大学の友達がボロアパートで獣人彼女と同棲し始めたので遊びに行ったら「ニャーは何も悪くないにゃ」とか言っている美人に一目惚れしました。 作:SUN'S
「秀夫、お前の嫁さん料理うまない?」
「当然だろ。益子はすごいんだ」
「えへへ、褒めすぎッスよ、秀夫さん」
「……タバコ、吸いたいにゃ」
モシャモシャとセロリにマヨネーズを掛けて齧っているヤニ子さんにジッポライターを近付けて、タバコを吸うことを勧めてあげたい。
───だが、妊婦は優先だ。《自明之理》
ヤニ子さんも秀夫の嫁さんに負担を掛けないようにタバコを吸わず、セロリを齧っている。たまに禁煙用のガムを一気に口に放り込み、租借している。
マジで可愛いぜ、ヤニ子さん!!
「あと何ヵ月にゃ?」
「あと5ヶ月です、先輩」
「長いにゃー。静江もよく頑張ったにゃ」
「しずえ?」
「佐藤の母親だ。オイ、睨むな」
「何故、貴様が知っている!」
おのれ、秀夫。
まさかヤニ子さんを狙っているのか!?と考えるも秀夫は不誠実な事をする男ではないので直ぐに誤解だと理解し、理性を取り戻した。
「お前の勘違いだ」
「……本当だな?」
「この目を見ろ」
「嫁愛の目だ。信じよう」
「キモいにゃー」
「よめあい、えへへ」
嬉しそうに笑う秀夫の嫁さんと、いつものようにオレに溜め息を吐くヤニ子さんにグッと来るものを感じながら、いつものようにオレもカートンを献上する……ことはせず、口許を拭いてあげる。
「にゃぶ、やめるにゃ、年下」
「年下彼氏ってありでしょう!」
「年下の旦那もありだよな?」
「は、はいッス!」
くっ、幸せを見せつけやがって祝福するぜ。
そんなことを考えながらタバコを吸えず、口許を忙しなく動かすヤニ子さんの口許にチューインガムを差し込み、ガミガミと噛みつく姿を見つめる。
もはや、自由の女神じゃね?
いや、ヤニ子さんはオレの女神様だ。
他のヤツに渡すわけにはいかない。いっぱい、愛して幸せにすると決めているんだ。……けど、本当にヤニ子さんが嫌がっているならオレは喜んで身を引く。
それが本当に愛しているということだ。
「ヤニねこ先輩、すごい彼氏ッスね」
「違うにゃ。ストーカーにゃ」
「愛のハンターなんだ」
「秀夫さん、これは」
「無視しとけ。バンは本気だ」
当たり前だろう。
好きな人に本気になれないやつが、誰かを幸せにすることが出来ると思っているのか。いいや、出来ない。なぜなら愛の臨界点を越えていないからだ。
お前のためなら臨界点だって越えられる。
そういう気概を持たないと、本気で相手の幸せを願うことなんて出来やしない。愛のために戦える、愛のためならばオレは喜んで譲ることが出来る。