だから、キャラの口調がおかしかったり、崩壊したりするけど、許してください。
色々言ってるけど、言いたいことは一つ!
おでんの口調がわかんない!!
私は、この世界を心の底から楽しめなかった。
だけど、彼と、おでんと過ごした日々だけは楽しかった。
…楽しかったんだ。
***
アシュラ童子を倒したあと、私は九里の連中をすべて集めた。
皆、さっきまで私にぼこられていたせいで、立っているのもやっとの状態だ。
「今後の方針を伝える」
そう言うと、全員が息を呑んだ。
「お前たちは、私のために家を建て、作物を育てろ。以上!」
元農民の盗賊たちは、しぶしぶながらも頷いた。
だが、元侍の連中とかは不満げに顔をしかめる。
「なぜ我らがそんなことを……」
不満そうにしてたから、私は地面を思いきり叩きつけた。大地が揺れ、砂埃が舞い上がる。
侍たちは一瞬で黙った。
「私に従え。従わない奴はぶん殴る。今までは、やっちゃってたかもしれないが……これからは殺しはしない。私の労働力が減るからな」
結局、なんだかんだで皆従った。
逆らう者もいたが、軽くぼこったらすぐに大人しくなった。
***
月日が流れ、私の家――いや、屋敷と言っていいものが完成する頃には、私はすっかりやることがなくなっていた。
逆らう者はいない。細かい管理はアシュラ童子が全部やってくれる。
私は一日三食、屋敷でゴロゴロするだけの夢のひきこもり生活に突入した。
だが、今まで戦い続けていたせいか、身体がうずうずしてくる。
もともと私はこんなにアグレッシブな性格ではなかったはずだが、食べた悪魔の実がゾオン系だったせいか、妙に活動的になっている。
そこで思いついた。
「闘技場と賭け事だ」
九里の人々は私に逆らわなくなったとはいえ、内心ではストレスが溜まっているようだった。
ならば、戦いたい者には戦わせ、戦いたくない者には娯楽として楽しませればいい。
勝敗で賭け事をすれば、さらに盛り上がるだろう。
優勝者には、賭けで儲かった金と私への挑戦権(強制)
この二つを与えることにした。
***
大会を始めると、皆アシュラ童子に賭けた。
そして優勝は当然アシュラ童子。彼との戦いは、当然私の勝ち。
「はぁー……つまんないなぁ……」
私は心底退屈した。
そこで二回目以降は、アシュラ童子を出禁にし、優勝者はアシュラ童子と戦わせることにした。
こうして私は――
見事に完全なひきこもりとなった。
***
ひきこもり生活は、暇で暇で仕方がない。
前世では「ひきこもり」が社会問題になっていたが、そもそも問題になるほどひきこもれたのは、前世の娯楽が発展していたからだ。部屋から一歩も出ずとも、スマホやパソコンさえあれば、無限に娯楽を貪ることができた。
「あぁー……スマホが懐かしい」
私はただ食べて寝て、なんとなく悪魔の実の能力で遊ぶだけの日々を過ごしていた。
武装色も見聞色も、ある程度は身についた。
だから暇つぶしに、能力で形を変えたり、獣形態で屋敷の中をうろついたりして過ごしていた。
ただ、獣型では、弱点である頸が8つ全て現れていた。これでは、一度にすべてを斬られたら死んでしまうから、獣型が使えない。原作の描写をみるに、頸の数は任意で変更できそうだが、まぁ、でかくなっても的がでかくなるだけだから、獣型は使わなくてもいいだろう。
人獣型への変身はまだ慣れが必要で、そこは要練習だった。
なんだかんだ言って、やることは少し見つかった。
だが――それでも退屈だった。
「はぁ……なんかトラブルでも起きないかなぁ……」
そんなことを思いながら、屋敷の縁側でゴロゴロしていたある日。
本当に、トラブルが起きた。
侍、光月おでんの襲来である!
***
おでんが来たといっても、彼は侍だ。
やたらめったら暴れまわる荒くれ者ではない。
私が外に出たとき、彼は闘技場でアシュラ童子と戦っていた。
「……なんで2人が戦ってるの?」
状況がよくわからなかったので、近くにいたやつに聞いてみた。
どうやら――
光月おでんは、九里で噂の“鬼”アシュラ童子に会いに来たらしい。
しかし、噂に聞いていた荒れ果てた九里とは違う、今の“妙に平和で統制された九里”に戸惑ったそうだ。
まぁ、大会が開催されている時なら、光月おでんに喧嘩を売るような元気のある連中は、みんな闘技場に行っているだろう。多少気性が荒い奴らも、賭け事をしに闘技場へ向かう。
そうなると――九里の町中に残るのは、闘いに興味を持てない大人しい連中ばかり。
そりゃあ、噂に聞いた“荒れ果てた九里”とはまるで違う姿に、おでんが戸惑うのも当然だよなぁ、と私は納得した。
そこで、彼は色々と見て回っていたところで、ちょうど大会が開催されているのを見つけたそうだ。
そして――
「面白そうだな!」
と、飛び入り参加。
そのまま順調に勝ち進み、優勝。今はアシュラ童子と戦っている、とのことだった。
「あぁ〜……」
退屈が、終わる予感がした。
***
おでんとアシュラ童子の戦いは、丸一日かかった。
九里の闘技場が震えるほどの激闘で、観客たちは誰一人として目を離せなかった。
アシュラ童子の豪快な斬撃。
おでんの常識外れの剣速。
互いの覇気がぶつかり合い、地面が割れ、空気が震える。
本当に、とても素晴らしい戦いだった。
私は闘技場の上段からその様子を眺めながら、胸の奥がじわじわと熱くなるのを感じていた。
「あははぁ……こんな闘いを見せられたら、私も、うずうずしちゃうよ……」
興奮が抑えられない。ゾオンの本能が、戦いの匂いに反応している。
これは予感なんかじゃない!退屈で腐りかけていた心が、一気に火を吹いた。
「おでん、おでん!
私とだ!アシュラだけずるい!私とも戦え!
おでん!」
そう叫ぶと、彼はなんか嫌そうな顔をした。
***
「ねぇー、なんで?なんで闘ってくれないの?おでん?」
「俺は今、アシュラ童子と闘って疲れてるからだ!俺は九里の鬼に会いに来ただけで、お前のような奴と会いに来たわけじゃねぇし、そもそも女子を斬る趣味はおれにはない!」
こんな感じでおでんから避けられていて、私はちょっと悲しくなった。そんな私に気づいたのか、おでんは続けて言った。
「いや、俺も闘いたくないわけじゃないんだがな。お前はワノ国で見た中で俺の次に強そうだからな。だがな…お前のような女子で幼子な奴に刀を向けるのはなぁ…やっぱり気が進まねぇ」
「えー?やろうよ!やろうよ!」
「いやだ!」
「ぶー」
そんなやり取りを何回か繰り返したが、おでんはなかなか首を縦に振らない。どうやら本当に戦ってくれなさそうだったので、私は決めた。
「そっちがその気なら、私からやっちゃうもんね!ふんっ!」
ぶん殴った。
数日は待っていたから、アシュラ童子との戦いで負った傷も既に治っているはず。
大丈夫でしょ。たぶん!
「うぉ、あぶねぇ!…気は進まねぇが、しょうがない。やるか!」
そんな感じでやっと始まった闘いは三日三晩続き、闘技場はぶっ壊れた。
彼との戦いはとても心が躍った。最初は遠慮していたのか、おでんからの攻撃は控えめだったけど、私が再生するとわかってからは、少しずつ攻撃が激しくなった。
覇気も成長し、彼にどんどん近づいていって、もっと楽しい戦いになる。
それでも、なかなか彼に追いつけはしない。
今までも、自分より強い敵と戦ったことはあったけど、心のどこかで、「こいつには勝てる」と思ってた。
だって、ゾオン系のしかも幻獣種で不死の能力を持っている私は、すぐに私が負けて終わるはずの死闘を続けてしまうことができる。自分より格上相手の死闘なんだから、実力はどんどん上がるし、相手は長期戦による消耗でむしろ弱体化してしまう。だから、勝ててしまう。
だけど、おでんは違う!
彼は、怪物だ。
体力は底が見えず、覇気も、肉体も、剣技も、鍛え抜かれていて、隙が無い。どこをとっても、彼は私より、圧倒的な格上だ。
負けるかもしれないし、頸を斬られて死ぬかもしれない。その緊張感がどこか堪らず嬉しい。
「あはははぁ、おでん!おでん!」
さすがに、三日目になると、お互いに消耗し始めた。だけど、ゾオン系の能力者である私の方が回復力は優れていた。また、消耗戦で、私の勝ちなのか。
そう思うと、途端にこの闘いもつまらないものに見えてきた。
だけど、おでんは私の退屈を見抜いたのか、より一層攻撃を激しくした。
そして――
「おでん二刀流
桃源白滝!」
「あ、ぇ――」
視界が白く弾けた。
私は頸を斬られて、死―-
***
side:おでん
都を追放されてから、俺はしばらく白舞に滞在していた。あそこは賑やかで、飯もうまいし、人も優しい。
だが――俺の性分には、少しばかり退屈すぎた。
そんな折、面白そうな噂を耳にした。
「九里には鬼がいる」
九里といえば、盗賊と無法者の巣窟。荒れ果て、誰も近づきたがらない土地だ。
そこにいる“鬼”が、盗賊たちをまとめ上げているらしい。
面白い。実に面白い。
俺は白舞を出て、九里を目指すことにした。
ただ歩くだけではつまらん。
どうせなら、ワノ国を漫遊しながら行こうと思った。
道中、色んな事件に巻き込まれた。
山賊を襲われて追い払ったりすることを幾度と繰り返すうちに、勝手に俺についてくる変な奴らが増えたり――なんともまぁ、おかしな連中ばかりだ。
だが、旅は賑やかな方がいい。俺は気にせず歩き続けた。
九里が近づいた頃、俺は一人で九里に行きたかったから、こいつらに法螺をふき、別れた。
「お前ら! 俺は、ちょっと大便いってくる!」
「わかりました!」
そう言って、俺は一人で九里へ向かった。
一人の方が気楽だし、“鬼”とやらに会うなら、余計な連中はいない方がいい。
胸が高鳴る。久しぶりに、面白いものが見られそうだ。
そう思っていたが、いざついてみると、九里は随分と穏やかな場所だった。町にいる奴らも大人しい奴ばかりだ。噂はしょせん噂に過ぎなかったがとも思ったが、気配を探ると、気性の荒そうな奴らがやけに一か所に集中してやがる。
ありゃ、何かあるな。少し楽しみにしながら、向かうと、凄い歓声だ。祭りでもやってんのかと思ったが、戦ってやがる。それに周りの奴は賭けか?なんとも楽しそうだ!
「俺も混ぜてくれー!!」
思いを抑えきれずについそう叫んでしまったが、九里の奴らはいいやつばかりだ。快く受け入れてくれた。「〇〇を倒してくれ!あいつのせいで俺の掛け金が!」とか叫ぶ奴らの声が大きかった気がするが、気にしない。
ここにいる奴らは弱くはなかった。正直九里にいるのではなく、他の郷で侍としてやっていけるぐらいには。
それでも、俺には敵わない。なかなか楽しめたが、特に苦戦はすることなく優勝!
俺に賭けていた奴は大儲けしていた。それに俺にも賞金をくれたし、いい日だ。
そんなことを思っていると、アシュラ童子に挑戦するか?と聞かれた。なんでも優勝者は九里の鬼への挑戦権を得るらしい。まだ俺を楽しませてくれるのか。勿論、挑戦した。
アシュラ童子との闘いは丸一日かかったが、実にいい闘いだった。
だが、一つ不満があった。観客席から俺に覇気をぶつけてくる奴!あいつのせいで、闘いに集中しきれねぇ!
いつ割り込んでくるかひやひやしていたが、そいつは我慢しているようだ。いつ爆発するかわからない爆弾が近くにあるような気分。おかげで、アシュラ童子の攻撃を何回か避け損ねてしまった。
何とか時間はかかったが、アシュラ童子に勝った。勝ったが、今度はそいつが俺と勝負しようと突っ込んできた。ここで、切りかかってこないだけ、まだましかと思ったが、そいつはまだ小さい女子だった。しかも無手。
そんな奴相手に刀を抜くのはなぁと気が引けてしまったし、何より疲れた。
だから、拒否した。とにかく拒否した。いつの間にかに置いてきた奴らも合流してきて、とにかくうるさい。
「いったん黙れ!俺は今疲れていて、とにかく飯が食いたい!!」
そう叫んだら、この少女が自分の家に泊めてやるし、飯も出すと言った。何でも家が広くて、使っていない部屋がいくつもあるし、私はここの支配者だから、お前らの飯もすぐに用意してやる!と大きな声で言うのだ。
アシュラ童子がここの支配者じゃないのかと少し驚いたが、確かに気配は強そうだ。だけど、こんなに騒がしい子供がここの支配者ねぇ。
それから、数日。オロチと名乗った女子はどんどんうるさくなった。
もう気分ではないが、闘ってもいいか、うるさいし。そう思うようになってきたところで、向こうから襲ってきやがった。
襲ってきたならしょうがねぇ。なんだかんだ言って、俺も闘ってはみたかった。この国で俺が見た中では一番の強者だからな、気配だけは。男だったら、遠慮はしなかったんだが、これでも俺は侍だからなぁ。女子相手に刀は向けたくなかった。でも、しょうがねぇよな、向こうから襲ってきたんだから、しょうがねぇ。
オロチとの闘いは驚きの連続だった。
未婚の女子に傷は残せねぇと少し遠慮していたのに、こいつ再生しやがる。だったら、遠慮はいらねぇな。
闘いはどんどん激しくなった。オロチは不死なんじゃ、と思うぐらい異常な体をしていた。再生速度はそこまで速くない。ただただこいつが異常なまでに元気だ。どうなってやがる。普通なら、とっくの前に失血死しているはずの血は流しているはずだ。
まぁ、細かいことは気にしてもしょうがない。こいつの成長性は凄まじく、俺に追いつこうとしていて、闘いがどんどん盛り上がって楽しい。覇気を込めて切れば、再生は遅くなる。なら、斬りまくるだけだ。
闘いは長引き、太陽が三回出ては沈み、今三度目の月が出てきた。
さすがに、俺も疲れてきた。それはオロチも同じはずだが、どうも、こいつは体力を回復しながら戦っているように見える。多少集中力などが落ちていたりはしそうだが、これでは俺の方が先に体力切れだ。
そのことに気が付いたのか、オロチは俺に落胆の顔を見せてきた。
そんな顔されたら、ここで負けるわけにはいかねぇ!こいつが頸への攻撃を徹底的に避けているのは既に分かっている。
頸が弱点なんだろ。なら、頸を斬る!
俺が勝つ!!
「おでん二刀流
桃源白滝!」
こうして、俺はオロチの頸を断ち、こいつに勝った。
…勝ったのはいいが、おかしいな。再生しない?
「こいつは、やっちまったか?」
大体、今の攻撃もこいつなら、オロチなら避けられたはずなんだがな。
***
side:主人公
前世の死とおでんによる死。
同じ死のはずなのに、どこか違う。前世の死は突然訪れた恐怖で、死にたくないと拒絶した。生きたくて、生きたくて、仕方がなかった。
なのに、なのに
今
私は、死を受け入れている!
どうして?どうしてこんな気持ちになるのかな?
あははは!わからない!わからないよ!!!
でも――胸の奥が熱い。私は、おでんに斬られた瞬間、恐怖よりも、歓喜が勝っていた。
私はおでんに殺されたい。おでんの手で殺されたい!それだけは確かだ!
おでん、私をもっと殺してくれ!もっと!!
あはははははははは
こんなだめな作者の作品を読んでくれてありがとう。
のんびりと書いているけど、なんとか今回も書き終えることができました。
頑張って自分の読みたかったものを書いていますので、温かく見守ってくださると嬉しいです。
―追記―
書いていて思ったのですが、このオロチってキャラになぜか既視感を覚えまして、なにかなー?と思いながら執筆していたのですが、ようやく気づきました!
こいつ、サマーオイル(呪術)に似ているのでは!