次元の旅人プリキュア-ジェネレーションワールド- 作:UNIMITES
現在、キュアコスモスが使用できる
◆キュアリング
第三話.2023_ヒーローガール
空のような青い髪が特徴的な少女、ソラ・ハレワタールは友人であるましろたちと共に、街を歩いていた。
「最近できた喫茶店楽しみですねー」
「うん。ロールケーキが手作りで人気なんだって」
「一緒に注文できる紅茶も茶葉をオリジナルでブレンドしているらしいですよ」
「そうなんだー」
彼女たちは会話に花を咲かせている中、ローブに身を包んだ少女が現れる。
「なにものですか!?」
「見つけた。プリキュア……」
「いきますよ皆さん!ヒーローの出番です!」
ソラの掛け声に合わせて皆がプリキュアへと変身する。
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
キュアスカイ、キュアプリズム、キュアウイング、キュアバタフライ。
4人のプリキュアがポーズを決める。
「いきます!」
真っ先に動いたのはキュアスカイだった。
徒空拳を駆使して戦闘を開始する。
「よき力だ……強く、鋭い」
少女はキュアスカイの攻撃を的確に見切り、回避していく。
「はぁぁ!」
「そこだ!」
キュアプリズム、キュアウィングも攻撃を行う。
だが、攻撃は空を切るだけであった。
「ヒーローガールスカイパンチ!」
キュアスカイが大技を放つ。
「フッ……」
にやりと不適な笑みと共に拳にクロスカウンターするように
同時に雷撃が走るように光と衝撃が周囲を襲う。
「なっ!」
「スカイ!」
キュアバタフライが割って入ると少女は距離を取るように後方へと跳躍する。
ブランクリングの見た目が変化し空色の宝石が填ったリングとなる。
「大丈夫、スカイ?」
「は、はい。体はなんともないです」
「今のは一体なに?」
キュアウィングとキュアバタフライが再び視線を彼女に戻した。
「アナザー、キュアスカイ……っ!」
彼女の声に合わせて、リングは閃光と共にその姿をキュアスカイへと変えた。
だが、その姿はキュアスカイであってキュアスカイではない。
似ているがどこか違う。長く一緒にいた彼女たちは敏感にそう感じていたのだ。
「え?キュアスカイがもう一人?」
「どういうこと!?」
バタフライが声を上げる。
「私はアナザーキュアスカイ。あなた方の……敵です!」
「行くよ。アナザーキュアスカイ!」
2人が再び攻撃を仕掛ける。
アナザーキュアスカイの放った拳をキュアスカイが受け止める。
だが、その力に押し切られるように吹き飛ばされた。
「「スカイ!」」
「この!」
キュアプリズムが反撃するように拳を放つものの、その攻撃をたやすく回避する。
「遅いです!」
反撃するように蹴りを放つのだった。
「ぐっ!」
「こ、これが、アナザーキュアスカイの力……」
「強い、あまりにも」
大地に倒れるプリキュアたちは弱々しく言葉を紡ぐ。
「さすがはヒーローの力といったところかな。次は……」
ローブの少女はエルへと視線を向ける。
「まさか、プリンセスを!」
ウィングが声を上げる。
アナザーワールド・ソラシド市に到着していた京は空を見つめる。
広がる青い空を見ているとなんだがとても心地いい。
「いい空だね。私のいた世界と全然変わらないけど、本当に別の世界なの?」
「うん。確実に次元を超えて、俺たちはアナザーワールドにいる」
返答して彼は街へと向かって歩き出す。
「へー。待ってよーゲイツ君」
自分も後を追うように駆け出す。
山を下り、ほどなくして街に到着する。
見れば見るほど普通。としか言えなかった。
「っ!」
そんな時だった。
頭に直接響くような感覚に襲われる。
まるで自分を呼ぶような声、とも感じられた。
思わず頭を押さえる。
「これは……ワールドシグナル?」
どうやら彼もまた同じようにこの声のようなものを感じ取っているようだ。
「ワールドシグナル……?なにそれ?」
時を同じくして遠くで響く轟音が耳に入る。
自分の耳は案外よく聞こえる。
その音を敏感に感じ取っていた。
「ゲイツ君、あっちでなんか聞こえた!行くよ!」
音のほうへと駆け出していく。
「おい、京!」
ゲイツも後を追いかけるように駆け出した。
「見つけた!でも、あれって、プリキュア?」
「そうだな。ここはソラシド市だから『ひろがるスカイ!プリキュア』だ」
こちらの疑問にゲイツが淡々と答える。
「なんで知ってるの?」
「歴史を知ってるからな」
「歴史ぃ?……って、それより助けるのが先!」
不安げに涙目を浮かべるエルに迫る手を掴む。
「こんなかわいい赤子に何しようっての?」
「誰ですか、あなた?」
「あなたは……?」
キュアスカイもこちらの顔を見つめていた。
「私?私はー」
少し考えるような仕草を見せ、
「通りすがりのヒーローガールです!」
思いついたように自己紹介する。
「通りすがりの、」
「ヒーローガール?!」
彼女たちの視線が一斉にこちらに向いた。
「京。そいつがワールドシグナルを発していた原因だ。変身しろ」
「そうなんだ。……チェンジ!プリキュア、アクセス!」
距離を取り、エルの入った籠をゲイツに渡すと、右手の中指に装着しているキュアリングに力を込めた。
填っていたアメトリンが淡い光を灯し、ドレスボックスの鍵穴に注入する。
ボックスが開き光に包まれていく。
次の瞬間には、京の姿はキュアコスモスの姿へと変身し、大地に立つ。
「次元を渡る調和の力。キュアコスモス!」
決めポーズと共にスカートを翻したキュアコスモスは視線をアナザーキュアスカイとローブの少女に向ける。
「新しいプリキュア?!」
「あなたもプリキュアだったんですか!?」
キュアスカイがこちらの手を取る。
「そう。キュアコスモスって言います」
「キュアコスモス……。私はキュアスカイっていいます!」
「キュアスカイ、かっこいい名前だね。でも、あっちの人も同じ顔してない?」
キュアスカイとアナザーキュアスカイの顔を交互に見つめ、首を傾げていると
「よく見てください。スカイとは全然違います!」
こちらの指摘をキュアプリズムが叱責する。
「キュアコスモス……アナザーキュアスカイ。先に彼女を」
「……」
アナザーキュアスカイは頷くと大地を蹴る。
「来るぞ!」
「はぁ!」
放たれた拳とキュアスカイの拳が正面からぶつかり合う。
一瞬の隙をつくように自分も掌打を放った。
「く……っ!」
攻撃を受け後退した彼女を追撃するようにプリズムが大技を使用する。
「ヒーローガールプリズムショット!」
エネルギーを凝縮させ、巨大な光弾を投げつけた。
しかし、ローブの少女が間に割って入りプリズムショットを蹴り上げる。
光弾が空の彼方へと飛んでいき、弾けた。
「さすがに4人のプリキュアに追加のキュアコスモスを相手にするのはアナザーキュアスカイがいても骨が折れますね」
彼女は黒い正四面体を取り出す。
左手の黒曜石の填ったリングに黒い光を灯しボックスの鍵穴に注入する。
ボックスが開き、先日戦ったクワガタの怪物『ガタルス』が現れる。
それだけではない。
カマキリを思わせる腕部にブレードを持つ怪物、バッタを思わせる脚部や頭部を持つ怪物も現れた。
「ガタルス、キマリッタ、バッタルン頼みますよ」
「「「はっ!」」」
3人の昆虫怪物は返事をして、プリキュアへと向かっていく。
「あいつ昨日戦ったクワガタの怪物!?ほかにもカマキリにバッタ?なんで昆虫ばっかなのー」
クワガタ、カマキリ、バッタ。
すべて昆虫な上に、体色も緑でやけに昆虫ぽさが強い。
「昆虫苦手なんですか?」
「まあ……クワガタとかは大丈夫なんだけど、カマキリは少し苦手かなー」
「そらぁ!」
ガタルスの攻撃をキュアスカイがブロッキングする。
各自が戦闘を行っていく中、
「きゃっ!」
「もらった!」
猛攻に態勢を崩したプリズムが尻もちをついた。
バッタルンが拳を振り上げる。
「プリズム!」
「させないよ!」
横から蹴りを放ち、キュアプリズムを救出する。
「大丈夫?プリズム」
「は、はい!」
彼女の手を握り、立ち上がらせともにバッタルンへと向き直った。
「やるじゃん、あの子」
「あまり戦い慣れてないように見えましたけど。視野は広いですね、反射神経も悪くないですし」
キマリッタと戦うキュアバタフライとキュアウィングも感心していた。
「決めるよ!プリキュア!スターライトパルサー!」
「ヒーローガールスカイパンチ!」
「ひろがるウィングアタック!」
3人がそれぞれの大技を放つ。
光の中でガタルス、キマリッタ、バッタルンが浄化され、その姿が消滅する。
「やりました!」
「あれ?あの子たちいなくなってるじゃん」
いつの間にかローブの少女、アナザーキュアスカイが姿を消していたことに気づく。
どうやら自分たちがガタルスたちに気を取られているうちに逃げたようだ。
「逃げられたか……」
「えるー?」
エルの入った籠を手に持っていたゲイツも周囲を見回す。
自分も変身を解除してゲイツの元に歩み寄る。
「どうするゲイツ君?」
「次に奴が現れるまでこの世界から離れることはできないからな」
「そっか」
彼の言葉にうなずくと
「あの、助けてくれてありがとうございます!」
「別にいいって。気にしないで!私、秋桜京!よろしくね。こっちはゲイツ君」
「私はソラです。ソラ・ハレワタール!」
「ましろです。よろしくお願いします」
「あげはよ。よろしくー」
「ツバサです。プリンセスを助けていただいてありがとうございます」
4人がそれぞれ自己紹介する。
元気系のソラ、落ち着いているましろ、年上のお姉さんのあげは、そして礼儀正しいツバサ。
みんな個性があるなと感じる。
「ほら、大事な存在だろ。ちゃんと守ってやれよナイト」
「はい……僕、プリンセスのナイトって言いましたっけ?」
エルの籠をツバサに手渡す。
ツバサも大事そうに受け取り、質問するがゲイツは特に返答することはない。
「京さん。さっきの『通りすがりのヒーローガール』って言ってましたよね!?やっぱり京さんもヒーローなんですか!?」
「ヒーロー?さっきのはノリでねー」
「何度も言ってるがプリキュアはスーパーヒーローじゃないぞ」
「でも、私たちはヒーローガールですから。ヒーローでもいいじゃないですか」
「だよねだよね。ソラちゃんわかってるー」
お互いに共感していることに感激し、笑いあう。
なぜだろう、彼女とはとても親近感を感じていた。
まるで共鳴しあっているような。
「京さん。このあと私たちお茶しに行くんですけど、一緒にどうですか?」
「みんなでお茶?いいねいいね!行きたい!」
ましろの誘いに京は目を輝かせる。
「ねえ、その制服、ましろんたちの学校と違うよね?どこの学校?」
「え?学校?あ、これは……」
自分の服装を確認する。
確かに、言われてみれば次元を移動する前から学園の制服姿のままだった。
そもそも自分たちはこの世界の住人じゃない。
制服だってデザインなどは異なることも十分考えられる。
「これは、」
「俺たち、隣町から来たんですよ。ちょっと訳ありで今日は登校日だったので」
助け舟を出すようにゲイツが話を合わせる。
「そ、そうなんですよー」
ゲイツ君ナイスアシスト!
心の中でガッツポーズする。
彼の言葉を肯定するように首を縦に振る。
「だから、見ない顔なんですね」
「それより早くいきましょう!」
「うん。私もお茶楽しみー」
ソラやましろと共に歩き出す。
「えるー」
「エルちゃんも行こうって言ってるよゲイツ少年」
「ゲイツさんも行きましょう」
「……ああ。ってかゲイツ少年って」
アゲハの呼び方が独特だからか、慣れない呼び名にむずがゆさを感じていた。
しばらくして喫茶店に到着する。
「へーおしゃれだねー。迷っちゃうよー」
メニュー表に映るケーキや紅茶を見つめる。
「でしょ。この店、ロールケーキがおいしいんだよ」
「ロールケーキ!しかもチョコミント味もある!」
「チョコミントが好きなんですか?」
「うん。あのすっきりした甘さがいいんだよねー」
スイーツの話に花を咲かせる。
やはり年の近い者同士だからか、話も合う。
「ゲイツさんはどうしますか?」
「俺はコーヒーだけでいい。甘いもの好きじゃないし」
「え、でも」
「ずいぶん大人じゃん、ゲイツ少年。それともそういうお年頃なのかな?お姉さんに教えて」
「なんか、この感じデジャブ……」
ゲイツはため息混じりにそう口にしていた。
注文を終えて再び会話に戻る。
「ははは、あげはさん、お姉ちゃんと少し似てるからね」
「お姉さんがいるんですか?」
「うん。楓お姉ちゃんって言ってね。もう働いてるキャリアウーマンだよ。多分あげはさんと同い年かな」
「ってことは高校卒業してすぐ働いてるってことだよね。なんか従妹同士の私とましろんと似てて親近感感じちゃう!」
確かにましろとあげは姉妹ではないものの、親戚のような関係であるなら似たようなものだろう。
それに仲が良く、一緒にプリキュアまでしているのは少しうらやましい。
「京さんはプリキュアになってどれくらいになるんですか?」
「昨日だよ。プリキュアになったの」
「「昨日!?」」
こちらの返答にソラもましろも驚いていた。
「なったばかりであれだけ戦えるなんてヒーローの素質ありますよ京さん!」
「そう?えへへ、運動神経は少しいいほうだったからね」
「他に好きなものとかあるんですか?」
「うん。ロックが好きかな」
「ロック?石ですか?」
「ノンノンノン!ロックバンド!」
質問に返答してエアギターを演奏するようにして見せる。
「ってことは、京さん。楽器とかも?」
「そうだよ。ギターやるよ、バンド大好きなのー」
「ギターかっこいいですね!」
「でしょでしょ!」
その後も京とソラたちの会話は盛り上がるのだった。
どうもUNIMITESです。
読んでいただきありがとうございます。
今回からⅡ章.京の旅々-ワールドツアー-となります。
レジェンドプリキュアとの邂逅でした。