ダークディケイドの力持って転生出来たけどカメンライドできる種類が酷すぎる。 作:そらまめまめま
とある街の中
「ふんふふーん」
僕の手に握られているのはそう――ディケイドの限定フィギュア。
これを手に入れるためだけに毎日お小遣いという限られた範囲で節約してやっと取れた品物…
なにせうちの高校はバイト禁止、青春真っ只中の高校生に自由に使えるお金が無いのはなんとも酷なものである。
「はぁ…早く帰って飾りたいなぁ…いやそれとも…」
やっぱり机の上か?
いや、日焼けが怖いから棚の中に……。
そんな呑気を考えながら、横断歩道の所に差し掛かった瞬間だった。
プップゥゥ!
「え――」
振り返った瞬間、暴走したトラックがこちらをピンポイントに僕の眼前までつっこんできていた。
どごおおぉおんっ!!
反応する間もなくトラックに跳ねられた僕の体は一瞬にして宙に浮かび、激痛とともに何度も地面に叩きつけられて動かなくなる。
「ゴフッ…ァ…ハァ…ハァ…」
――痛い。
――誰か。
――助けて。
そんな短い言葉すらでず、視界の先にあるぐちゃぐちゃになったディケイドのフィギュアの箱が視界にうつる。
……やっと買えたのに……高かったんだけどなぁ
誰かを思い出すわけでもなく、最後までそんなどうでもいいことを考えながら視界が暗転した。
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「ん〜…?ってあれ、どこここ?」
起きると、何故かベンチで寝ていた……起き上がって街を見回しても、どこか知らない街並み。
もしかして天国…そんなわけないか、いやまじでどこ?
「いや、ちょっと待てよ…」
視界にうつる全てのお店や建物に見覚えがあった。
ラーメン屋。
映画館
治安局。
そして極めつけは――
「ンナ!」
足元に丸っこいうさぎ型の機械体――ボンプ
「……ゼンゼロの世界やんけ。」
え、もしかして異世界転生ってやつ?しかも始まる当初から結構やりこんでたゲームの世界に入れるなんてそんなの……そんなの……!
「うおおおおおおおおお!!!」
思わず両手を突き上げ、その場で叫びまくる。
……が。
ふと周囲を見ると通行人たちがものすごく冷たい目で僕を見ていた。
「…………」
うん、そりゃそうだよね。
街中で突然男が朝っぱらから叫び出したんだから、僕が逆の立場でもたぶん同じ目で見る。
小さく頭を下げ、そそくさとその場を離れた。
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さて、転生して早々ピンチなってしまったのですが、僕がいるここはどこだと思いますか?
テレテレテレテレ〜
テン!『ホロウのなか〜』
「まじかよ…」
ただ観光がてら歩いていただけなのに、突如起きたホロウ災害に巻き込まれてしまった。
運が悪いにもほどがある、疫病神でもついてんのかな?
「冗談言ってる場合じゃないぞ…」
ホロウの中ってことは――当然、エーテリアスがいる。そして、ここで僕が一番気にしなければならないと。
「……僕って、エーテル適正あるのかな」
もし適正が低かったら?ホロウの中に長時間晒されれば、侵蝕され最悪の場合はエーテリアスになる。
よくよく考えれば僕は、特殊な能力も、武器もの扱い方も、戦闘経験もない、ただの一般人ピーポー。
今エーテリアスに会えば抵抗出来ても数で来られたら1発OUT。
「は…ハハ、転生してこれかよ……」
転生初日なのに…既に絶対絶命。
もう何も考えたくない。
運命って残酷だなぁ…ま、トラックに轢かれて1回死んでるんだし、今更嘆いたところで仕方ないのかもしれない。
「せめて推しに1人は会いたかったなぁ……」
それくらいのご褒美があってもいいじゃないか、せっかく転生したんだから……チート能力とか、ハーレムとか、莫大な財産とか――そんな贅沢は言わない。
せめて――1人くらい。
「…いや、この際ゼンゼロキャラなら誰でもいい……」
「た、助けてぇ!」
「っ!?」
突如聞こえた叫びに一瞬驚いたけれども、どのキャラの声とも重ならないため、僕と同じホロウ災害に巻き込まれた一般人だろう。
聞こえた感じまだ20代の若者っぽいのに、災難だなぁ……こんなとこで人生が終わるなんて。
「………………」
僕は、何に迷ってるんだろう…もしかして、助けに行こうか迷ってる?
むりむり絶対無理
助けに行ったって、なんの力もない僕はきっと無様に殺されて終わり…無駄死にさ、人を救うヒーローになんてなれない。
『たとえ変身できなくても、ベルトさんがいなくても、俺は刑事で仮面ライダーだ!』
脳裏に響いた言葉は…
僕が1番最初に見た――仮面ライダードライブ
今でこそディケイドが好きだが、当時の僕は馬鹿みたいに夢中になって、ただテレビの向こう側からその姿を見ていた。
強くて。
不器用で。
何度傷ついても、人を守るために立ち上がる。
そんな姿に、僕は憧れた。
「そうだよな…」
たとえ何も持ってなくても、怖くても、人を見捨てていい理由にはならない。僕は、悲鳴が聞こえた方向へと走り出した。
え、怖くないかって?
そんなのめーちゃくちゃ怖いさ…さっきからずっと足が震えて転びそうだし、心臓に関しては嫌になるほど激しく鳴っている。
それでも――止まる気はない。
どうせ死ぬのなら、前世のような死に方ではなく、だれかを守って死にたい――
「……って、カッコつけてる場合じゃないな!」
走りながら、自分に言い聞かせる。
今の僕に必要なのは――男性を助けて生き残ることだ。
叫び声の方向に行くと、20代くらいの男性が複数のハティに囲まれていた。
「し、死にたくない…助けてくださぃ…」
まだ20代とはいえ、大人が涙目で命乞いしている。そりゃそうだよな、自分でも同じ立場だったら元々ないプライドを捨てて泣きながら土下座する自信あるもん。
とりあえずそこら辺にあった石を投げつける。
「こっちだ化け物!」
ハティたちが一斉にこちらを向く。わぁお、まさか一気に来られるとは…
「グルァッ!!!」
一体のハティが飛び込んでくるが、僕はなんとか直前でしゃがみこみハティは頭上を通り過ぎた
「よ、よし!」
避けれた! そう思った直後――横から別のハティが接近し思いきり腕を噛まれてしまう。
「…あ゙あ゙あ゙っ!!!」
腕が千切れるような痛みに耐えながら、残った力で蹴り飛ばす。だがもう既に腕はボロボロ――
「あ、あれ?」
あんな強い噛まれ方したはずなのに、腕を見ると歯形程度の傷しか無く、食い込んですらいない。
前世はどちらかというと体は弱いだったはずなのに、よくよく考えたらあんな強く蹴り飛ばせたことすらも不思議だ
呆然としている間にハティに飛びつかれ、男性の方へと吹っ飛び、そこで懐に入っていた色んな物が飛び出してしまう。
「いてて……き、君!大丈夫かい?」
「ま、まぁなんとか…」
一般人より体力があるのはわかったが、それでもジリ貧には変わりない。
「きみ、これ落としたよ。」
「あ、すんません……え?」
渡された物を見て思わず驚きより、困惑してしまった。渡された物はベルトのようの――いや、ようなじゃない
「ダークディケイドライバー?」
「?」
まさかとは思い、装着してみると自動で左腰にディケイドの専用武器――『ライドブッカー』が装着される。
まさか、仮面ライダーに――
「考えてる暇は、ねぇよな」
欲を言うならピンku)げふんげふん……マゼンタの方に変身したかったが、贅沢言ってられない。
ライドブッカーからカードを取り出す。
「へ、変身っ!」
ドライバーに差し込み、セットする。
DE DE DE
DECADE
幾何学色の人型が無数に浮かび上がると、全て僕に重なり黒を中心とした装甲が完成された。
――ダークディケイド。