走り続けたナマモノの二周目 作:須々木三郎
保健室を後にして、普段よりも遅く帰宅した
彼は、普段なら専門学校を終えた後は、あの不味いことに定評のあるファミレスでバイトに勤しんているはずなのだが、偶然にも今日はシフトが割り振られていなかったらしい。
不完全燃焼感があったので、散歩に付き合ってくれないかウチはアニキに頼んでみた。
しかし、それはなぜか認められなかった。
理不尽すぎるので理由の説明を求めると、どうやらウチの身体は徒歩での通学だけで既に限界を迎えているらしい。
学校が休みの日だったら散歩はいい気分転換になるし、その時に予定がなければ付き合う…とは言われたが、今日はもう安静にしているように、と強く言われてしまった…ぐすん。
結局、その日は将棋で暇をつぶすことになった。
ウチは、まだルールをやっと覚えたくらいの初心者なので、そんなヘボと指しててもあまり楽しくはないと思うのだが、
アニキは嫌な顔をすることもなく、むしろウチが変な手を指す度に指導してくれた。
将棋なんて…という言い方は失礼だと思うけど、ウチからしてみては生きていくのに必須とは思えない。
そう思ったのが顔に出ていたのか、アニキは将棋を覚えることの必要性について説明してくれた。
どうやら、近所の引退したご老人方は将棋をたいそう好んでいるらしい。
近所付き合いや暇つぶしのときに、将棋がある程度指せると彼らからの好感度が上がりやすくなる。
アニキの場合もそうだったらしく、運動することが危険なウチにとっては、なおのこと将棋は必須スキルらしい。
ちなみに、ウチの家には間食の類はほぼ常備されていない。
なので、アニキは昔、どうしても間食を摂りたい時に、将棋を名目にご老人のお宅にお邪魔して、対局しながら煎餅やら何やら食べていたらしい。
あくまでもウチがこれ以上の運動が出来ないのは、ウチの異常レベルの低体重が原因らしいので、うまいこと近所付き合いもしながら体重を増やしてみたらどうか。
そのために必須…とまではいかないかもしれないが、覚えておいておいて損はないらしい。
ちなみに、今までは朝食や夕食の時、出されただけの量しか食べていなかった。
ある意味ウチ居候のようなものだと勝手に思っていたので、ついつい遠慮してしまっていたのだ。
その事についても気付かれていたのか、アニキは
「おかずならともかく、ご飯くらいなら
遠慮なくおかわりしてもいい。
むしろ、その方が母ちゃんも喜ぶと思う」と言ってくれた。
…そうか。ウチってそんなに危険な状態だったのか。
運動部で身体を動かしたい、なんて考えてたけど、普段の徒歩での通学ですら命がけの行為だったのか。
そりゃ、先生方から心配されて当然だ。
…でも、なんでウチはこんなに痩せてるんだろ?
気づいた時にはこの体重だったから、これが普通だと思っていたのに。
…とりあえず夕食の時にでも聞いてみるか。
一ちゃんと豊田イネの関係性
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スキ
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