ…グランバニアに一度戻ってから、すぐにリュカ達の元へ行こうぜ!」

 

「そ、そうだね…」

 

 とりあえず、グランバニアに戻ってから、すぐにレオの後を追ってリュカ達の元へと行く事を決めたベレックとリュカであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、神竜と戦う彼らは激戦を繰り広げていた。

 

 

 

 

 

「「喰らえぇ!」」

 

 ティミーとバトラーのはやぶさ斬りが神竜へと襲いかかる。

 

「なんのぉ!」

 

「「うぐぅ(ぬおぉ)!」」

 

 しかし、神竜の右手の爪により払い落とされてしまった。

 

「もっもも~!」

 

 すぐさまもーびんがハッスルダンスを踊って二人を回復させた。

 

「まだまだだ!ポピー!リンガー!呪文で強化してくれくれ!」

 

「「了解!バイキルト!」」

 

 二人はポピーとリンガーのバイキルトで攻撃力を上げられる。

 

「攻撃力を上げたか…だが、攻撃できねば意味がない!……グゥゥ…ハァッ!」

 

「「「「な!?」」」」

 

 神竜の口から放たれる高威力の灼熱の炎がティミー達に襲いかかる。

 

「うぐぅ!パオウ!」

 

「パァァアオォォォン!」

 

 パオウがティミー達の前に現れ、逆風を起こして灼熱の炎を神竜へと跳ね返す。神竜は、ブレスを吐いて返ってきた灼熱の炎を打ち消した。

 

「まだまだそんなものでは「「真上と真後ろががら空きだ!ギガスラッシュ!」」ーなに!?…ぐぬおぉ!?」

 

 神竜の真上と真後ろから現れたクロマとタークのギガスラッシュの同時攻撃をモロに喰らった。片方だけならともかく、神竜は同時に放たれる強大な一撃に対応できなかった。位置とタイミングが合わなければ、クロマとタークは既に倒されていただろう。

 

 

 

「どうした…まだ、終わらないのか…」

 

 床に降りたクロマは、尾牙の刃先を神竜へと向けた。

 それに対して神竜は、理由のわからない微笑を浮かべた。

 

「フフフ…ハハハハハ!いやぁもういい、今回はお前達の勝ちだ」

 

 そう、神竜はクロマ達に敗北を宣言し、クロマ達を勝者と認めたのだ。

 それに対してクロマは、どこか複雑な表情を浮かべた。

 

「いいのか…?俺達は数の暴力であんたを倒したようなものだろ?」

 

 それに対して神竜は、どこか満足そうな顔をする。

 

「別に良い、昔も複数を相手に闘ったものだ。それに、闘いで発せられる残留エネルギーも願いを叶えるエネルギーへと変換される。かえって、こちらにも都合がよいのだ」

 

「そ、そうなんですね…」

 

「なんと驚いた…」

 

 ポピーとバトラーは苦笑いをする。

 

 

 

「…では、闘いに勝利したお前達の願いを一つだけ叶えてやろう。先に言うが悪しき願いなどは叶えれないからな。まあ、お前達なら大丈夫か…」

 

「よし!じゃあクロマ!君の願いを叶えてもらえよ!」

 

「…あ、ああ」

 

 クロマは、ゆっくりと神竜の前に出る。

 

「どうやら、お前の願いのようだな。さあ!言うがいい!」

 

 クロマは、深呼吸をして口を開く。

 

「オレの願いは…サイヤ人、バーダックが今どこにいるかをーーー」

 

 

 

「その願い待たれよぉぉ!」

 

 

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 

 

 突如、どこからか聞こえる大きな声が聞こえ、クロマが願いを言うのを遮った。

 

「ーー誰だ!」

 

 クロマは願いを遮った相手に怒鳴る。

 

「…ここじゃよ…ここ」

 

「…ぬおっ!?」

 

「神竜の後ろに!」

 

 タークは神竜の後ろに浮かぶ声の主を見つけた。その前に神竜も反応していた。

 

「…誰だ貴様は…!」

 

 神竜は後ろに浮かぶ者を睨む。先ほどまでその存在を感知させなかった驚きもあるが、神聖な願いを叶える時の妨害をされた事に怒りを感じていた。

 

 

 

「…スラッグ…偉大なる魔族、スラッグじゃ」

 

「「「「「…スラッグ…?」」」」」

 

 『スラッグ』と名乗る者は、ヘルメットから見える顔から余裕のある笑みを浮かべていた。

 

「…そのスラッグが何の用だ…!」

 

「なあにぃ、貴様に我が願いを叶えさせるために決まっている」

 

 スラッグの発言に、ティミー達は「ふざけるな!」などの言葉を飛ばした。後から現れておいて、さらにはクロマの願いを叶えるのを妨害しておきながらどの口が言うのかと思えるからだ。

 

「残念だがな。今回願いを叶える相手はこの者なのだ。それに、貴様のような心に邪気を感じる者の願いなどは叶えはせんぞ」

 

「…では仕方ない…時間が無いこちらとしては強引な手段をとらせてもらおう」

 

「…っ!」

 

 スラッグは、懐から色が黒いドラゴンの杖らしきものを出し、神竜へと向ける。

 

「お父さんのと同じドラゴンの杖!?だけど、禍々しい邪気が強いぞあの杖…!……ハッ!あいつを止めろクロマァ!」

 

「…わかってる!」

 

 クロマは尾牙と拳を構えてスラッグをぶっ飛ばして神竜から離そうとする。

 しかし…。

 

「小僧、お前の今の強さでは、老いた儂にすかなわないことを教えてやろう」

 

「なぁ!?」

 

 スラッグは、左手でクロマの攻撃を防ぎ、床へと叩き落とした。そして、杖から黒い霧のようなものを放ち、神竜を包み込ませる。

 

「これは…!?…霧が消せない!?」

 

「マズいぞ!神竜ぅ!」

 

 リンガー、バトラー、ティミーが剣で霧を斬ろうとするが、逆にリンガーが跳ね返されてしまい、床へと叩きつけられた。

 

「…グ、グオァ…」

 

 神竜の瞳は、黒に染まっていた…。

 

「…グフ…ハハハ…さあ、儂の願いを叶えてもらおう…永遠の若さをくだされ!最も力に満ち溢れたあの頃の儂を今再び!さあ!その力で!」

 

「グ、ググガァァ…!!」

 

「「「「「神竜ぅ!」」」」」 

 

 神竜の口から咆哮と一緒に白い光が放たれ、光はスラッグを包み込む。

 すると、光に包まれたスラッグの身体がみるみるうちに若返っていった。

 

 

 

 

「…フハハハハハ!戻ったぞ!…俺に飛びっきりの若さが戻ったぞぉ!フハハハハハハハハ!」

 

「な、なぁ!」

 

 クロマは目の前で起きた事に思考が付いていかなった。

 

「…そうだ神竜よ。お前の持つ力でもう一つの願いを叶えてもらおうとしよう!」

 

「や、やめて!それ以上は神竜の身体が保たないよ!)

 

 ポピーの叫びも虚しく、スラッグは霧で神竜を操り、再び願いを叶えさせようとする。

 

「ググッ…ぬぅ…!」

 

 

 

 

 

「では叶えろ!召喚させろ!破壊と殺戮の悪魔を!ダークドレアムをなぁ!」

 

 

 

「グオォォォォォォォォ!!」

 

 神竜の口から咆哮が放たれた瞬間、世界は黒き雲に包まれた。

 

 

 まるで、伝説の…破壊と殺戮の悪魔…『ダークドレアム』を迎えるに相応しい光景へと塗り替えるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 スラッグの願いが二つとも叶えられた事を察知したエスタークは、かつての配下であったおにこんぼうを呼び寄せていた。

 

「ヤバいことになったじゃねえですか帝王様…」

 

「…奴が目覚める…なんとしても奴を止めろ…!」

 

「承知しましたぜ…帝王エスターク様…!」

 

 おにこんぼうは、鋼でできた棍棒を手に取り、エスタークの前から立ち去って天空の塔へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ、なあ…!?」

 

 クロマは人生で一番の恐怖を感じていた。

 

 目の前に現れた存在の強大さに気迫だけで押されているのだ。

 

 

 

 

「とても長き…長き眠りの中であった…。我、ここに目覚めり…」

 

 

 

 

 スラッグに続き、ダークドレアムまでもが強大な力を手にして現世に出現してしまった。

 

 

 

 

 今ここに、異世界の魔族と、伝説の大悪魔の揃ってはいけない二つの『魔』が出現してしまった…。

 

 この二人は、いったいどれほどの絶望を与えるのか…。

 

 それは神すらわからない…。

 




全国規模の曇りはスラッグ達の仕業ですはい(汗)
次話は戦いに突入するのですが、勝つか負けるかという戦いというよりも、どうやって生き延びるかという戦いになる予定ですので、今のうちに言っときます。
あと、この世界でのラストバトルの相手は別です。
姿は違えど、既に出ていますが、予想できた方かなり凄い方ですね(汗)
次の世界は、予定としては人気平成ライダー作品の一つの予定です。
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