走り続けたナマモノの二周目 作:須々木三郎
自宅休養…
産婦人科に行って家族をとりあえず安心させてあげたり、
図書館に行ってみたら、前世の愛読書が少なすぎてびっくりしたけど、本を読むこと自体は楽しいことを思い出したり。
中学生で出来ることは少ないことを改めて実感したり。
急にやりたくなったので、近所をジョギングくらいのペースで走ってみたら、意識を失って救急車で運ばれたり。
…とにかく、あまりいい思い出はなかった気がする。
その次の月曜日。ようやく中学校はウチの登校を許可した。
停学になったわけでもないのに「許可」なんて言い方をしていいのかはわからないが、半分スキップしながら学校へ向かった…途中で力尽きて危うく遅刻しそうになった。
ちょうど学校では部活動選びの時期だった。
田舎の学校らしく、運動部はそこそこあったが、文化部はそこまで数がなかった。
前世の私は中学も高校も文化部だったし、
先日ジョギング中に救急車で運ばれたのもあったので、
まずはその方向で考えてみたのだが…
美術部では、絵筆を握った瞬間壊滅的なセンスを披露し、
吹奏楽部は…流石に片手で出来ることは少なすぎるし、
何より合奏とか合唱とかの団体活動には苦い思い出がある。
放送部にも一応行ってみて、声質自体は褒められたが、
アクセントや訛りが致命的すぎる、とやんわり断られた。
そして、もう一個あった文化部は…実質女人禁制だった。
というわけで文化部への道が全滅したウチは、すっかりとやる気を無くしてしまい、今日は帰ることにした。
昇降口からでた途端、なぜか犬のフンを踏んづけた。
…この学校のセキュリティ、本当に大丈夫なのか。
運動部しか残ってない…ウチは軽く絶望しかけた。
前世の私は、はっきり言って超がつくレベルの運動音痴だ。
高校1年のとき、やっと50m走で10秒を切れたと喜んだら、
そんなの小学生でも出来て当たり前だと笑われた。
テニスでは場外ホームランを連発してボール代を弁償した。
体力測定では…長座体前屈で20センチ弱なんて記録が出そうになって、からかわれて腰を押されたら腰骨にヒビが入った。確か全治2カ月はかかったはず…
大人になってからも、階段から足を滑らせて、右手をついたら複雑骨折を起こして、それが遠因で仕事を退職する羽目になった。
スキーをしてたらいきなり目の前が灰色になって、危うくコース外の崖下に転落しそうになった。
唯一前世の私が人並みに出来たのは、確か水泳だったはず。
25mプールを潜水で泳ぎ切るくらいしか出来なかったけど。
でも、残念ながらこの学校には水泳部はなかった。
…本当にどないしよ?