走り続けたナマモノの二周目   作:須々木三郎

23 / 23
決意を固めて、まわり道

ぼっちだったはずの(ウチ)に、いつの間にか勇者イネ(ヒーロー)がついていた。

余りにも衝撃的すぎる展開についていけなかったのか、

またしてもウチは、子機を片手に気絶(フリーズ)したらしい。

しかも、夕飯が出来たことを義母が部屋に伝えに来るまで、誰一人としてそれに気づかなったという…泣いていい?

 

それにしても、いつの間にかウチは、勇者の護衛対象(プリンセス)までランクアップしたのか…

お姫さま、を名乗るには、いくらなんでも守りきれてないものが多すぎる気がするのだが…

何かウチに残ってるものがあればいいんだけど…

 

 

そう考えていながら眠りについたウチは、次の日はいつも通り、学校があっても余裕で間に合うくらいの時間に目が覚めた。

その時気づいた…あるやん、ウチにまだ残ってるもの。

そう思ったウチは、義母に病人たちの状況を聞いてみた。

義父と義兄の熱は、もう少しで治まるくらいにはなってきたが、今日はまだ安静にしていたほうがいいレベルらしい。

 

…ちょうどいい。計画は今日、実行しよう。

「お義父(とう)さん、ウチ、隣の市に行ってきたい。

 だから交通費とか含めて…5千円くらいもらえるかな」

数日ぶりに家族で囲むことが出来た朝食の食卓で、

ウチは、珍しく家族に小遣いを要求した。

…大型連休での自分の不甲斐なさは、彼自身も感じていたのだろう。

要求は通った…念のため多めに言った金額そのままで。

 

次は、()()を確保出来るかどうかの確認だ。

部屋に戻ってパジャマから着替え始めたウチは、

唯一知っている電話番号に電話をかけた。

 

『はい、豊田(とよだ)です。どちら様ですか?』

今日はイネが最初に出た…なら計画通りにいくかもしれん。

「もしもし、田上(たがみ)や。

 今日、母ちゃん家におるん?」

『いや、今日は仕事に行ってて夕方まで帰ってこないよ』

…よし。そう思ったウチは思わず手を握りしめた。

「…ならちょうどええ。昼過ぎくらいに

 お前の家に行こうと思うんやけど、大丈夫か?」

しばらく返答がなかった…なんでやろ?

『オマエ少しは危機感とかそういうのを持ったら…

 いや、言っても多分通じないんだろうな。

 大丈夫。特にボクの用事はないから。』

「なら決まりや…12時台の電車でオマエの家の

 近くの駅に行くから、出来たら迎えに来てくれ」

『…わかった。』

その言葉を聞いたウチは電話を切った。

 

着替え終わったウチは、すぐに近くの駅に向かった。

一本しかないホームで電車を待つ間、ウチは少し震えてた。

 

…大丈夫。イネはウチを使()()()奴らとは違う。

そう自分に言い聞かせていたら、1両しかない電車が来た。

整理券を取って電車に乗り、終点まで乗ったウチは、

改札で運賃と整理券を渡し、少し歩いた先にある、

身についた土地勘通りの場所にあった格安カットの店へ。

…もしなかったらどうしよう、と思っていて、

義父からは多めに予算をもらっていたのだが、

無事にあったので、そこでボサボサの髪を整えてもらった。

 

終わったらすぐに、今度は乗ってきた路線とは違う、

()()()()()()安全に乗れる別の鉄道会社の駅へ。

券売機で切符を買って、ホームにいた3両編成に乗り込む。

発車ベルが鳴って、電車は目的地へと向かい始めた。

 

待っとれよ勇者(イネ)

ウチが、お前に最強の剣を授けたる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

壊れかけの聖女に俺がインストールされたらしい(作者:あまぐりムリーパー)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

聖女ちゃんが、心を閉ざして動かなくなっちゃった、どうしよう!?▼せや、適当にそこら辺の魂突っ込んどけばええやろ!▼それで、俺が選ばれたってわけ▼んで、死なない体で化け物退治とかさせられてたんだけど、なんか聖女も狂信者も神官くんも、様子がおかしくない?▼※不定期更新▼カクヨム、小説家になろうにもマルチで投稿始めました


総合評価:3925/評価:8.18/完結:94話/更新日時:2026年08月11日(火) 20:15 小説情報

TS転生したし病弱系ヒロインになりてぇ!! なった!!!(作者:燕目)(オリジナルファンタジー/コメディ)

その男は病弱系ヒロインというものを愛していた。▼今際の際までそんな存在になりたいとさえ思っていた。▼そんな男がTS転生したら?なるしかないだろ病弱系ヒロイン(健康体)に……!


総合評価:4637/評価:8.71/短編:14話/更新日時:2026年09月19日(土) 19:14 小説情報

元TS聖女は生まれ直して分からせられるそうです(旧題:元TS聖女の受難)(作者:黄金りんね)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

聖女は命を引き換えに世界を救った。▼しかし、女神も、仲間もそんな結末は認めなかった。▼自分の過ちと向き合え、と世界に放り出されたは良いものの。▼何一つ理解していない聖女は、その地位を失ってなお――。▼自分の価値を理解できなかった少女が、今生でゆっくり「分からされる」お話。▼「で、でも――私は力と地位がなければ、ただのゴミですよ?」▼「これは教育やろなぁ……」…


総合評価:5318/評価:8.78/連載:8話/更新日時:2026年09月16日(水) 23:35 小説情報

アラサーTSメスガキ魔法少女に煽られて恥ずかしくないの?♡ざぁーこ♡(作者:夏川優希)(オリジナル現代/冒険・バトル)

アラサー社畜男性がメスガキ魔法少女に転職し、(口が勝手に)敵を煽って煽って煽りまくってボコボコにやっつけちゃう話。▼七瀬律はブラック企業でパワハラ上司にこき使われる社畜である。▼オフィスにて突如怪人に襲われ、死の淵に追いやられた律は思った。もっと自由に生きれば良かった、と。▼その願いに魔法の力が応えた。▼律は魔法少女に変身したのだ。▼アラサー男性なのに。しか…


総合評価:11898/評価:8.76/連載:79話/更新日時:2026年09月19日(土) 12:44 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>