55話 ボーナス、判明。
その日は入院し、翌日、ちょっとだけ検査をして、午後には退院できた。
前に比べたら、ダメージが、本当に、だいぶ軽い。
「考察通りだとしたら……マジで、朧月華、神アタリすぎだろ……仮に、今後、また自傷系の強力なアイテムを手に入れた場合、それらのデメリット効果が全部軽減されるってことだろ……イカついねぇ」
病院からの帰り道、ユウガがコンビニで買い物をしている間、
俺は、廊下で一人、そんなことをつぶやいた。
「おまたせしました。それでは帰りましょうか」
とユウガが俺の手を握ろうとした。
そこで俺は、
「いや……今日はちょっとダンジョンにいくから、先に帰っていてくれ」
そういうと、
ユウガがなんか、すごいキレてきたけど、
テキトーに流して、
逃げるように、俺はダンジョンへと向かった。
★
目的は、裏面に入り、昨日にタイムリープできそうか確かめること。
別に、今回のこの感じだと、タイムリープしなくてもいいかなぁ、とは思っている。
昨日はちゃんとソロモンを倒せたし、後遺症も軽い。
クロノスのタイムバーストに関しては、
『初見殺し』というか、
『防ぎようがない系の攻撃』な気がするから、
前情報が武器になるとも思えない。
結局、どうせ、俺がダークリングを使う結果になりそうだから……
ぶっちゃけ過去に飛ばなくても別にいいかなぁ、と思っている。
……ただ、この裏面って、妙に意地悪なところがあるから、もしかしたら『ダークリングを使用した日にはタイムリープできません』とかいう裏ルールがないとも限らない。
その辺だけでも確かめようと思って来てみたのだけれど。
「ん?」
看板の表示が、いつもと違っていた。
いつもは、タイムリープするのに何万円必要と書いてあるのだが――
『クロノスとソロモンの撃破、お見事。ボーナスを差し上げます』
「ボーナス……マジで? そう言えば、俺、教師やってる時、ボーナスもらったことねぇな」
教師ならもらえるだろって?
甘い、甘い。
ショコラテより甘いねぇ。
あの学校のブラック体制をナメちゃいけない。
ボーナスも有給もなし。
土日祝出勤当たり前。
それが基本。
働き方改革?
そんなこと言ってて、現場がまわるかよ!
あんまり、教育現場という死線をナメんなよ。
「……『クロノスフィアリング』と……『ミシャンド/ラ召喚の指輪』……」
ATMの上に、二つの指輪があった。
それぞれを手の中におさめると、頭の中に情報がぶちこまれた。
『クロノスフィアリング』:タイムストップやクロックアップが使用可能。ただし、消費MPが膨大。レベル100以上の魔法使いで一回使えるかどうか。
『ミシャンド/ラ召喚の指輪』:最強クラスのアンデッド『ミシャンド/ラ』を召喚できる。アンデッド系の強力な魔法や、必殺技が使える。レベルに応じて召喚時間が変わる。レベル100でも10秒ほど。
「なるほど……どっちもすげぇ効果だが……どっちも、朧月華と同じで、レベル依存か……ミシャンド/ラの方はともかく、クロノスフィアリングの方は……ダークリングを使うか、レベルをガン上げするかしないと使えないな……」
頭の中に入ってきた情報を整理しながら、俺は、二つの指輪を、じっと見つめた。
「……しかし、俺、時間を止められるようになったのか……えっぐ」
思わず、乾いた笑いが漏れる。
「タイムリープして、時を止めて、クロックアップもできるの? 俺、時の魔術師じゃん。うけるぅ」
半年前まで、C級モンスターにすら苦戦していた男が、
気づけば時間を自在に操る力を手にしている。
すごいな、マジで……
ちなみに、タイムリープは、普通にできそうだった。
ATMに金を入れたら、ちゃんといつも通り、
『タイムリープしますか? はい/いいえ』が出てきた。
俺は、『いいえ』を押して、金を返してもらってから、家に帰った。
【現時点における自己鑑定結果】
名前:センエース
レベル:50
HP:C
MP:F
筋力:C
耐久:B
敏捷:D
魔力:F
スキル:『レベルが上がりやすい』
魔法 :『自己鑑定』『アイテムボックス』
『拳気ランク7』『剣気ランク5』
『雷術ランク3』『雷弾ランク1』
『治癒ランク1』『雷槍ランク2』
『呪縛ランク1』
所持品:『協会産の中流剣』
『黄金のナイフ』
『注文の多い多目的室(限定空間)』
『ダークリング』
『朧月華の長羽織』
『クロノスフィアリング(タイムストップ・クロックアップ)』
『ミシャンド/ラ召喚の指輪』
必殺技:『閃拳』全力の正拳突き。
『一閃』力いっぱいふりぬく剣技。
『龍閃崩拳』全力の崩拳。
拳気ランク7:拳の火力を少し上げる。
剣気ランク5:剣の火力を少し上げる。
雷術ランク3:剣に雷をまとわせる。
雷弾ランク1:雷の弾を撃ち出す。
治癒ランク1:自己治癒力を少し高める。
雷槍ランク2:雷の槍を出せる。
呪縛ランク1:魔法の鎖で相手の動きを止める。
※A級以上のモンスターに、ランク1や2の魔法は無意味なので、実質、センが使える魔法は、拳気と剣気ぐらい。