世界を救ったネギの選択。それは世界に光をもたらした。そして、それは暗闇に生きてきた一人の少女のもとにも。
その光に勇気付けられた少女はやがて……

しかし、この物語の主人公はけしてその少女ではない。一人のトラウマを抱える少女は本来の光とは別の光を浴びてどう輝くのか。

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とりあえず書く癖をつけようと今日も短編を。

一部生徒の性格等に違和感があるかもしれませんが、きっと彼女だって中学入学の時は少しは希望を抱いていたと思うので。今までとは違う環境になれば多少は変化があるんじゃないか?
表面は取り繕っていても心のどこかでそんな願いがあったんじゃないか。
そう思ってあえて原作よりも素直に書いています。

なお、タグにGLをつけましたが。作品展開上そう見える部分があるだけで作者にはその意図は全くありません。


あたしは友達がいない

「長谷川さん少し良いかナ?」

 

「あん、あんたは?」

 

見たことねえ顔のやつだが外部のやつか?

小学校時代にはいなかったよな。

は、何を考えてるんだあたしは。

外部のやつだからって話した所で無駄さ。

どうせ中学校になっても今までと同じ。

異常な日常が待ってるんだからな。

 

「おや、これは失礼したネ。私は超 鈴音というものヨ。外部から入学したせいでまだ友人がいないネ。よかったら友人になってもらえないカ?」

 

友人だと?

このあたしにか。

 

「やめとけ。あたしなんかと友人になった所で良い事は無いぞ。あんたも嘘つきの仲間だと思われたくなかったらよそをあたるんだな」

 

「嘘つき……それはこの麻帆良の異常のことかナ?」

 

何だと!!

今こいつなんつった?

 

「おい、それはどういうことだ!! まさか何か知ってやがるのか?」

 

「まあまあ、少し落ち着くといいネ。クラスメイトの注目を集めるのは長谷川さんも望む所じゃないはずヨ」

 

ちっ。

だが、こいつの言うことは最もだ。

普段誰とも話さないあたしが大声を出したことでクラスのやつらがこっちを見てやがる。

時間は昼休み食後のひと時を教室でゆっくり過ごそうとするやつは多い。

確かにここで大声を出すのはまずいな。

だが、折角の手がかりかも知れねえんだ。

冷静でなんかいられるか!

 

「何でもないネ。少し長谷川さんと話が弾んだだけだから喧嘩とかじゃないヨ。火星人嘘つかないある」

 

「何やってんだ?」

 

見るとそいつはおどけたポーズでクラスのやつらに何でもないとアピールをしていた。

そして、それはあたしの心にも若干の余裕をもたらす。

 

「あいやー折角私が場を和まそうとしてたのに。まあ、そういうわけだから友人の話考えておいてくれるとうれしいヨ」

 

そう言うとそいつはそのままクラスを出て行く。

あたしに1枚のメモ用紙を握らせて……

 

「何だって言うんだ一体」

 

胡散臭いが、私以外に麻帆良の異常に気がついてるかもしれないやつだ。

あたしはきっとこのメモに書いてあるところに今夜行くことになるんだろう。

はあ、今日は作ってる途中のホームページを完成させたかったんだけどな……

 

「中学では孤独な狼少女から卒業できると良いな」

 

「あれ、長谷川さん何か言った?」

 

「何も言ってねーよ」

 

あたしはぞんざいに返すと机に広げたノートパソコンに視線を戻す。

今夜7時に私の部屋でか……

 

 

 

「よく来てくれたネ長谷川さん」

 

「おい、良く来てくれたも何もここはあたしの部屋だ。しかもまだ7時になってないぞ。っていうか、学校が終わってから落ち着かなくてまっすぐ帰ってきたあたしより何で早くここにいるんだよ」

 

全く突っ込みどころが多すぎる。

 

「おお、流石ネ。私の目に狂いは無かったヨ。さあ、一緒にM1を目指すネ」

 

もうつっこまねーぞ。

 

「まあいい。それであんたは何を知ってるんだ?」

 

「何もかもヨ」

 

「何もかもだと?」

 

一気に胡散臭くなったな。

いや、こいつが胡散臭かったのは最初からだが。

それでもこいつにすがるしかないのがしゃくなんだがな。

 

「流石に何もかもと言うのは言いすぎだガ。恐らく長谷川さんが知りたかったことについてはすべて答えられると思うヨ」

 

「それじゃあ教えてくれ。一体この麻帆良は何なんだ?」

 

「おや、もう少しためらうかと思ったガ、まあいいネ。一言で言うなら『魔法使いの町』ダナ」

 

おいおい、言うに事欠いて魔法使いだと。

いくらなんでもそんなわけ……

 

「あるネ。ふむ、現実派の長谷川さんには証拠を見せたほうが早いカ」

 

「証拠だと。あるなら見せてもらおうじゃねえか」

 

「だが、今の私に出来る魔法となると……どうせそれが目的だったんだしあれで良いカ」

 

やっぱり嘘かこいつ?

確かにこの町には謎があふれてるが……

いくらなんでも魔法はねえだろ。

 

「それじゃあ、少しじっとしてもらえるカナ?」

 

「ん、おい。何をする気だ? ってまさか!!」

 

それは一瞬だった。

やつの顔が目の前に迫ったかと思えばだんだんその距離が近づいてきて、ついにその距離が……

 

「おい、何しやがるんだてめえ。最初からそれが目的かよ。畜生、あたしをさんざんからかって楽しいかよ。あたしは本当にこの町の異常がわかると思ったんだ。やっと私がおかしくないって証明されるって期待してたんだぞ。それを……馬鹿にしやがって。さぞや私の様子はおかしかっただろうさ。だが、残念だったな。あたしはそっちの趣味は無いんだ。何が魔法だ。このやろうが……」

 

あたしはその時初めて気がついたんだ。

この留学生にどれだけ期待していたのか。

そして、どれだけあたしが異常じゃないのか証明したがっていたのか。

くそっ、あたしは馬鹿だ。

小学校時代にさんざん証明されたじゃないか。

中学になれば何かが変わるなんて信じ込んで。

あたしは大馬鹿だ。

なんでこんなやつを信じちゃったんだろうな。

 

「大丈夫ヨ。私もそっちの趣味は無いアル」

 

「てめえは大嘘つきだ。もう出てってくれ」

 

「アイヤー流石にキスはすまなかったと思ってるアルヨ。だけど、今の私は他の方法が取れ無かったヨ……今の長谷川さんには何を言っても無駄カ。それじゃあ、最後にこれだけは受け取ってくれないか? これをもって『アデアット』と言ってくれれば私が言ったことが嘘じゃないとわかるヨ」

 

「すまん、出てってくれ。でてけー!!」

 

「そか、邪魔したナ」

 

その嘘つきやろうは私の机の上にそっと一枚のカードを置くと私の部屋から出て行った。

 

「畜生……ちくしょうーーー!!」

 

あたしはそんなにおかしいのか?

いつだって間違ってるのはあたしかよ。

畜生……

何であんなほぼ初対面の野郎にまでからかわれなくちゃならないんだ。

あたしはそんなに滑稽か?

人間は車よりも早く走れるし。

空も飛べる。

それが常識か?

ギネスブックよりも大きな木が平然と生えてて誰も気にしない。

小学生の小娘に殴られて大の大人が何メートルも空を飛ぶ。

それが常識か?

テレビに出てくる最先端の機械よりも発達した機械を学生が開発する。

 

「ああ、きっとそれが常識なんだろうな。いつだって間違ってるのはあたしなんだからよ」

 

一瞬あたしの目にさっきあいつを追い出した時に落ちたのかカッターナイフが飛び込んでくる……

 

「いやダメだ。そんな逃げを選んだら。あたしは……あたしは……」

 

カッターを机の上に戻すとあのやろうが置いて行ったカードが机の上に。

 

「はは、馬鹿みてえだあのやろう。あたしなんかのためにこんな凝ったカードを作りやがったのかよ。あたしにはそんな価値はねえよ。その挙句あたしに振られてやんの」

 

あいつがこのカードを作るのにどれだけの労力を使ったのかは知らないが。

それをすべて無駄にしてやった。

この事があたしの心に一瞬ゆがんだ笑みを浮かばせる。

 

「しかし、本当に良く出来てるなこのカード。魔法か……本当にあったらどれだけいいことか。てめえが魔法使いだって言うんならこのあたしをこの地獄から連れ出してくれよ」

 

『アデアット』

 

「はは、本当に馬鹿みてえだなあたし。本当に唱えてやがんの」

 

ほらやっぱり何もおこらねえじゃ……何だと!!

それはいきなりあたしの目の前に現れた。

さっきまでは何も無かった所に。

と言うより空中に浮いているように見える。

 

「始めましてマスター。僕は22世紀ver電子精霊ですよろしく」

 

「は、精霊? 22世紀?」

 

こいつは一体なんだ?

見た目はなんかのマスコットみたいだが。

トリック?

いや、流石にこのレベルになると麻帆良の技術でも説明できない。

 

「はい、僕は22世紀の技術で作られた最新型の電子精霊です。ってここは21世紀? あれ?」

 

「あー、つまりドラ○もんってことか? あたしはのび○君か? 何だ、もしかしてあの超とかいうやつはあたしの子孫だったのか?」

 

「そんなわけ無いじゃないですか。マスターもう少し現実を見てくださいよ」

 

何だ、あたしはついにこんな毛糸球みたいなやつにまで常識を疑われるレベルになったのか?

 

「いや、お前に言われたくはねえよ!!」

 

「あははーそうですよね。でも、魔法使いの従者なんですから僕くらい普通でしょ?」

 

「は、魔法使いの従者? 何だそりゃ?」

 

魔法使いの従者ねえ。

あたしはそんなものになった覚えは……あるな。

さっきの超の野郎のキスか。

よくわからねえが、あいつの言うとおり、やつが本当に魔法使いでそれであのキスがその契約の証だとしたら。

 

「あー一つ聞いて良いか?」

 

「勿論良いですよ」

 

「もしかして、その魔法使いの従者とかになるのはキスが必要だったりしないよな?」

 

それくらいしか心当たりは無いんだが。

いや、まさかそんな子供向けアニメみたいな展開いくらなんでも。

 

「あ、一番原始的な方法ですね。でも、他にも手段があるのにわざわざキスでしたって事は。マスターも隅に置けませんね」

 

やっぱりあれがそうだったのか。

しかし、他に手段があるだと?

あの野郎本当にそっちの趣味があるんじゃないだろうな?

100歩譲って魔法の存在は認めてやっても良いが。

もしそっちの趣味だとしたら流石につきあいきれねえぞ。

 

「相手はほぼ初対面のやつだ」

 

「ってことは一目ぼれですか? マスター美人ですからね」

 

「相手は女だぞ?」

 

「えっ」

 

「おい後ずさるな。あたしはそんな趣味はねえよ。キスだってふいうち……でもねえけど。ともかくそこにあたしの意思は一切無い」

 

ああ、そうだとも。

あんなのはノーカンだノーカン。

実際良く覚えてないしな。

畜生、良く考えたらあれファーストキスじゃねえか。

あのやろう、絶対殴ってやる。

 

「本当ですか?」

 

「ああ、本当だ」

 

「誓って?」

 

「しつこいぞ」

 

あたしが怒気をにじませるとそいつはプルプル震えだした。

くそっ被害者はあたしだろうが。

 

「あー悪かったよ。おまえには別に怒ってないよ」

 

「良かったです」

 

「で、精霊とか言ってたが。お前は何が出来るんだ?」

 

「なんたって僕は22世紀の最新型ですから色々出来ますよ。その杖が感知器になってますのでその杖を持って考えてくれればマウスやキーボードは不要です」

 

はーそれは凄いな。

だが、それだけか?

 

「それだけか? それだと確かに便利だが大して凄くも無いな」

 

「えー、考えただけで入力できるって凄い発明なんですけど。その科学者の方ノーベル賞もらいましたし。まあいいや、おまけで機械の中に入ってヴァーチャルリアリティを体験したり、機械の中のものを一時的に実体化させたりも出来ますけど……まあ、おまけですね」

 

「おい、それのどこがおまけなんだよ。凄いじゃないか!!」

 

「そうなんですか? 別にたいしたこと無いと思うんですけど。あ、ついでにこの世界レベルの技術だったら僕に見れない情報は無いですし。例えインターネットに繋がっていなくても僕に操作できない機械は無いですよ」

 

は、何だそれ。

一体どんなチートだよ。

って、待てよ。

今こいつはどんな機械でもって言ったか?

 

「おい、もしかしてペンタゴンに接続してミサイルを撃ったりとかは出来ないよな?」

 

「何処に撃てばいいんですか? マスターの嫌いな人にピンポイント狙撃だって出来ますよ」

 

「馬鹿そんなこと望んでねーよ。そうだな、試しにあたしの口座のお金を増やしたりとか?」

 

「とりあえず、1千万円入れておいたよ」

 

何だって!!

いや、まさか……

パソコンを使って残高を調べると。

あたしの通帳に見たことも無い額が。

1千万飛んで二万三千524円……本当に1千万円入ってやがる。

 

「ね、本当でしょ?」

 

「とりあえず戻してきなさい」

 

「えー何で?」

 

「何ででもだ。あたしはこんなことされたって嬉しくねえよ」

 

「それじゃあ、マスターは僕に何を望むんです?」

 

こいつに何を望むかか。

こいつの力は信じたくは無いが本物みたいだ。

今は何だって機械が関わらないものは無い時代だ。

きっとあたしがその気になれば誰にも知られずに世界を支配することだって可能だろうな。

だけど、あたしはそんなもの欲しくない。

そんなものを手に入れたらきっと今以上に人間が信じられなくなる。

あたしはただみんなと一緒に遊びたかっただけだ。

普通に話して普通に買い物をして普通に喧嘩をして、そして仲直りをして。

そんな平凡な毎日をあたしは送りたかったんだ。

誰もあたしの言うことを信じてくれなかったけどな。

 

「そうだな、とりあえずお前をあたしに渡したってことは超のやろうにも何か目的があるんだろう。それはやってやらないとな。あいつを嘘つき呼ばわりしちまったしな。誰よりもそのつらさを知っているはずのあたしがさ……」

 

「マスター」

 

「しみったれた顔をすんな。そうだな、とりあえず一通りパソコンで遊んでみたいけど。あたしがお前に望むものはあたしの話し相手になってくれないか? だな」

 

「マスター……うん、わかったよ。マスターが嫌になっても僕話しかけるから覚悟してね」

 

「いや、そこは遠慮しろよ」

 

「「あはははははは」」

 

ああ、思えば誰かとこうして声を上げて笑うのなんていつ以来だろうな。

思えば家族とだって壁があった気がする。

超の野郎を殴るときは少し力を弱めてやるかな?

 

「よし、まずは超の部屋に行くか。すべてはそれからだな」

 

「はいマスター」

 

「あ、お前は隠れてついて来いよ」

 

「え、僕邪魔なの?」

 

「そんなわけ無いだろ」

 

あたしは今きっと自然な笑顔を浮かべているんだろう。

思えばこんな笑顔をしたことは今までに無かった気がするのに。

意外に簡単に出来るもんだな。

ふん、殴るのはやめておいてやるか。

だが、礼は言わねーぞ。

乙女のファーストキスは決して安くねえんだからよ。

 

 

 

 

 

翌年魔法世界では世界をあげての祭りが開かれた。

それまで知らされていなかった魔法世界の滅亡の危機。

それがすっかり解消されたからだ。

ふらりと現れた魔法使いの少女とその従者の少女が枯渇寸前だった魔法世界のエネルギー供給施設を一夜にして建ててそのまま去っていったからだ。

 

世界の英雄となったその少女達だが名前は伝わっていない。

 

「あたしは英雄や救世主になりたいんじゃない。ただ、友人と馬鹿をやってればそれで満足なんだよ」

 

英雄が語ったと言われるその一言はその施設の入り口にでかでかと飾られている。

その言葉が旧世界の日本と言う国で使われている言葉と言うこと以外全ては謎のままだ。

きっと探そうと思えば見つかっただろう。

だが、世界の誰もそんな無粋なことは望みはしなかった。

 

ただ、時折その施設の周辺には楽しそうに笑う女の子の声が響きわたると言う。

世界は今日も笑顔に満ち溢れている。

 

 

 

 

 

 

「どうかなネギ先生。あなたの答えもすばらしかったが。誰も犠牲にならず一人の少女の笑顔を取り戻した私の答えは。もう私の知っているあなたに届くことは無いだろうが。きっとあなたにも気に入ってもらえたと信じてるヨ」




本来ギャグssを書こうと思ってストーリーを考えていたのですが、途中どんどんシリアスな話になってしまって後半の魔改造パートは自粛しました。

最初考えていたものとは全くの別物になってしまいましたが、これはこれで綺麗に短編になったかなと言う気もします。後半まで入れていると長すぎるものになったでしょうし。
やっぱり話を作るっていうのは難しいですね。今回はいい勉強になりました。

P.S.今回のテーマは本当は魔改造千雨でした……なんでこんな話に。

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