『霹靂、そして慈雨。転生獪岳の鬼殺隊無双ルート』   作:夜幻

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第121話 大正コソコソ噂話・鬼殺隊の噂

――大正コソコソ噂話。

 

鬼殺隊本部。

 

今日も隊士たちは任務の合間に、ひそひそと話をしていた。

 

「なあ、知ってるか?」

 

「何を?」

 

「最近の鬼殺隊の噂だよ」

 

「噂?」

 

「ああ」

 

隊士が声を潜める。

 

「なんでも、鳴柱様の周りには若い隊士が集まってるらしい」

 

「知ってる!」

 

別の隊士が食いつく。

 

「竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助だろ?」

 

「そうそう」

 

「三人とも凄い勢いで強くなってるらしいぞ」

 

「特に我妻!」

 

「雷の呼吸の使い手だよな」

 

「そう!」

 

隊士は興奮した様子で語る。

 

「鳴柱様と一緒に鍛錬してるところを見たんだけどさ」

 

「どうだった?」

 

「雷が二つ同時に走ってた」

 

「二つの雷……」

 

「そう!」

 

「まるで兄弟弟子が並んで戦ってるみたいだった」

 

「実際、兄弟弟子だからな」

 

「それがまた凄いんだよ」

 

隊士たちの声が大きくなる。

 

「鳴柱様の技、帝釈天って知ってるか?」

 

「知ってる!」

 

「雷が何本も同時に走るっていう、もの凄い技だろ?」

 

「ああ」

 

「でも我妻の火雷神も凄いらしいぞ」

 

「火雷神?」

 

「一瞬で消えるほど速いらしい」

 

「へぇ……」

 

「鳴柱様の帝釈天と我妻の火雷神」

 

「二つの雷が並んだら、鬼は逃げる暇もないだろうな」

 

「……」

 

そこへ。

 

「お前たち」

 

「!?」

 

背後から声。

 

隊士たちが凍りつく。

 

振り返ると。

 

「獪岳様……」

 

鳴柱・獪岳が立っていた。

 

「何をこそこそ話している」

 

「い、いえ!」

 

「何でもありません!」

 

「……そうか」

 

獪岳はため息をつく。

 

「俺の噂話などする暇があるなら鍛錬しろ」

 

「はい!」

 

隊士たちが慌てて逃げていく。

 

だが。

 

「……」

 

獪岳は小さく笑った。

 

「帝釈天と火雷神……か」

 

悪い噂ではない。

 

むしろ。

 

弟弟子の成長を嬉しく思っていた。

 

 

その頃。

 

別の場所では。

 

「ねえ、知ってる?」

 

「何を?」

 

隊士たちがまた話していた。

 

「蟲柱様と鳴柱様の噂」

 

「……!」

 

「聞いたことある」

 

「二人って、恋人なんだろ?」

 

「そうらしい」

 

「本当に?」

 

「うん」

 

「この前、二人で町を歩いていたって」

 

「へぇ……」

 

「しかも鳴柱様、蟲柱様の前だと少し雰囲気が違うらしい」

 

「え?」

 

「普段は怖いのに、蟲柱様と一緒だと柔らかいんだって」

 

「信じられない……」

 

「俺も最初は嘘だと思った」

 

「でも――」

 

隊士が周囲を確認する。

 

「笑ってたらしいぞ」

 

「鳴柱様が!?」

 

「声が大きい!」

 

「す、すまん!」

 

「……」

 

隊士たちは顔を見合わせる。

 

「恋人って……いいな」

 

「お前には関係ないだろ」

 

「うるさい」

 

その会話を。

 

少し離れた場所で、しのぶが聞いていた。

 

「……」

 

そして。

 

「ふふ」

 

口元を押さえて笑う。

 

「随分と面白い噂が広がっていますね」

 

「何が面白いんだ?」

 

隣にいた獪岳が聞く。

 

「私たちの噂ですよ」

 

「……」

 

獪岳がため息をつく。

 

「放っておけ」

 

「ええ」

 

しのぶは楽しそうに笑う。

 

「でも、皆さんが私たちのことを知っていると思うと、少し嬉しいです」

 

「そうか?」

 

「はい」

 

「……変わってるな」

 

「獪岳さんに言われたくありません」

 

「何だと?」

 

「ふふ」

 

二人はそのまま歩いていった。

 

 

そして。

 

さらに別の場所。

 

「聞いたか?」

 

「今度は何だよ」

 

「岩柱様の噂だ」

 

「悲鳴嶼様?」

 

「ああ」

 

「最強の柱だろ?」

 

「そうだ」

 

隊士は声を潜める。

 

「でもな」

 

「何だ?」

 

「実は、凄く優しいらしい」

 

「知ってる」

 

「隊士たちの怪我を心配してくれるんだって」

 

「それだけじゃない」

 

「?」

 

「最近、鳴柱様とよく一緒にいるらしい」

 

「へぇ」

 

「若い隊士たちの鍛錬を一緒に見てるんだって」

 

「岩柱様と鳴柱様か……」

 

「二人が並ぶと凄い迫力だろうな」

 

「鬼が泣いて逃げそうだ」

 

「いや、鬼が逃げる前に倒されるだろ」

 

「確かに」

 

隊士たちは笑った。

 

 

そして最後に。

 

本部の廊下。

 

「大正コソコソ噂話!」

 

炭治郎が突然叫ぶ。

 

「うわぁぁぁ!」

 

善逸が驚く。

 

「何だよ急に!」

 

「最近、鬼殺隊で色んな噂が流れてるんだって!」

 

伊之助が興味津々になる。

 

「何の噂だ!」

 

「鳴柱・獪岳さんと蟲柱・しのぶさんの恋人関係!」

 

「おお!」

 

伊之助が叫ぶ。

 

「あと、獪岳さんと善逸の兄弟弟子!」

 

「それは本当だよ!」

 

善逸が胸を張る。

 

「そして!」

 

炭治郎が続ける。

 

「悲鳴嶼さんは鬼殺隊最強!」

 

「当然だ!」

 

伊之助が叫ぶ。

 

「俺がいつか勝つ!」

 

「だから無理だって!」

 

善逸が突っ込む。

 

そこへ。

 

「……お前ら」

 

「!」

 

獪岳が立っていた。

 

「噂話が好きだな」

 

「す、すみません!」

 

炭治郎が頭を下げる。

 

獪岳は三人を見る。

 

そして。

 

「まあ、悪い噂でなければいい」

 

「え?」

 

「俺たちのことを知ってくれる人間がいる」

 

獪岳は少しだけ笑う。

 

「それも悪くないだろう」

 

三人は顔を見合わせる。

 

「……はい!」

 

こうして。

 

鬼殺隊には今日も様々な噂が流れている。

 

鳴柱・獪岳は怖い。

 

だが、隊士思い。

 

蟲柱・しのぶとは恋人同士。

 

岩柱・悲鳴嶼行冥は鬼殺隊最強。

 

そして。

 

鳴柱と雷の弟弟子は、二つの雷を並び立たせる。

 

どれもこれも。

 

鬼と戦う者たちの間で生まれた、ささやかな噂。

 

――そして最後に。

 

鬼殺隊士たちが密かに語る、最大の噂。

 

「最近の鬼殺隊……」

 

「なんだか、前よりずっと明るくなったよな」

 

「……ああ」

 

「これも、鳴柱様のおかげなのかもな」

 

そんな噂が。

 

今日も大正の夜に、ひっそりと広がっていくのだった。

 

 

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