ドラゴンクエストⅥの世界に転生した一般転生者もの 作:ロクモン
月鏡の塔の探索から1週間が経ち、俺たちは今船着場にいる。
「いらっしゃいませ。ここは定期船の乗船券売り場です。」
「サンマリーノまでおひとり50ゴールドですが乗船券をお買いになりますか?」
「乗船券一枚、お願いします」
50ゴールドを机に置くと、受付のおじさんに乗船券を一枚手渡される。
「まいどありがとうございます!定期船のりばは右ですよ」
受付を出て、今回の旅の仲間を探す。程なくして、背中を向けて壁を見つめる赤毛の少女の姿が目に入った。
「行くぞ、バーバラ」
「うん!船旅楽しみだね」
壁に貼られていたポスターを眺めていたバーバラが顔を上げる、ポスターには『たのしい船旅を!!』と書かれていた。
もうすぐ定期船の出港時刻なので乗り場へと向かうと、船員らしき人が立っていた。
「乗船券を見せてもらおうか」
「はい」と先ほど購入した乗船券を見せると、乗船券を見て首を縦に振り頷く。
「今日はあんた方しかお客さんがいないから乗ったらすぐに船が出るよ」
「行き先はサンマリーノだが、もう行くかい?」
「お願いします」
「んじゃ、乗船券を貰うぜ。さぁ乗った乗った!」
乗船券を渡し、乗り場と船を繋ぐ板の道を通り船へと乗り込む。
「では、出港します」
船員さんがそういうとゆっくりと船が動き出した。
「なんだか悪いことをしている気分になるね」と、バーバラがこっそりと囁いてくる。
「いや、バーバラは声を潜める必要はないだろ」
そう指摘すると、「あ」と言ってテヘッと舌を出した。
今のバーバラの姿は、夢の世界の人間じゃないと視認することすらできないので、受付のおじさんにも船員さんにも認識されない。
それ故に、透明人間の分もくださいと言えるわけもなく、バーバラの分の乗車券は買えずそのまま船に乗り込むほかになかったのだ。
船のデッキを歩き、手摺りにもたれ掛かって景色を眺める。
こう言った船旅は実に1年ぶりのことになる。1年ほどゲント村にいた為、中々立ち寄ることが出来ていなかったが、以前はよく船旅をしていたものだ。
「サンマリーノってどんなところなの?」
バーバラが隣に立ちそう尋ねてくる。
「港町だよ、美味しい魚料理の店があるから着いたら行ってみようか」
「後はカジノだな」
「カジノ?」
「行ったことがないのか?」と聞くと、バーバラは首を縦に振った。
「まあ、楽しいところだよ。ちょっと遊んでみるのもいいかもな」
そこから会話は途切れ、2人で景色を眺める。
空には白い鳥が飛んでいるのが見える。魔王ムドーの影響か、以前と比べて空が暗くなっている気がする。
今回の旅の目的は、サンマリーノから遠く南に住む夢占い師の元を訪ねて、バーバラを下の世界でも見えるようにすることだ。
ちなみに、この目的についてはバーバラには伝えていない。
夢占い師の元を尋ねて、もしダメだった場合、バーバラがガッカリすると思ったからだ。変な期待をさせるくらいなら、何も伝えない方がいい。
そのため、バーバラには旅の目的を、俺の剣のメンテナンスだと伝えている。
実際、この前の《ポイズンゾンビ》戦で一部刃が腐食したり、刃こぼれをしていたりして、俺の相棒はボロボロだった。
しばらくして、景色を見るのに飽きた俺は部屋に戻ろうと体を起こした。
「バーバラ、俺は部屋に戻るけど。君はどうする?」
「もう少しここにいるよ」
記憶を失ってから初めての船旅になるんだろうし、もう少し景色を見たいのだろう。かつてはカルベローナという小さな島国に住んでいたのだから見慣れていたはずなのだが、彼女は海を見て何か思い出すことはあるのだろうか。
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部屋に戻る途中、船員の1人に話しかけられる。
「お客さん、一人旅かい?」
彼らにはバーバラは見えないので、自然と俺の一人旅に見えてしまう。旅の仲間がいるのに、一人旅だと言うのは違和感があるのだが、こればっかりは仕方がないだろう。
「えぇ」
「レイドックはどうだった?俺の弟がレイドック兵なんだが、最近あそこは治安が悪いだろ?」
レイドックは王と王妃が長い眠りにつき、王子は行方不明で、現在国政は大臣のゲバンという人物が取り仕切っている。彼は、レイドック王が昏睡状態になる前までは優秀な内政官といった人物で評判も悪くなかったのだが、増税に次ぐ増税で民からの評判はかなり低くなっている。
パン屋のアンナさんや、宿屋のおばさんに聞いたのだが、軍備増強を名目に増税を行っているらしい。確かに近隣の魔物が凶暴化してきているとはいえ、7公3民はやりすぎだろう。薩摩藩じゃないんだから•••。いや、薩摩藩の方が酷いか。
船員さんに別れを告げ、お酒とジュースを買って部屋に戻る。机に買ってきた飲み物を置き、ふくろから厚めの本を取り出し椅子に座る。
この世界にも冒険譚は存在している、今取り出した盗賊カミュの冒険譚もその一つだ。
過酷な幼少期から、黄金化の呪いや勇者との出会いなど、この人物を題材にした物語は多く存在している。俺も彼のファンの1人なのだ。
ジュースをコップに注ぎ、準備を万全に整えて、俺は本の世界へと飛び込んでいった。
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船が港へと近づくと徐々に速度を落としながら港へと入港していく。
船が完全に止まると、荷物をまとめて港へと降りる。
「さぁ降りた降りた!サンマリーノの港に着いたぜ」
「やぁ•••っと着いたね〜」とバーバラが伸びをしながら港へと降り立つ。
その後ろを俺も頭を抑えながらゆっくりと着いていく。
「シリウス、大丈夫?」
「だ、ダイジョブダイジョブ」
心配して近寄ってくるバーバラを手で制する。船酔いをしたのか、少しふらふらとする。余裕だろと思って、バーバラに声をかけられるまでずっと本を読んでいたのだが、すっかりダウンしてしまった。
ちなみに、バーバラもベットで魔導書を読んでいたのだが、彼女は特に船酔いをした様子はない。
魔導書の中身は【ポットのお湯をちょうどいい具合に沸かす魔法】、だっただろうか。
確か、ゲント村近くの森を探索していた時に拾ったものだ。結構細かい字で書かれてあったはずなのだが、よく酔わなかったものだ。
「どうだい?船旅もいいもんだろ?これからもつれなくしないで時々は乗ってってくれよ」
船員さんが笑顔で手を振ってくれるので、振り返して応じる。ふらふらと歩いているとバーバラが腰に手を回して支えてくれた。
「今日はもう、一旦宿屋で休も?」
「あ、ああ。ごめんな」
この時ばかりは、気分が悪すぎてバーバラに触れられてもドキっとするどころではなくなってしまっていた。バーバラの分の食事だけ買うと、俺は晩御飯も食べずにベットで眠りについた。
皆さんここまで閲覧いただきありがとうございました。
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今回初めて予約投稿を試してみました、うまくいってますかね?
作中に出てきた魔導書ですが、ドラクエをプレイする前に、葬◯のフリーレ◯を読んでいたのでその影響ですね。ドラクエ世界にもこんな魔法が存在していたらいいなと思い、登場させちゃいました。
それに伴いタグを増やしました。
カジノから脱出して、ようやく物語が進み出した私のドラクエⅥ。
アークボルトで無事初全滅を遂げました( 。∀ ゚)
彼等を単独で撃破するなんて、引換券君は凄いなぁ^^