ダークディケイドの力持ってゼンゼロの世界に転生出来たけどカメンライドできる種類が酷すぎる。 作:そらまめまめま
3人が乗るバイクが、ホロウを駆ける
どうしよ、刀のことを話してもらってない。
これがなきゃ、アキラは何も知らないままだ。結構まずくないか?
最悪、僕がいればどうにかなるかもしれない。けど、アキラにも知っておいてほしいんだよなぁ……
うーん……どうしたものか。
「通りすがり、お前に聞きたいことがある」
「なんだ?」
一瞬だけ振り返ってみたけど、めちゃくちゃ鋭い目で見られてた。
え、ここまで来てなんかやらかした?
「あの暴走の時、お前は対処法を知っているように感じた。私の気のせいか?」
……あ〜、さっすが虚狩り。
鋭いなぁ、おい。
あの状況で自分のことで精一杯だったはずなのに、僕の行動までしっかり見ていたらしい。
「確かに……僕に鞘を持てと言ってきたあたり、君はそれが解決法だとわかっていたように見えた」
追撃やめてよアキラくん!
さて、どう言い訳するか…まさか『ゲームで知ってたから』なんて言えるわけもない。
「さあな。ただ、ああいう手合いを力ずくで止めようとしても、余計にこじれるだけだろ」
いいぞ、僕!
それっぽいことが言えてる!
「だから、まずは様子を見て原因を探った。それだけさ。対処法なんて知るかよ……まあ、運がよかったんだろ」
もちろん、全部が嘘というわけじゃない。
ただ、あそこまで迷わず動けた理由を聞かれたら、さすがに困る。
……さて、どうだ?
「わかった。今はそれで納得しよう」
え、この人「今は」って言った?
僕の胃に優しくない宣言をさらっとされたけど今は無視するしかない。
「 それで、その刀はなんなんだ? 明らかに普通の刀ではないのはわかったが……」
頼むぅ、話してぇ!!
アキラには知っておいてもらわないと、後々まずいんだって!
いざという時、何も知らずに対処できませんでした、はまずすきる!
僕がいつでもそばにいられるならまだしも、そんな保証はどこにもないのだから。
だから、頼む!
そんな僕の必死な願いが通じたのか、それとも単に話す気になっただけなのか。
「……お前達になら、話してもいいかもしれんな」
よっしゃぁっ!
「そりゃありがたい。聞かせてもらえるなら、ぜひ頼む。」
「この刀は、星見家に代々伝わる家宝だ。歴代当主に仕え、勧善懲悪を成してきた」
雅はそう言って、手にした刀へと視線を落とした。
指先が、静かに刀身を撫でる。
まるで、長い年月を共に歩んできた相棒を慈しむように。
「父上がこの鞘を誂えて以来、一度も異常は起きなかった。零号ホロウの核心部へ踏み込んだ時でさえ、暴走などしなかった」
雅はそっと刀を鞘へ納めた。
「要するに、暴走の原因に心当たりはない。だが、実際に暴走した……つまり、外的要因がある可能性が高いということか?」
「その通りだ。父上なら何か知っているかもしれない。だが、今は市長と会談中だろう。おそらく、自分のグラスのワインをジュースにすり替えるので忙しいはずだ」
雅のお父さん好きだわぁ……。
……じゃなかった。
原因なんて、間違いなくブレイズウッドでのあの銃弾だろう。
でも、あんなにやばかったっけ?
原作ではあそこまで酷い暴走じゃなかったはずだ。
何故?
何が違う?
あぁ、考えがまとまらない……。
「その刀……少し見せてもらってもいいかな?」
「……なんだ。お前は刀匠の心得でもあるのか?」
あ、この展開は……
「そうじゃない。でも、その鞘は知能化されているだろう? 僕のインプラントなら、電子機器へアクセスできる」
鞘が知能化されているなら、インプラントを通じて何らかの情報を得られるかもしれない。
暴走の原因を探るという意味でも、理にかなった行動だ。
かなっているんだけど……!
そこに触れちゃダメなんだってば!!
骸打ち・無尾。
星見雅が持つ妖刀。
骸打ち・無尾。
その鞘に宿っているのは、単なる電子データなんかじゃない。歴代の所有者たちが積み重ねてきた怨念と執念、そしてエーテルエネルギーの残滓だ。
今の状態で不用意に触れれば、どうなるか。
……うん
原作知ってる君たちならどうなるか、わかるよね?
「手がかりがあるかもしれない」
アキラがどんどん鞘に手を伸ばしてる…!
どうしようどうしようどうしよう!!
あぁ
あああ
あああああああ
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
……
………
数ある選択肢の中で、何故は僕は『叫ぶ』を選んだんだ?
腕を掴むとか!
話題を逸らすとか!
何ならバイクから飛び降りてでも止めるとか!
いや、最後のはダメだな。普通に痛い。
「さ、裂け目が見えてきたぞ! み、見るのはそれからでもいいだろう!?」
思わずハンドルに力が入りながら咄嗟に進行方向を指差すが、慌てすぎて声が裏返った。
我ながら、あまりにも苦しい言い訳すぎる。
でも、仕方ないだろ!
今の僕にできるのは、これが精一杯なんだよ!!
そうして裂け目を出ると、思わぬ展開になる。
「…!?」
あ、やっべ
焦りで思わずスピード上げすぎたせいで裂け目を出たらバイクが思いきり転倒し、僕たちは空中に投げ出された。
雅は空中で体勢を整えると、何事もなかったかのように華麗に着地した。
さっすがだわ
身のこなしが違う。
そして僕も、華麗に着地──
「うわああっ!?」
「ぐぇっ…」
よりにもよって、アキラが僕の頭上へそのまま落ちてきたのである。
「はぁ…だせぇ…」
地面に倒れたまま、思わずそんな言葉が漏れる。
いや、ほんとに。
何やってんだろうね、僕。
そんなことを考えていると、少し離れたところから複数の人影が駆け寄ってきた。
六課の三人。
そして、邪兎屋の四人。
どうやら、こちらに気づいたらしい
「店長おおお!!生きてたのかあああ!!!」
「ぐふっ!?」
「え…?」
え?
今ビリーにハグされてる?
いや正確にはアキラに抱きつこうとして僕ごと抱きしめたんだろうけど!
それでもめちゃくちゃ嬉しい!
僕としては、ゼンゼロのキャラに抱きしめられたわけだから、良い意味で発狂ものだ。
テンションが上がらないわけがない。
今すぐ腕に指を食い込ませて、この興奮を抑えたい。
でも、今はそれどころじゃない。
そもそも、この状態で自分の装甲を握りしめたところで何の意味もない。
……てかさ
「わ、わかったからビリー…くるし…!」
「おい…プロキシが窒息死する前にそろそろ離れろ。」
「へ?あ、店長!すまねぇ!」
その後、僕たちは六課や邪兎屋の面々と合流し、ひとまず状況の整理を行うことになった。
パールマンの行方、傭兵たちへの尋問、そして突然現れた僕とアキラの処遇。
尋問では有益な情報は得られなかったらしい。
僕は六課と邪兎屋の面々に囲まれ、緊張で終始無言だったけどね。
……とりあえず、今のところは順調に進んでいるらしい。
まぁ原作通り進んでるってことはわかった
でも、一旦帰ろう。
まだ昼間なのに色々ありすぎて、精神的にも肉体的にも、そろそろ限界だ。
何より、これから決戦が待っている。
今のうちに体の疲れを癒しておきたい。
睡眠は大事。非常に大事。
というわけで、さっさと帰って休もう。
「それじゃ、俺は帰──」
「待ってくれええ!!」
「グホッ……!」
またかよ!嬉しいけども!!
背後からビリーに凄まじい勢いで抱きつかれ、思わず変な声が出た。
「頼む! 一緒に写真を撮らせてくれ!」
なんで!?
写真?僕と?
「えっと……何故だ?」
困惑しながら尋ねると、ビリーは目を輝かせたまま、僕の肩をがっしり掴んできた。
「だってよ! お前、さっきの戦いでめちゃくちゃ格好よかったじゃねぇか! あの動き、あの判断力! いやぁ、シビれたぜ!」
「え、あ、そう……?」
待ってよ、そんな大層なことしたっけ?
あれを格好いいと言えるビリーの感性、ちょっと独特じゃない?
「ビリー、あなたを見てからというもの、ずっとあなたの話をしていたわ」
「…そんな淡々と言われてもな」
アンビーさんマジっすか?
てか、アンビーと初めて話しちゃった!
きゃあああ!
……落ち着け、僕。
そういえば、ビリーって特撮ヒーローが好きだったよな
この世界でいう『スターライトナイト』とか
となると、もしかして……僕のことを、何かのヒーローみたいに思っている?
そう考えると、さっきからの熱烈な抱擁も、写真を撮りたいというお願いも納得できる。
つまり、ビリーにとっては憧れのヒーローと出会ったような感覚なのかもしれない。
……いや
それ、めちゃくちゃ嬉しいんだけど!?
「コホン……写真、いいだろう。1枚だけだ。この世界が俺を拒まずに、歪みのない写真を撮らせてくれるならな」
そういえば、僕ってちゃんと写真に映れるのかな?
ちょっと確かめてみたい気もする…でも、自分で撮るなら絶対にカメラがいい
そこだけは譲れない
早く自分のカメラが欲しいなぁ……。
「本当か!? やったぜぇ!!」
ビリーはスマホをアンビーに預け、僕の横で思いきりポーズを決めた。
これ僕も決めないといけない感じ?
ディケイドって固有のポーズあったっけ?
思いつかなかったので、カードを持つ仕草をした。
──パシャリ
「おぉ!!サンキュー、アンビー!」
僕も見たいところだけど、疲労がヤバすぎる。
今度こそ帰──
「通りすがり。」
「……なんだ?」
……はい、もちろん答えます。
誰ですか?
何を聞きたいんですか?
疲労困憊で今すぐベッドかソファに倒れ込みたいけど、ゼンゼロのキャラから話しかけられて無視するなんて選択肢、僕には存在しない。
雅がこちらに近付いてくる。
もしかして、まだ何か聞かれるのか?
「お前、名はなんという。」
あ。
そういえばなんか定着していたけど、ずっと『通りすがり』だったわ。
名前を聞かれるのは当然か。
「俺は――」
少しだけ間を置き、雅の目を見据える。
「俺は『ダークディケイド』。長ったらしい名前で呼ぶのが面倒なら、『ディケイド』でいいさ」
「ディケイド、か……わかった、その名、確かに記憶に留めよう。」
……
今度こそ、帰っていいよね?
もう質問する人いないよね?
大丈夫だよね?
「それじゃぁな」
倒れてたバイクを立て直し、エンジンを吹かせる
そのまま行こうとしたら、アキラに呼び止められた。
「通りすがり──じゃなかった。ディケイド、今日は本当にありがとう。」
「ま、気にするな、プロキシ。通りがかったのは俺さ。」
そう返し、アクセルを回すと、バイクが唸りを上げ再び走り出した。
背後に残る彼らの姿が、少しずつ遠ざかっていく。
見えなくなったところでオーロラカーテンを出現させ、自宅に戻ってくる。
「……つかれたぁ」
変身を解くと、やっと安心できた気がした。
「あ……ごめん、隼人さん」
ふと、バイクのタイヤに目を向ける。
そのままバイクごと帰ってきたせいで、タイヤに付着していた砂が床に散らばっていた。
……掃除は後でにしよ。
今はもう、何もしたくない。
ベッドに倒れ込んで、ゆっくり休もう。
決戦まであと少し……それまでに少しでも体力を回復させておかないと。
「1、2時間だ、け……」
──ボフンッ!
ベッドに倒れるとそのまま寝てしまった。
全員に正体バレは早い方がいい?長い方がいい?
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長い方がいい
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早い方がいい