ダークディケイドの力持ってゼンゼロの世界に転生出来たけどカメンライドできる種類が酷すぎる。 作:そらまめまめま
「いないなぁ…」
ホロウに入ってからひたすらバイクが通れそうな道を走ってるんだけど、トラックどころか通った形跡さえ見つからない。
どこまで行ったの?
「しゃぁなし、あれ使うか。」
僕は適当な場所を見つけると、バイクを止めた。
……いや、よく止まれたね、僕。
バイクに乗るの初めてなのに、こんな悪路を走り回った挙げ句、事故も起こさず停止できたのは奇跡に近いんじゃないだろうか。
誰も褒める人がいないので自分で褒めよう
凄いぞ、僕。
無免許が何言ってんだ。
1人漫才をしながら僕はライドブッカーから一枚のカードを抜き取ってセットした。
KUUGA PEGASUS
感覚を研ぎ澄ませ、極限まで鋭敏にしていく。
意識を集中させる。
風が吹き抜ける音。
遠くで何かが崩れる音。
ホロウの奥底から響く、正体不明の異音。
余計な音をひとつずつ意識の外へ追いやり、僕はひたすら耳を澄ませた。
アキラの声。
アキラの声――。
「〜〜」
「〜〜」
「……っ!」
聞こえた。
今のは間違いなく人の声だ。微かではあるものの、確かに男性と女性の声が聞こえた。
状況からして、きっと雅とアキラだ。
2人が既に会っているなら手間が省ける。
声の方向がわかったため、変身を解除するが前回同様ドッと疲労が押し寄せてくる。
「ぐっ……しんど……」
思わずその場にしゃがみ込んだ。
これ結構致命的だよなぁ、ここはホロウの中。エーテリアスに遭遇する可能性だってある。そんな場所で、満身創痍の|無免ライダーが1人。
……字面が酷すぎんだろ。
あと誰がワン○ンマンやねん…いやあの人はバイクじゃなくて自転車か。
そう思ってしばらくじっとしていると、十秒ほど経った頃には、何故か普通に動けるくらいまで回復していた。
「……この体、どうなってんの?……と、とりあえず向かいながら考えるか」
再びバイクに走らせながら、自分の体について考える……
転生してからというもの、自分の体についてはわからないことだらけだ。
僕が扱う『ダークディケイド』は、変身するライダーの力だけでなく、そのデメリットまで引き継いでしまう。
つまり、本来ならオルフェノクではない僕が、ファイズの力を使えること自体、奇跡みたいなものなのだ。
当然、肉体への反動が襲ってきても何ら不思議ではない。実際、アクセルフォームを使ったときの疲労は、ペガサスフォームの比ではなかった。
あのときは本気で身体がぶっ壊れるんじゃないかと思ったくらいだ。
なのに。
多少時間はかかるとはいえ、いつのまにか歩き回れていた。
いや、ありがたいよ?
ありがたいんだけどさ。
普通、あんな無茶をしたら、もっとこう……しばらく動けなくなるものじゃないの?
少なくとも、僕の知っている人体はそういう仕様だったはずなんだけど。
そもそも、転生した時点で普通の人体じゃない可能性はある。
「お?いたいた」
悩んでいる間に、2人の姿が見えた。
まぁ今は悩んでいても仕方がない、すぐ治るならどんどん使うだけさ
気晴らしにちょっとイタズラしてみようかな
インビジブルのカードを出した。
INVISIBLE
話しているアキラの後ろに回り込み
「よぅ、プロキシ……随分と無防備じゃないか?」
「うわぁっ!?」
「…?」
よし。
大成功。
驚いて飛び上がるアキラの反応を見て、僕は思わず口元を緩めた。いやぁ、やっぱりこういうイタズラは楽しいねぇ。
インビジブルを解き、姿を現す。
「なんだ、お前だったか。」
「悪いな……少々、ここの空気が退屈だったもんでね」
「こういうのは苦手なんだ…本当に勘弁してくれ。」
めーちゃくちゃ2人に警戒されてる。
まぁ、よくよく考えればさっきのブレイズウッドでのあれが初の対面だし…アキラからしたら急に現れて味方しだしたんだから。
……うん。
冷静に考えれば、不審者以外の何者でもないな、僕。
アキラからすれば、何の目的があって近づいてきたのかもわからない。
味方なのか。
敵なのか。
それとも、何か別の思惑があるのか。
判断材料が少なすぎるのだ。
警戒するのも当然だろう。
「安心しろ。ここにいる間は、お前たちに手を出すつもりはない……まあ、俺にとっちゃいつ相手しても構わないが――」
僕は肩をすくめ、さも当然のことのように言い放った。
「後々付きまとわれるのは、大体めんどくさいからな」
「……」
……やったわこれ。
絶対言葉選び間違えた。
逆に警戒させた気がする。
「ここから出るには、あのデータスタンドを使うしかない……だろ? なら話は早い。俺を敵に回すより、今は手を組んだ方が賢い選択だと思うがな」
とりあえず、これ以上余計なことを口走る前に、本題へと話を戻す。
アキラはしばらく僕を見つめていたが、やがて小さく息を吐いた。
「……わかった。今は君を信じよう。星見さんもそれでいいかい?」
「あぁ、構わない……だが、通りすがりよ」
「なんだ?」
雅がこちらを向いた。
……瞬間。
ずしり、と。
まるで目に見えない何かが、僕の身体にのしかかってきたかのような感覚に襲われた。
その視線に込められた圧力。
言葉にせずとも伝わってくる、明確な威圧感。
……てか、どうしよう。
僕、まだ『ダークディケイド』って名乗ってないんだよね。
だからって、いつまでも名前を明かさないのも不自然だし、かといって今さら名乗るのもなんだか気恥ずかしい。
結果、『通りすがり』と呼ばれることになってしまった。
……いや、まあ。
間違ってはいないんだけどさ。
てか殺気に近いやつ向けられてこんなこと考えてる僕はなんなん?
転生してから戦いを知る度にこういうこと圧に慣れていく自分が怖い……しかも相手『虚狩り』だから絶対戦ったらただじゃすまないし。
まともに戦ったら、ただじゃ済まないどころか、下手をすればそのままお陀仏である。
「無用な動きは慎むことだ。私の『無尾』が、常にお前を捉えている」
怖ぇ……雅の目を見れば、それが本気であることくらい嫌でも理解できた。
「はいはい、分かってるよ。俺だって、好き好んで斬られ役をやる趣味はないんでね」
……と、口だけは強気で返しておく。
実際のところ?
めちゃくちゃ怖がってます。
いや、ほんと勘弁してほしい。
「まずはデータスタンドを探そう。」
「ならこっちだ。俺が来た道から何台か見たからな、1つは近くにあるはずだ。」
幸いなことに、データスタンドの場所には心当たりがある。
僕たちはひとまず協力し、ここから脱出するための手段を探すことになった。
すぐ近くにあったデータスタンドでアキラがデータを読み取りをしながら襲い来るエーテリアスを僕と雅で倒していく。
「はぁっ!」
襲い来るエーテリアスをライドブッカーで切り裂く。
スラッシュモード使うの久々だな、正直ガンモードが便利すぎて使う機会が全くなかった。
てか敵こんないたっけ?
この時ってまだエーテリアスはそこまで出てこないはずなんだけどな。
「どうだプロキシ、情報は取れそうか?」
「もう少し…………よし、これ近くのホロウデータは無事取得出来た。けど」
「けど?」
「撤退ルートを計算するには十分とは言えない。もっと探さないと」
僕たちはエレベーター?みたいなものから下の方へ降りる。
これなんて名前だっけ?
「1つ聞きたいんだけど、君は何者なんだ。」
「さあな。ただの通りすがりだ」
そう返したらすっごい不満げな顔をされた。
アキラ、今はこれしか言えないの。本当にごめんね。
下層に到着すると、僕たちはそのまま先へ進んだ。
やがて、錆び付いた扉に行き当たる。
そこでアキラ操作して開けてみると、その奥にはデータスタンドが設置されていた。
「ここのデータスタンドは、エーテルストリーム吸収タワーを制御しているみたいだ。解析してみよう。ただ、吸収タワーに蓄積されたエーテルが溢れ出すと、エーテリアスが寄ってくるかもしれない…」
「私が相手をしよう。」
「俺も出ようじゃないか」
「あぁ、エーテリアスのことは星見さんと君に任せた。できるだけ早く吸収タワーの制御権を取得する。」
アキラがデータスタンドへと向き直る。
その背中を見届けてから、ふと雅の方へと視線を向けた。
彼女の持つ刀が、先ほどよりも激しく震えている。
原作通りだ。
本当ならブレイズウッドで雅への弾丸をこちらで防いでおいて、暴走を回避するのも良かった。
けれど、それでは後々少々面倒なことになる。
この先の展開を考えれば、ここは原作通りに進めておいた方がいい。
「星見さんの刀、本当に大丈夫かい?必要な、電子部品をチェックすることもできるけれど。」
それでも雅は首を振る。
こうして見ると雅ってめちゃくちゃ堪えてるのね。
本当なら、今すぐにでも休ませてあげたいところだけど……。
僕にできるのは、せめて彼女の負担を少しでも減らすことくらいだろう。
「これは正常だ。データの読み取りを早く始めろ、プロキシ」
起動すると案の定近くにいたエーテリアスがゾロゾロと寄ってくる。
雅とそれぞれ武器を構えながら前へ出ると、自動でドアが閉まる。
「右は俺だ……左は、任せたぞ。」
「承知した。」
返事を聞くと同時に、僕は右側から迫ってくるエーテリアスへと駆け出した。
先頭の一体が腕を振り下ろしてくる。
「遅い」
身を屈めて攻撃をかわし、そのまま懐へと潜り込む。
すれ違いざまにライドブッカーを振るい、胴体を斬り裂いた。
間髪入れず、背後からもう一体。
「っと!」
振り向きざまに剣を構え、相手の爪を受け流す。金属が擦れるような不快な音が響き、火花が散った。
その勢いを利用して相手の体勢を崩し、返す刃で斬り払う。
これだけでかなりやったつもりだが、敵はまだまだ多い。
「今回は、こいつを使ってみるかな」
ライドブッカーからカードをだす。
「