双界機神インフィナイト   作:シラヌイ321

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前回で、蒼羽レンと緋月アカリは旧研究区画の最深部「第零観測層」へ到達した。

そこで二人が知ったのは、白髪の少女ニルが七年前、どちらか一人ではなく二人とも救うため、世界を蒼界と紅界へ分けたという真実だった。

しかし、敵に囚われたニルを今すぐ救出すれば、二つの世界が同時に消滅する危険がある。

二人はニルの記憶を消すことも、危険を承知で救出を急ぐことも選ばなかった。

その直後、青でも赤でもない巨大な歯車が両世界の空へ出現し、街から色と音を奪い始める。

ニルを消さず、世界も消さない未来を作るため、完全な四肢を持つ蒼界機アズールと紅界機フレアは、合体せずに色のない疑似世界「零界」へ向かう。
第4話キービジュアル↓

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第二篇「ゼロ・アンカー篇」
第4話 色のない明日


「青でも赤でもない世界。

 

それは二人が望んだ第三の未来ではない。

 

誰にも選ばれず、消された可能性の墓場だった」

 

 

色のない巨大な歯車が、二つの空へ浮かんだ。

 

蒼界(そうかい)――七年前の世界分裂で蒼羽レンだけが生き残り、秩序と管理によって復興した青い世界。

 

その傷一つない街から、青色が消えていく。

 

紅界(こうかい)――同じ分裂で緋月アカリだけが生き残り、崩壊した環境を人々の支え合いで生き延びてきた赤い世界。

 

燃えるような空からも、赤色が抜け落ちていく。

 

最初に白くなったのは、七年前に世界分裂の原因となる事故が起きた旧研究区画を中心とする半径三百メートルだった。

 

白銀の建物も、錆びた鉄骨も、同じ灰色へ変わった。

 

次に音が消えた。

 

交通艇の駆動音。

 

崩れた送水管から落ちる水音。

 

避難警報さえ、口の動きだけを残して聞こえなくなる。

 

蒼羽レン(あおば・れん)――精密な位相制御を得意とする青銀の完全人型機、蒼界機アズールの操縦者であり、七年前に幼なじみのアカリを失ったと思い続けてきた青年は、境界航行母艦の窓から白くなる街を見下ろしていた。

 

胸元の青いペンダントが、白い光を放っている。

 

それはアズールを起動する位相鍵であると同時に、旧研究区画の最深部で回収したニルの記憶を保存する器になっていた。

 

「広がっている」

 

レンが呟く。

 

通信窓の向こうで、緋月アカリが赤いペンダントを握った。

 

緋月アカリ(ひづき・あかり)――瞬間出力と近接戦闘を得意とする赤金の完全人型機、紅界機フレアの操縦者であり、紅界で三年間、人々を白い敵機の襲撃から逃がし続けてきた少女。

 

彼女の背後でも、色を失った瓦礫が白い砂のように崩れ始めている。

 

『こっちも同じ。触っても冷たくない。熱くもない。何も感じない』

 

アカリが灰色の壁へ手を当てる。

 

指先が、壁の表面へわずかに沈んだ。

 

『これ、本当に壁なの?』

 

「離れろ、アカリ!」

 

レンが叫んだ瞬間、壁から白い腕が伸びた。

 

アカリは身をひねってかわす。

 

腕は何かを掴むように空を切り、そのまま壁へ溶けて消えた。

 

赤いペンダントから、かすかな少女の声が流れる。

 

『第一の杭が……目を覚ました』

 

「ニル?」

 

人型端末ニル――青と赤の瞳を持ち、七年前にレンとアカリの両方を救うため、世界を蒼界と紅界へ分けた白い髪の少女。

 

現在の彼女は、敵組織の内部に囚われている。

 

『色が、なくなる前に……』

 

声が途切れた。

 

同時に色のない歯車が一段回転する。

 

白い範囲が一気に百メートル広がった。

 

 

境界航行母艦ノア・ギアの作戦室。

 

ノア・ギア――蒼界と紅界の双方へ半分ずつ存在し、二つの世界を同時に観測できるARK-∞(アーク・インフィニティ)の母艦である。

 

ARK-∞とは、重なり合う二世界を守るために活動する境界保全機構の名称だった。

 

作戦卓の中央に、青い地球と赤い地球が映っている。

 

その間で、色のない球体が脈打っていた。

 

御堂カナメ(みどう・かなめ)――ノア・ギアを指揮し、二人へ戦うかどうかの最終判断を委ねる艦長が、腕を組んで球体を見つめている。

 

白瀬ユナ(しらせ・ゆな)――二世界の位相と敵の動きを解析する戦術解析担当が、次々と観測画面を開いた。

 

「未知の波形が、蒼界と紅界の位相差を打ち消しています」

 

「打ち消すと、どうなる」

 

レンが尋ねる。

 

「二つの世界は区別を失います。ですが、元の一つへ戻るわけではありません」

 

ユナが色のない球体を拡大する。

 

内部には、消えた街、存在しなかった道路、名前のない人影が無数に浮かんでいた。

 

「これは零界波(れいかいは)です。青にも赤にも属さない零の位相が、両世界の違いを消去する侵食現象です」

 

『零の世界……』

 

アカリが呟く。

 

「便宜上、零界(れいかい)と呼びます。終端機関ゼロが消してきた可能性を集めて作った、色のない疑似世界です」

 

終端機関ゼロ――白髪の指導者アウレル・ゼロが率い、「未来は一つでいい」という思想の下で蒼界か紅界の片方を消そうとする敵組織。

 

これまでヌルと呼ばれる白い量産機を送り込み、建物だけでなく人々の記録や記憶も削ってきた。

 

真壁ゲンゴ(まかべ・げんご)――アズールとフレアの構造を知る整備主任が、工具を持ったまま作戦卓へ近づく。

 

「問題は、どうして今になって零界が動き出したかだ」

 

ユナの視線が、レンとアカリのペンダントへ向いた。

 

「第零観測層から持ち帰ったニルの記憶が、封印されていた領域と接続したためです」

 

第零観測層(だいれいかんそくそう)――旧研究区画の地下七層より深く、二つの世界へ分裂せず残った秘密研究区画。

 

そこで二人は、ニルが世界を分けた瞬間の記録を発見した。

 

「つまり、俺たちが記憶を持ち帰ったせいで起きたのか」

 

レンの声が低くなる。

 

『違う』

 

アカリがすぐに否定した。

 

『記憶が悪いんじゃない。それを利用してる何かがある』

 

ユナが頷き、色のない球体の周囲へ三本の黒い杭を表示した。

 

「その可能性が高いです。零界波はニル本人から直接放たれているのではありません」

 

「この杭は何だ」

 

「ゼロ・アンカー。終端機関ゼロが零界を蒼界と紅界へ固定するために設置した、三本の境界杭です」

 

一つ目の杭だけが紫色に光っている。

 

残る二本は輪郭しか見えない。

 

「ニルの記憶が解放されたことで、第一のゼロ・アンカーが起動しました。三本すべてが起動すれば、零界が両世界を上書きします」

 

『そうなったら、蒼界と紅界は』

 

「どちらも消えます」

 

作戦室が静まり返った。

 

カナメが確認する。

 

「拡大を止める方法は」

 

ユナは二つの選択肢を表示した。

 

一つは、ペンダントに保存された白い記憶を消去すること。

 

もう一つは、零界へ入り、起動したゼロ・アンカーを破壊すること。

 

「記憶を消せば、第一アンカーへの接続は一時的に切れます。ただし、ニルの居場所へ続く手掛かりも失われます」

 

アカリが赤いペンダントを胸へ押し当てる。

 

『却下』

 

「まだ説明の途中だ」

 

『最後まで聞いても同じ。あの子の記憶を、危険だからってまた消すのは嫌』

 

レンは何も言わず、拡大を続ける白い範囲を見る。

 

現在の半径は五百八十メートル。

 

一時間後には避難区画へ達する。

 

「アンカーを壊せる確率は」

 

「進入できた場合、四十二パーセントです」

 

「進入できる確率は」

 

「算出できません」

 

アカリが通信窓からレンを見る。

 

『今度は、やる前から失敗を数える?』

 

「時間を数えている。救出を急いで二つの世界を消したら、ニルが背負った七年を無駄にする」

 

『じゃあ、どうするの』

 

「記憶は消さない。ニルも今すぐ外へ出さない。まず杭を壊して、救出しても世界が消えない状態を作る」

 

アカリの表情が柔らかくなる。

 

『同じ答え』

 

「先に言っただけだ」

 

カナメは二人を見た。

 

「確認する。これはニル救出作戦ではない。第一ゼロ・アンカーの破壊と、零界の構造調査だ」

 

「了解」

 

『分かってます』

 

「二人とも、生きて戻れ」

 

その命令だけは、作戦ではなく願いのように聞こえた。

 

 

蒼界側格納庫で、蒼界機アズールが立ち上がる。

 

蒼界機アズール――青と銀の装甲を持つ、レン専用の完全人型機。精密演算と位相固定を得意とし、敵の動きや空間のずれを青い円環で捉える。

 

同じ時刻。

 

紅界側格納庫では、紅界機フレアが赤い胸部コアを燃え上がらせた。

 

紅界機フレア――赤と金の装甲を持つ、アカリ専用の完全人型機。瞬間出力と近接戦闘に特化し、強化された両腕から爆発的な打撃を放つ。

 

二機は欠けた半身ではない。

 

それぞれが両腕と両脚を備え、一体で走り、飛び、戦うことができる。

 

『フェイズ・ドッキングは禁止します』

 

ユナが念を押す。

 

フェイズ・ドッキング――アズールとフレアの位相機能を重ね、青い左半身と赤い右半身を持つ双界機神インフィナイトへ合体する機構。

 

双界機神インフィナイトとは、二人が同じ未来を選んだときにだけ誕生する、二世界を同時に守る第三の機体である。

 

「黄金の出力がニルの記憶を刺激するからか」

 

『はい。零界内部でインフィナイトを起動すれば、残るアンカーまで一度に覚醒させる危険があります』

 

アカリが赤い操縦環を握る。

 

『今日は別々のまま戦うってことね』

 

「別々でも、力まで切る必要はない」

 

レンは青いペンダントを胸部接続環へ重ねた。

 

アカリも同時に赤いペンダントを掲げる。

 

二機の間に細い黄金線が生まれた。

 

ツイン・ギア・コアとは、もともと一つだった位相機能を青側と赤側へ分けて保持する、アズールとフレアの半円形動力核である。

 

ツイン・ギア・リンク――アズールとフレアが合体せず、別々の機体を保ったまま二つのコアの出力だけを接続する方式。

 

『接続率、二十一パーセント。安全域です』

 

カナメが発進許可を出す。

 

『アズール、フレア。零界への進入を開始せよ』

 

「蒼界機アズール、出る」

 

『紅界機フレア、行きます!』

 

青と赤の巨人が、それぞれの発進路を駆けた。

 

ノア・ギアの前方に、色のない円形の門が開く。

 

二機は異なる世界から同時に飛び込み、白い光へ呑まれた。

 

 

零界には、空がなかった。

 

白い地面の上へ、上下も分からない街が浮かんでいる。

 

校舎。

 

公園。

 

崩れていない旧研究区画。

 

どれも蒼界と紅界の両方に似ていて、どちらとも一致しない。

 

アズールが白い道路へ着地する。

 

足音がしない。

 

フレアも隣へ降り立った。

 

赤い装甲の色だけが、白い景色の中で不自然に浮いている。

 

『人がいる』

 

アカリが正面を指す。

 

制服姿の少年と少女が、並んで歩いていた。

 

黒い髪の少年。

 

赤褐色の髪の少女。

 

七年前に世界が分かれなかったなら、そうなっていたかもしれないレンとアカリ。

 

二人は十七歳の姿で笑っている。

 

学校帰りに飲み物を買い、同じ道を歩き、明日の予定を話していた。

 

『私たち……?』

 

「違う。選ばれなかった未来を形にしているだけだ」

 

『分かってる。でも』

 

アカリの声が揺れる。

 

白い街のレンが、アカリの方を見た。

 

白い街のアカリが、レンへ手を振る。

 

『ここなら、二人とも失わなかった』

 

どこからともなく、声が聞こえた。

 

『青い世界も、赤い世界も忘れればいい』

 

『最初から、ここで一緒に生きていた』

 

レンの青い視界へ、存在しない記憶が流れ込む。

 

アカリと同じ学校へ通った日々。

 

七年前の事故が何事もなく終わった研究区画。

 

慰霊碑のない街。

 

声を殺して泣く必要のなかった夜。

 

「これは、俺の記憶じゃない」

 

『記憶になれば、違いはなくなる』

 

白い街が青く染まり始める。

 

レンが望んだ蒼界の形へ変わっていく。

 

同時にアカリの周囲では、街が赤い共同居住区へ姿を変えた。

 

その中央に、死んだはずのレンが立っている。

 

『アカリ。もう走らなくていい』

 

幻のレンが手を伸ばす。

 

『誰も助けなくていい。ここには、失う人なんていない』

 

アカリの手が操縦環から離れかけた。

 

白い影が二人の間へ降り立つ。

 

人型だが、顔も紋章もない。

 

装甲は白ではなく、色そのものが存在しない透明な灰色。

 

胸部には、文字の消された平らな円が埋め込まれている。

 

F-02ブランク。

 

F-02ブランク――終端機関ゼロが零界防衛のために投入した実験機。物体を消すF-01ヌルとは異なり、人間が選んだ理由を空白へ戻し、都合のよい偽の記憶で上書きする。

 

『選択には痛みが伴う』

 

ブランクの胸で、色のない円が回る。

 

『選ばなければ、後悔も生まれない』

 

両腕から白い波が放たれた。

 

ゼロ・リライト――対象が抱える後悔を読み取り、実際には選ばなかった過去を本物の記憶として上書きするブランクの攻撃。

 

白い波がアズールを呑み込む。

 

「俺は……何のためにここへ来た」

 

レンの視界から、ニルの姿が消えた。

 

零界波の拡大も、作戦も、頭から抜け落ちていく。

 

残ったのは、アカリが隣にいる穏やかな日常だけだった。

 

フレアにも別の波が直撃する。

 

『避難誘導をしないと』

 

アカリの周囲に、崩れかけた紅界の住民たちが現れる。

 

『待ってて。今助けるから!』

 

フレアがアズールから離れ、存在しない救難信号へ走り出した。

 

二機を結ぶ黄金線が細くなる。

 

接続率、十二パーセント。

 

八パーセント。

 

三パーセント。

 

『ツイン・ギア・リンク、切断します!』

 

ユナの声も白い雑音へ消えた。

 

 

レンは青い街の歩道に立っていた。

 

アズールの操縦席ではない。

 

制服を着ている。

 

隣にはアカリがいる。

 

「今日、研究区画へ寄る?」

 

何も失わなかった少女が尋ねる。

 

「行かない」

 

レンは答えた。

 

「危険な場所へ行く理由がない」

 

「じゃあ、帰ろう」

 

アカリが手を差し出す。

 

欲しかった未来だった。

 

七年間、何度も夢に見た。

 

それなのに、その手へ触れようとすると胸が痛んだ。

 

青いペンダントが、制服の内側で白く光っている。

 

『真ん中は、一番大事なところだよ』

 

幼いアカリの声。

 

続いて、知らないはずの白い少女の笑い声が聞こえた。

 

ニルの記憶だった。

 

「この世界には、ニルがいない」

 

目の前のアカリが首を傾げる。

 

「誰のこと?」

 

「アカリが助けた人たちもいない」

 

「そんな人たちは最初から存在しないよ」

 

「だから、これは俺が望んだ未来じゃない」

 

レンは差し出された手を取らなかった。

 

「君がいるだけで、君が生きてきた時間がない」

 

青い街へ亀裂が走る。

 

偽の空が砕け、アズールの操縦席が戻ってきた。

 

 

アカリは紅界の地下水路を走っていた。

 

前方で住民たちが助けを求めている。

 

その中にレンがいた。

 

七年前の姿ではない。

 

今のレンが、自分へ手を伸ばしている。

 

「アカリ。こっちに来れば、もう誰も失わない」

 

「待って。すぐ行く!」

 

アカリは走った。

 

だが、どれほど進んでも距離が縮まらない。

 

赤いペンダントから、小さな鼓動が伝わる。

 

一度。

 

二度。

 

三度。

 

レンと呼吸を合わせたときの間隔だった。

 

アカリは足を止める。

 

「レンなら、助けを待つだけじゃない」

 

幻のレンが笑顔のまま固まった。

 

「私が来るまでに、周りの人を全員逃がしてる」

 

「ここでは、そんな必要はない」

 

「それに、レンは『こっちに来い』なんて言わない」

 

アカリは拳を握る。

 

「危なくても、私に決めさせる」

 

赤い拳で幻の地面を殴った。

 

地下水路が砕ける。

 

フレアの赤い操縦席が戻った。

 

アカリは通信環を開く。

 

『レン!』

 

ほぼ同時に、レンの声が返る。

 

「聞こえている」

 

『遅い!』

 

「君も今戻ったところだろ」

 

『そうだけど、返事は早くして!』

 

二機の間で黄金線が再接続される。

 

ツイン・ギア・リンク、接続率二十七パーセント。

 

レンは目の前の色のない街を見る。

 

「アカリが生きているだけの世界じゃ足りない」

 

『レンがいるだけの世界もいらない』

 

「君が紅界で助けた人も」

 

『レンが蒼界で守った人も』

 

「ニルが残した二つの未来も」

 

二人の声が重なった。

 

「全部、ここにはない」

 

偽の街が崩壊する。

 

その中心に、第一ゼロ・アンカーが姿を現した。

 

黒い杭が白い地面を貫き、無数の管を零界の奥へ伸ばしている。

 

F-02ブランクが杭の前へ立った。

 

『不完全な現実を選択する理由を確認できません』

 

「理由ならある」

 

アズールが左掌を向ける。

 

「誰かが用意した都合のいい未来より、自分たちが生きた世界を選ぶ」

 

フレアが右拳を引く。

 

『痛くても、間違っても、その次を自分で決めるために!』

 

 

F-02ブランクの輪郭が消えた。

 

次の瞬間、アズールの背後へ現れる。

 

色のない刃が青い肩へ振り下ろされた。

 

レンは左掌を地面へ向ける。

 

「アイオン・トレース!」

 

アイオン・トレース――アズールが空間へ青い円環を広げ、敵が位相移動した跡を足跡のように可視化する索敵技術。

 

白い地面に、ブランクの移動軌道が黒い線となって浮かぶ。

 

アズールは振り向かずに刃をかわした。

 

「三時方向。〇・五秒後!」

 

『任せて!』

 

フレアの全身装甲が開く。

 

「フレア・ドライブ!」

 

フレア・ドライブ――フレアの赤い半円コアから全身へ瞬間的に出力を流し、近接攻撃と加速力を爆発的に高める駆動機構。

 

赤い機体が一瞬で間合いを詰める。

 

ブランクが現れた場所へ、フレアの肘が突き刺さった。

 

色のない装甲が砕ける。

 

だが、破片は地面へ落ちる前に白い粒子へ変わり、第一アンカーへ吸い込まれた。

 

損傷した装甲が元へ戻る。

 

『アンカーから再生エネルギーが供給されています!』

 

ユナの通信が回復する。

 

「なら、先に杭を壊す」

 

アズールがアンカーへ青い円環を放つ。

 

ブランクは両腕を広げ、白い壁を展開した。

 

青い円環が触れた部分から色を失い、消えていく。

 

『位相固定まで消すの?』

 

「消しているんじゃない。選ばなかった状態へ戻している」

 

ブランクの胸で円が高速回転する。

 

数十本の白い刃が、アズールとフレアへ向いた。

 

その瞬間、零界の上空に紫色の亀裂が開いた。

 

黒と銀の巨人が降り立つ。

 

ZC-01ヴァイス。

 

ZC-01ヴァイス――選ばれなかった未来の隙間を移動できる、終端機関ゼロの黒銀機。アズールとフレアを追うカイン・ヴァイスが操縦している。

 

カイン・ヴァイス――どの世界にも選ばれなかったと語り、二人へ「選択の無意味さ」を突きつけてきた敵側の青年。

 

損傷したヴァイスの左肩には白い仮装甲が追加され、砕かれた黒翼の代わりに銀色の補助翼が展開されている。

 

『第一アンカーから離れろ』

 

「断る」

 

『だろうな』

 

ヴァイスが黒銀の刃を抜く。

 

アカリがフレアの拳を構えた。

 

『また邪魔しに来たの?』

 

『命令は、アンカーの防衛とお前たちの排除だ』

 

カインの言葉は冷たい。

 

だが、ヴァイスの刃先は二機ではなくF-02ブランクへ向いていた。

 

ブランクの白い刃が一斉に放たれる。

 

その半数はアズールとフレアへ。

 

残る半数はヴァイスへ向かった。

 

『識別対象、ZC-01』

 

『未選択因子を確認』

 

『零界安定のため、空白化します』

 

カインの瞳が鋭くなる。

 

『俺まで消去対象か、アウレル』

 

ヴァイスが刃を振るい、白い攻撃を切り払う。

 

レンはカインへ通信を開いた。

 

「アンカーが何なのか知っているのか」

 

『ニルの封印を零界へ接続する杭だ。破壊すれば封印は弱まる』

 

『じゃあ壊すのを手伝って!』

 

『その前に答えろ、緋月アカリ』

 

ヴァイスがブランクの拳を受け止める。

 

『ニル本人が自分を止めろと言った。世界を守るためにあの少女を消せと言われたら、お前はできるのか』

 

アカリは一瞬、答えを失った。

 

レンが先に口を開く。

 

「止めることと、消すことは同じじゃない」

 

『言葉遊びだ』

 

「二つしかない選択肢を敵から渡されて、その中から選ぶ方が間違っている」

 

カインがヴァイスの刃を返し、ブランクを押し退ける。

 

『第三の未来を選んだ結果が、この世界分裂だ』

 

「それでも、ニルは俺とアカリを救った」

 

『今度は三人で方法を探す!』

 

アカリが叫ぶ。

 

『ニルだけに選ばせない。私たちも一緒に背負う!』

 

カインは黙った。

 

F-02ブランクが再びゼロ・リライトを放つ。

 

ヴァイスの胸へ白い波が直撃した。

 

カインの視界に、幼い白髪の少女が映る。

 

『カイン』

 

少女が名前を呼ぶ。

 

『あなたも、真ん中にいて』

 

「何だ……この記憶は」

 

ヴァイスの動きが止まる。

 

ブランクの刃が黒銀の胸部へ迫った。

 

アズールが間へ入り、青い両腕で刃を受け止める。

 

装甲から火花が散った。

 

『なぜ助けた』

 

「君が消えれば、答えを聞けない」

 

『甘い男だ』

 

「よく言われる」

 

『誰にだ』

 

『私に!』

 

フレアが横から飛び込み、赤い蹴りでブランクを吹き飛ばした。

 

『話してる暇があるなら杭を壊す!』

 

ヴァイスの紫色の単眼が、第一アンカーへ向く。

 

『杭の外殻は三位相構造だ。青と赤だけでは中核へ届かない』

 

「三つ目は、君の機体か」

 

『ヴァイスは選ばれなかった位相を通れる。俺が中間層を切る』

 

『協力してくれるの?』

 

『勘違いするな。俺を消そうとした機体が気に入らないだけだ』

 

アカリが小さく笑う。

 

『そういうことにしておく』

 

 

三機が第一ゼロ・アンカーを囲んだ。

 

F-02ブランクが白い粒子を集め、巨大な姿へ変わる。

 

アズールの精密な腕部。

 

フレアの強化された拳。

 

ヴァイスの黒銀の翼。

 

奪い取った三機の特徴が、色のない一体へ重なっていた。

 

『選択を統合』

 

『不要な差異を削除します』

 

巨大化したブランクが、白い両掌を合わせる。

 

零界全体が収縮を始めた。

 

『零界波、臨界まで百二十秒!』

 

ユナが叫ぶ。

 

『二分以内にアンカーを破壊できなければ、帰還路が閉じます!』

 

レンは三機の位置を計算する。

 

「カイン。中間層を切れる時間は」

 

『〇・八秒』

 

『十分!』

 

「君は本当に何でも十分と言うな」

 

『足りない分は勢いで足す!』

 

『無駄口は終わりだ』

 

ヴァイスが紫色の亀裂へ消える。

 

アズールは両掌を第一ゼロ・アンカーへ向けた。

 

無数の青い円環が杭の外側を包む。

 

アイオン・ロック――アズールが青い円環を対象へ重ね、その位置と位相を一時的に固定する拘束技。

 

「アイオン・ロック。青側外殻を固定!」

 

第一層の回転が止まる。

 

フレアが赤い光を噴き、上空へ跳躍した。

 

右拳へ全出力を集める。

 

「フレア・ドライブ、最大出力!」

 

赤い装甲の隙間から金色の熱が溢れる。

 

F-02ブランクがフレアを止めようと腕を伸ばした。

 

アズールが円環の一部を敵の関節へ移す。

 

「アイオン・ロック!」

 

白い腕が空中で停止する。

 

だが、拘束は一秒も持たない。

 

ブランクが青い輪を砕く。

 

その〇・一秒前。

 

ヴァイスがアンカー内部から現れた。

 

黒銀の刃が、青と赤の間にある透明な中間層を切り裂く。

 

『今だ!』

 

レンとアカリのペンダントが黄金に輝く。

 

ツイン・ギア・リンクの接続率が一気に八十二パーセントまで上昇した。

 

二機は合体しない。

 

アズールは青いまま。

 

フレアは赤いまま。

 

離れた二機の間で、巨大な黄金の歯車が回転する。

 

クロス・ギア・インパクト――ツイン・ギア・リンクで生まれた黄金出力を、アズールの位相固定とフレアの打撃へ同時に流す分離形態専用の連携攻撃。

 

「蒼き理で、逃げ道を止める!」

 

『紅き意志で、その未来を打ち抜く!』

 

青い円環が第一アンカーの中核を固定する。

 

フレアが急降下する。

 

「クロス・ギア――」

 

『インパクト!』

 

赤い拳が黒い杭の中心へ突き刺さった。

 

黄金の衝撃が三つの位相を同時に貫く。

 

第一ゼロ・アンカーへ亀裂が走った。

 

一本。

 

十本。

 

数え切れない亀裂が全体へ広がる。

 

黒い杭が白い光の柱となって砕けた。

 

F-02ブランクの再生が止まる。

 

色のない巨体から、青と赤と紫の光が抜け落ちた。

 

『差異……確認……』

 

『選択……不能……』

 

フレアが最後の拳を引く。

 

『選ばないんじゃない』

 

アズールがブランクの胸部を円環で固定する。

 

「選び続けるんだ」

 

フレア・バースト――フレアの拳へ赤い衝撃出力を集中させ、対象の中核を打ち砕く近接必殺技。

 

「フレア・バースト!」

 

赤い拳が平らな胸部コアを砕いた。

 

F-02ブランクは無数の白い紙片のように崩れ、零界の空へ消えた。

 

 

第一アンカーが消えると、零界に色が戻り始めた。

 

最初に青い光が一本走る。

 

次に赤い光が反対側から伸びる。

 

二つの光は混ざらず、それぞれの世界へ帰る道を作った。

 

『帰還門を確認! 急いでください!』

 

ユナの声が届く。

 

アズールとフレアが門へ向かう。

 

ヴァイスはその場を動かなかった。

 

「カイン!」

 

レンが呼ぶ。

 

『敵へ帰れと言うのか』

 

「ここに残れば、答えを聞けない」

 

カインは砕けたアンカーの跡を見た。

 

そこに幼いニルの姿が浮かんでいる。

 

白い少女は、カインへ手を伸ばしていた。

 

『思い出して』

 

『あなたも、あの日にいた』

 

カインが操縦環を強く握る。

 

『俺は、お前など知らない』

 

ニルの像が消える。

 

ヴァイスは紫色の亀裂を開き、零界から離脱した。

 

その直前、アズールの観測器が黒銀の翼から発せられる波形を捉えた。

 

第一アンカーと同じ反応。

 

レンは記録を保存し、青い帰還門へ飛び込んだ。

 

フレアも赤い門を通過する。

 

二機が去った直後、零界は音もなく閉じた。

 

 

蒼界の街へ青色が戻った。

 

紅界の空へ赤色が戻った。

 

壁へ沈みかけていたアカリの手にも、温度と感触が戻っている。

 

白くなった範囲にいた人々は、失いかけた記憶を取り戻した。

 

ただし、全員が同じ夢を見ていた。

 

失った人と再会し、何も選ばなくてよかった世界の夢。

 

ノア・ギアの作戦室で、ユナが回収データを解析する。

 

「第一ゼロ・アンカーの完全消滅を確認。零界波も停止しました」

 

アカリが息を吐く。

 

『これでニルを助けられる?』

 

「まだです。残るアンカーは二本」

 

ユナが二つの反応を表示した。

 

一つは、終端機関ゼロの白い広間から動かない。

 

もう一つは、高速で世界の狭間を移動している。

 

レンは戦闘中に記録した波形を重ねた。

 

一致率、九十九・八パーセント。

 

「移動しているアンカーは、ヴァイスだ」

 

作戦室に緊張が走る。

 

『カイン自身は知ってるのかな』

 

「あの反応を見る限り、知らない可能性が高い」

 

カナメが二つのアンカーを見つめる。

 

「一つは敵の本拠地。もう一つは、意思を持って動く敵機か」

 

『面倒ですね』

 

アカリが言う。

 

ゲンゴが笑う。

 

「お前さんがそれを言うようになったか」

 

『何ですか、その言い方』

 

レンは青いペンダントを見る。

 

内部の白い記憶は消えていない。

 

ニルの小さな声が聞こえた。

 

『一つ、外れた』

 

『あと二つ』

 

「待っていてくれ」

 

レンは答えた。

 

「君を消さずに、世界も消さない方法を見つける」

 

アカリも赤いペンダントを掲げる。

 

『今度は、三人で未来を選ぼう』

 

白い光が、青と赤の間でわずかに笑ったように揺れた。

 

 

終端機関ゼロの白い広間。

 

損傷したZC-01ヴァイスが、修復台へ膝をついた。

 

カインは操縦席から降りると、白髪の男へ歩み寄る。

 

アウレル・ゼロ――終端機関ゼロを率い、二つに分かれた未来を一つだけに固定しようとする指導者。

 

「ブランクは俺を消そうとした」

 

「零界は差異を許さない」

 

アウレルは平然と答えた。

 

「俺も不要な差異だと言うのか」

 

「お前は必要だ」

 

「なら、なぜヴァイスからアンカーと同じ波形が出ている」

 

アウレルは初めて、わずかに目を細めた。

 

「気づいたか」

 

白い広間の床が透ける。

 

ヴァイスの胸部から黒銀の管が伸び、ニルを閉じ込めた透明な部屋へ繋がっていた。

 

カインの顔から表情が消える。

 

「ヴァイスが、二本目のゼロ・アンカー……」

 

「正確には、その操縦者を含めて一つの杭だ」

 

「俺を利用したのか」

 

「お前はどの世界にも選ばれなかった。その空白が、零界を移動させる最良の器になる」

 

カインはアウレルの胸元を掴んだ。

 

「俺は何者だ」

 

「選択を必要としない者だ」

 

「答えになっていない!」

 

透明な部屋の中で、ニルが目を開いた。

 

『カイン』

 

青と赤の瞳から、涙が落ちる。

 

『ごめんね』

 

『あなたのことも、忘れていた』

 

カインの手が止まる。

 

白い広間の奥で、三本目のゼロ・アンカーが起動した。

 

今度の光は白ではない。

 

すべてを呑み込む黒だった。

 

アウレルは静かに告げる。

 

「第二段階を開始する」

 

蒼界と紅界の空へ、黒い歯車が浮かび上がった。

 

 




お読みいただきありがとうございます。

第4話では、蒼界と紅界から色と音を奪う「零界」が本格的に侵食を開始します。

レンとアカリは、後悔を利用して偽の過去を本物の記憶へ変えるF-02ブランクと対峙しました。二人が選んだのは、痛みのない偽物ではなく、それぞれが七年間を生き抜いた不完全な現実です。

アズールとフレアは合体せず、ツイン・ギア・リンクを維持したまま戦います。さらに黒銀機ヴァイスが一時的に加わり、三つの位相を重ねることで第一ゼロ・アンカーを破壊しました。

しかし、移動する第二ゼロ・アンカーの正体は、カインが操るヴァイス自身でした。終端機関ゼロでは三本目の杭も起動し、物語は第5話「選ばれなかった少年」へ続きます。

【初めて読む方向け 人物・固有名詞ガイド】

- 蒼界(そうかい)

七年前の世界分裂でレンが生き残った青い世界。秩序、管理、精密な位相制御が発達している。

- 紅界(こうかい)

七年前の世界分裂でアカリが生き残った赤い世界。環境は崩壊しているが、人々の強い相互扶助によって成り立っている。

- 蒼羽レン(あおば・れん)

蒼界機アズールの操縦者。分析と精密な判断を得意とし、蒼界ではアカリが死んだと思っていた。

- 緋月アカリ(ひづき・あかり)

紅界機フレアの操縦者。行動力と救助への強い意志を持ち、紅界ではレンが死んだと思っていた。

- 人型端末ニル

青い右目と赤い左目を持つ白髪の少女。二人を救うため世界を分け、現在は終端機関ゼロに囚われている。

- ARK-∞(アーク・インフィニティ)

蒼界と紅界の両方を守る境界保全機構。ノア・ギアを拠点として活動する。

- 境界航行母艦ノア・ギア

蒼界と紅界へ半分ずつ存在し、二世界を同時に観測、支援できるARK-∞の母艦。

- 旧研究区画

七年前にインフィニティ・ギアの事故が発生した研究施設跡。蒼界では封鎖され、紅界では地盤ごと崩壊している。

- インフィニティ・ギア

無数に分岐する未来を観測するために造られた巨大装置。七年前の暴走で世界が蒼界と紅界へ分裂した。

- 位相鍵(いそうかぎ)

アズールとフレアの起動認証を行う鍵。レンの青いペンダントとアカリの赤いペンダントが該当する。

- 御堂カナメ(みどう・かなめ)

ノア・ギア艦長。冷静に作戦を指揮するが、最後の選択は必ず当事者へ委ねる。

- 白瀬ユナ(しらせ・ゆな)

ARK-∞の戦術解析担当。位相現象、敵機、二人の同調状態を分析する。

- 真壁ゲンゴ(まかべ・げんご)

アズールとフレアを整備するARK-∞の整備主任。両機の構造に詳しい。

- 蒼界機アズール

レンが操縦する青と銀の完全人型機。精密演算、位相追跡、円環による固定を得意とする。

- 紅界機フレア

アカリが操縦する赤と金の完全人型機。瞬間加速、近接戦闘、強力な打撃を得意とする。

- 双界機神インフィナイト

アズールとフレアが同じ未来を選び、フェイズ・ドッキングすることで生まれる青と赤の合体機。

- フェイズ・ドッキング

アズールとフレアの位相機能を重ね、双界機神インフィナイトを誕生させる合体機構。

- ツイン・ギア・コア

アズールとフレアの胸部にある半円形動力核。もともと一つだった位相機能を青側と赤側へ分けて保持している。

- ツイン・ギア・リンク

アズールとフレアが分離形態を保ったまま、ツイン・ギア・コアの出力だけを接続する方式。

- 第零観測層(だいれいかんそくそう)

二つの世界へ分裂せず残った旧研究区画の最深部。ニルと七年前の事件の記録が保存されていた。

- 終端機関ゼロ

「未来は一つでいい」という思想の下、蒼界か紅界の一方を消そうとする敵組織。

- F-01ヌル

終端機関ゼロの白い量産機。物体だけでなく、人の記録や存在した可能性まで消去する。

- 零界(れいかい)

終端機関ゼロが、消去された可能性を集めて作った色のない疑似世界。

- 零界波(れいかいは)

蒼界と紅界の位相差を消し、両世界を零界で上書きする侵食波。

- ゼロ・アンカー

零界を蒼界と紅界へ固定する三本の境界杭。すべてが起動すると二世界は零界に上書きされる。

- F-02ブランク

選択した理由を空白へ戻し、偽の記憶で上書きする終端機関ゼロの零界防衛機。

- ゼロ・リライト

対象の後悔を利用し、選ばなかった過去を本物の記憶として見せるF-02ブランクの攻撃。

- ZC-01ヴァイス

カインが操縦する黒銀機。選ばれなかった未来の隙間を移動でき、二本目のゼロ・アンカーでもある。

- カイン・ヴァイス

終端機関ゼロに属する青年。自分はどの世界にも選ばれなかったと考えているが、過去とニルの関係には謎が残る。

- アウレル・ゼロ

終端機関ゼロの指導者。ニルとカインを利用し、零界による二世界の統合消去を進めている。

- アイオン・トレース

アズールが敵の位相移動の軌跡を可視化する索敵技術。

- アイオン・ロック

アズールが青い円環で対象の位置と位相を一時的に固定する拘束技。

- フレア・ドライブ

フレアの全身へ瞬間的に高出力を流し、加速力と近接攻撃力を高める駆動機構。

- フレア・バースト

フレアの拳へ赤い衝撃出力を集中させ、敵の中核を打ち砕く近接必殺技。

- クロス・ギア・インパクト

アズールの位相固定とフレアの打撃へ黄金出力を流し込む、分離形態専用の連携攻撃。

【第5話への扉】

第一の杭は砕けた。しかし、二本目の杭はカインとヴァイスそのものだった。自分が零界を支える器だと知った「選ばれなかった少年」は、アウレルへ初めて明確な疑念を向ける。その背後で、最後のゼロ・アンカーが黒い光を放ち始める。
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