『霹靂、そして慈雨。転生獪岳の鬼殺隊無双ルート』   作:夜幻

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第100話 獪岳vs童磨

白銀の雪原。

 

吹雪の中で、獪岳と童磨が向かい合っていた。

 

カナエは少し離れた場所で、二人の戦いを見つめている。

 

「カナエ」

 

「はい」

 

「ここからは俺一人でやる」

 

「……獪岳さん」

 

「お前は呼吸を整えろ」

 

獪岳は刀を構える。

 

「こいつは俺が止める」

 

「ですが、上弦の弐ですよ」

 

「分かっている」

 

「一人では危険です」

 

「それでもだ」

 

獪岳は童磨を睨む。

 

「こいつは、俺が斬る」

 

カナエは少し黙った。

 

そして。

 

「……分かりました」

 

「カナエ?」

 

「信じます」

 

カナエは刀を下ろす。

 

「必ず戻ってきてください」

 

「ああ」

 

その言葉を聞いた童磨が笑った。

 

「いいねぇ」

 

扇を開く。

 

「仲間に見送られて、一人で僕と戦うんだ」

 

「黙れ」

 

「格好いいじゃないか」

 

「……」

 

獪岳の周囲に雷光が走る。

 

「始めるぞ」

 

「うん」

 

童磨の笑顔が消える。

 

「殺し合おう」

 

次の瞬間。

 

――轟ッ!

 

雷鳴。

 

獪岳の姿が消えた。

 

「雷の呼吸――」

 

童磨の目の前に現れる。

 

「壱ノ型・極!」

 

「――!」

 

一閃。

 

童磨は扇を交差させる。

 

――ガキィィン!!

 

衝撃で雪が吹き飛ぶ。

 

「速い!」

 

童磨が笑う。

 

「さっきより速くなってる!」

 

「まだだ!」

 

獪岳が刀を返す。

 

「迅雷・閃々!」

 

雷光が連続して走る。

 

童磨は後退しながら扇を振る。

 

「血鬼術――散り蓮華!」

 

無数の氷の花弁が舞う。

 

「邪魔だ!」

 

獪岳は刀を振り抜く。

 

雷が氷を次々と砕く。

 

だが。

 

一枚。

 

獪岳の頬を掠めた。

 

「……!」

 

皮膚が一瞬で凍りつく。

 

「冷たいだろう?」

 

童磨が笑う。

 

「僕の氷は触れるだけでも危険なんだよ」

 

獪岳は頬の氷を手で砕く。

 

「この程度……」

 

刀を構える。

 

「どうってことない」

 

「強がりだねぇ」

 

「違う」

 

獪岳の瞳が鋭くなる。

 

「俺には――」

 

雷光が増していく。

 

「守るものがある」

 

「……!」

 

「だから、ここで負けるわけにはいかない」

 

童磨が首を傾げる。

 

「胡蝶しのぶ?」

 

「……」

 

獪岳の殺気が爆発する。

 

「名前を呼ぶな!」

 

「図星だね」

 

「黙れ!」

 

獪岳が踏み込む。

 

「雷龍!」

 

雷を纏った斬撃が、龍のように童磨へ迫る。

 

童磨は扇を振る。

 

「血鬼術――凍て曇!」

 

冷気が爆発する。

 

雷と氷が激突した。

 

――ドォォォン!!

 

視界が白く染まる。

 

その中から。

 

「……!」

 

獪岳が飛び出す。

 

「何!?」

 

童磨が目を見開く。

 

獪岳の刀が童磨の肩を深く斬り裂く。

 

「――ッ!」

 

童磨の身体が吹き飛ぶ。

 

「やった……!」

 

遠くでカナエが声を上げる。

 

だが。

 

童磨は地面に着地すると。

 

「……あはは」

 

笑っていた。

 

「痛いなぁ」

 

肩の傷が瞬時に再生する。

 

「でも――」

 

童磨の瞳が妖しく光る。

 

「もっと面白くなってきた」

 

両手の扇を開く。

 

「血鬼術――蔓蓮華!」

 

巨大な氷の蓮が一斉に咲く。

 

「……!」

 

獪岳は地面を蹴る。

 

一つ。

 

二つ。

 

三つ。

 

無数の氷を斬り裂く。

 

しかし。

 

「――!」

 

背後から氷の槍。

 

獪岳は身体を捻る。

 

だが、避けきれない。

 

「ぐっ!」

 

左肩を貫かれる。

 

「獪岳さん!」

 

カナエが叫ぶ。

 

「来るな!」

 

獪岳が怒鳴る。

 

自ら刀を肩の氷へ突き立て。

 

「……ッ!」

 

一気に引き抜く。

 

血が雪に落ちる。

 

童磨が微笑む。

 

「痛そうだね」

 

「……」

 

「もう終わりにする?」

 

「馬鹿を言うな」

 

獪岳は傷口を押さえながら立ち上がる。

 

「まだ始まったばかりだ」

 

「へぇ」

 

「俺は――」

 

刀を構える。

 

「柱だ」

 

雷鳴が轟く。

 

「鬼殺隊の柱として、お前を斬る」

 

童磨は笑う。

 

「その意気だよ」

 

扇を構える。

 

「じゃあ、もっと本気を出そうか」

 

その瞬間。

 

童磨の周囲に巨大な氷像が次々と現れた。

 

「……!」

 

カナエが息を呑む。

 

「獪岳さん!」

 

「分かっている」

 

獪岳の額から汗が流れる。

 

童磨の圧倒的な力。

 

これまで戦った鬼とは、まるで次元が違う。

 

それでも。

 

獪岳は刀を下ろさなかった。

 

「……」

 

そして。

 

静かに目を閉じる。

 

雷の呼吸。

 

己の中にある雷を、極限まで研ぎ澄ます。

 

「雷は――」

 

目を開く。

 

「一瞬だ」

 

身体から凄まじい雷光が溢れ出す。

 

「一瞬で、全てを斬る」

 

童磨の表情が変わった。

 

「……!」

 

「雷の呼吸――」

 

雪原が震える。

 

「九頭龍の雷!」

 

――轟轟轟轟轟ッ!!

 

九条の雷が一斉に走る。

 

童磨が氷の盾を展開する。

 

しかし。

 

「――ッ!」

 

雷が氷を次々と破壊する。

 

童磨の身体が斬り裂かれる。

 

「ぐっ……!」

 

初めて。

 

童磨の笑顔が消えた。

 

「……これは」

 

獪岳は止まらない。

 

「まだ終わりじゃない!」

 

「雷鳴――」

 

さらに踏み込む。

 

「帝釈天!」

 

天から雷が落ちる。

 

――ドォォォォン!!

 

雪原が爆発した。

 

巨大な氷の像が粉砕される。

 

童磨の身体が吹き飛ぶ。

 

「……!」

 

カナエは息を呑む。

 

「凄い……」

 

しかし。

 

煙と雪の向こうから。

 

「……あはは」

 

童磨の笑い声。

 

獪岳の目が細くなる。

 

「……まだ立つか」

 

童磨がゆっくり立ち上がる。

 

身体は大きく傷ついている。

 

だが。

 

その傷は、すでに再生を始めていた。

 

「凄いね」

 

童磨は笑った。

 

「本当に凄い」

 

そして。

 

「君、今まで会った柱の中でも――」

 

虹色の瞳が獪岳を捉える。

 

「かなり強いよ」

 

獪岳は刀を構える。

 

「褒め言葉はいらない」

 

「そう?」

 

童磨も扇を構える。

 

「なら――」

 

冷気がさらに膨れ上がる。

 

「次で決めようか」

 

獪岳の雷も、さらに激しくなる。

 

「望むところだ」

 

二人の視線が交差する。

 

雷鳴。

 

吹雪。

 

そして殺気。

 

その中心で。

 

鳴柱・獪岳と上弦の弐・童磨。

 

二人の死闘は――。

 

いよいよ最終局面へと突入しようとしていた。

 

 

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