東方剣創記   作:スペイン

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 森に帰ってきた『わたし』は、いつものように食事をしようと『人間(エサ)』を探した。

 探せども、森の中には『人間(エサ)』はどこにもいない、一体どこに?と思い草の根を分ける勢いで探してみると足跡を見つけた。

 気になったのは、その足跡の種類が二つあることだ。

 不思議に思いながらも、その足跡を辿っていく。

 ルーミア自身、気には留めていないのだがその足跡は片方がスポーツシューズのようなさざ波型の底、そして、もう片方は底に摩擦を起こす突起が少ない・・・言うなれば屋敷内などで履かれることの多い内履きに近いものだ。

 そう。例えるならば過去、豪邸に住む主人は自宅の大理石の床を傷つけないために家族や使用人、その邸宅に住む人々に対して底に摩擦のない平坦な靴を履くことを義務付けていた。確かに足元が不便であるという危険性はある。しかし、そうした足元の不安定さから歩き方なども洗練され、良いことが多かったともされる。

 そうした摩擦のない靴、それがその足跡だった。

 そして、その足跡を追った先、かすかに香る嗅ぎなれた何か・・・

 いや、もう分かっているんだ。

 その証拠に先程から動悸が激しくなってきている。

 その証拠に先程から足跡を追う、その速度が速くなってきている。

「(あぁ、食べ慣れたこの香り)」

 思考がソレ(・・)一色になる。

 喰べる。食べる。頂戴(たべ)る。

 気づかせなんてしない、気づかないうちに、筋肉の硬直が行われないうちに喰べる。

 死後、時間をおくと何故か『人間(エサ)』は硬くなってしまう。

 だから時間をおかずにその場で喰べる。

 喰べたあとはその場を立ち去る。立ち去ろうとするのだが、香るのだ。

 『人間(エサ)』からの香り、自らの存在を確かにアピールする塊、肉。

 その肉から染み出る命の液体、血。

 それらが混ざり合い、その土地の土や風、木々が持つ特有の香りとも調和する。

 まるで赤ワイン、グラスに注いで飲みたくなるほどの香りだ。

 それが今、確かに鼻腔をくすぐっている。

 歩をすすめる。

 さらに、さらにもう一歩、まだもう一歩、次にもう一歩。

 歩けば歩くだけ段々とその香りが強くなってくる。

 あぁ、なんと美味しそうな香りだろうか・・・

 口元から垂れる涎が顎元まで流れていき地面へと滴る。

 頭痛がするも、それが気にならないほどに香りへと向かおうとする欲求が高い、足が止まるも、香りに誘われるように足が自然と前へと踏み出される。

 森の、どこか水気を含んだ地面を踏みしめて進んでいくと、段々とその香りが強くなってくるとともに、視界に覆いかぶさっていた木々の葉が少なくなってきた。

 その代わり、といっても視界を遮るものとしてなのだが、新しく色濃い霧が現れた。

 まるで知っていた(・・・・・)技術を思い出したかのように、ルーミアは体全体に妖力を流すことで空へと浮かび上がった。

 地面から足が離れ、眼下には霧と、湖が広がっている。

 すると、あの香りに紛れて、つい先日嗅いだことのある花の香りが運ばれてきた。

 花の香りに、記憶が刺激される。

 先日の、美鈴との会話や、士郎との会話。

 だが今はそんなこと(・・・・・)よりもこの香りだ。

「アっ・・・ハぁ」

 思わず、口から歓喜が漏れた。

 そしてその時、言葉という形で漏れたその歓喜に反応した者がいた。

 



 暗い、特徴もないのでどのような空間と表現することもできない、ただ暗い空間。

 そんな、冷たさを感じることすらもできない空間にその玉座は在った。

 その玉座の主、(よわい)と背丈が不釣合いなその主だ。

 玉座から伸びた白い脚は遊ばせてあり、肘掛に肘を立て、頬杖をついている。

 退屈、ではない・・・日常を満喫しているのだ。

 これから先、忙しくなるであろうことから、その主は日常というものの大切さを改めて確認していたのだ。

 暇や自由なんて言葉で彩れば素敵に見えてくるその日常も、後にその彩りが上塗りされると知っていれば貴重に思えてくるものだ。

 かつてはなんの珍しさも見出されなかった2000円札に我々が今になって珍しいものだという感想をもつのに近い。

 そんな主の日常に差し込まれた非日常、

「咲夜」

 歓喜とは別、召喚に応じてメイド服を身に纏った十六夜咲夜が現れた。

 地に膝をつけ、主従の関係を表す姿勢だ。

「ご用事を、レミリアお嬢様」

 余計な言葉は必要なく、必要とするのは(レミリア)の言葉のみだ。

「これは、外ね・・・面白い運命だわ、先が見えない、真っ暗だわ」

 レミリアが愉快そうに口元を歪める。

 笑みではなく、口元を三日月型に歪める。

 それは笑みと呼ぶには禍々しく、歪笑(わいしょう)とでも呼ぶのが相応しい。

「ふふ、咲夜・・・この運命、私の前に」

 それ以上の言葉は必要なかった。

 咲夜はレミリアの目を見る。

 楽しそうだ・・・興味を持ち、それを深く知りたい、知識欲に満ちた瞳をしていた。

「御意」

 気がつけばそこに咲夜の姿は無く、玉座に座る主のみが残された。

「さて、先の見えない運命・・・一体私に何を見せてくれるのかしら?」







 その主、未だ歪笑消さず。









第22話 運命 ~残り2日~

「ありがとうな慧音、事務処理を手伝ってくれて」

 

 衛宮邸の一室、書庫として使用しているその部屋に衛宮士郎と上白沢慧音はいた。

 

 (事務)処理を手伝った慧音は今、最後の書物を本棚にしまったところだ。

 

 士郎が言う『事務処理』とは香霖堂で手に入れた外界の書物から寺子屋の授業に使用できるものを選別するものだ。

 

 ○○ドリルといったものがいくつかあり、それらを初めて見た慧音は学習の効率化をまじめに考え始めていた。

 

 とはいえ、慧音が興味を持ったものだから何度かその○○ドリルを眺めたことで時間を要してしまった。

 

「し、士郎!これ、これだ!私が教えたかったけど要領を得られなかった物だ!」

 

 なんて興奮して書物を読みふけるもので、個人的な欲求でこそあれどそれが子ども達の育成に良い影響を及ぼすものだから止めるのも(はばか)られた。

 

 とはいえ、いかな理由はあれども時間はすぎるもの、士郎にも士郎の生活があり、出来ることならばもう一度あの森にルーミアを探しに行きたいと思っていた。

 

 しかし、どうなのだろうか・・・

 

 もしも、士郎が干渉した事で迷惑を感じ、それゆえにどこに行くのかを告げずに昨夜この家を去ったのだとしたらこれ以上彼女に対して行うアプローチは控えたほうがいい、

 

 だが、もしも彼女が悩みを抱えているのなら、力になりたい。

 

 今の俺に、それができるのか?

 

「くそっ・・・」

 

 思わず悪態をついた士郎を見た慧音は、迷わず士郎へと声をかけた。

 

「どうした?何か悩みがあるのなら相談に乗るぞ?」

 

 心配、そして恩返しの気持ちをもって話しかけた慧音に、士郎は目を合わせぬままに昨日の話を語った。

 

「なるほど・・・そんなことがあったのか、ふむ、数年前に人里の人間が唐突に消える事件があり、そのルーミアという少女に似た風貌が犯人として報告されたことがあったな・・・いや、正確には身長の部分が違うのだが、確かにその少女は妖怪だろうな、あの森にそうした存在がいることは報告も上がっているんだ」

 

「そうした存在、か・・・」

 

 場所は移り居間、テーブルを挟んで対面の形で士郎の話を慧音は聴き終えた。

 

 途中、何度か出てくる女性の名前に反応を示していた慧音だったが、途中でルーミアの風貌を説明したあたりから顔色が険しくなっていたのはそういう理由だったのかと納得の士郎。

 

 慧音の話は続く、

 

「さて、士郎は今、自分がどうすればいいのか悩んでいるんだな?」

 

「あぁ、助けたいけれども、それが彼女にとって迷惑ならば控えたい」

 

 助けた後に意味がなかったのなら、助ける意味はあるのだろうか・・・

 

 助けた事で問題が大きくなったりしたら、助けることは正しいのだろうか・・・

 

 そんな悩みばかりが士郎の胸中で渦巻いていた。

 

 そんな様子に、慧音は諭すように語りかける。

 

「士郎、思い返してみるんだ。これまでの人生で同じ悩みを持ったことはなかったか?その時、士郎はどうした?」

 

 ・・・私は、どうした?

 

 『ふっざけないでよ!』

 

 そうだ・・・あの時だって確か『彼女』は迷惑だと言って、それで

 

 『わたしは!あんたに助けられたかったわけじゃない!』

 

 言葉に導かれるようにして、衛宮士郎の記憶の扉がまた1つ開かれる。

 

 

 

 そう、あれはあの少女との戦地での思い出・・・

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 投影した毛布に少女を寝かせ、衛宮士郎は動揺で硬直した筋肉をほぐしていた。

 

 少女を抱きとめた感触が未だ手に残っている。

 

 柔らかさと軽さ、確実に少女のものだった。

 

 それだけではない、引き締まった筋肉、そして身に着けている装備から考えるにテロを起こした側でも、鎮圧部隊でもない・・・

 

 ならばこの少女の正体は?

 

「やっぱり、少し調べる必要があるな・・・」

 

 士郎は立ち上がり、ひとまず少女が歩いてきた通路の方へと歩を進めた。

 

 家屋の中、ということもありその通路の先には扉、耳を当ててみれば風と人々の声が聞こえる。恐らくは外へと通じる扉だろう。

 

「(・・・いや、ここだけじゃないな、この家屋のどこかから風の音がしている)」

 

 耳を澄まして気がついたことだ。

 

 ひとまず、外へと通じる扉の上部と下部に存在する空気孔替わりの隙間を布で封じて、家屋内の風の流れを改めて観察する。

 

 北西からの風を感じ、直感そのままにそちらの方向へと歩を進めると、家屋内の一角、おそらくはこの家屋の地下倉庫への扉を発見した。

 

 扉、と表現したがその扉はマンホールと同じように持ち上げるタイプの物だ。

 

 早速、扉を持ち上げて少しずらす。地下空間ということもあって真っ暗で底が見えない、士郎は荷物からライトを取り出して底を照らしてみたのだが、光は闇に飲まれてそこまでは届かなかった。

 

 地下倉庫にしては広すぎる・・・恐らくは、いや絶対に地下倉庫ではないだろう。

 

 そこで、すかさず解析の魔術で地下空間の広さを把握しようと試みる。

 

 深さ、風、少女・・・その3点から士郎はなんらかの通路がこの先にあるのでは?と思考したのだが、解析の結果はそれを裏切るものだった。

 

 通路などとんでもない、人が通ることを想定して作られているという点では同じであろうとも、解析の結果分かったことは人を迷わせることも想定しているということだ。

 

 つまるところ、それは地下迷宮の入口だったのだ。

 

 広さから考えるに1日や2日で作られたものではない、何年も前に作られたものだと理解するのは容易いことだった。

 

 とはいえ、この迷路作る理由は?隠れるため?移動用?今は分からない・・・しかし、いよいよもってして怪しくなってきた。

 

 フランス装備のテロ部隊、鎮圧目的のアメリカ軍、そして装備を見たところどちらにも属していない少女・・・。

 

 この少女が単独で行動しているというのは考えにくい、もし単独で活動しているのであればあまりにも装備が少なすぎる。

 

 この装備の数、そして靴の消耗具合から見るに支援・・・というよりも補給になるか、補給が受けられる場所がどこか近くにあるということだ。

 

 哨戒任務で外に出ていたと考えるのが妥当だろうか・・・いや、しかし哨戒任務だとしたらもう一人仲間と一緒にいるはずだ・・・

 

 この家屋が補給場所だった・・・というのはどうだ?

 

 いや、そうした火薬は確認できなかったな、となると・・・むぅ、分からないな。

 

 いくつかの仮定を考えてみるが、どれもしっくりくるものはなかった。

 

「(まぁいい、起きた時にあの少女に聞いてみる方が懸命だな)」

 

 家屋内の探索を続行することにした士郎だったが、そこで少女を寝かせた部屋からした物音に反応し、踵を返して部屋へと向った。

 

 案の定、少女が身を起こしていた。

 

 姿を現した士郎を確認すると、すぐさま立ち上がって先程まで(・・・・)腰に下げていたナイフを引き抜こうとする。

 

「これのことか?」

 

 先ほど少女を毛布に寝かせた際、装備をしたままでは危険だろうと思い外しておいたのだ。

 

 少女は士郎の手に持った愛用のナイフを睨むと、次は足に付けた黒いバンドからダーツを取り出そうとするも・・・。

 

「次にお探しなのはこれだな」

 

 既に士郎の手の中に、少女は驚きを隠せない様子で後ろに一歩、後ずさった。

 

 士郎としても警戒されたいわけではない、ということで警戒を解くために少女から奪っていた装備一式を床に並べた。

 

「一応手入れはしておいた、君の立場が分からない、まぁ君からすれば俺の立場もわからないってところだろうから先に自己紹介させてもらうけど、私は衛宮士郎、目的だけを言うと、この街で行われている争いを止めに来た」

 

 言語が通じているのだろうかという不安こそあったが、それもすぐに解消された。

 

「聞いてもないことをありがと、わたしはLamia(ラミア)-sanchloti(サンクロッティ)・・・ごめんなさい、今はそれ以上話せないわ」

 

 ラミアと名乗った少女はその外見に似つかわしくない悲しそうな表情で謝罪の言葉を述べた。

 

 少し意地悪かな、と思いながらも一歩踏み込む。装備一式の前に立つことでラミアの死線を遮る形となった。

 

「それは、外にいるフランスのやつらとアメリカのやつらに関係があるからか?」

 

 声に反応し、顔を上げたラミアと目が合う。

 

 驚きと警戒、警戒の方が多少色濃いか・・・なんとも複雑な気持ちだ。

 

「何故、彼らがフランス軍だと・・・?」

 

 フランス『軍』か・・・思わぬところで情報が得られたが、まさかフランスが手を貸しているのではなくフランス軍そのものだったとはな、

 

「装備だよ、彼らはFAMAS(トランペット)を持ってたからな、だが・・・そうなると君はアメリカか?」

 

「さぁ、どうかしらね・・・どちらにせよ今困っているっていうことに変わりはないわ」

 

 そう言いながら士郎へと近づくラミア、

 

「(青いな、指を不自然に開いている。どこかを掴もうとしているのが丸分かりだ)」

 

 士郎はラミアが手首を狙っているのだと簡単に気づいた。視線が手首に注がれているのだから気がつかない方が無理というものだ。

 

 ゆっくりと近づいてくるラミア、足運びだけを見れば非常に優秀な戦士であることも見て取れる。音を立てないように体重がどこか一片に集中することを避けている。

 

 それでも、それは先手を打つための戦闘法であり、後手にまわれば・・・

 

「どうした、しっかりと踏み込めてないぞ」

 

 大きく一歩近づいてのデコピン、正確にはおでこに指があたってから勢いよく弾いたのでデコピンとは呼べないかもしれないが、なんにせよそれだけで少女の狙いは外れた。

 

「っ、あんた・・・私の敵!?」

 

 警戒を全開に、少女は喰ってっ掛かる勢いで士郎へと向き直った。

 

「さぁね、さっきも言っただろう?私はこの争いを止めたいだけだって」

 

「止めるって・・・そんなの、どうやって」

 

「方法は問題では無い、この争いを止めないと言うのならアメリカとフランス、両方の国をどうにかする必要があるな」

 

「そんなに、国家に喧嘩を売るとでも言うの?」

 

「必要ならな、私は全ての剣を向けられたとしても、全ての争いが私に向けられたとしても、それで平和が迎えられるなら本望だ」

 

 誓いにも似た、決意のこもった言葉。

 

 

 

 ・・・静寂。

 

 

 

 破ったのは少女だった。

 

「オーケー、分かったわ・・・この争いを止める方法なら分かってるし、それを実行に移すためにはどうにも貴方みたいに実力のある人が必要だわ」

 

 そういうと、少女は士郎の足元にある装備を回収して、先ほど士郎が見つけた地下へと続く扉の方へと向った。

 

 

 

 

 

 

「来て、私の仲間に合わせてあげる。そして協力して頂戴、争いを一刻も早く終わらせたいというのなら、ね」

 

 

 

 

 

 




この前友人と音楽関係の話ししている時にポルノが好きだと言ったら児童ポルノとかのポルノと勘違いされて訂正にすごい時間がかかったスペインです。

まずい・・・本気で時間がない((((;゚Д゚))))次は1週間後です

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改訂作業完了

仮面ライダーBLACKのDVDBOXを買いました^^
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