「楽奈、私のバイトが終わったら練習だからここで待ってて」
「抹茶パフェ」
また、この光景だ。
楽奈ちゃんは、立希さんが何かお願いをするごとに抹茶パフェを要求してくる。
「抹茶パフェはいりまーす」
「ちょっと、お前!勝手に!」
「いいですよ。俺がおごりますから」
今月は出費が少なくて財布に余裕がある。
「私たちの問題だし……」
「りっきー今月厳しいって言ってたし言葉に甘えたら?」
「愛音お前……」
ジト目で愛音ちゃんを睨む立希さん……可愛い。
「ジト目の立希さんも可愛いと思うんだけどそよさんはどう思いますか?」
「うーん。なんでそこで私に振るのかな~凪くんが重症なのはよくわかったけど」
あ、この笑顔のそよさんはまずいやつだ。これ以上ダル絡みするのはやめておこう。
「立希さんは楽奈ちゃんに優しすぎると思うんです。俺にももっと優しくしてください」
「バカなこと言ってないでさっさと帰れば?凪はもうバイト終わってるでしょ」
そんなもったいないこと出来るわけない。推してるバンドのメンバーが勢ぞろいで普段見られない立希さんのことを見られるんだから。
「燈さんはどう思いますか?」
ノートに付箋を貼る燈さんに声をかけて、こちらの味方に付けようと画策する。
「えと、立希ちゃんは、凪くんが居ると楽しそうで……いいと思う」
「だって」
「っお前本当に!」
いつもなら頭を引っ叩かれるところだけど、燈さんも近くにいるからいつものように叩かれなかった。
「立希さんってメンバーの人に結構甘いですよね」
「は?」
「えー!凪くんそれはないよ!だってりっきーめっちゃ厳しいんだよ!?練習中とかすごいんだから」
立希さんってストイックだからなぁ……そういうところもかっこいいんだけど、でもどうせ――
「ちゃんとやったら褒めてくれません?」
「それは、そうだけどさぁ……」
ほら、ちゃんと頑張ってる人には優しいんだから。
「愛音も余計なことを凪に教えないでいいから。こいつすぐに調子に乗るし」
ぷいっと拗ねて顔を逸らす立希さんも可愛くてしかたがない。
「そよさんも立希さんは甘いと思いますよね」
俺がそう言うと、そよさんは立希さんの方をちらっと見てから、まるでからかうように笑う。
「え~でも。立希ちゃんは凪くんにも十分甘いと思うけどな~」
「そよ!お前まで!」
ドンと抹茶パフェを楽奈ちゃんに置きながら、立希さんは声を上げる。
「そうなんですか?」
「そうだよ~凪くんも知ってるでしょ?立希ちゃんがそもそも人付き合い苦手なの」
たしかに、そう考えれば気軽に怒ったり、文句を言いながらも世話を焼いてくれる立希さんは俺に甘いのかもしれない。
「立希さん、さっきはごめんなさい。いつも優しくしてくれてありがとうございます」
「別に……普通に接してるだけだから」
うん。やっぱり、立希さんは甘くてちょろ可愛い。
ついでに、知ってはいたけど、抹茶パフェ代を毎回払ってる立希さんはすごいなと思った。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
立希ちゃんのお財布事情って果たしてどうなってるんでしょうかね?
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