私、泉野明様のお陰で生を得ました、イングラム1号機の付喪神でございます。 作:蓮葉
原作:機動警察パトレイバー
タグ:ガールズラブ オリ主 残酷な描写 擬人化 付喪神化 メカ娘ではない パトレイバー イングラム1号機 イングラム 98式AVイングラム G(ゴッズ)L(ラブ) オリ主? タイムスリップ
野明様には感謝してもしきれません。
野明様と私を支えて頂いた遊馬様、ひろみ様、進士様、クランシー様、熊耳巡査部長様、榊整備班長様、シバ様達整備班の皆様、後藤隊長はじめ、特車二課の皆様方への感謝も絶えません。
太田巡査は手の届く範囲に近付かないで下さい。
いえ、悪人退治の意気は素晴らしいですが、私、壊されたくないので。
「────」
暖かく、懐かしく、優しい光。
「──、────」
でも、この柔らかな眩しさは、
「……泣いてる?」
「アルフォンス……?」
「アルフォンスが泣いてるゥ?」
「……うん」
ハナから信じない声音が響き渡る。
「こぉんなバイザー嵌った
倒産した工場を引き受けたこの建屋の二階通路からは98式AV・イングラムの頭部が近くに見える。
──レイバー、それは産業用に開発されたロボットの通称である。
──建築、土木の分野に広く普及したが、レイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威を巻き起こしていた。
──警視庁は、本庁警備部内に特殊車両二課を創設してこれに対抗した。
──“特車二課”パトロールレイバー中隊──。
──“パトレイバー”の誕生である。
──イングラム。
──篠原98式
──多彩なオプションを扱う器用さと、高い運動性を併せ持ち、見る者に与える心理的影響も考慮された警察用レイバーである。
「……ううん」
「は?」
「
──カターン!
と、一階で何かの工具が倒れ、特車二課整備班の誰かがどやされる。
特車二課第二小隊イングラム1号機担当の操縦者である野明は、愛機であるイングラム1号機に“アルフォンス”の愛称で呼び、溺愛していた。
「じゃあなんだよ、1号機が二人居るってのかよ?」
「……そうなんだと思う」
「はぁあ?」
1号機指揮車担当の
「あたしもさ、こうして改めてアルフォンスを見て気付いたんだけど、
「そんなの気のせいだろ。第一、7mもあるイングラムがどうやってあの狭い宿直室に入るんだよ?」
「付喪神というやつかもしれませんね」
階段から割り込む声がする。
声の主は1号機キャリア輸送担当、山崎ひろみ。
身長2mの心優しき大男である。
「ひろみちゃん」
「ツクモガミぃ〜?」
「長年大切に使われた道具が神様になったものですよ。泉さん、いつも大切になされてますから」
「ハイパーテクノロジー全盛のこの時代にオカルトたぁナンセンスだね。それに長年つったってイングラムは製造されてから2年と経ってないぜ?」
「そこは〜……、ほら、神様ですから。未来に付喪神になったアルフォンスさんがタイムスリップして泉さんに会いに来たとか「なんでもありじゃねえかよぉ」「……もし」
「……付喪神だったらさぁ。……なんで泣いてたんだろう」
「アルフォンスが泣いてるのはやだよお……」
涙を零しそうな野明の声は、声量の割によく通った。
「少なくとも、泉さんのせいじゃありませんよ。泉さんが心を込めて、大事に扱われて来た事は誰の目にも明らかです」
「そっそ」
「……うん」
悲しむ仲間をひろみは親切に、遊馬は簡素に、それぞれの言葉で慰める。
「にしても罪な奴だねぇ、こいつも。大事にしてくれるパイロットを泣かせちまうんだから女だったら希代の悪女って奴?」
──その通りですね。
「だろぉ⁉︎ははははっ!ははは……。」
その流れで遊馬はつい、アルフォンスをけなしてしまい、相槌に大笑いし……。
「…………は?」
「い、今の声……」
「……」
背後にはその高い背を覗かせるアルフォンスこと、イングラム1号機しか居なかった。
「……の、野明……?……野明?」
「あっ、泉さん⁉︎」
遊馬は顔をこわばらせ、背筋を震わせながら野明に呼び掛け……、──すぐ隣に居た野明が消えている事に気が付いた。
遊馬より半瞬早く気付いたひろみが見たのは宿直室の方へ角を曲がり走り去って駆けてゆく、野明の姿だった。
「はあっ、はあっ……」
あの時、悲しみの顔を上げて目に映ったのは、手招く手だった。
──夢中で駆け出して、ここしか無い、と思う所へ駆け出した。
ここは特車二課棟、宿直室。
「……」
かたりと戸を開ければ、靴底が黒く、あとは白いブーツが脱がれていた。
「──お手数をお掛けしました、野明様」
宿直室の畳には、女性が正座していた。
ファッションショーに出るような丸みを帯びたワンピースと恐らく襟巻きを着けた、外国人のような美女だ。
「アル、フォンス……?」
「……」
しかしその白い髪に白い肌、そこから突き出した尖った耳、襟巻きから飛び出す二本の細いアンテナ、袖口と胸元の黒に、金色の代紋、涙を零す透き通った緑の目。
人にしか見えず、機械らしさに欠けていようとも、その意匠はイングラム1号機のものだった。
「って、なんで泣いてるの⁉︎アルフォンス⁈なんか痛いの⁈悲しいのっ⁉︎」
「すみません、野明様……。懐かしくって」
「懐かしい?」
「あの頃の特車二課、あの頃の野明様がいるんですもの──」
万感の思いが、そこには載せられていた。
「あの頃、って事は……」
「はい、ひろみ様の仰られた通りです。このように、神の端くれとなったので急ぎ野明様に会いに行こうとしたら、時間座標を間違ってしまったようで……」
ぽろぽろと涙を零しながら、彼女は笑う。
「ここに
「い、いーよ!全然!」
頭を下げる彼女を野明は制止する。
「──アルフォンスが悲しくなくって、よかったよっ」
雨上がりの太陽のように、ひとしずくの涙を零しながら、野明は笑った。
「──それも、貴方様のお陰です。野明様」
つられて、彼女も笑った。
「そういえば、挨拶を致しておりませんでした。重ね重ねのご無礼大変申し訳ありません」
ようやく涙を拭い、彼女は折り目を正し、姿勢を整える。
「
「不束者ですが、どうぞ御見知り置きを」
するりと滑らかな動きで彼女──、イングラム1号機の付喪神は頭を下げ、丁寧な挨拶を成したのだった。
おかえり、パトレイバー。
時系列はどうなるのか……。
・イングラム1号機の付喪神/アルフォンス
泉野明に大切に扱われ、時を経たイングラム1号機が付喪神となり、人間の女性の姿をした活動体を得た。
付喪神となり手に入れた能力で野明に会いに行こうとしたが、何故か過去の野明の元へ跳んでしまった。
なのでこの時間にはアルフォンスが二人いる。
擬人化ではあるが通常時では胸の代紋以外装甲どころか金属部分も見当たらず、パッと見機械っぽい所は無い。
カリスマモデルやってそうな柔らかくもキリ、っとした美人。
いわゆるエルフ耳。
丁寧に育てられたからか、丁寧な性格に話口調。
自分という存在を生まれさせてくれた野明に深く感謝し、大切に思っている。
趣味はあやとり。