走り続けたナマモノの二周目 作:須々木三郎
昨日までの激務を終えた
数日前の超大型台風の影響で、
そういう魂を見つけて担当に報告し、時にはその場で簡易的な裁判を行って魂をあるべき場所へと誘導する。
それが
放棄地区…と言ってもあくまで人間が定住してないだけで、そこでは日本、果てには世界の人たちが愛してやまない高級米の生産が行われています。
一時期は化石燃料の使用による地球温暖化の影響で、これらの米の生産も日本では不可能になるところでしたが、自然由来エネルギーへの完全な移行、そして二酸化炭素の回収技術の確立により、今の日本の気候は、元号…だとあまりにも昔過ぎて思い出せませんが、西暦だと1980年代頃の状況まで戻ったようです。
そんなことを考えていると、急に嫌な予感がしてきました。
感じるもの自体はいつもの「取りこぼし」なんですが…
相当厄介な案件な気がしてなりません。
放棄地区で取りこぼし…そもそもありえないはずなんですが…
しばらくして、ようやく該当の魂を見つけました。
まずは上司に連絡して、時間外勤務の許可をとります。
2000年代ではそこまで厳格ではなかったらしいですが、
今では少しでもサービス残業みたいなことをすると労働基準法違反で
幸いにも許可はすぐにおりたので、魂の解析を開始します。
…嫌な予感はすぐに判明しました。
どうやらこの魂、死んでから数百年くらい放置されてたようで、このまま裁判を進めてもいいんですが、その場合は日本の閑散地区…要は首都圏以外を管轄してる担当、更には過去の担当の方々にも重い処分が下ってしまいます…
見なかったことにしよう!…っていうのが一番簡単ですが、この魂を今後数百年放置するのは、さすがに良心が痛みます。
となると次に一番てっとり早い手段は…魂の破壊です。
本来なら地獄にも送っても更生の余地がない、超極悪人に対してのみ行われる手段ですが…ログも残らないし大丈夫でしょう。
さて破壊しよう…と思って道具を準備してたのですが、
猛烈に嫌な予感がしました。
気になるので端末を立ち上げて、魂の詳細を調べます。
詳細の解析結果ですが…まず享年は40歳前後。
2000年代前半に過労死…今ではありえない言葉ですね。
主な犯罪歴は…著作権法違反と軽微な道交法違反が複数回。
そして…魂が保有してる熱量が…戦術核1つ分…
…は?
なんで軍人でも放火殺人犯でもないこの魂がそれだけの熱量を?
流石に気になるので熱量の由来を解析してみたら、今では想像もつかない理由が出てきました。
そう。化石燃料です。彼が文化的な生活を送るのに燃やされた分だけでも凄まじいのに、彼がハンドルを握って消費してきたレギュラーガソリンの消費量も無視できないレベルで大きいです。
こんな魂を破壊してしまったら…この辺一体消し飛びます。
そしたら私は、爆発物使用か何かの罪で裁かれます。
同僚たちに裁かれるならまだマシですが、
人間たちに裁きを委ねられてしまったら…最悪です。
数十年前に、同様に高エネルギーの魂を誤って破壊して、
人間たちに裁かれた後の同僚の姿は…思い出したくないですが…確か完全に精神が崩壊して幼児退行していました。
職務の遂行が不可能と判断された同僚は、今では人間界で二次電池のような存在として扱われています。
冗談じゃない。そんな運命
となると…今から適当な肉体にこの魂を放り込めばいいんでしょうが、そんな都合のいい肉体は今の世界には存在しないでしょう。
となると過去…ちょうどこの魂が生きていた時代で検索をかけてみますか…魂のOSは日本語みたいだから日本限定で…
流石にそんな都合のいい肉体、そう簡単に見つからないとは思うんですけど…
なお、CV:家中宏のイメージです