走り続けたナマモノの二周目 作:須々木三郎
バグがとれたウチの成長
次の日の朝、
起き上がろうと思っても、痛すぎて動くことも出来ない。
助けを呼ぼうにも声量が全く確保できない。
余りにも無力だと思いながら、ウチはいつもよりゆっくりと過ぎていく時間を過ごしていた。
せめて携帯電話があれば…そう思いながら。
夕方、仕事を終えた義母が帰ってきた。
出迎えもないのが心配に思ったのか、義母はウチの部屋にやってきた。
そして話を聞いてある程度察した義母は布団をめくった…
その時のことは、衝撃的すぎてあまり覚えていない。
後で聞いたところ、その日の夕飯は急遽お赤飯になったらしい…本人が食欲なくて食べれないのに何やってんだ。
ちなみに、私の股間はペットシーツにくるまれた。
更に下には、ウチの義理のひいおじいちゃんが使っていた防水シーツも敷かれることになった…この対応って正しいの?
相変わらず辛い腹痛と格闘しながら色々と考えてると、
ウチの記憶は、奪われただけではないことがわかった。
どうやら、足された知識もあるらしい。
まず、この町、及び隣の市の一部の土地勘が上昇した。
自宅周辺…はそれほどでもなかったのだが、
大雑把な道なら大体わかるようになった。
本当ならもう少し細かい場所まで覚えているかもしれないけど、思い出そうとすると頭痛が酷くなったのでやめた。
次に、なぜかは知らないが鉄道に関する知識が少しついた。
まだ全てを正確に把握しきれてるわけではないが、
ひとまず、朝のラッシュ時間帯に419系…とかいう折れ戸のついた鈍行には乗らないほうがいいことはわかった。
それと、一昨日くらいまでは、使えたら便利そうだなと思っていた近所のローカル線に対する印象がガラリと変わってしまった。
乗ると何か事故に巻き込まれるしれない…なぜかそう強く思ってしまうのだ。ウチ的にはわけがわからないけど。
後は、運動や体育に関する意識も大幅に変化した。
前世の私は運動音痴で、体育なんて大嫌いだったのだが、
今では、むしろ身体を動かしたくてしょうがなかった。
この辺は、
ついでに、今までは女の子を恋愛対象に見ていたのが、この身体にとってはある意味普通なのだが、男の子を恋愛対象に見るようになった。
ただ、何故か性欲については今まで以上に強くなってしまった。例えて言うなら、貞操逆転世界の女子みたいな感じだ。
後は、同じクラスの鈴木だか本田だか知らないが、どこかの自動車メーカーみたいな苗字の男子が急に気になり始めたくらいか…これが一番わけがわからない。
まぁ、情報を得ようにもしばらくは学校にも行けないし、クラスメイトに電話をかけて聞いてみるのもなんだか恥ずかしい。
とりあえず今日は寝ることにしよう…寝れればいいけど。
怪我した指の糸が1本勝手に抜けてました…
もうやだ…