双界機神インフィナイト   作:シラヌイ321

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蒼界と紅界が、初めて互いの朝を見た。

しかし、ニルの鏡には知らない自分が映っていた。

第8話「終界の少女」、始まります。

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第8話 終界の少女

「未来は、まだ生まれていない。

 

それでも、そこで生きている誰かを、存在しないとは言えなかった」

 

 

蒼界と紅界は、初めて互いの朝を見た。

 

蒼界〈そうかい〉――七年前の世界分裂で蒼羽レンが生き残り、青い技術都市を中心に復興した世界。

 

中央都市の大型画面には、赤い砂に覆われた街が映っている。

 

紅界〈こうかい〉――同じ世界分裂で緋月アカリが生き残り、崩壊した環境を人々の支え合いによって維持してきた赤い世界。

 

共同居住区の古い表示板には、青い高層建築と、真っ直ぐすぎる道路が映っていた。

 

共同放送には、各世界から数人ずつ声を交わす試験通話枠が設けられていた。

 

七年前から、二つの世界は同じ場所に存在していた。

 

見ることができなかっただけだった。

 

蒼界の広場では、青い包装の栄養食を持った少年が画面へ近づく。

 

画面の向こうでは、紅界の少年が丸い焼きパンを掲げていた。

 

通信には〇・三秒の遅れがある。

 

二人はしばらく、互いの朝食を無言で見せ合った。

 

蒼界の少年が先に尋ねる。

 

「そっちの赤いの、辛い?」

 

〇・三秒後、紅界の少年が眉を寄せた。

 

『赤い世界の食べ物が、全部辛いと思うなよ』

 

「じゃあ、甘い?」

 

『今日はしょっぱい』

 

「交換できる?」

 

『その青い四角が食べ物なら』

 

蒼界の少年は、自分の栄養食を見た。

 

「たぶん」

 

周囲から、小さな笑いが起きた。

 

それは、二世界が初めて共有した笑いだった。

 

だが、笑わない人もいた。

 

蒼界の男が赤い映像を指差す。

 

「あの世界があるから、こちらの境界が不安定になったんじゃないのか」

 

隣の女性が言い返す。

 

「向こうも同じ被害を受けていると説明されていたでしょう」

 

「説明を信じろと言うのか」

 

紅界の配給所でも、人々の声が重なる。

 

「青い世界には、あれだけ建物が残っている」

 

「私たちの分まで奪ったからじゃないの」

 

「七年間、向こうだってこちらを知らなかったんだ」

 

「なら、どうして向こうだけ豊かなの」

 

互いを知らなかった七年間が、一朝で消えるはずはない。

 

同じ映像を見ても、受け取る答えは一つではなかった。

 

画面の上部には、黒金の数字が表示されている。

 

終界接続まで、六十三時間四十分二十二秒。

 

数字は、二つの世界で同じ速度で減っていた。

 

終界〈しゅうかい〉――第四観測機クアドラが存在する、青、赤、零の外側にある第四の座標。

 

現在から分岐した可能性が、すべて終わった先にあると推測されている。

 

その世界に何があるのかは、まだ誰も知らない。

 

ただ一人。

 

白髪の少女だけが、終界から自分を呼ぶ声を聞いていた。

 

 

境界航行母艦ノア・ギアの医療区画。

 

境界航行母艦ノア・ギア――蒼界と紅界へ半分ずつ存在し、二世界を同時に観測できる境界保全機構ARK-∞の母艦。

 

人型端末ニルは、鏡の前に立っていた。

 

人型端末ニル――青い右目と赤い左目を持ち、七年前に世界を蒼界と紅界へ分けた白髪の少女。

 

第四観測機クアドラとの戦いでは、自ら戦う場所を選び、第四の自由選択体として認識された。

 

鏡に映る右目は青い。

 

左目は赤い。

 

いつもと同じだった。

 

ニルは、鏡の中の自分へ少しだけ口角を上げてみせる。

 

昨夜、アカリに教えられた。

 

笑顔は、嬉しい時だけに出るものではない。

 

誰かを安心させたい時にも使うのだと。

 

『笑顔を形成』

 

鏡の中の自分は、ほとんど変わらない。

 

『成功率、判定不能』

 

もう一度試そうとした時、鏡の中の少女が先に笑った。

 

ニルは動いていない。

 

鏡の中の右目が黒く染まる。

 

左目が金色へ変わる。

 

白い髪の先端を、黒金の光が走った。

 

『笑顔としては、不完全です』

 

声はニルとよく似ていた。

 

けれど、言葉の終わりに微かな揺れがある。

 

笑っているようにも、泣いているようにも聞こえた。

 

『あなたは誰ですか』

 

『帰還条件を満たしました』

 

『質問への回答になっていません』

 

鏡の少女は、ほんの少し首を傾けた。

 

その仕草まで、ニルによく似ていた。

 

『何が帰るのですか』

 

『私たちです』

 

鏡の奥に、巨大な都市が現れる。

 

黒い空。

 

金色の線だけで形を保つ建物。

 

道には、人の姿があった。

 

誰も動かない。

 

立ったまま、眠っている。

 

『ここは終界ですか』

 

『あなたたちが、そう呼んでいる場所です』

 

『あなたはクアドラですか』

 

鏡の少女は、ゆっくり首を振る。

 

『クアドラは、私たちを運ぶ身体です』

 

『私は、帰ることを選んだ者です』

 

ニルは鏡へ手を伸ばす。

 

指が触れる直前、黒金の少女も同じ動きをした。

 

二人の指先が、薄い鏡を挟んで重なる。

 

『ニル』

 

相手が名前を呼んだ。

 

『私を知っているのですか』

 

『あなたの記憶から、私は生まれました』

 

医療区画の警報が鳴る。

 

鏡に亀裂が走った。

 

黒金の少女は消える直前に告げる。

 

『私の名前は、ミラ』

 

『あなたが選び続けた先に生まれた、未来の端末です』

 

鏡が砕けた。

 

ニルの掌から、赤い血が一筋落ちる。

 

自分の身体から血が出ることを、ニルは初めて知った。

 

廊下の奥から、急速に近づく足音が聞こえる。

 

扉が開くより先に、外側から強い衝撃が一度だけ響いた。

 

自動扉が慌てたように左右へ開く。

 

カイン・ヴァイスが医療区画へ飛び込んだ。

 

カイン・ヴァイス――七年前、レンとアカリの両方を救う第三の未来を提案し、その代償として二世界の外側へ存在を落とされた青年。

 

「ニル!」

 

彼は鏡の破片より先に、ニルの手を見た。

 

「何があった」

 

『鏡の中に、私がいました』

 

「お前はここにいる」

 

『私ではありません』

 

ニルは血のついた指で、黒金の鏡片を拾う。

 

『私から生まれた、未来の端末です』

 

カインが鏡片を床へ払い落とした。

 

「触るな」

 

『もう触りました』

 

「そういう報告を先にしろ」

 

『あなたは扉を蹴ろうとしましたか』

 

「していない」

 

扉の警備記録が、小さな警告音を鳴らした。

 

ニルはカインを見る。

 

『記録と一致しません』

 

「今は手を見せろ」

 

カインは医療箱を取り、ニルの掌へ止血布を巻いた。

 

力を入れすぎないよう、何度も指先の色を確かめている。

 

ニルは、その手つきを見つめた。

 

『血は、故障ですか』

 

「生きていれば出ることもある」

 

『では、生存の証明ですか』

 

「もっと安全な方法で証明しろ」

 

ニルの掌で、黒い点が皮膚の下から明滅する。

 

金色の文字が浮かんだ。

 

N∞-01。

 

帰還端末ミラ。

 

 

黒金の鏡片は、隔離容器ごとノア・ギアの作戦室へ運び込まれた。

 

白瀬ユナが、鏡片から伸びる信号を表示する。

 

白瀬ユナ――蒼界と紅界の位相現象を解析し、戦場の数字から隠れた規則を見つけるARK-∞の戦術解析担当。

 

「終界側からの双方向通信です。映像だけではありません。微量ですが、物質転送も起きています」

 

御堂カナメ艦長が尋ねる。

 

御堂カナメ――ノア・ギア艦長であり、戦う者へ判断を委ねながら、必ず帰還路を残そうとする指揮官。

 

「侵入経路は」

 

「ニルの第四選択信号です」

 

作戦室の視線が、ニルへ集まった。

 

カインが彼女の前へ一歩出る。

 

「責任を押しつけるな」

 

「事実を説明しています」

 

ユナは淡々と答えた。

 

「クアドラは、ニルを新しい接続点として登録しました。終界は、その経路を使っています」

 

第四観測機クアドラ――未来を先行観測し、青、赤、零、そして第四の自由選択を収集した黒金の巨大機。

 

現在の空へ現れたものは投影体であり、都市ほど巨大な本体は終界に存在する。

 

カインが尋ねる。

 

「経路を切れるか」

 

「ニルの自由選択機能ごと停止すれば」

 

作戦室の空気が止まった。

 

ニルが自分から尋ねる。

 

『停止すると、私はどうなりますか』

 

「生命維持と記憶は残ります」

 

ユナは迷わず答える。

 

「ただし、新しい自律判断を記録できなくなる可能性があります」

 

ニルは数秒考えた。

 

『それでは、残るのは昨日までの私です』

 

ユナが顔を上げる。

 

『新しく選べないなら、それは私の記録であって、今の私ではありません』

 

カインが低く告げた。

 

「答えは出た。別の方法を探せ」

 

「最初から実行案には入れていません」

 

カナメも頷く。

 

「ニルの自由を止めて世界を守っても、我々がクアドラと同じになるだけだ」

 

作戦卓の反対側には、拘束環をつけたアウレル・ゼロが座っていた。

 

アウレル・ゼロ――終端機関ゼロを率い、二つの世界を原初界で上書きしようとした研究者。

 

第三ゼロ・アンカーを自ら停止した後、現在はARK-∞の監視下に置かれている。

 

彼は鏡片の識別文字を見たまま動かない。

 

「N∞-01」

 

カナメが振り向く。

 

「知っているのか」

 

「知らない」

 

カインの目が鋭くなる。

 

「また隠すなら――」

 

「この名称を知らないという意味だ」

 

アウレルは、自分の胸に残る傷へ触れた。

 

「だが、∞の形式は知っている」

 

黒金の鏡片へ、古い設計記録を重ねる。

 

現在のARK-∞が使用する機密識別形式。

 

組織名。

 

母艦名。

 

設計世代。

 

一致する部分が、次々に青く光った。

 

ユナの表情が変わる。

 

「この符号は、外部文明が偶然使ったものではありません」

 

アウレルが頷く。

 

「クアドラを造ったのは、人類だ」

 

作戦卓へ、黒金の巨人とノア・ギアの構造が並ぶ。

 

四つの歯車を支える骨格。

 

複数世界へ同時に存在する境界炉。

 

帰還座標を記録する中枢。

 

大きさも形も違う。

 

それでも、基本構造は同じだった。

 

ノア・ギアを、巨大な人型へ変えたような構造。

 

ユナが解析結果を確定する。

 

「クアドラは、未来のノア・ギアです」

 

誰もすぐには答えられなかった。

 

カナメが記録時刻を確認する。

 

「いつの未来だ」

 

「現在の暦へ換算して、百二十七年後」

 

レンの青い通信窓が開く。

 

蒼羽レン――蒼界機アズールの操縦者。冷静な観測と青い円環による位相固定を得意とする少年。

 

『なら、終界は百二十七年後の世界なのか』

 

アカリの赤い通信窓も続く。

 

緋月アカリ――紅界機フレアの操縦者。目の前の人を救うため、予測された結末を越えて行動する少女。

 

『私たちの未来が、戻って来ようとしてるってこと?』

 

ユナは首を振る。

 

「一つの可能性です。今の選択が必ず終界へ続くとは限りません」

 

アウレルが低く続ける。

 

「だが、終界側にとって自分たちは可能性ではない」

 

「生きている現在だ」

 

カインが言った。

 

アウレルは彼を見る。

 

「そうだ」

 

作戦室中央に、終界都市の映像が映る。

 

動かない人々。

 

黒金の光で保たれた建物。

 

その地下に、無数の生命反応があった。

 

ユナが数を読み上げる。

 

「確認できるだけで、一億八千四百万人」

 

アカリの表情から怒りが消える。

 

『人がいるの』

 

「全員が低活動状態です。クアドラから生命維持を受けています」

 

レンが問う。

 

『終界接続を止めた場合は』

 

「クアドラの残存エネルギーが尽きれば、維持できません」

 

カインは拳を握る。

 

「だから現在を奪うのか」

 

ニルは、眠る人々を見つめる。

 

『ミラは、帰ると言いました』

 

ユナが二つの世界地図へ、黒金の第三層を重ねる。

 

「終界の構造を現在へ接続すれば、蒼界と紅界の物質座標は未来側の記録へ置き換わります」

 

『今いる人は?』

 

「残らない可能性が高いです」

 

未来の一億八千四百万人。

 

現在の蒼界と紅界に生きる人々。

 

どちらか一方しか残せない。

 

装置が、また同じ形の答えを見せていた。

 

アウレルは目を閉じる。

 

「一方を選べと、言っている」

 

カインが答える。

 

「なら、また条件を壊す」

 

ニルも頷く。

 

『どちらも、存在しなかったことにはしません』

 

その直後。

 

ノア・ギアの全区画に警報が響いた。

 

 

蒼界中央都市の上空へ、一本の黒金の杭が現れた。

 

紅界共同居住区の上空にも、同じ杭が降りる。

 

二世界の中央にある零座標では、ノア・ギアの真正面へ第三の杭が突き出した。

 

終端接続杭〈ターミナル・ピン〉。

 

終端接続杭――終界の物質構造を現在へ固定し、クアドラ本体が通過できる座標を形成する黒金の境界杭。

 

三本が完全固定されれば、終界接続までの時間は六十三時間から二十四時間へ短縮される。

 

ユナが表示を切り替える。

 

「固定まで十一分四十秒!」

 

カナメが即座に命じる。

 

「三機を出す」

 

整備主任の真壁ゲンゴが、格納庫から通信へ割り込む。

 

真壁ゲンゴ――アズール、フレア、ヴァイスの構造を熟知するARK-∞の整備主任。

 

『無茶を言うな。アズールの左腕は七十一パーセント、フレアの右脚は六十六パーセント、ヴァイスは位相刃をまだ一本も戻してねえ』

 

「固定された後に修理しても、使う時間がなくなる」

 

ゲンゴが三機を見上げる。

 

蒼界機アズール。

 

両腕と両脚を備え、精密な位相固定を得意とする青銀の完全人型機。

 

紅界機フレア。

 

両腕と両脚を備え、瞬間加速と近接打撃を得意とする赤金の完全人型機。

 

ZC-01ヴァイス。

 

零座標へ亀裂を開く力を持つ、黒銀の完全人型機。

 

三機とも、自分の身体を保つだけで精一杯だった。

 

レンが青い操縦席へ入る。

 

「円環を一枚出せればいい」

 

アカリが赤い操縦環を握る。

 

『一回動けば、二回目は何とかする』

 

カインが折れた位相刃の柄だけを受け取る。

 

「刃がないなら、亀裂を刃にする」

 

ゲンゴが叫ぶ。

 

『お前らは故障箇所を新機能みたいに言うな!』

 

三つの発進路が開く。

 

『蒼界機アズール、発進』

 

青い巨人が蒼界の空へ上がる。

 

『紅界機フレア、発進』

 

赤い巨人が紅界の砂塵を切り裂く。

 

『ZC-01ヴァイス、発進』

 

黒銀機がノア・ギアの前へ出る。

 

三機は、それぞれの接続杭へ向かう。

 

だが、杭の前に新しい機影が形成された。

 

蒼界には、青黒いアズール。

 

紅界には、赤黒いフレア。

 

零座標には、黒金のヴァイス。

 

残響機〈エコー・ギア〉。

 

残響機――クアドラが観測した操縦記録から、三人が最も予測どおりに動いた未来を再現した無人模倣機。

 

形は同じでも、色がない。

 

操縦席もない。

 

過去に記録された最適行動だけを、何度でも繰り返す。

 

『各残響機、元機体の行動記録を九十九・二パーセント再現』

 

ユナの解析が届く。

 

『同じ戦い方では、先に動きを読まれます!』

 

青黒い残響機が、アズールより先に円環を放った。

 

レンが避けようとする座標へ、二枚目が重なる。

 

「俺の回避順を知っている」

 

レンは一枚目を右へ避ける。

 

そこへ二枚目が来る。

 

左へ機体を倒す。

 

三枚目が待っている。

 

青黒い円環がアズールの両脚を固定した。

 

残響アズールは、最も効率よく相手を止める。

 

迷わない。

 

その動きは、レン自身が何度も選んだ正解だった。

 

紅界では、残響フレアが正面から加速する。

 

アカリも拳を構えた。

 

同じ踏み込み。

 

同じ角度。

 

同じ瞬間加速。

 

二つの赤い拳が衝突する。

 

損傷した右脚が耐えられない。

 

本物のフレアだけが後方へ弾かれた。

 

『私より、私らしい動きしてる』

 

残響フレアは追撃へ移る。

 

アカリなら、倒れた相手が立つ前に進む。

 

だから、止まらない。

 

零座標では、残響ヴァイスが自分から黒金の杭へ接続していた。

 

機体を境界杭にし、青と赤の残響機へ出力を送っている。

 

カインが位相亀裂を開く。

 

残響ヴァイスは、その出口を自分の胸部へ固定した。

 

「俺なら、中央へ来ると知っているのか」

 

無人機は答えない。

 

自分を犠牲にし、他の二機を動かす。

 

それが、記録の中で最も成功率の高かったカインの行動だった。

 

固定まで、八分。

 

三機は、自分自身の正解に止められていた。

 

 

ノア・ギアの観測席で、ニルは三つの戦場を見ていた。

 

隣の黒金の鏡片から、ミラの声が聞こえる。

 

『彼らは変われません』

 

『記録を繰り返しているだけです』

 

『違います』

 

ニルが答える。

 

『残響機が、繰り返しているのです』

 

『同じことです』

 

ミラの姿が、鏡片の上へ浮かぶ。

 

白い髪。

 

黒い右目。

 

金色の左目。

 

『人は、自分の役割から離れられません』

 

『観測する者は考え続ける』

 

『進む者は止まれない』

 

『捨てられた者は、自分を犠牲にする』

 

ニルは三人の通信を開く。

 

『レン』

 

「聞こえている」

 

『アカリ』

 

『まだ動ける』

 

『カイン』

 

「命令なら早くしろ」

 

ニルは一度、言葉を止めた。

 

これまでなら、自分が三人の行動を組み立てていた。

 

誰が、どの順番で、何をするか。

 

それもまた、観測する端末という自分の役割だった。

 

『命令しません』

 

カインが眉を寄せる。

 

「では何だ」

 

『自分の機能を、一つだけ別の人へ預けてください』

 

レンが意図を理解する。

 

「役割を交換するのか」

 

『機体は交換しません』

 

『合体もしません』

 

『一つの機能を、別の人の選択で使います』

 

ユナが三機の接続構造を開く。

 

「ノア・ラインを経由すれば、一時的な機能貸与は可能です」

 

ノア・ライン――三機の現在位置と出力をノア・ギアへ記録し、異なる座標を結ぶ黄金の位相索。

 

「ただし貸与中、元の機体はその機能を使えません」

 

アカリが笑う。

 

『自分より、相手を信用しろってことね』

 

カインは残響ヴァイスを見る。

 

自分だけで中央を支え続ける無人機。

 

「それが一番、記録にない」

 

三人が接続を開いた。

 

青い円環。

 

赤い瞬間加速。

 

紫の位相亀裂。

 

三つの機能が、ノア・ギアの中央で交差する。

 

一つにはならない。

 

互いの機体へ、一つずつ移動した。

 

交差機能転送〈クロス・ギア・シフト〉。

 

交差機能転送――アズール、フレア、ヴァイスを合体させず、各機の機能を一度だけ別の操縦者へ貸し出す連携方式。

 

レンは、アカリから赤い瞬間加速を受け取る。

 

アカリは、レンから青い位相固定を受け取る。

 

カインは二人から、機体を現在へ留める青赤の安定出力を受け取った。

 

代わりにヴァイスの位相亀裂は、二つへ分かれてアズールとフレアへ渡る。

 

残響機は、自分と同じ動きを待っている。

 

レンは固定された両脚を見た。

 

いつもなら円環を解析し、順番に解除する。

 

だが今、円環はアカリへ預けている。

 

アズールの背部へ、赤い光が走った。

 

「フレア・ドライブ、借りる」

 

『壊して返したら、弁償だからね』

 

「使用前から右脚は六十六パーセントだ」

 

『その数字まで借りなくていい!』

 

青い巨人が、固定された両脚ごと前へ加速する。

 

青黒い円環を解除しない。

 

地面へ固定された空間そのものを引き裂いた。

 

残響アズールの予測が止まる。

 

レンは高速で接近しながら、ヴァイスから借りた小さな位相亀裂を開いた。

 

残響機の円環が、自分自身の背後へ抜ける。

 

青黒い機体が、自分の固定に捕らわれた。

 

「正解だけを繰り返すなら、その正解から動けない」

 

アズールの肩が残響機を接続杭へ叩き込む。

 

蒼界の杭に亀裂が走った。

 

紅界では、残響フレアが拳を振り下ろす。

 

本物のアカリは立ち上がらない。

 

前へ進まない。

 

赤い操縦席で、青い円環を開く。

 

『アイオン・ロック!』

 

残響フレアの右脚が、踏み込んだ瞬間に固定される。

 

加速だけが止まらない。

 

無人機の上半身が前へ投げ出された。

 

アカリは、その横をゆっくり立ち上がる。

 

『これ、毎回こんなに細かく計算してるの?』

 

「今渡したのは簡易版だ」

 

『今後は少しだけ尊敬する』

 

「少しなのか」

 

『残りは帰ってから決める!』

 

倒れる残響機の胸部へ、ヴァイスから借りた位相亀裂を置く。

 

赤黒い巨体が亀裂を通り、接続杭の真上へ落ちた。

 

自分の突進力で、紅界の杭を打ち砕く。

 

零座標では、残響ヴァイスがさらに深く杭へ接続していた。

 

カインは一人で近づかない。

 

通信を開く。

 

「レン。固定を貸せ」

 

「もう貸している」

 

「アカリ。出力を寄越せ」

 

『最初から送ってる!』

 

青と赤の光が、ヴァイスの胸部へ重なる。

 

誰か一人を中心座標にしないための三相境界固定。

 

その安定出力だけが、黒銀機を現在へ繋ぎ止める。

 

残響ヴァイスは、自分を杭にしている。

 

カインは、自分を杭にしない。

 

「俺一人で支える必要はない」

 

刃のない柄を振り下ろす。

 

青と赤に固定された紫色の亀裂が、一本の刃になる。

 

残響機ではなく、接続だけを切る。

 

残響ヴァイスが杭から解放された。

 

無人機は支えを失い、静かに崩れる。

 

カインは倒れる残響機を受け止めた。

 

過去の自分を、切り捨てなかった。

 

「もう、そこに残らなくていい」

 

紫色の刃が、零座標の杭を切断する。

 

三本の終端接続杭が、ほぼ同時に砕けた。

 

固定まで、残り二秒。

 

一秒。

 

黒金の表示が停止する。

 

終界接続まで、六十三時間二十八分十一秒。

 

二十四時間への短縮は起きなかった。

 

三機は、それぞれの空で膝をつく。

 

勝った姿ではない。

 

それでも、自分の役割を少しだけ越えた姿だった。

 

鏡片の中で、ミラは三つの機体を見つめていた。

 

『目的に不要な会話が、複数確認されました』

 

ニルが答える。

 

『はい』

 

『なぜ削除しないのですか』

 

『必要かどうかを、まだ誰も決めていないからです』

 

 

砕けた三本の杭から、黒金の光がノア・ギアへ戻ってきた。

 

ユナが遮断壁を展開する。

 

「侵入信号です!」

 

黒金の光は壁を通り抜け、観測席のニルへ集まった。

 

カインの通信が開く。

 

『ニル、そこから離れろ!』

 

『間に合いません』

 

光が、人の形を作る。

 

白い髪。

 

黒い右目。

 

金色の左目。

 

帰還端末ミラ。

 

帰還端末ミラ――識別名N∞-01。ニルの記憶構造を原型として、百二十七年後の終界で生み出された白髪の人型端末。

 

投影ではない。

 

半透明ではあるが、その足はノア・ギアの床へ触れている。

 

ミラは初めて踏んだ床を見下ろした。

 

「現在の物質密度、三・八パーセント」

 

一歩だけ動く。

 

「床面温度、終界基準より〇・七度高温」

 

ニルが向き合う。

 

『それは、観測結果ですか』

 

「はい」

 

答えるまでに、ほんの少し間があった。

 

『あなたは、私ですか』

 

「違います」

 

ミラは即答した。

 

「あなたの記憶と選択記録から造られた、別の端末です」

 

『では、なぜ私と同じ姿を』

 

「終界の人々が、あなたを忘れなかったからです」

 

作戦室へ、終界の記録が流れ込む。

 

百二十七年分の断片。

 

二つの世界が接触した日。

 

資源を巡って争った日。

 

それでも、同じ街を造った日。

 

新しい子供が生まれた日。

 

再び世界が崩れた日。

 

ノア・ギアを巨大な人型機へ改造した日。

 

未来を一つへ固定すれば、誰も失わないと決めた日。

 

「クアドラは、戦争を止めるために造られました」

 

ミラが告げる。

 

「すべての未来を観測し、最も多くの人が残る一つへ世界を固定するために」

 

アウレルが映像を見つめる。

 

「私と同じ答えへ辿り着いたのか」

 

「あなたの研究が、基礎に使われました」

 

アウレルの顔から血の気が引く。

 

自分が捨てようとした思想が、百二十七年後に世界そのものとなっている。

 

ミラは続ける。

 

「未来を固定した結果、終界では新しい選択が生まれなくなりました」

 

生まれない。

 

変わらない。

 

失敗しない。

 

終界の人々は、最も安全な瞬間へ固定された。

 

その代わり、時間が進まなくなった。

 

「クアドラの境界炉は限界です」

 

「終界がこのまま停止すれば、全生命維持が終わります」

 

カナメが問う。

 

「だから過去へ戻り、現在を器にするのか」

 

「はい」

 

「現在に生きる人々が消えると知っていても」

 

「はい」

 

ミラの答えには迷いがない。

 

アカリの通信が響く。

 

『それを救うって言わない』

 

ミラは、赤い通信窓を見る。

 

「では、終界の一億八千四百万人を見捨てますか」

 

『見捨てない』

 

「両方は残せません」

 

『それを決めるのは、あなたじゃない』

 

「物理条件です」

 

レンが静かに入る。

 

「条件なら変えられる」

 

ミラの黒い右目がレンを観測する。

 

「その回答は、記録されています」

 

「なら、結果が違うことも記録しておけ」

 

ミラの金色の左目が、わずかに細くなる。

 

怒ったのか。

 

それとも笑ったのか。

 

ニルにも判断できなかった。

 

ミラは、ニルへ手を伸ばす。

 

「一緒に来てください」

 

『私を接続鍵にするためですか』

 

「それだけではありません」

 

ミラの声に、初めて明確な感情が宿る。

 

「終界の人々は、あなたを始まりの人と呼んでいます」

 

『私は、人ではなく端末です』

 

「それを否定したのは、あなたでしょう」

 

ニルは答えられなかった。

 

ミラの言葉は正しい。

 

装置として扱われることを拒み、自分で選んだ。

 

同じように、未来の端末も自分で帰還を選んだと言っている。

 

カインのヴァイスが、格納庫から作戦室の外壁へ手を伸ばす。

 

『触るな、ニル』

 

ミラがカインを見る。

 

「あなたも、終界にいます」

 

カインの表情が止まる。

 

「何だと」

 

「レンも、アカリも」

 

青と赤の通信窓が揺れる。

 

「ただし、今のあなたたちではありません」

 

終界の深部に、三つの眠る生命反応が表示される。

 

青。

 

赤。

 

紫。

 

名前は隠されている。

 

「会いたければ、終界へ来てください」

 

ミラの物質密度が下がり始める。

 

残り二パーセント。

 

一パーセント。

 

ニルは、消えかけた手を掴んだ。

 

カインが叫ぶ。

 

『ニル!』

 

『行きません』

 

ニルは答えた。

 

『でも、見ます』

 

ミラの黒と金の瞳を正面から見る。

 

『あなたが守ろうとしている人を、存在しないことにはしません』

 

二人の手から、白と黒金の光が溢れる。

 

ミラは、握られた自分の手を見た。

 

「接触温度、三十六・四度」

 

『はい』

 

「記録より、あたたかい」

 

『それは、必要な観測ですか』

 

ミラは初めて、すぐに答えなかった。

 

「分かりません」

 

ニルの指を、わずかに握り返す。

 

「ですが、削除はしません」

 

終界の景色が流れ込む。

 

黒金の都市。

 

眠る人々。

 

止まった時計。

 

巨大なクアドラ本体。

 

その胸部より、さらに深い場所。

 

二つの人影が、青と赤の透明な棺に収められている。

 

顔は見えない。

 

だが、二つの棺を繋ぐ黄金の歯車が回っていた。

 

双界機神インフィナイトと同じ歯車。

 

ニルが声を上げる。

 

『これは――』

 

接続が切れた。

 

ミラの身体が、黒金の粒となって消える。

 

最後の声だけが残った。

 

「残り時間までに、あなたは自分から来ます」

 

「誰が待っているかを知れば」

 

作戦室へ静けさが戻る。

 

ニルは、誰もいない空間をまだ掴んでいた。

 

掌に残っているのは、血の痛みと、触れた温度だった。

 

 

終端接続杭の破片から、百二十七年後の設計記録が回収された。

 

クアドラの中枢設計者。

 

ARK-∞終界支部。

 

母艦基礎構造。

 

ノア・ギア第四世代。

 

人型端末原型。

 

N-0。

 

すべての記録が、一つの事実を示していた。

 

敵は、異星から来た存在ではない。

 

未来の人類が、自分たちを守るために造ったものだった。

 

カナメは作戦室の全員を見る。

 

「作戦目標を変更する」

 

ユナが記録を開く。

 

「クアドラの破壊から、終界接続の阻止へ変更しますか」

 

「それだけではない」

 

カナメは、現在の二世界と停止した終界を並べる。

 

「蒼界と紅界を残す」

 

「終界の人々も救う」

 

「三つすべてだ」

 

アウレルが目を伏せる。

 

「また、存在しない答えを選ぶのか」

 

カインが言い返す。

 

「お前には何度言えば分かる」

 

「答えがないなら、作る」

 

レンが青い通信窓から続ける。

 

「終界の構造を調べるには、接続の向こうへ入る必要がある」

 

アカリも頷く。

 

『でも、完全接続したら現在が上書きされる』

 

ユナが、三本の杭の残骸を表示する。

 

「小規模な通路なら、形成できる可能性があります」

 

「問題は、出口をどこへ固定するかです」

 

ニルは、終界で見た青と赤の棺を思い出す。

 

二つを繋ぐ黄金の歯車。

 

『私が固定します』

 

カインがすぐに反応する。

 

「一人では行かせない」

 

『まだ行くとは言っていません』

 

「今の顔は言っていた」

 

ニルは、自分の顔へ触れる。

 

『顔で通信した記録はありません』

 

アカリが小さく笑う。

 

『それ、私も時々言われる』

 

レンが問い返す。

 

「誰に」

 

『あなたに』

 

数秒だけ、作戦室に笑いが生まれた。

 

終界接続まで、六十二時間五十六分。

 

残された時間は増えていない。

 

問題も、一つ減ったわけではない。

 

それでも、敵の向こうに人がいると分かった。

 

倒す相手ではなく、救うべき未来があると分かった。

 

カナメは、新しい作戦名を入力する。

 

二未来救出作戦〈デュアル・フューチャー〉。

 

二未来救出作戦――現在の蒼界と紅界を守りながら、停止した終界の住民も別座標へ避難させるための救出計画。

 

成功する方法は、まだ一つもない。

 

だからこそ、最初の仕事は決まっていた。

 

終界へ渡り、その世界を自分たちの目で見る。

 

格納庫から、ゲンゴの通信が入る。

 

『作戦名を決める前に、修理時間を確保しろ』

 

カナメが尋ねる。

 

「最低で何時間だ」

 

『三機合わせて三十六時間』

 

「残りは六十二時間だ」

 

『だから、これ以上壊すなと言ってる』

 

カインが短く答えた。

 

「善処する」

 

『その返事が一番信用できねえ』

 

 

ノア・ギアから蒼界と紅界へ、終界の映像が公開された。

 

黒い空。

 

金色の都市。

 

眠る一億八千四百万人。

 

未来の人々を救うためには、現在の二世界が消える可能性があることも隠さなかった。

 

蒼界の広場で、一人の男が叫ぶ。

 

「まだ生まれていない未来のために、俺たちが消えるのか!」

 

紅界の配給所では、一人の女性が画面へ手を伸ばす。

 

「でも、あそこにいる子供を見捨てろって言うの?」

 

「未来の映像なんて信用できない」

 

「私たちだって、向こうから見れば過去の人間よ」

 

二つの世界で、同じ問いが生まれる。

 

未来の命は、今の命と同じなのか。

 

自分たちが消える危険を負ってまで、救うべきなのか。

 

答えは分かれた。

 

恐怖も、怒りも、優しさも、どれか一つだけが間違いではなかった。

 

朝に栄養食を持っていた蒼界の少年が、再び共同画面の前へ立つ。

 

画面の向こうには、焼きパンを持った紅界の少年がいた。

 

二人の間にも、終界の映像が流れている。

 

蒼界の少年が尋ねた。

 

「交換、できなくなるの?」

 

紅界の少年は、焼きパンを半分に割った。

 

『まだ一度も交換してない』

 

「うん」

 

『なら、できなくなるって決めるのは早い』

 

〇・三秒遅れて、蒼界の少年も栄養食を半分に割った。

 

味も、価値も、まだ分からない。

 

それでも、渡す相手はもう知っていた。

 

レンは蒼界の格納庫から、そのやり取りを聞いていた。

 

アカリは紅界の整備台で、同じ放送を見ていた。

 

二人の間に通信窓が開く。

 

『ねえ、レン』

 

「何だ」

 

『終界へ行ったら、同じ場所に立てると思う?』

 

レンはすぐに答えなかった。

 

終界は青でも赤でもない。

 

二つの座標を未来側から一つに固定した場所。

 

危険であると同時に、二人が初めて同じ地面へ立てる可能性がある。

 

「立てるかもしれない」

 

『同じ場所に立ったら、最初に何する?』

 

「座標の確認」

 

『違う』

 

「互いの実在確認」

 

『言い方を変えただけでしょ』

 

「何をするつもりだ」

 

『会ってから決める』

 

「質問した意味がない」

 

『今、決めないって決めたの』

 

レンは、青いペンダントを握る。

 

「それは便利な答えだな」

 

『あなたにも貸してあげる』

 

「フレア・ドライブより扱いが難しそうだ」

 

通信窓の向こうで、アカリが笑った。

 

二人はまだ、同じ場所に立っていない。

 

だが今度は、どこで会うのかも、会って何をするのかも、自分たちで選べるところまで来ていた。

 

 

遠い終界。

 

帰還端末ミラは、クアドラ本体の胸部へ戻っていた。

 

物質密度、百パーセント。

 

黒い右目に蒼界が映る。

 

金色の左目に紅界が映る。

 

「終端接続杭、三基とも破壊」

 

クアドラの機械音声が答える。

 

『結果を保存』

 

「交差機能転送を確認」

 

『結果を保存』

 

「N-0は、こちらへ来る」

 

『根拠を要求』

 

ミラは、巨大な胸部の奥を見る。

 

青い透明棺。

 

赤い透明棺。

 

二つの間で回る黄金の歯車。

 

「あの二人を、見たからです」

 

クアドラは答えない。

 

ミラの視界に、一件の未分類記録が残っていた。

 

接触温度、三十六・四度。

 

重要度、不明。

 

保存理由、不明。

 

『不要記録の削除を推奨』

 

ミラは数秒、表示を見つめた。

 

「削除しません」

 

青い棺の中で、誰かの指が動く。

 

赤い棺の中でも、別の誰かが目を開こうとしている。

 

クアドラの計器へ、二つの名前が一瞬だけ現れた。

 

すぐに黒い遮蔽で隠される。

 

ミラは、誰にも聞こえない声で呟く。

 

「早く来てください、始まりの人」

 

「この未来を救えるのは、過去のあなたたちだけです」

 

終界接続まで、六十二時間三十一分九秒。

 

止まっていた未来の時計が、現在へ向かって一秒だけ進んだ。

 

第8話 終




お読みいただき、ありがとうございます。

今回は「自分らしさとは、同じ行動を繰り返すことなのか」を軸に、三人が自分の得意な力を仲間へ預ける戦いを描きました。

ニルとミラ、レンとアカリ、カインと残響ヴァイス。印象に残った組み合わせや台詞があれば、感想や「ここすき」で教えていただけると嬉しいです。

もし現在の二世界と、終界の一億八千四百万人を同時には救えないと言われたら、あなたは何を選びますか。

次回、第9話「九十秒のインフィナイト」。

合体した瞬間から、世界滅亡までの九十秒が始まります。
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