東方剣創記   作:スペイン

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冷気、寒気とかそんな気分的な問題じゃなくて、直接的な攻撃手段としてそれは飛来した。

氷塊、そうとしか表現のしようのない攻撃だった。

直線上にいた博麗霊夢と霧雨魔理沙はただちに左右に分かれることでその攻撃を回避した。

通過した後に残る氷の結晶が冷たさを感じさせる。

「くそっ、霊夢!」

すぐさま箒で姿勢制御をして、再度霊夢との接触を図るがそれを邪魔する者がいた。

突如として割り込んできたその少女は若草色の髪をポニーテールにしていた。背には翼膜の貼られた翼があり、彼女が妖精であることが伺えた。幼い体型の割にいち早く成長を迎えたバストをアピールするかのように、白いシャツに青いロングのワンピースを着ていた。

「申し訳ありませんが、チルノちゃんの戦いの邪魔はさせません!」

丁寧でありながら敵意はぶつけてくる。心が定まっている類の奴だ。

彼女の背後、霊夢がスカイブルーの髪色をした少女妖精と相対していた。おそらくは彼女がチルノちゃん(・・・・・・)なのだろう。

邪魔をさせない、ということは加勢することができれば霊夢の負担は少なく倒せるということ、逆に、加勢をしなければ勝てる見込みがあるというようにも取れる。

「(一刻も早く進まなきゃな・・・)」

魔理沙は自身の装備を再度確認し、懐から取り出したビー玉を握ると目の前に現れた妖精との戦闘へと思考を切り替えた。

「一応、自己紹介だ。私は霧雨魔理沙、ただの魔法使いだぜ」

挨拶をされるとは思ってもみなかったのか、魔理沙の正面にいる妖精は姿勢を正して礼までする形できちんと応対した。

「あ、これはご丁寧に、私は大妖精って呼ばれてます。あっちは友達のチルノちゃんです」

大妖精と名乗ったその少女、魔理沙は瞬時に自分の知り得る知識の中から大妖精に近しいもの、または該当するものを検索(サーチ)した。

確か大妖精というものは妖精の上位種・・・というよりも妖精の中で一際力を持つ者がそう呼ばれたハズだ。しかし、性格は無邪気で気分屋、現在目の前にいる丁寧で慎重そうな妖精にはまるで該当しない。

だが、油断は出来ない。

大妖精と呼ばれている・・・と彼女は言った。つまり、周囲からその実力を認められるということだ。

「(ここは先手必勝!)」

先程取り出したビー玉を大妖精に向かって投げつけ、自分もそれに続くように急接近をする。

「展開!星盾!」

ビー玉が黄色い光を放ち、薄い、半透明な膜を張るように作られた縦2mはあろうという星型の盾が現れた。

その後ろに隠れる形で魔理沙は大妖精へと接近する。

大妖精は余裕があるのか動きを見せずに魔理沙が接近するのを待っているように見える。

「(こっちの行動をよく見ようとしてくれるなら好都合だぜ!)」

魔理沙は再度懐からビー玉を取り出し、箒に深く跨り加速に備えた。

目の前で展開している星型の盾、その中心には展開の際に使用したビー玉が核として輝いている。

そのビー玉にぶつけるようにして今しがた取り出したビー玉を投げつける。

ビー玉同士は衝突し、そのまま2つのビー玉が連結する形になる。

新しく後ろに連結したビー玉から蒼い光が後方へと放たれ、星型の盾に推進力が追加される。

避けようと身構えていたものが突然の加速をしたことで焦ったのか、大妖精は即座に回避行動を取った。しかし、半透明の盾ゆえに回避行動を取った先は魔理沙から丸見えであったために、先回りすることが容易にできた。

「お掃除だぜっ!」

先ほどの速度そのままに空中で一回転をしてその過程で箒を大妖精に叩きつける。

星型の盾を回避したばかりの大妖精に避ける手立てはなくまともにその攻撃を喰らい、地面へと落下をはじめるも、途中で力を振り絞り空中にとどまることが出来たようだ。

「私の番です!」

大妖精は魔理沙を見上げ、手を掲げるとその手の先からいくつもの魔力弾を放ってきた。

「へへっ、そんな攻撃じゃあ当たらないぜ」

箒を巧みに操り、魔理沙はその魔力弾を避け続ける。

「一発一発じゃ当たらなくても!」

大妖精は言葉を吐きながらも魔力弾の連射をやめようとしない、

「(なんだ、何か策があるのか?なら、それをやられる前に!)」

魔理沙は大妖精の放った魔力弾を貫く魔力のレーザーで反撃に出る。

仕組みは加速の際に使った収束の技法を相手に向けてぶつけているだけなのだが、一点に力を収束させることは戦闘に転換してもかなり有用な技法と成り得るだろう。と、魔理沙は踏んでいたのだ。

結果は上々、こちらへの攻撃を掻き消すと同時に貫通先に相手がいる場合はそのまま攻撃にも転ずることが出来る。

レーザーの攻撃に晒された大妖精は最小限の移動でその攻撃を避けながらも魔力弾の連射をやめようとはしない。

「(そっか・・・レーザーは一点集中だから少し動くだけで避けられちゃうのか・・・)」

ならば継続放射にして・・・

魔理沙が新たな攻撃の手立てを思いついたのと同時、大妖精の魔力弾の連射が唐突に止んだ。

「私達妖精は周囲の魔力を使用した戦い方をします・・・もちろん自分自身に宿る魔力も使用しますが、人間のようにわざわざ体内で自分の使える魔力に置き換える必要はありません、とは言っても、大技を放とうと思えば周囲の魔力を集めるのに時間がかかる・・・けれども、ある程度の大きさの魔力の連鎖なら出来るし、それを操作(コントロール)することも出来るんです」

唐突に始まった大妖精の説明に、魔理沙は攻撃の手を緩めて聞き入ってしまった。

その時間が、大妖精に決定的な機会(チャンス)を与えた。

「こんなふうに、です!」

魔理沙の頭上、何度も、何十も、何百も、避けた魔力弾が一定の高度で止まり、形を維持していた。

「はは・・・こりゃ、まずいかなー」

大妖精が両手を天に掲げ、勢いよく振り下ろす。

天降ろし(ダウンフォール)!」

空に生じた魔力弾の絨毯が、隙間もなく魔理沙へと降りてくる。

その光景は圧巻、妖精という種族の特性を活かした素晴らしい攻撃だった。

しかし・・・




「まずいなー、私にゃなんも怖くないや」



既に、魔力レーザーで魔力弾を貫けるのは確認済み、ならば、魔力弾の絨毯であるこの攻撃は、何の意味もなさない。

絨毯のど真ん中をぶち抜く一本の光が天へと昇った。

「さぁ、どうする?」

余裕綽々、大妖精へと向き直った魔理沙は、そこに笑みを見た。

「まだですよ、魔法使いさん」

笑みを、至近距離で見た。

大妖精はレーザーの射出のために見上げていた魔理沙の死角から接近していた。

「私は、接近戦も行けるんです」

右の掌底!

箒で身動きが上手くとれない魔理沙は顎にヒットした事を衝撃とその後に来た目眩で理解した。

そして、次に目に飛び込んできたのは大妖精が魔力弾の一つを拳に纏わせている光景だった。

「(おいおい、冗談だろう?自然のままに近い魔力の塊だから出来る芸当ってことか?)」

そこで魔理沙は思いつく。

「(あれ?これって私も利用できるんじゃないか?)」

大妖精の恐ろしい攻撃を避けながら彼女を見習って魔理沙は魔力弾の一つを『掴み取る』。

魔力コントロールに長けた魔理沙だからこそ出来る芸当だ。

「(指先から感じる魔力の感覚、これを体内に取り込んで・・・出来た!それを変換して、そのまま・・・)」

紅魔館との戦いは長期戦になると踏んで魔力消費は抑えるつもりだったが、この場ではそれを考える必要も無い!

魔理沙は周囲の魔力弾をどんどん掴み取り、大妖精の攻撃を避けながらも自らの魔力へと変換する。

大妖精も、魔理沙が何をしているのか気がついたのだろう。

攻撃のペースを早めながら段々とその表情を鬼気迫る物へと変えていく。

分かっているのだ。魔理沙が行っている行動の危険性を、自らが整えた下地を利用されている現状の恐ろしさを。

「(冷静になるのよ私、焦ったって止められるものじゃない!)」

妖精と大妖精の大きな違い、それはその思考力にあった。

焦ることを重ねるのではなく、焦ることで現状の驚異を認識し、それに対する対処を考えるために冷静になる。

しかし、今回は相手が悪かった。

「ははっ、あのままの勢いで攻撃を続けられたらまずかったけど、冷静になってくれて助かったぜ」

そのワンテンポの遅れが、魔理沙が貯め込んだ魔力を変換する隙を与えた。

「よっしゃ、派手に行くぜ」

魔理沙は瞬時に周囲を確認、ある事を確認した後に大妖精と同じ高度まで降り、懐から八卦炉を取り出した。

超高密度の魔力がその八卦炉で形成されていく。

これはスペルルールではない、故に、ただただ己の実力をぶつける事ができる。符を使わず、制限のない最大威力の攻撃を――



「『マスタァァアァスパァァァアク!』」



極彩色の魔力の奔流が八卦炉から流れ出る。その奔流は大妖精を包み込み、叫び声さえもかき消して一筋の流れ星を創りだす。



ここに、魔理沙と大妖精の勝負は決した。




第32話 大妖精vs魔理沙 09:07

氷塊を創りだす程の妖精、博麗霊夢はそんな存在を初めて見た。

 

年端もいかぬ少女の姿をしたその妖精はスカイブルーの髪、アクアマリンのような美しい瞳、白いシャツの上から着た青いワンピース姿、背には氷で形成された翼が携えられていた。

 

博麗霊夢が得た感想は「(青ッ!)」という小学生のようなものだった。

 

「おまえがはくれーのみこだな!」

 

意味を理解して言っているのか分からないその言葉は霊夢に向けられたものだった。

 

霊夢は魔理沙と分断されたことで少しの焦りを感じていたのだが目の前に現れたのが見るからに幼い少女の妖精だったためしばし呆然としてしまっていた。

 

「・・・あれ?ちがうの?」

 

青い少女は自信が無いのか首を傾げて困惑の表情をしていた。

 

何故だか霊夢は答えなかった事で罪悪感を感じていた。もちろん霊夢が悪いわけではないのだが、受け答えをしっかりとしてあげなかったという事実を霊夢が認識してしまった結果だ。

 

「そうよ、私が博麗の巫女、博麗霊夢よ、貴女は?」

 

答えてやると青い少女は破顔させ、嬉しさを体全体で表現するかのように空中でくるくると回った。

 

「へへへ、そうだろそうだろ!『馬鹿みたいに脇を出した変態的な服装』だって言ってたからな!」

 

・・・誰だか知らないがそれを教えた奴は一度ぶん殴ってやる必要があるな、霊夢は心の奥底で冷静に、しかし冷酷にその決意を固めた。

 

「そう・・・もう一度質問するようで悪いけれど、貴女はなんていうの?」

 

くるくると回っていた妖精は言葉に反応して止まると、こちらへと向き直って礼をした後に口を開いた。

 

「あたいは、チルノっていいます!げんきです!よろしくお願いします!」

 

先程までの口調とは打って変わって丁寧な自己紹介に霊夢は思わず礼を返していた。

 

「大ちゃんから自己紹介はきちんとしないとダメって言われてるんだ!ねぇ、出来てた?」

 

子犬が主人に褒めて欲しい時のように瞳を爛々と輝かせて確認をしてくるその様子に霊夢は可愛さを覚えたのだが氷塊を飛ばしてきたのがこの妖精だということを忘れないようにしていた。

 

「まぁ、出来てたわよ、それで、貴女は私の行く道を遮るのかしら?」

 

認めてやって、すぐさま質問をする。

 

「うん!ここを誰も通さなかったらさいきょーだってみとめてくれるって言ってたんだ!」

 

・・・誰が言ったのか、それはあらかたの想像は付いた。

 

そして、自分の行く道に立ち塞がることも。

 

「あらそう、それなら、私を倒すしかないわね、私はこの先に用があるのよ、悪いけど通させてもらうわよ」

 

言い終わった瞬間だった。

 

頬を鋭い何かが裂いた。

 

傷は浅いものの、その速度はかなりのものだった。

 

「じゃあ、敵だな!」

 

チルノは嬉しそうに手を前に突き出していた。

 

掌からは冷気が白い煙のように漂っている。

 

間違いない、先ほどの攻撃はチルノのものだ。

 

霊夢はその事実を認めながらも、敵と認識してくれた事に『話が早いじゃない』と嬉しさを覚えていた。

 

「えぇ、そうね」

 

語るよりも拳を交わす。

 

霊夢はすぐさま懐から護符を取り出した。

 

即時展開させ、それをフリスビーの要領でチルノへと投げつける。

 

「へへーんだ!そんなの効かないもんねーだ!」

 

チルノは空中で姿勢を寝かせることでバンブーダンスのように展開護符を避けた。

 

その姿勢だと霊夢の視点でパンツが丸見えなのだが『青と白のストライプかー』程度の感想を霊夢は得たくらいで、それ以上に何も思うところは無かった。

 

霊夢は針を取り出し、それをチルノに向かって投げつけた。

 

特に霊力的付与は行っていないのだが、その結果として細く小さなその針はチルノに気づかれることなく彼女の柔肌を傷つけた。

 

「いったー!痛いなー!」

 

刺さりはせず、ほんとに少しチクっとしただけらしい。

 

「ちょっと怒ったからなー!」

 

チルノは手を頭上に掲げると、霊夢を見てにやりと笑った。

 

「大ちゃんからあばど・・・あどば?あどばいどしてもらった技だ!くらえー!」

 

「(アドバイスかしら・・・)」

 

呆れながらも、呆れている場合ではない量の魔力が彼女の両手に集まっていく。

 

いや、集まっているのは間違いないのだが、これは・・・

 

霊夢とチルノの周辺の魔力が、形を得てチルノの頭上へと集まっていく。

 

氷の礫、周辺の魔力がどんどんその形を得ていく。

 

 

 

「はぁ~・・・どうやら、ちょっとした長期戦になりそうね」

 

 

 

妖精が持つ無尽蔵に等しい魔力、霊夢は打倒することを決め、唐突に、木刀を取り出した。

 

「なにそれ?」

 

「んー」

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

それは、とある日の午後、霊夢が職務を終えて家に戻ってきて、士郎との修行をしているときのことだった。

 

「・・・剣術?」

 

霊夢がそう呟いたのには理由がある。士郎との修行の中で、近接格闘の際に素手だけだと敵が得物を使用してきた際に苦労する。また、素手の敵を相手にする際にこちらが得物を持っていれば優位に立てるという理由で勧めてきたからだ。

 

「まぁ、俺も教えられるとはいえ極めているわけじゃないけどな、それでも触り程度は教えられると思うぞ」

 

現状、士郎からの指導で確実に強くなっている霊夢はその意見をすんなりと受け入れた。

 

「とは言っても、霊夢は霊力を使用した戦闘が主流だからな、どうせなら発動扶助ができる物がいいだろう」

 

そう言った士郎はいつもの要領で木刀を創り出すと、その木刀に加えて何かを施して霊夢に手渡した。

 

戦う手段が増えたというのとは別に、士郎からのプレゼントというだけで嬉しくなっていたのだがそこは外には出さず霊夢は抑えた。(その日、霊夢の寝床に物品が一つ追加されていたのは言うまでもないことだろう)

 

士郎から教わった剣術は『受け流し』と『当て』だった。

 

『受け流し』も『当て』も文字通り、『受け流し』は相手からの攻撃の方向をこちらで修正を書けるように防ぐことでいなす物だ。『当て』は、ただ単に相手に剣を当てる方法、踏み込み方や振り方、相手に気取られない方法等だ。

 

結局のところ、修行中に士郎から『実戦で使える』とまで言われることは無かったのだが、『筋がいい』と言われて少し舞い上がったのは内緒だ。

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

「(さてと・・・付け焼刃だけれどどこまで通用するかしら)」

 

周囲に出現する氷の礫が段々と大きくなってきて、少なからず霊夢にダメージが蓄積されていく。

 

「んー、ってなにさ!聞かれたら答えないとって大ちゃん言ってた!」

 

チルノは不思議な怒りをぶつけてきているが、そんなことはどうでもいい。

 

加えて、霊夢はチルノがあまりにも隙だらけすぎるので打つに打ち込めずにいた。

 

「(この見るからに馬鹿な妖精が私を誘う意味で隙だらけにしているとは思えないけれど、さっきから出てくる『大ちゃん』って子がそうするように指示を出している可能性もあるわね)」

 

しかし、この膠着状態が続けば不利になるのは霊夢の方だ。

 

それは自分の体に感じる冷たさと、段々と痛みを増していく礫の大きさからわかっていた。

 

「(攻めるか)」

 

空中であっても、霊夢の剣術に地上と比べての衰えは無い。

 

それはひとえに霊夢が空中戦闘に慣れていることと、修行中に士郎に課された課題、『自分の戦闘時に剣術を混ぜたことを想定してトレーニングしてみろ』というものの成果だった。

 

空中で、まるでその場に地面があるかのように一歩を踏み出す。

 

「ふっ」

 

息を吐き、体を風に任せ前進する。

 

瞬間、チルノの目つきが変わった。

 

動体視力の良さが異常としか言い様がない、瞬時に礫の攻撃を止めると、両手を自分の前でクロスさせた。

 

霊夢はお構いなしにチルノへと木刀を叩きつける。が、それはチルノの両の手で防がれていた。

 

正確には、両の手に形成された氷の籠手で。

 

手首から指の先にかけて形成されたその氷は硬く。指の先は鋭く爪のような形を作り上げていた。

 

「危ない、なぁ!」

 

気合一閃、横薙に振るった氷の爪が霊夢の服を小さく破いた。

 

「(速い、それに攻撃が読めない)」

 

理論的な戦闘をする霊夢と、動物的野生の勘で戦うチルノの相性は最悪といっても違いなかった。

 

勢いそのままに、チルノは攻撃の手を緩めない。

 

右、左、右、左と順番に切り裂かんとしてくる氷の爪に木刀で対処をする霊夢。

 

時折蹴りを混ぜてきたり頭突きをしようとしてくるあたり、チルノも自分なりに考えていることが分かる。

 

「(仕掛けるなら今かしらね)」

 

霊夢は右から来た氷の爪をいなすと距離を取るためにバックステップ、懐から霊符を取り出し、それを木刀に貼り付けた。

 

霊符は周囲の環境を利用する符だ。魔理沙との模擬戦では周囲の風を利用して戦った。そして、今回も利用するのは風だ。

 

霊符を付けたことで木刀がわずかながらに風を纏う。

 

相手の変化を待たずしてチルノが再度攻撃を開始する。

 

霊夢はそれを、先程とは一歩引いた位置で対処する。

 

「!?」

 

爪、木刀、共に衝突はしなかったのだが、爪が僅かに欠けた。チルノの表情に驚きの色が濃く現れた。

 

「(うん、上々)」

 

対して霊夢は口元に笑みを浮かべる。

 

今の現象、言うまでもなく理由は霊符にある。

 

木刀に付けられた霊符は風を集め、木刀を振るった際に剣先30cmに鎌鼬を発生させたのだ。

 

「・・・むー」

 

違和感を覚えたチルノは即座に下がり、霊夢を見据えた。

 

どうやら、ただの馬鹿というわけでは無さそうだ。

 

手に纏った氷の爪を一本の鋭い槍へと変えたチルノは、言葉なく霊夢へと接近した。

 

 

 

 

静かに、冷気を周囲を感じながらも、戦いは激化する。

 

 

 

 




うわあああああああああ東方キャラを傷つけたくないけど倒すには傷つけなきゃいけないなんてなんて悲しいんだあああああああああ!
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