貞操逆転魔法少女世界×堅物天然軍人(異世界産)   作:とっとこ馬鹿野郎ッ!!

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第三話

刃・遥花・葵の三人は、魔法少女協会の会長……樋口(ひぐち)香子(きょうこ)の下に訪れていた。

 

「会長、彼が例の人物です」

 

「そう……よく連れて来てくれたわね、スピア」

 

赤縁の眼鏡を身につけた、スーツ姿の女性が葵を労う。

この女性こそが、魔法少女協会の現トップにして、元最強の魔法少女であった。

 

「お初にお目にかかります、会長殿。俺……失礼、私は久遠刃と申します」

 

「………ふふっ、そんなに堅苦しい話し方しなくてもいいのよ?」

 

「では、お言葉に甘えて。俺、久遠刃は……魔法少女協会の協力者になりたいと考えている。

俺は貴女たちの、己が身を危険に晒ししてでも、民草の安寧を守らんとする姿勢に感銘を受けた。是非、俺にも貴女方と共に剣を振るう栄誉を頂きたい」

 

そう言って頭を下げる。

 

「我々としては、願ってもないことね。でも、それで貴方に何の利益があるのかしら?」

 

「人々の笑顔を、幸福を、未来を守れる。それこそが、この身にとっての最上の利なれば」

 

「そう……分かりました。我々、魔法少女協会は久遠刃……貴方を歓迎致します」

 

「! 感謝する」

 

「しかし、どういった立場での加入にするのですか?」

 

葵が、疑問を呈する。

それに対し、会長は――――――――

 

「どうしましょうね?」

 

疑問で返した。

 

「(ズコッ―――)か、考えてなかったんですか!?」

 

「だって……あんまりにも現実離れした話だったんだもん♡」

 

「可愛くないですよ………」

 

あんまりにもあんまりな返答に、葵も困惑する。

だが、それも致し方無いことであった。

この世界では、男性の数が少ない上、魔力は女性のみが持つもの。

魔法少女と共に戦う男などという存在は、前代未聞であったのだから。

 

そして、久遠刃という人物を世に公表すれば、それがどんな波紋を呼ぶか…………。

少なくとも、世間にとって凄まじい衝撃となるのは想像に難くない。

 

――――――――というのが、表向きの理由。

怪人の連続出現と同時に現れた、魔法を扱える男。

それを、魔法少女協会が警戒しないはずがない。

未だ正体不明である久遠刃という人物の扱いを、軽率に決めることが出来ないというのが本当の理由だ。

 

 

「俺はどの様な立場であっても構わない」

 

「そう………それなら、この話は慎重に議論させて貰うわ。世間への公表は、ひとまずなしで。

今は、協会内のみの話としましょう」

 

「承知」

 

「それじゃ、葵以外の二人は退室して頂戴」

 

「あれ、先輩はまだ何か………?」

 

「この前の怪人の件で、気になったことがあったの。ちょっとしたことだから、心配しなくていいわ。……私たちが話してる間に、翠は刃に協会を案内してあげて」

 

「わかりました!!」

(やった! 協会デート(?)だ!)

 

「では、失礼する」

 

鼻歌を歌い始めそうなくらいに上機嫌な翠が退室し、それについて行くように刃も去っていった。

会長室に残った二人は、先程とは一転して深刻な面持ちで会話を続ける。

 

「それで―――怪人の件ね」

 

「はい、先程私たちが戦闘を行った怪人。奴らは、5体とも外見だけでなく魔力まで酷似していました。恐らく――――――」

 

「分身の能力持ち、或いは―――――1体の怪人から召喚されたもの」

 

「はい。その可能性が高いと考えています」

 

「前者であり、かつ既に全てが倒されているのなら、特段問題はないわね。けれど、後者だった場合は…………」

 

「最低でも一級。最悪、それを超える特一級の怪人かと」

 

「………ふぅ、考えたくないわね」

 

一級以上の怪人。それが確認されたのは、3回のみ。

30年前、12年前、そして………3年前。

何れの場合も、多大なる被害者を出しており、それは………魔法少女も例外ではない。

直近の事例では、一等星が4名・二等星が16名・三等星が26名死亡している。

 

「近年、貴女たちが担当している墨絵町の怪人出現率は、異常なほどに上昇しているわ。まるで、特一級怪人が現れる前兆かのように」

 

「はい。私もそう感じています」

 

「………嵐が来るわね」

(そして、その中心となるのは恐らく、あの二人。史上最高峰の才能の持ち主、翠遥花。自称異世界からの漂流者、正体不明の人物……久遠刃)

 

夕陽が室内を赤く照らし、観葉植物の葉に滴る水滴が、その光を反射する。

静まり返った室内で、会長は予感していた。

これから訪れる―――――未曾有の厄災を。

 

 

 

 

 

 

 

__________________

後日、美咲の喫茶店にて。

 

「今日、協会から魔法少女が来るわ」

 

「え!? 何でですか!?」

 

「増援よ。ここ最近、この街での怪人出現が多くなっているから」

 

翠はカフェオレを、葵はコーヒーを飲みながら、ショートケーキを食べる。

そんなブレイクタイムの中で、葵は話題を切り出した。

 

「それで、誰が来るんですか?」

 

「それは私にも分からない。―――――あと、話は変わるのだけれど………貴方、まだここで働いているの?」

 

「ああ。これは、美咲さんへの恩返しでもある。職に困ることは無くなったとはいえ、辞めるつもりはない」

 

協会に所属することとなった刃には、給料も支払われることとなっているが、それでもバイトを辞めることは無いらしい。

 

「それに、バイトというのは初めてなんだ。結構楽しいし、しばらく続けたい」

 

「あ、そう」

(なんか………結構ズレてるわね、こいつ。元から変な男だとは思っていたけど)

 

「あの………追加の魔法少女の方々は何時来るんです?」

 

「今日。この場所を集合にしたから、もうすぐ来ると思うんだけど―――――」

 

「来たわよ! あおちゃ!!」

 

喫茶店の扉が開き、そんな声が響く。

その声を聞いて、葵は露骨に嫌そうな顔をして、手を顔にあてる。

 

「はぁ………まさか、貴女だとは」

 

「ふふん、私だけじゃないわよ! 今回は私たち()()()()()()()()全員集合よ!」

 

そう言った愛香の後ろから、二人の少女が現れる。

 

「どうも~………わー、本当にイケメン君じゃーん」

 

白髪、小柄な少女が刃に近づく。

物珍しいものを見るように、刃を舐め回すように観察し――――――――

 

「ん、眼福ー。良かったら、私の彼氏になんない?」

 

ガタッ!*1

 

「光栄な申し出ではあるが、未だ互いのことを知らぬ仲。将来を誓い合う関係となるのは、お互いによく相手のことを知ってからにすべきことだろう」

 

「振られちゃった。玲ちゃん慰めてー」

 

「はいはい、残念だったね。でも、出会っていきなり告白は飛ばしすぎだと思うよ?」

 

頭を撫でながら、そう慰めつつツッコミを入れる。

 

「改めて、自己紹介をしようか。僕は、(いずみ)(れい)。そして、こっちの小っちゃいのが――――――――」

 

「小っちゃい言うな。………私は、小鳥(ことり)ウサギ。鳥なのか、兎なのか、その正体は果たして―――――そう、世界一可愛い女の子」

 

「そんで、あーしが伊井子愛香! そこの性悪スレンダーガールの同期だよ!」

 

(うわぁ………キャラが濃い)

 

遥花は、三人(主にウサギの)キャラの濃さに圧倒されていた。

 

三人は、魔法少女グループ「トライ・アングル」

全員が一等星の魔法少女であり、協会でも屈指の実力者集団。

また、魔法少女協会の広告塔としても有名である。

ちなみに、リーダーはウサギ。

 

「久遠刃だ。よろしく頼む」

 

「わお、ド丁寧。そこの冷徹女にも見習わせたいね」

 

「どういう意味かしら? 伊井子?」

 

「ふーん、冷徹な自覚あるんだー。あいちゃは愛想が足りないもんねー?」

 

この二人に共闘なんて出来るのか?

 

刃は早々にそんな不安で包まれた。

 

「愛香……いい加減にしな。これから協力しようって言うのに、喧嘩腰になってどうするんだ」

 

「はーい……あっ! あーし、あおちゃとは仲良くする気ないけど、二人とは仲良くしたいから!

よろしくね♡ 特に、刃君……やいちゃって呼んでいい? 君とはとっても仲良くしたいかなー」

 

「好きなように呼んでくれ」

 

「やったー! やいちゃノリいいじゃーん!」

 

そう言って刃に抱きつく愛香。

それを、冷たい目で見つめる葵。

 

「もうちょっと距離感を考えた方が良いのではないかしら?」

 

「えー、やいちゃは別に嫌がってないしいいでしょー? それとも……羨ましいのかにゃー?」

 

「………! 別にそんなこと――――――――」

 

「済まないが――――」

 

体にひっついていた愛香の肩を優しく押して、引き離す。

 

「目の前で喧嘩されるのは、少し困る。仲良くしろとは言わないが……」

 

「…………はーい。やいちゃに言われたら、流石に反省するしかないにゃー」

 

流石に懲りたようで、大人しく引き下がる愛香。

 

 

ひとまずはなんとかなったが………これから上手くやっていけるだろうか…………。

 

バチバチに睨み合う二人を見て、そんなことを考える刃であった。

*1
遥花、美咲「!?」

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