ダークディケイドの力持って転生出来たけどカメンライドできる種類が酷すぎる。   作:そらまめまめま

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1人ぼっち

 

 

「……あぁ、体痛てぇ……」

 

 

勝てはしたけど初戦がこれって、本当に鬼だろ……。

 

そういえば隼人さん、あ――戦闘で手一杯だから気付かんかったけど、さっき思いきり蹴飛ばしたから気絶してる

 

やっべぇ!

 

 

「隼人さん! 隼人さん!」

 

 

「んっ……あぁ……君か」

 

 

良かったぁ…咄嗟だったからあんまし手加減出来なくてワンチャンタヒんだのかと思った。

 

 

「怪我は……?」

 

 

「え?」

 

 

……いやいや。さっき俺、数トン級のキックをあなたに叩き込んじゃったんですけど。もっとこう、怒ったりしないの?

 

てかよくそんなケロッと立ち上がれるな……まぁそれは一旦置いといて、どうしよう。

 

今の状態でホロウから脱出する方法なんてあるのか?

 

キャロットなんてないし、門矢士みたいなオーロラカーテンを出せるわけでもない。

 

いや――ワンチャン?

 

 

「出せるかなぁ…いやでもあれディケイドの力じゃないってやつどっかで見たんだよなぁ………」

 

 

頭の中に一つの光景を思い浮かべる…もし、オーロラカーテンを出せたら。

 

 

「……ダメ元でやってみるか」

 

 

目の前の空間が、ゆらりと揺れた。

 

 

「……え?」

 

 

僕の前に、薄い灰色が濁ったカーテンのようなものが出現した。

 

え、出せちゃうの?ワンチャン時空越えられちゃう?隼人さんは隣で今日何度目かわからんポカン顔してるし…

 

いや、うん、わかるよ。混乱するよね、僕もびっくりしてるけどこればかりはなんか言って?出してる本人が1番困惑してるから

 

 

「と、とりあえず…これ通ったらホロウの外なんで、一旦出ましょ?」

 

「え、あ、うん…えと、これほんとに通って大丈夫なやつかい?」

 

 

そう思うのも無理はない、ぼくもディケイドの1話見た時同じこと思った。

 

 

「大丈夫ですよ、害とかは特に無いんで」

 

 

そう言ってオーロラカーテンを通ると、ルミナスクエアの裏路地へと出た。良かったぁ…

 

そんなことを考えていると、急に隼人さんから両手で握手された。

 

 

「色々あったけど、助けてくれて本当にありがとう!。ところで、君の名前は?」

 

 

あ、そういえば通りすがりの仮面ライダーって言っただけで名前言ってねぇじゃん。

 

せっかくならこの世界に合わせようかな

 

 

「れ、レイト・ヴァレンタインです」

 

 

……よし。

我ながら、それっぽい。

 

 

「なるほど、レイトくんか」

 

「あぁ、はい。」

 

 

平静を装って答える。

でも、実のところ――この名前には、ちゃんと理由がある。

 

 

『レイト』。

これは、生前の僕の名前だった零斗から取ったものだ。

 

 

『ヴァレンタイン』。

皆これが1番気になっているだろう、理由は少しだけ懐かしい記憶から取った。

 

生前、母さんが何気なく言っていた言葉。

 

 

『生まれ変わるなら、ヴァレンタインっていうオシャレな苗字の家に生まれたいわ』

 

 

……あのときは、うちの母は何を言ってるんだと思った。まさか、その言葉を自分が本当に使うことになるなんてな。

 

 

「改めて……君は命の恩人だ、君がいなかったら僕はあそこでエーテリアスに殺されていた。これはどんなに恩を返しても返しきれない。なにか出来ることがあったら是非言ってほしい。」

 

 

律儀な人だなぁ…会社とかなら絶対部下から信頼されてそう。だけど、お願いしたいことなんてなにも――

 

あ。

 

あるわ、1番危惧しないといけない問題が。

 

 

「でしたら、そのぉ…わたくし、諸事情で暮らせる場所がなくてですね……それで……お金もちゃんとお支払いしますので……」

 

 

一度、深呼吸をして恐る恐る頭を下げる。

 

 

「しばらく……あなたの家に居候させてもらう、というのは……ダメでしょうか?」

 

 

言ってから、妙な沈黙が訪れた。

 

……あれ?もしかして、いきなり図々しすぎた?

 

 

「そういうことなら、少し待っててください。」

 

 

そう言ってどこかに電話をかけ始めた。なんか色々ビジネス用語が出てきてるけど全く聞き取れない。

 

あ、電話終わったっぽい。

 

 

「レイトくん、ちょっとついてきてくれるかな?」

 

「え、は、はい…」

 

 

え、どこに連れてかれるの?

 

結局居候の話は?思ってたよりとんでもない方向に進んでない?

 

そんなこんなで数十分くらい歩いていると、明らかに高そうなタワマンが見えた。

 

ひぇ〜僕なんか絶対住むことがないだろうなぁとか考えていると――

 

 

「ここです。」

 

 

そう言ってタワマンの前で止まった。

 

 

「つい先程、このタワマンを買収したので最上階に住んでください。」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

――え?

 

 

 

 

 

 

――え?

 

 

 

 

 

 

――え?

 

 

 

 

 

 

――えぇ?

 

 

 

 

 

 

僕、最低でも雨風凌げる家で良かったんですけど…

 

 

「え、本当にここに?いやでも…お金ないし…」

 

「大丈夫です。生活費などのお金は全て僕が出しますので」

 

 

いや、スケールどうなってんの?

 

僕はただ『しばらく居候させてください』って言っただけよ?

 

それに対する答えが『オッケー、じゃあタワマン買うね』ってどゆこと?

 

 

「あの…隼人さん、何者なんですか?」

 

「これでもちょっとだけ名の知れた社長なんですよ、TOPSにはまだまだ及びませんけどね」

 

 

逆にTOPSのやつらだったら「ついでにこのマンション自体をあげるよ」みたいなこと言うのだろうか。

 

まぁストーリー見てたら全員悪者っぽそうだし断るけど

 

てか奢るね感覚でタワマン買える人が「ちょっとだけ優秀」なわけないでしょう。

 

 

どうしよう。僕、これからここに住むの?

 

……家、というか。

 

タワーマンションの最上階に。

 

しかも生活費まで出してもらって。

 

え、僕ただのヒモニートになっちゃうじゃん。

 

 

 

いや、働くけど。

 

たぶん。

 

きっと。

 

……たぶん。

 

 

 

「……僕、本当にここに住んでいいんですか?」

 

「もちろんです。命の恩人ですから」

 

「…………」

 

 

なんだろう。ものすごくありがたい。

ありがたいんだけど――。

 

僕は今日、ただ寝床を一つ借りたかっただけなんだよなぁ……。

 

 

まさかその結果、人生で一度も縁がないと思っていたタワーマンションの最上階を手に入れることになるとは。

 

人生、何が起こるか本当に分からない。

 

…まぁ転生してる時点で今更か。

 

 

「本当に申し訳ないのだけれど、仕事が溜まっててね。お礼はまた後日でもいいかい?」

 

「え、あ、いやもうお礼は…ってちょっ!」

 

 

番号が書かれた紙と、部屋の鍵を僕に渡して行ってしまった。

 

そんな忙しいのに僕なんかに時間取ってくれてたの?

優し過ぎない?

 

 

てかあの人の中ではまだお礼してない判定なの?

もうなんなら土下座して遠慮したいくらいだよ?

 

 

「……うん、素直に受け取ろ(諦めた)

 

 

おい「諦めた」って文字出すのやめろ作者。

 

誰が諦めたんだよ。

 

……僕です。

 

諦めました。

 

だって、もう何言っても聞いてくれなさそうだし。

 

 

仕方なく鍵を握りしめ、マンションの入口へ向かう。

 

恐る恐る入口で書かれた番号を押すと、オートロックのドアが開かれた。

 

 

「すげぇ…」

 

 

エレベーターに乗って最上階のボタンを押す。

 

 

「ええと…34階…え、さんじゅうよんかい?」

 

 

マジで?でかくない?

 

新〇の京〇プラザホ〇ルやん。

 

 

マジで3泊4日のとある大学のオープンキャンパスで泊まったことあったけど同じやん。

 

まぁいいやとりあえず押そ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…34階ともなるとちょっと長ぇな。」

 

 

まだ20階…遅いなぁ。

 

今日だけで、ドキドキと困惑が混ざった体験をしすぎている。

 

もう少し普通のイベントを挟んでほしい。

 

そんなことを考えていたれやっと最上階に着き、渡された鍵を確認する。

 

 

「たしか……ここか」

 

 

指定された部屋の前まで歩き、ドアの横にあるセンサーへ鍵をかざす。

 

――ピッ。

 

――カチャ。

 

 

「……」

 

 

自動でロックが解除された。

 

……ホテルでしか見たことないぞ。

 

鍵をかざしただけで開くやつ。

 

 

――ガチャリ。

 

 

ゆっくりと扉を開けた。

 

 

「…………」

 

 

一瞬、言葉が出なかった。

 

目の前に広がっていたのは――。

 

広すぎるリビング。

 

大きな窓。

 

その向こうには、遥か遠くまで続く街の景色。

 

家具も何もかもが、僕が今まで暮らしてきた場所とは別次元だった。

 

そして僕は、思わず叫んだ。

 

 

「ひっろ!」

 

 

部屋の広さに圧倒されながらも、とりあえず一通り見て回ることにした。

 

リビング。

 

キッチン。

 

寝室。

 

……なんかもう、どこを見ても「僕が住んでいい場所なのか?」という疑問が浮かんでくる。

 

 

「すげぇな……」

 

 

家具も一通り揃っている。

食材は買ってないからあれだが、キッチンには調理器具が一式。

 

 

「…生活できるじゃん」

 

 

そりゃそうだ。

タワーマンションなんだから。

 

 

「……お?」

 

 

洗面所もでかいし、洗面台が二つある。鏡もやたらと大きい。

 

 

「ホテルかよ……」

 

 

思わず苦笑しながら、何気なく鏡の前に立つ。

そして――。

 

鏡をもう一度見る。

 

 

「だれこの白髪のイケメン」

 

 

僕なのに僕じゃない…

 

 

「…………」

 

 

顔立ちが、やたら整っている。

 

スッと通った鼻筋。

 

程よく切れ長の目。

 

長めのまつ毛。

 

輪郭も綺麗に整っていて、髪も妙に似合っている。

 

 

「…色々手に入れすぎじゃない?」

 

 

とりあえず汗だくだっのでザッとシャワーを浴びることにした。

 

________________________

 

 

「ひやぁさっぱりしたァ!」

 

 

シャワーを浴び終えた僕は、すっかり生き返った気分で浴室から出た。

 

タオルで髪を拭きながら、もう一度広い部屋を見渡す。

 

 

「広いなぁ…」

 

 

確かに広い、だがそれと同時に――静か。

 

気分を変えるために隼人さんがやっといてくれたであろうテーブルに置かれたフルーツからぶどうを取る。

 

 

「……いただきます」

 

 

ひとつ手に取って、口に運ぶ。

噛んだ瞬間、瑞々しい甘さが口いっぱいに広がった。

 

 

「ん〜! 美味しぃ!」

 

 

思わず頬が緩む。

 

美味しい…ちゃんと美味しい。

 

甘くて、瑞々しくて、きっと誰が食べても美味しいと思う。

それなのに――。

 

 

「……」

 

 

どうしてだろう。

 

美味しいはずなのに……胸の奥には、何かぽっかりと穴が空いているような感覚が残っている。

 

 

「母さんの手料理…食べてぇな。」

 

 

そんな言葉を口にした瞬間、頬から何かが伝わった。

 

 

「あれ…なんで僕、泣いてんだろ…」

 

 

拭っても拭っても、涙が止まらない。

 

 

「母さん、父さん…ごめんね。息子の僕が先に死んじゃって…とんだ親不孝者だよね……?」

 

 

広い部屋には、ただ僕のすすり泣く声だけが響いていた。

 

手の中のぶどうは、まだ瑞々しく輝いている。

 

それなのに今の僕には、その甘ささえも――どこか遠いものに感じられた。

 

 

 

 

 

 





過去 転生編は終わり
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