ナカヤマフェスタへ哀悼の意を込めて。

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ナカヤマフェスタへ

 

書き出しー8月23日

 

半年前まで、放課後になれば何も考えずにグラウンドに向かっていた。

 

勝ちたい相手がいて、仲もいいけどそれでも越されたくないライバルがいて。昨日の自分より1歩でも半歩でも成長したくて。目の前の背中を越えていきたかったから。

 

けれど、最後の大会が終わればそれも無くなってしまった。

 

別に悲しい訳じゃない。自分なりにやり切って納得のいく最後だったし、特に悔いもない。

 

ただ、それまで毎日胸に宿していた熱が行き場を失って燻っていた。

 

ーーーー初めはとある友達の誘いだった。

 

最初はウマ娘なんて興味の無かった俺に、「何か面白いものはないか?」とふと友達に漏らしたのが始まりだった。

 

初めて見たレースの世界で…私は心臓に再び熱いものが流れ込んでくるのを感じた。

 

自分と対して変わらない可憐な少女が、かつての自分と同じ…いや、更に激しく命を燃やして、ライバルと競り合いながらたった一つの玉座を奪い合う姿に、学生の頃、自分が燃やしていた物よりも遥かにその温度の高い熱に脳が焼かれてしまった。

 

そこから私は熱心なウマ娘ファンとなった。

 

まだ日は浅いが、ドリームジャーニーやステイゴールドなど、所謂黄金一族の大ファンになって………

 

その道中で、彼女に出会った。

 

決して最推しではない。それでもその姿に、生き様に、走りに魅せられた。

 

どれだけ勝ち目が薄かろうと、その薄い勝ちの目を拾う為に努力して。

 

普段は冷静でクールなのに、レースの時だけは全てを捨て去るような勢いと顔でライバルと競い合って。

 

……どうして彼女は、あそこまで輝いているのだろうか。

 

そう思ってインタビューや新聞や雑誌の記事を少し漁ってみた。

 

曰く、「確実に勝てる勝負なんて面白くない」

 

曰く、「相手の方が強い…だからこそ、ヒリついた戦いが出来る」

 

…確かに、と思った。自分も現役時代、似たようなことを思っていた。

 

相手の方が強い、自分より遥に上回っている。

 

…それがどうした、勝率はゼロじゃない。戦う前から諦めてたまるかと。

 

その薄い薄い勝機を掴むために出来る努力を全力で積み重ねてきた。

 

きっと彼女にかつての自分を幻視したのだろう。

 

そこからナカヤマフェスタのレースも追うようになった。決して百戦百勝ではない。勝つ時もあるが、負ける時の方が多かった。それでも彼女は笑っていた。決して良いとは言えない着順でも楽しそうに楽しそうに。

 

その姿に更に魅せられて彼女を追うようになって行った。

 

ーーー多分、俺は彼女の事を1番好きなファンではない。

 

それでも、彼女が走ってきた道を、蹄跡を、記憶を忘れたくないと思った。

彼女に貰ったこの熱だけは本物だったから。

 

ーーーーその大きな背中に、沢山の人の夢と、想いを載せて。

どこまでも続く遥かな草原を。

 

いつまでもいつまでも。どこまでも翔けていけると信じて。

 

空高く羽ばたいていけ。

 

ー8月23日。哀悼 ナカヤマフェスタ




最後に改めて。

20年間お疲れ様でした。まだ俺は日の浅いファンだけど…それでも気持ちは本物だと信じて。

天国の草原で好きなだけ駆け抜けて。ステイゴールドと一緒に見守ってくれたら、嬉しいな。


哀悼の意を込めて。ナカヤマフェスタに送ります。

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