ヒーラー・ステップ   作:クロノスター

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13.プロローグ

 

 

 【大抗争】は終わった。オラリオ史上、最も多くの人の命を奪った【死の七日間】。

 たくさんの人が死んだ。しかし、英雄の卵たちは間違いなく英雄の道へと足を進めた。

 

 【絶対悪】を掲げた邪神エレボス。彼は【正義の女神】アストレアの手により、天界へと送還された。最後の彼の姿は極一部の者しか見ていない。

 

 そして、エレボスに協力した過去の英雄たちは死んだ(・・・)と世間に公表された。

 それが単なるエゴや本人たちの覚悟を揺るがしたものだと分かっていても、その選択肢を選んだことに彼女たちは後悔していない。許しもなければ、恨みもない。あるのは単なる事実だけだ。

 

「甘い連中だ。オレたちを生かしておくとはな…」

 

「それは同感だが、俺はまだ怒っているぞ。共に死ぬ覚悟をしておきながら、実際は俺だけ助けるシナリオを用意していたとはな!」

 

 オラリオより遥か遠く離れた場所にある小さな村。地図にも載らないような田舎の山奥に向かっている一団。

 その中にいるのは、世間で死んだと思われているゼオンと白夜。そして、彼等を迎えに来たザルドとアルフィアだ。

 

「お前の毒を消す手段は当時から試行錯誤していた。薬の完成には多くの問題点があったが、数ヶ月前に問題は解決された。オレはお前を助けるつもりしかなかった」

 

「けど、お前は死ぬつもりだったんだろう?」

 

「お前と違って、オレは治せないと分かっていた。まさか、オレ以上の才能を持った治療師がいるとは思いもしなかったよ」

 

 アミッド・テアサナーレという治療師の才能を持った少女との出会い。彼女はゼオンの弟子であるセリカの弟子。

 この巡り合わせが偶然か必然か、ゼオン自身分からない。けれど、一度は死を覚悟した自分自身に、アミッドは命の大切さを理解させた。救いを与えたのだ。

 

「アミッド・テアサナーレには感謝しなければな…。彼女自身の才能とその覚悟に…」

 

 ゆっくりと夕日が落ちていく綺麗な光景を見ながら、ゼオンは感謝を言葉にした。

 

「随分と感傷的になっているようだが、私はまだまだ言い足りていないからな!」

 

 アルフィアはゼオンのほっぺたをつねり文句を口にした。

 

「…すまない…、アルフィア」

 

「これからは私に隠し事をするな。私は全てを受け止める」

 

「……ありがとう」

 

 ゼオンたちは山奥を進んでいくと、目的地にたどり着く。

そこで彼等を待っていた一人の老人と一人の少年がいた。

 

「ほっほっほっ、無事のようじゃな」

 

「「……エロジジイ」」

 

「いきなり罵倒ッ!!?何故じゃッ!!」

 

「「うるさい」」

 

 老人に対して、当たりの強いゼオンと白夜。

 二人は老人と少し会話をした後、アルフィアの背中に隠れてしまった少年に目を向けた。

 

「随分と大きくなったものだ…。いや、あれから七年も経ったのだから、成長しているのも当然か…」

 

 ゼオンは少年を見て、彼が赤子だった時の事を思い出した。

少年の母親が優しい微笑みで少年を抱っこしている姿。とても懐かしく、とても儚い遠い記憶だ。

 

「あの…、……お兄さんは…」

 

「……?」

 

「アルフィアお義母さんの恋人なんですか?」

 

「……は?」

 

 少年の突然の言葉に、ゼオンは唖然とした。

 そして、そんな彼の反応を見て、アルフィアは少し不満気な表情となる。

 

「何だその反応は?私が恋人では不満か?」

 

「不満はないが、子どもに何を教えている?」

 

「ベルにも無関係な事ではないだろう…。お前の患っていたモノが無くなった今、これからは共に歩める。ゼオン、私と共に人生を歩め。お前に拒否権はないぞ」

 

「拒否するわけがないだろう」

 

 オラリオより遥か遠く離れた場所にある小さな村。地図にも載らないような田舎の山奥にいる最強の一団。

 後に、彼等の力はオラリオの力となる。

 

 

 

【七年後】──────────────────

 

 

「アルフィアお義母さん!!ゼオンお義父さん!!僕、オラリオで英雄になる!!」

 

「「…そうか」」

 

「うん!!そして、女の子と素敵な出会いをして、ハーレムを作るよ!!」

 

「「………」」

 

「『“福音(ゴスペル)”』!!」

 

 アルフィアの魔法がベルを吹き飛ばした瞬間であった。

 

 

 

───────【物語は少年へと紡がれる──】

 

 

 

 

                 〜to be continued〜

 

 

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