エセ・スパイダーマンがノー・ウェイ・ホームに参戦する話 作:マッキーガイア
遠い昔 はるかかなたの
銀河系で…
刑務所が破られた。様々なヒーロー達が倒してきた敵が街に一斉に放たれてしまったのだ。
エセ・スパイダーマンことベン・ライリーは奴らの退治に赴くが…敵は大勢、こちらは一人。戦力差は凄まじい。だが、ヒーローは一人ではない。
きっと、ディフェンダーズあたりが来てくれる……え、作者が履修できてないから来ない。来ないらしい。
そんな最中、脱走した犯罪者の一人から貴重な情報を手に入れる。どうやら刑務所の牢が破られたのには異世界からの来訪者が関係しているらしい。特徴を聞けばとても見覚えのある姿を幻視した。
敵の正体と目的を探るスパイダーマン。しかしとて、その裏でも物語は動き出す。別行動をしていたピーター・パーカーもまた情報を手に動き出すのであった…
THWIP!
THWIP!
THWIP!
暗闇が世を覆って間も無く。ピーター・パーカーことスパイダーマンは一人で森をスウィングしていた。
しかし、その身姿はいつもの赤いスーツではなく、黒と金色だ。何故そんな姿かと言われれば、前話で言っていたインクが結局取れなくて少しでもマシな状態でいこうと裏側にして着ているからである。
肩などから配線が剥き出しで少し不恰好だが表面を考えるとマシだろう。
『うわ、よく酔わないね。』
胸元でガチガチにガムテープで貼り付けられたスマホからMJの声がする。
通話状態にしてMJとネッドに経過観察をしているので所謂、椅子の人って感じだろう。
『でも、よかったの?ベンに来てもらわなくて。』
「大丈夫だって。ベンには例の脱獄した囚人たちの対応して貰ってるし、こっちに関しては完全に自分ごとだから悪いよ。」
『だとしても、このビームシールドみたいな牢屋にいる奴らみたいのと戦うんだろ?』
「……まぁ、サノスよりはマシでしょ。」
冗談にもならない言い訳を並べながらもスウィングする。誰も笑っていない様だ。
しばらくして、とある森の広場に降りた。
先が見えない暗い森にその端で動く何かの影、スウィングしている間には気がつかない様な恐怖が悶々と浮いてくる様だ。
『なんか動いた?』
「かも…、でも暗すぎてわからない。」
『本当に此処にいるの?』
『わかんないよ。でもネットじゃ…』
「シッ、静かに。」
ネッドが何かを言うのを妨げる。
何か、変だ。脳内が何かを警告している感じがする。
『ムズムズ?ムズムズきた?」
そう問いかけてくるMJ。
たしか、ベンがスパイダーセンスと呼称していたあれ…多分それが脳内に響いているのだ。
汗が出る。警告がだんだん酷くなる。
先程まで無かった何かが、そこで出来上がっていく様な感覚に戦慄を覚える。
ゆっくりと右腕にあるドクターストレンジに託された魔術のガントレットを起動した。
振り返れば、電線から青い人影が立ち上っている。その青い姿はまるで幽霊の様。
見るだけで、物体と自由電子を行き来している存在であろうと分かった。
「これ、見えてる?」
『うん、見えてる。』
『オズボーンか?』
「いや、あの人はグリーン、この人はブルー」
とりあえず交渉してみる。
「あのー!別の世界から来たりしてないよね?」
返事はない。
『何してるの?』
「充電してるみたい。」
『それヤバそう捕まえて!』
焦ったMJの声が聞こえて、僕はガントレットを青い人に向けるとそこからビームが飛び出した。
あのビームに当たるとサンクタムの地下牢にワープする仕組みなのだが、見る限り自由電子である彼には意味がないらしい。ビームがすり抜けてしまった様だ。
『うわっ!?』
二人の絶叫が響く。どうやら向こうに何かワープした様だ。多分木だろうか。
乱用は出来ないなと反省しながらも奴を睨みつけるが、鳴り響いていたスパイダーセンスが痛いくらいに反応して、反射的に緊急回避を選択した。
瞬間、凄まじいほどの雷鳴と閃光が迸る。
それは激しい爆発エネルギーとして先程僕がいた場所を破壊した。
「うっそ!?」
奴を見れば次弾を装填し終えた様でさらに追撃をしてくる。それをセンスに従って回避をしていく。
『右!右!!!左!!』
スマホからネッド達の悲鳴にも似た指示が飛んでくるがそれが役に立つ事はなかった。
次の瞬間にはエネルギー体の人影がスウィングしていた僕の前方に突然、姿を現す……と同時に稲妻を発射して僕を弾き飛ばした。
「ぐうぉっ!?」
胸元に命中したその稲妻は黄色い閃光を迸らせながら全身に回る。
と同時に地面に顔面から着地した僕は砂埃をたてながら無様にも地を這う結果となった。
二人の声が聞こえなくなった。ケータイ壊れてないよね…?
そう少し怯えながらも顔を彼に向けると、どうやらトドメの一撃が充電し終えたらしい。
「……まずい。」
呟くと同時に先程より大きい稲妻が僕に向けて発射された。
凄まじい雷光と雷鳴。逃げようにもまだ体制を崩したまま身動きがとれていない。そのまま受ける羽目となる筈だったその時、僕を守る様に地面から砂が立ち上りまるで壁の様にかの閃光から身を防いでくれた。
「…何!?次は…!?」
心の声が漏れるがその疑問は数秒で霧散した。
立ち上った砂の壁に人影が現れたのである。
「…ピーター、覚えているか?フリント・マルコだ。」
「…喋った!?ってごめん。僕は君のピーターじゃない。」
「俺のピーターってなんだよ?と言うか、これはどういう状況だ?」
「説明するけど、まず奴を止めるの手伝って!」
「分かった。」
マルコと名乗った砂の彼はしばらく、僕を見つめると指示を仰ぐ
「僕が奴の電源を断つから、貴方は注意を引いて!」
「わかった!」
指示を出せば、彼が僕を守りながらいつの間にか黄色くなっていた電気の人影に向けて砂をまるで竜巻の様に覆い出す。
僕は慌てつつも、マルコが奴を惹きつけている隙に送電塔を登り、エネルギー源を断つ為に周りの電線のアークホーン部分に片っ端からウェブを貼り付けた。
「う……ぁぁぁぁ!!!」
送電塔の上で思い切り電線を引っ張り、無理矢理にでも引き抜く。単純であって、理があるやり方だ。
ブチッ、ブチブチッ!!!
音を立てて引き抜いた瞬間、まるで辺りが朝の様に明るくなり、その様はまるで日本の花火である。
「……っく!?」
瞬間、力任せに引いた為に自分の位置関係を理解し兼ねていたのだろう。
僕は送電塔から真っ逆さまに落下した。
だが、さすがはスパイダーマン、ヒーロー着地を敢行した。
見ればエネルギーを失ったのか地に伏していく黄色い影、僕はマスクを脱いで影に近づいていった。
「…別のピーターか、解せんな。」
「あ、どうも。」
急に響いた声に驚いて振り向くも、そこには先程まで一緒に戦ってくれたマルコがいた。思わず、ハイタッチをしようとするが、先に彼の手を壊してしまった様だ。
「あ、ごめん。」
「いや、いいけど」
壊してしまった手に謝るが、気にしていない様だ。
そうして、電気の彼を見れば、そこには先程まで光り輝いていた人影ではなくどこにでもいる様な黒人男性が立っていた。
全裸で…
うわぉ、いや、ごめん失礼だった。
体に流れる電気を見て驚いている様だけど、どうしたんだろうか…とその瞬間だった。
脳に電気が走った様な感覚が…これはスパイダーセンス…?
瞬間だった。僕はセンスを頼りにその場からバックジャンプを決行した。
それを見ていたマルコが何かあったのかと僕に視線を寄越したが、次の瞬間にはマルコは白黒のエネルギー波の様なナニかに吹き飛ばされていた。
「なっ!?」
見れば、まるで何十年も前の写真の様に白黒に燃えている。地面だけがあった。
「マルコ!?」
「大丈夫だ。ピーター!俺は平気だ。」
離れた砂ぼこりから彼の顔が現れる。どうやら死んだわけではないらしい。
「まったく!!次はなに!?」
「わからない。」
そんな風に話しながら、先程のエネルギー波の発射地点を見つめる。
すると、森の木の陰からまるで白黒に輝くアジア系の男が現れた。スーツを着てまるでその様は普通のサラリーマンであるが、白黒に輝いている点だけおかしかった。
「……スパイダーマンか。また私の前に現れるか。」
「また、僕と知り合い?
もう、本当にこれ以上変な奴増えないでくれる!?カオスなんだけど!!」
「……え、君もスターウォーズ好きなの?」
「アメリカ人で嫌いな奴の方が特殊だろ。」
「あ、そうか!そうだよね。ごめんね。地元じゃ、スターウォーズあんまり知らない人の方が多くてさ。いやぁ、勿体無いよね。」
「ああ、確かにそれは勿体無いな。」
遅れました。すみません。遅れた理由は話がほぼ原作準拠だったが故です。