走り続けたナマモノの二周目   作:須々木三郎

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助かるなんて、甘かった

「お父さんもお母さんも大嫌い!こんな家出てってやる!」

山奥にポツンとある一軒家から出ていった(ウチ)

一本道を辿って、ふもとの街に行くなんて一人でも問題なく出来ると思ってた。

 

正直に言おう。(ウチ)の予測は甘すぎた。

夜に電灯の全くない未舗装の山道を、懐中電灯もなしに正確に辿って降りていくなんて、正直大人でも難しい…はず。

(ウチ)の家族がそんなこと出来るかは聞いたことないからわからないけど、冷静に考えたら少なくとも私には無理だ。

あっという間に森に迷い込んだ私は、滑って下に降ろされた。

何かに引っかかって止まったと思ったら、突然左手に激痛が走った。

様子を見ようと思ったが、暗すぎてどうなのかわからない。

とりあえず分かるのは、何かに左手をつぶされて動かせない。

ただそれだけだった…

 

(ウチ)に十人目くらいの弟妹(きょうだい)が出来る。

そう聞かされたとき、またか…とは思ったが嬉しかった…

数日後、お父さん(アイツ)(ウチ)使()()までは。

 

翌朝、(ウチ)はお母さんにその事を伝えた。

何て言われたかは…正確には覚えていない。

ただ、お母さん(アレ)は「自分は無力だから何も言えない」

「一度使()()()()なら次からは大丈夫でしょ」

「私も限界だから手伝ってくれると助かる」

…などと、今までのお母さん(アレ)からは信じられない言葉が出てきた。

 

疲れ果てた(ウチ)は、自分の部屋に帰って不貞寝した。

そして夜。一つ年下の弟が部屋の扉を開ける音で飛び起きた。

そして、さっきの捨て台詞を放って身一つで家を飛び出した。

このままこの家にいたら、また使()()()()

だから、(ウチ)はあの家から逃げなくてはならない。

とりあえずふもとにたどり着ければいい。

平日の昼間に外を歩く子どもの姿を見れば、誰かしら声をかけてくれるはず。

そうすれば、お父さん(アイツ)は警察に捕まるだろうし、うまくいけばお母さん(アレ)とも二度と会わなくて済む。

そう思っていた(ウチ)は…なんて浅はかだったのだろうか。

 

二度と会わなくて済む。そこだけならもう達成出来そうだ。

ただ、(ウチ)が死んでしまったら何の意味もないだろう。

自由なんてやって来ない。永遠の「無」がもうすぐ迎えに来る。

そう考えると、私は少しだけ怖くなった。

でも、少しだけしか怖くなかった。

まだ恋人でも何でもないお父さん(アイツ)の相手をするくらいなら、死んだほうがマシだ。

 

そんなこと考えているうちに、周りは吹雪になっていた。

寒さを感じながら、(ウチ)は意識を手放した。

出来ることなら、次に意識が戻ったら幸せな場所にいたい、そう思いながら…




なお、書き溜めが間に合わなくなり次第亀更新になるもよう
どことは言わないけど、エタることには定評があるので…
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