戻ってきました、ストーンサークル。アナスタシアさんにも挨拶して、軽い雑談をしてから、篝火にあたる。
そういえば、変なのを見かけたな……あまりの臭さに、近づくのを躊躇ったが、やっぱ、行ってみた方が良いかな?
何件……いや、商人たちをハシゴして、消臭剤的なものを買い求め、内何人かは「そんなものない」とつっぱねられたが、いくつか購入出来た。
「いくらワシでも、流石にこれは、傷つくぞ」
四方を取り囲むように消臭の香が焚かれ、俺の顔にはペストマスクが装着されている。
「オホンッ、お主か。目覚ましの鐘を鳴らしたのは……
ワシは世界の蛇、王の探索者フラムト。大王グウィンの親友じゃ。目覚ましの鐘を鳴らした、不死者の勇者よ」
「いや、勇者じゃないし、只の不死者で錬金術師(自称)です」
「どちらでも構わん。目覚ましの鐘を鳴らした者よ。お主に不死の使命を伝えたい。お主ら不死が現れた、世界の理じゃ。
お主の使命は……大王グウィンを継ぐことじゃ」
「無理」
迷わず即答しました。こちとら、錬金術師(自称)やってるけど、元は、ただの農民のガキです。大王業なんて、できません。
「すみません。他を当たってください」
「政治をしろと言っているのではない。かの王を継ぎ、再び火を熾し、闇をはらい、不死の徹をはらうことじゃ」
「やだ」
なんか壮大な物言いしてるけど、マジで、ヤダ。
「……」
「……」
「それでは、その器のあるべき場所に、お主を案内しよう。準備はいいな? そのままじっとしておれよ」
「すみません。この後友達と、遊ぶ用事があるんで、辞退します」
嫌な予感がして、拒否するもフラムトは、大きく口を開けると、俺を飲み込んだ。
「臭えええええええッ!」
マスクをしてても漂う悪臭に絶叫した。
意識が朦朧と仕掛けた頃、漸く吐き出された。貰っていた消臭剤をフル活用して臭いを取る。
それから周囲を確認すると、なんか、地下っぽい場所だった。神殿とか祠とか呼ばれそうな雰囲気があった。
「ここは、大王グウィンの後継を迎える神域じゃ。さぁ、その台に王の器を置くがよい」
フラムトの指示に従うのは、なんかヤダったけど、言われ通りに王女様から頂いた器を台に置いた。
なんか、器から天に向かって光の柱が上がって消えた。
「よろしい。
では、ワシ、フラムトが王の器であるお主に、探索者として次の使命を伝えよう」
勿体つけるようにフラムトは、一息入れてから語る。
「お主が、大王グウィンを継ぐには偉大なソウルで、その器を満たさねばらぬ。
だが、かの王のソウルは際立って巨大なもの……よって、王の器を満たしうるソウルを持つ者は幾人もない。
すなわち、グウィンと同じ要のソウルの王は墓王二トとイザリスの魔女……そして、グウィンのソウルを分け与えられた小ロンドの王たちと……かつての大王の盟友、白竜シース……王の器を満たす為には、それら全てのソウルが必要じゃ」
語り終えると、フラムトは再び口を開け始めた。
「よいな。では、じっとしておれよ」
「やめろぉっ! ワープで帰るううっ」
慌てて逃げようとしたけど、フラムトの口に咥えられた。
元のストーンサークルのところに戻された俺は、なんか言ってるフラムトを無視して水場に行って全身を洗い、臭いを落とした。
体を洗い終わってから、さてどうしたものかと考える。なんか倒すべき相手を提示されたんだが、どこにいるとかっていう情報はない。しばし考えてから、消臭剤探しに走っていた時に、病みの村の下層で、勝手に人のことを弟子扱いし始めた奴が、なんか言ってたなと思い出し、まずは、そこに行ってみることにした。ワープを使い、あのアラクネ妹のいるところへ向かい、そこからさらに下層に降りていく。溶岩が赤く輝く。地下神殿といった感じの場所に足を踏み入れる。
道なりに進んでいくと、なんかデカいのがいた。
巨大な体に無数の触手。ヘカトンケイルとでも呼んでおこう。圧倒的巨体だ、こんな狭い通路で戦うなんて無理だと判断し、どこか広い場所はないかとヘカトンケイルの攻撃を躱しながら逃げる。薙ぎ払いを屈んで躱し、炎を錬金術で作り出した壁で防いで走る。
ヘカトンケイルが見え始めた辺りまで戻ってきて、周囲を見回すが、広い場所はない。
仕方ない。ここで迎え撃つ。そう覚悟を決めてドレッドドライバーを腰に装着して、スチームライナーを手にした時、ヘカトンケイルが、追いかけて来ていないことに気づいた。ちらりと見ると、奴の立っている場所から先は底が見えない穴となっていた。どうやら逃げ切れてしまったらしい。
ならば、とっとと去ろうと思った直後、ヘカトンケイルが跳んだ。
見事なジャンプで、俺のいるところの直ぐ側にしがみついた。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
迷わず、錬金術を使い、しがみついていた部分を斜めにカットした。
ヘカトンケイルは、そのまま奈落の底に落ちていった。
「たまぁに、なんだかなぁって感じの敵いるよなぁ」
『スチーム…』
気を取り直して先を目指す。ヘカトンケイルがいなくなった途端に、マグマが固まって先へ進めるようになったので、進んでいくと、広い場所に出た。マグマが近いので、気をつけないとと思っていたら、バフォメットが襲いかかってきた。だが、正直、弱かった。
変身するまでもなく倒せた。あのバフォメットが特別だったのか、ここにいるバフォメットが、クソ雑魚なのかは分からないが……
まだまだ、下はあるようで、下っていくと、穴から体を出しているフラムトサイズの芋虫がいた。穴の出入り口を刃に変えて、ギロチンの要領で両断。消滅した辺りに、篝火を発見し、しばしの休憩に入る。
ふと、あの感覚を覚え、エスト瓶を出して、錬金術を使った。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
誕生したのは、アニマル属性のナンバー3のメカニッカニのレプリケミーであるレプリメカニッカニだった。
「よろしくな、メカニッカニ」
『メカニッカニ…』
休憩を終えて歩き出すも、簡易版ガーゴイルというか、マーライオンみたいのが、水の代わりに火を吹いて、妨害してきたが、ずっと吐いてはいられないようで、火が止まった隙に斧でかち割ってやった。
マーライオインもどきを倒すと、今度は、ミノタウロスだった。前回のミノタウロスは、勝手に落下ししたけど、こいつはいかに?
速攻で足を切りつけ、動きを鈍らせて背中から登って攻撃をしていたら、藻掻いて暴れ始め、俺を振り落とそうと走り回りだした。俺を落とすことばかり考えていたようで、崖で踏み外して転落した。俺はさっさとミノタウロスの背中から飛び降りて笑顔で手を振ってやった。
それから、門をくぐった先には、かつて不死院で戦ったガーディアンに似ているが、あれの倍くらいでかくて炎を纏ったヤツがいた。サラマンダーとでも呼んでやるか。
攻撃を避けながら、ドレッドドライバーを腰に装着してレプリスチームライナーを手に取る。
『ヴァンフェン…』
ヴァンフェンリルも力を貸してくれるみたいだ。
「わかった、一緒に行くぞ!」
ヴェヴェルセッターに二枚のレプリケミーカードを、読み込ませる。
― STEAMLINER ―
― VANFENRIR ―
ドレッドドライバーが、おどろおどろしい大気音声を響かせ始める。俺は、胸の前で両手をパンッと合わせ、その手を前に突き出しながら両手の親指と人差し指で三角を作り、叫ぶ。
「変身ッ!」
そして、ネクベトヴォーグを掴み、力を込めて開いた。
― DREAD 雹式 ―
全身にクリスタルパターンが付き、両足に噴出口のようなものができた。
手にした武器を振り被って突進してくるサラマンダーを躱しつつ、噴出口をサラマンダーに向けて、作動させる。強烈な冷気が噴き出してサラマンダーの顔半分を凍りつかせた。
「おおっ!」
「GAAAAAAAA!」
俺の関心の声とサラマンダーの絶叫が、重なる。よろけたサラマンダーの手を蹴って、武器を落とさせると、それを持ちあげて顔を押さえて呻いているサラマンダーの足に叩きつけた。
サラマンダーの武器は砕けたが、同時にサラマンダーの足が、粉砕した感触が、手にあった。
追撃を仕掛けようとするも、サラマンダーが飛び上がって、以前ジャイアンがやったヒップドロップと同じ体勢をとった。
「ヤベッ」
噴出口から冷気を放ち、氷の壁を生成して迫る衝撃波を防ぐ。
足を破壊されて、羽でしか動けないサラマンダーの背後に回り込み、虚空を蹴り上げながら冷気を放つ。俺の蹴りの軌道にそって氷の刃が形成され、それをイフリートの羽に向かって射ち放つ。
見事、スパッと、羽を切り落とした。
這って逃げようとするサラマンダーに、ネクベトヴォークを閉めた。
噴出口から冷気を出して氷を生成する。その氷上でスケートをするように滑り、ジャンプ台を作って高く飛び、ネクベトヴォークを開いた。
― DREAD BREAKING ―
両足をそろえ、噴出口からの冷気で、俺自身が、氷の矢になって、サラマンダーを貫いた。
氷を砕きながら着地し、それと同時にサラマンダーが、爆散した。
ネクベトヴォークを閉じて変身を解除しようとして、ふとよぎった。今のやつは、見てくれに反して、正直、弱く感じた。
もしかしたら、もっと強いやつが、この先に待ち構えていて、俺たちを無駄に消耗させる為に、サラマンダーを配置したのではないかっと。
正直、考えすぎな気もしなくないが、用心に越したことはないか。
変身を解除せずに外に出る。上に続く階段と下に続く階段。
ここまでずっと下に降りてきたんだ、下に行く。
居ましたよ、デカいクリーチャー……何あれ? 百足っぽい?
……とりあえず、大百足と呼ぶか。
っていうか、マグマばかりで、動ける場所が少なすぎる。マグマを冷気で冷やして足場にできるけど、作った端から、マグマに飲まれて、足場が消える。
ブラッディSBで戦うか?
大百足の野郎、こっちが手を出せない安全圏から長い腕を振るって攻撃してくる。
伸びた腕に向けて冷気を噴出して凍結させて蹴り砕いた。伸びる腕がなくなれば、こっちに来ざるを得ないだろうと思ってた大百足の動きを中止していたら背後から、蹴り砕いて切断した腕が俺に巻き付いてきた。
「なっ!? クソ、しまっ!?」
何とか抜け出そうともがく俺を、切れた腕ごと大百足は殴り飛ばした。
「ガハッ! この程度ぉ!」
冷気で巻き付いた腕を凍結して拘束を逃れ、続く攻撃を避けた。
「なんて面倒臭い……」
『メカニッカニ…』
思わず漏らした俺の声に、レプリメカニッカニが、声を出した。自分を使えってことらしい。
「頼む」
レプリメカニッカニのカードを手に取り、ネクベトヴォークを閉じ、ヴェヴェルセッターに通して、コンススティラーに差し込み、ネクベトヴォークを開いた。
― MECHANICHANI ―
― DRAIN ―
背中からメカニッカニの腕が生えた。え? 天津飯の四妖拳か!?
ってか、どうやって動かすのさ?
戸惑っている俺を大百足が、待ってくれるはずもなく、伸びる腕が、繰り出されてきた。
避けるには、気づくのが遅すぎた。とっさにガードの態勢を取った。
「っ!?」
背中から生えた腕もガードの態勢を取っていた。
大百足の一撃を耐える。
俺の思ったように動くってことなのか? 試しに右だけ上を向くよう考える。
あ、動いた。
……練習が必要そうだなぁ。
それにしても、距離を取られているのが、本当に困る。何とか、ならないものか。
そんな事を考えていた時、背中の腕から光弾が発射された。
「えええっ!?」
光弾は、大百足に着弾し、当たった場所が、凍結してボロボロと砕けた。
「マジか……よっしゃ、ガンガン撃ち込んでやる!」
さっきまで、一方的にやられていたお返しだ。連続で発射される冷凍弾によって大百足の体は徐々に削られていく。
たまらず、大百足が距離を詰めていたが、迷わず、そのムカつく顔を四本の腕でボコボコに殴りまくる。
「おおおおおおおっ!」
大百足の尻尾を四つの手で掴んで、全力で振り回す。
マグマに叩きつけようとしたが、途中で尻尾が千切れて投げ飛ばす形になってしまった。
千切れた尻尾が、襲ってくるも、投げ捨てて冷凍弾で粉砕する。
ネクベトヴォークを掴んで閉じる。
両足の噴出口から、氷の牙が伸びてガッツリと地面に食い込む。
背中から生えた腕の先に光が集まっていく。
― BLOOD RAIN―
ネクベトヴォークを開くと同時に、チャージされた光線が、大百足と、この場のマグマ全てを凍らせた。次いで放たれた光弾が、大百足に当たると、大百足は、粉々に砕けた。
「終わったか…」
はぁと、息を吐いて、俺は変身を解除した。バックルから飛び出してきた3枚のカードをキャッチして礼を言って辺りを見回す。亡者の体となって感覚が鈍くなっていても、寒さを感じる。
自分でやっといてなんだけど、クソ暑い場所から急にクソ寒い場所へって体の感覚がバグるな。
さっさとここから出ようと、出口がないか探すと、大百足に気を取られていたせいで気が付かなかったが、横穴があったことに気づき、俺は足を踏み入れた。
少し歩くと、開けた場所に出て、尚且つ、見知った後ろ姿が見えて、声をかけた。
「ソラールじゃないか!」
俺の声に反応して振り返ったソラールは、俺の知っているソラールじゃなかった。
あのいつもの兜ではなく、光を放つヘッドギア? 仮面? のような物を頭につけて、彼は狂ったように笑っていた。
「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!
ついに、ついに! 手に入れたぞ、入れたんだ!」
正気を失った顔で笑いながら、俺に向かって雷撃を放ってくる。何とか、ギリギリで躱すことはできた。
「おい、俺だ! わからないのか!?」
俺の声なんて聞こえていないのか、笑いながら、ソラールは、攻撃を続ける。
「俺の……俺の太陽! 違う、俺が太陽だぁ! やった、やったぞ! 俺はやったんだ! おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
咆哮して襲ってくるソラールの顔面を殴りつけて、つけているソレを吹き飛ばした。
あれをつけているせいで、狂ったなら、あれを剥がせば、元の変人に戻るかも、と期待したが、俺の期待は裏切られた。
「あああああっ、太陽! 俺の太陽ぉ!」
まるで中毒者のように、吹き飛んだそれを取りに走り、装着すると、また、俺に襲いかかってきた。
「ごめん」
雷撃を掻い潜り、ソラールの手を斧で切り払い、腹に剣を突き立てた。
「ああ、ダメだ……俺の、俺の太陽が…沈む……」
「ソラール!」
「おお、貴公か……ああ、そうか、貴公が、太陽だったのか……俺は、友という太陽があったのに、あんなものに……」
最期、多分、正気に戻ったらしいソラールは、俺に笑いかけて動かなくなった。ソラールから、なにか……いや、ソラールの人間性ってやつが、俺に流れ込んでくるのを感じた。
「……」
見ると、そばに篝火があった。腰を下ろし、俺は目を閉じた。
ストーンサークルの篝火に戻り、アナスタシアさんのところに向かう。
「どうかしましたか? なんだか辛そうです」
「アナスタシアさん、ごめん、ちょっと、手を繋いでくれない?」
「……分かりました、どうぞ」
檻の隙間から伸びてきた手に、俺はすがるように手を重ねていた。温かなアナスタシアさんの手が、すごく安心感を与えてくれた。
「俺、友達を、殺した。襲ってきたから、正気じゃないって気がついてたのに……」
「……」
懺悔するように続ける俺の話を、アナスタシアさんは、最後まで聞いてくれた。
仮面ライダードレッド雹式…
身長・215.8㎝ 体重.・224.4Kg パンチ力・20t キック力・50t ジャンプ力・5m 走力
(100m)・8秒
両足に着いた噴出口から冷気を発して氷を生成したり、物体を凍結させる古語ができる。MARVELヒーローのアイスマンのように足元に氷を生成し、その上をすべるように移動できる。
外見イメージ…アクセルブースターの脚にフォーゼのエアモジュールをくっ付けたような足、全身の装甲にクリスタルパターン。
ブラッディMC
外見イメージ…バースのショベルアーム