転生者たちは今日も新エリー都を駆け回る 作:『 』を応援するテト
ヴィクトリア家政の朝は、その日の依頼を確認するところから始まる。
もっとも、全員が毎日同じ仕事へ向かうわけではない。
依頼人から求められる内容も、必要とされる人員も日によって変わる。全員で1つの依頼を担当することもあれば、それぞれが別の仕事へ向かうこともある。
その日、アルバートは予定を確認しながら、今日の人員配置を頭に入れていた。
エレンは学校。
学業の予定が入っている以上、本日の家政業務への参加予定はない。
リナは以前から指名を受けていた個人依頼があり、こちらも終日別行動。
そして残るライカン、カリン、アルバートの3人には、同じ依頼が割り振られていた。
長期間使われていなかった邸宅の再整備。
依頼人が近く新エリー都へ戻ることになり、それに先立って邸宅を再び生活できる状態へ整えてほしいという依頼だった。
清掃、家具や調度品の確認、生活設備の点検。
内容だけなら、ヴィクトリア家政にとって珍しい仕事ではない。
アルバート自身、設備関係の確認を任されることは多い。だが、それだけが彼の仕事というわけでもなかった。
ヴィクトリア家政へ寄せられる依頼は多岐にわたる。
清掃、給仕、整理、警護。
場合によってはホロウへ赴くことさえある。
今日求められているのは、その中でも比較的穏やかな仕事だった。
「おはようございます、アルバートさん」
声に振り返れば、仕事の準備を終えたカリンがこちらへ歩いてくるところだった。
「おはようございます、カリン。本日もよろしくお願いします」
「はいっ! こちらこそ、よろしくお願いします!」
いつも通り、少しだけ力の入った返事だった。
アルバートが予定表を閉じるのとほぼ同時に、ライカンも姿を現す。
「おはようございます、2人とも」
「おはようございます、ライカン」
「お、おはようございます!」
ライカンは2人の様子を確認すると、そのまま今日の仕事へ話を移した。
「本日は私たち3人で依頼へ向かいます。内容については、もう確認していますね?」
「ええ。長期間使用されていなかった邸宅の再整備ですね」
「カリンも確認しました! お掃除だけじゃなくて、家具やお部屋の状態も確認するんですよね?」
「その通りです。依頼人がお戻りになったその日から、不自由なく生活できる状態へ整える。それが今回の仕事になります」
ライカンの言葉に、カリンが真剣な顔で頷く。
アルバートは依頼内容を思い返しながら口を開いた。
「設備については、私が最初に確認しましょう。長期間使用されていなかったのであれば、清掃を始める前に確認しておいた方がよいものもあるでしょう」
「ええ、お願いします。私とカリンで室内の状態を確認しましょう。設備の確認が終わりましたら、こちらへ合流してください」
「承知しました」
「あの、アルバートさん」
カリンが遠慮がちに手を挙げる。
「設備の確認が終わった後、その……お掃除の方も手伝っていただいていいですか? かなり広いお屋敷だと聞いているので……」
言い終えた途端、何かに気づいたように慌て始めた。
「あっ、もちろん設備の方が終わってからです! アルバートさんに仕事を押し付けようとか、そういう意味じゃなくて……!」
「もちろん構いません」
アルバートが答えると、カリンの動きが止まった。
「設備点検だけが私の仕事ではありませんから。必要なら清掃もお手伝いします」
「よ、よかったぁ……」
ほっと胸を撫で下ろすカリンを見て、ライカンが穏やかに口を開く。
「カリン。必要な時に仲間を頼ることも仕事のうちですよ。相手の状況を考えることは大切ですが、何もかも1人で抱え込む必要はありません」
「はい……!」
「アルバートも、手が必要になった時は遠慮なく声を掛けてください」
「ええ。そのつもりです」
「では、参りましょう」
3人は依頼先へ向かった。
目的の邸宅は、ルミナスクエアから少し離れた閑静な住宅区に建っていた。
門を抜けた先にあるのは3階建ての大きな屋敷。長期間無人だったとはいえ最低限の管理は続けられていたらしく、庭が荒れ果てているようなことはない。
だが、玄関を開けて室内へ入ると、長く人が生活していなかったことはすぐに分かった。
閉め切られていた室内には独特の空気が残り、家具の上には薄く埃が積もっている。
カリンが屋敷の奥まで見渡した。
「思っていたより広いですね……これ、今日中に全部終わりますよね?」
「そのために私たちが来ています」
ライカンが静かに答え、室内を見渡す。
「まずは換気から始めましょう。カリンは1階西側をお願いします。私は東側を確認します」
「はい!」
「アルバート、設備の方をお願いします」
「承知しました」
それぞれが担当へ散っていく。
アルバートが最初に向かったのは、屋敷の管理設備が集められた区画だった。
電力、水道、空調、セキュリティ。
順番に状態を確認し、必要な箇所については実際に動作させる。
設備そのものは古いが、定期的な最低限の保守は行われていたらしい。致命的な故障は見当たらなかった。
それでも長期間使われていなかった以上、記録だけを信用するわけにはいかない。
設備を実際に動かし、記録されている数値と現在の状態を照らし合わせる。異音や不自然な消費電力、水圧の低下なども見当たらない。
順調だった。
しばらく確認を続けていると、空調管理の記録に小さな不一致を見つけた。
「……なるほど」
2階西側の一室だけが、現在の空調管理対象から外れている。
過去の記録まで確認すれば、以前行われたシステム更新の際に設定が正常に引き継がれなかったことが分かった。
「分析:設備そのものの故障ではありませんね。設定漏れと考えるのが妥当でしょう」
修正自体は難しくない。
アルバートは設定を復旧させ、正常に動作することまで確認する。
問題は、長期間空調管理から外れていた部屋の方だった。
湿度などが極端な値になっていた形跡はないものの、長期間にわたって適切な管理から外れていた以上、室内の物品まで問題がないとは断定できない。
通信を開く。
「ライカン。2階西側の部屋について、確認をお願いできますか?」
『何かありましたか?』
「空調管理の対象から外れていました。システム側は既に修正しましたが、室内の物品は直接確認した方がいいでしょう」
『分かりました。カリンと向かいます』
アルバートも残る設備の確認を終わらせ、2階へ上がった。
問題の部屋の前では、すでにライカンとカリンが待っている。
「ここですね」
「ええ」
ライカンが扉を開ける。
中は小さな書斎だった。
本棚と机、壁際にはいくつかの収納箱。幸いにも目立ったカビや酷い劣化は見当たらない。
「よ、よかった……もっと大変なことになっているかと思いました」
「湿度そのものが極端に上がっていたわけではありません。ただ、紙類については念のため確認しておいた方がいいでしょう」
アルバートの説明を聞き、ライカンが室内を見回す。
「では、私は書籍を確認します。カリンは収納箱をお願いします。アルバートは机周辺を見てもらえますか?」
「承知しました」
「はい!」
3人で手分けして確認を始める。
アルバートは机の引き出しを順番に確認していった。
文房具、古い携帯端末、写真。
いずれも依頼人の私物だ。必要以上には触れず、保存状態だけを確認して元の場所へ戻していく。
やがて。
「あれ……?」
カリンの声に、アルバートとライカンが振り返った。
カリンは壁際に置かれていた小さな木箱の前で、依頼人から渡された物品一覧を見比べている。
「どうしました?」
「この箱なんですけど……一覧に載ってないみたいです」
アルバートも一覧を確認する。
確かに該当する物品はない。
箱には鍵が掛かっていた。
「勝手に開けるべきではありませんね」
「ええ。依頼人へ確認しましょう」
ライカンが連絡を取る。
ほどなくして返ってきた答えを聞いたライカンは、わずかに目を細めた。
「どうやら、存在そのものを忘れていたそうです」
「忘れてたんですか!?」
思わず声を上げたカリンが、慌てて口元を押さえる。
「す、すみません!」
「長期間使われていなかった屋敷ですから、そうしたこともあるでしょう」
箱は以前、依頼人が家族から預かった品だったらしい。
中身を確認する必要はなく、指定された新しい保管場所へそのまま移してほしいとのことだった。
「よかったです……何か危ないものだったらどうしようかと思いました」
「その場合は、その時に対応すればいいだけですよ」
ライカンの答えに、アルバートも木箱へ視線を向ける。
「結論:今回は、本当に忘れられていただけのようですね」
事件でもない。
何者かが侵入した痕跡でもない。
ただ、長い間使われていなかった屋敷の片隅に、持ち主すら忘れていた箱が残されていただけだ。
新エリー都では、むしろ珍しいほど平穏な話だった。
昼を過ぎる頃には、設備関係の確認もすべて終わった。
予定通りアルバートも室内の作業へ合流し、カリンと共に家具を動かし、埃を落とし、必要なものを元の位置へ戻していく。
「アルバートさん、そっち持ちます!」
「ありがとうございます。では、反対側をお願いします」
「はいっ!」
2人で家具を持ち上げる。
移動させた家具の位置を確認していたライカンが、軽く手を挙げた。
「もう少し右へお願いします。以前の配置記録では、その位置です」
「こちらですか?」
「ええ。そこで大丈夫です」
家具を下ろすと、カリンが額を拭った。
「ふぅ……これでこのお部屋は終わりですね」
「予定より少し早いですね」
「カリンが朝からよく動いてくれていますから」
ライカンにそう言われ、カリンは目を丸くした。
「えっ、あ、その……ありがとうございます!」
「事実を申し上げただけですよ。ただし、急ぐあまり確認を疎かにしないように」
「は、はいっ!」
その様子を見ながら、アルバートは次の作業場所を確認する。
「残りは3階の客室が2部屋と、廊下ですね。この進行速度なら、最終確認を含めても予定より早く終えられそうです」
「それなら、最後に全員で一度確認して回りましょう。自分の担当した場所ほど、見落としに気づきにくいものですから」
「合理的ですね」
「カリンも賛成です!」
それからも3人の作業は順調に続いた。
アルバートも清掃用具を手に取り、カリンと作業場所を分担する。
設備の点検や情報整理は得意分野ではあるが、それだけを担当しているわけではない。ヴィクトリア家政の一員として働く以上、清掃も整理も給仕も、必要ならば当然こなす。
特別なことは何も起こらない。
だが、何も起こらないからといって、仕事の価値が下がるわけではない。
依頼人が戻ってきた時、以前と変わらずこの屋敷で生活できること。
それが今回求められた結果なのだから。
夕方。
最後の確認を終えた3人は、依頼人へ作業完了の報告を送った。
空調設備の設定漏れについても修正内容を添え、状態を確認した物品についても記録を残してある。
ほどなくして、依頼人から受領の返事が届いた。
問題なし。
本日の仕事は、これで完了だった。
「お疲れ様でした、2人とも」
ライカンの言葉に、カリンの表情がぱっと明るくなる。
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした」
大事件を解決したわけではない。
ホロウへ入ったわけでも、エーテリアスと戦ったわけでもない。
ただ、依頼された屋敷を整えただけ。
しかし、アルバートにとってはこれもまた、ヴィクトリア家政で過ごす日常の1つだった。
清掃を求められる日もあれば、給仕を任される日もある。時には警護を、時にはホロウでの仕事を依頼されることさえある。
依頼人が求めるものを見極め、その期待へ応える。
仕事内容が変わっても、その点だけは変わらない。
「では、戻りましょう」
ライカンが歩き出す。
カリンがその後を追い、アルバートも2人と並んで帰路についた。
依頼を終えた3人が普段の合流場所へ戻ると、別の依頼へ向かっていたリナも一足先に仕事を終えていた。
「お帰りなさいませ、皆さん。そちらのお仕事も無事に終わったようですわね」
いつもの柔らかな笑みで迎えたリナの傍らには、仕事へ出る前にはなかった籠が置かれている。中には色鮮やかな果物がいくつも収められていた。
「ええ。多少の設備上の問題はありましたが、すべて対応済みです。リナの方も無事に終わったのですか?」
ライカンに尋ねられ、リナはにこやかに頷いた。
「もちろんですわ。今日はお客様のご自宅で、身の回りのお世話をさせていただいておりましたの。最後に届けられた果物の選別も頼まれまして、そちらも済ませてまいりましたわ」
そう言いながら、リナは傍らの籠へ視線を落とした。
「少し多く仕入れてしまったそうで、選別した中からお裾分けしていただきましたの。せっかくですから皆さんでいただこうと思って、持ち帰らせていただきましたわ」
「わぁ……! おいしそうですね!」
カリンが嬉しそうに籠を覗き込む。
アルバートも果物を確認した。どれもよく熟しており、目立った傷みもない。依頼人から選別を任されたというだけあって、その仕事ぶりについて疑うところはなかった。
「状態も良好ですね。このままでも十分楽しめるでしょう」
「ええ、そうですわね」
リナも頷く。
そこで終わっていれば、何の問題もなかった。
だが、リナは果物を1つ手に取ると、何かを思いついたように微笑んだ。
「でも、せっかくこれだけありますもの。そのままいただくだけでは少々もったいないですわね」
アルバートは、その言葉に何かを感じ取った。
隣を見る。
ライカンもリナを見ている。
カリンはまだ気づいていない。
「そうですわ」
リナは嬉しそうに両手を合わせた。
「今夜はこの果物を使って、皆さんに何か作って差し上げましょうか?」
沈黙。
ほんの数秒前まで穏やかだった空気が、妙な静けさに包まれた。
カリンの笑顔が固まる。
ライカンはいつもと変わらない表情を保っていたが、返事までの間が普段よりわずかに長かった。
アルバートもまた、返答を選んでいた。
リナはヴィクトリア家政の優秀なメイドである。
家事全般を高い水準でこなし、依頼人への気遣いも細やかだ。今日の仕事も問題なく終え、こうして土産まで持ち帰っている。
その能力について、アルバートに疑うところはない。
――ただし、料理だけは話が別だった。
「それは……ありがたいお申し出ですが」
最初に口を開いたのはライカンだった。
「リナも仕事を終えたばかりでしょう。今日はゆっくり休んでもよいのではありませんか?」
「あら、この程度で疲れてはいませんわ。それに、皆さんもお仕事を終えて戻ってきたばかりでしょう? こんな時こそ、おいしいものをいただいて疲れを癒やすべきですわ」
リナの笑顔に悪意など欠片もない。
むしろ純粋な善意しかないからこそ、断りにくい。
アルバートは今日の人員配置を思い返した。
そして、ある重要な事実に気づいた。
「……ライカン」
「何でしょう、アルバート」
「本日、エレンは学校でしたね」
再び沈黙が訪れた。
「……ええ」
ライカンが静かに答える。
それだけだった。
それ以上、2人の間に言葉は必要なかった。
リナの料理を前にしても、普段とほとんど変わらない様子で食事を続けられる貴重な存在。
そのエレンは、今日に限ってこの場にはいない。
「ど、どうしたんですか、2人とも?」
カリンが2人を交互に見る。
その直後、自分も状況を理解したらしい。
「あっ」
小さな声が漏れた。
「まあ、カリンちゃん。どうかなさいました?」
「な、なんでもありません!」
カリンは勢いよく首を振った。
そして次の瞬間、覚悟を決めたように手を挙げる。
「リナさん! カ、カリンもお料理、お手伝いします!」
「あら、本当? 嬉しいですわ。それでは一緒に作りましょうか」
「はいっ!」
今日の仕事中よりも力強い返事だった。
リナは楽しそうに果物の籠を持ち上げ、カリンと共に調理のできるスペースへ向かっていく。
その後ろ姿を見送りながら、アルバートはライカンへ視線を向けた。
「カリンは料理も得意でしたね」
「ええ」
「では、彼女に期待しましょう」
「そうですね」
ライカンは一度言葉を切り、2人が向かった方を見る。
「……リナが、どこまでカリンに任せてくれるかですが」
「なるほど」
希望的観測には、まだ早かったらしい。
やがて奥から、楽しそうなリナの声と、それに応えるカリンの声が聞こえてきた。
今日1日、アルバートが担当した依頼は実に平穏だった。
設備の設定漏れを1つ見つけ、忘れられていた木箱を1つ確認した程度で、それ以外には何の問題も起きていない。
どうやら本日最大の懸念事項は、仕事を終えた後に待っていたようだった。
「……ライカン」
「何でしょう」
「何事もなく完成することを願いましょう」
「ええ。私も同じ気持ちです」
2人はそれ以上何も言わず、しばらく奥の方から聞こえてくる声に耳を傾けていた。
その日の夜。
一通りの騒動も落ち着いた頃、アルバートは脳内の掲示板へ意識を向けた。
【転生者掲示板】
「機械執事」
今日は平和だった
屋敷掃除して設備直して終わり
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「ビデオ屋副店長(仮)」
いいな
こっちは今日も店番してた
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「シーホースCEO」
そっちも十分平和じゃない
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「ビデオ屋副店長(仮)」
平和だよ
めちゃくちゃ平和
このまま何も起きないのが一番
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「ちびリス博士」
副店長おにい
またお店でだらだらしてたー?
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「ビデオ屋副店長(仮)」
してません
真面目に働いてました
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「半々医者」
信用できんな
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「ビデオ屋副店長(仮)」
なんでだよ
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「おっとり師範」
ふふ、副店長さんには日頃の積み重ねがありますからねぇ
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「ビデオ屋副店長(仮)」
悪い意味で積み重ねるな
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「機械執事」
日頃の行いだろ
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「ビデオ屋副店長(仮)」
お前までそっち行くの?
アルバートは思わず小さく笑った。
ヴィクトリア家政で仕事をしている時なら、まず口にはしないような言葉だ。
だが、ここではそれでいい。
「機械執事」
まあ平和なら何よりだな
今日はこっちも本当に何もなかった
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「シーホースCEO」
何もない日って大事よね
最近ほんとに
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「半々医者」
同感だ
患者が来ない日ならなおいい
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「おっとり師範」
こちらも今日は静かでしたよぉ
こういう日が続いてくれると嬉しいですねぇ
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「ちびリス博士」
あたしも今日はへいわー!
新しいの作ってた!
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「ビデオ屋副店長(仮)」
何作ってた?
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「ちびリス博士」
まだひみつ!
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「半々医者」
爆発する物ではないだろうな
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「ちびリス博士」
しないよー!
たぶん!
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「機械執事」
最後の一言で不安になったぞ
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「ビデオ屋副店長(仮)」
まあいいや
明日も全員平和に過ごそう
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「シーホースCEO」
それフラグじゃない?
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「機械執事」
言うな
アルバートはそこで掲示板から意識を離した。
明日になれば、また別の仕事が待っている。
掃除かもしれない。
給仕かもしれない。
護衛かもしれない。
あるいは、予想もしない依頼が舞い込んでくるかもしれない。
それでも、やることは変わらない。
仲間と共に依頼へ向かい、求められた仕事を果たして帰ってくる。
アルバートにとって、それがヴィクトリア家政で過ごす日常だった。
そして今夜くらいは、この何事もなかった1日に満足してもいいだろう。
新エリー都では、そんな平穏ほど貴重なのだから。