目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
???SIDE
「あ、アブソル戦闘不能!」
白斗が戦闘不能となりその場に倒れたのを見て、審判がそう言ってくる。
「…やっぱりダメージは確実に入っていたみたいだね。
でも、ここまでその素振りを見せなかったそのアブソル、いいポケモンだよ」
カブはそうユウリに話していく。
「ありがとうございます、カブさん。
…お疲れ様、アブソル。
あとは他の子たちに任せて、ゆっくり休んでね」
ユウリはそう言いながら、白斗をボールに戻す。
「それでは両者、改めて次のポケモンを出してください!」
審判から促され、ユウリとカブは新たなモンスターボールを取り出す。
「行くぞ、ウインディ!」
「出番だよ、ルクシオ!」
「ガウッ!」
「ルクッ!」
ボールから放たれた2匹のポケモンは、そう大きな声で吼える。
「ウインディ、珍しいポケモンではあるけどいつも通り行こう!
燃えていくよ!」
「ガウガウッ!」
「ルクシオ、初ジム戦だけど落ち着いて行こう!
落ち着いて行けば、君なら大丈夫!」
「ルクッ!」
トレーナーはお互いにそう声を掛け合う。
両社のポケモンは準備は万全のようだ。
…そして、ルクシオの蒼真にとっては、待ちに待ったジム戦である。
(やっぱ、いつもと雰囲気が違う…。
白斗や穂乃花はこんな雰囲気の中戦ってたのかよ…!)
蒼真は初めて出た歓声が響き合い、ジムリーダーとのピリ付いた雰囲気の、ジム戦独特の空気を感じ取る。
(でも、出るだけじゃねえんだ…!
白斗は倒れたけど、1体は倒して見せたんだ。
俺も、負けるわけには行かねえよな…)
蒼真は対峙したウインディの目をにらみながらそう感じていた。
◇ ◇ ◇
「それじゃ、行こうか!
おにびだ、ウインディ!」
「ガウッ!」
「ルクシオ、避けて10まんボルト!」
「ル…、クッ!」
カブは先ほどの戦いと同じようにおにびでやけどさせようとしてくる。
蒼真も白斗と同じ、物理技主体のポケモンだ。やけどは効果的だろう。
白斗や穂乃花と同じようにポケモンについての原作知識を持つ蒼真は、ポケモンとしての自分の長所は分かっている。
しっかりと躱した後、電撃がウインディを直撃する。
…直撃したとはいえ、抜群の技ではないし、ジムリーダーのポケモンだ。
ウインディは多少のダメージを受けたみたいだが、そのダメージを顔には見せてない。
「ウインディ、かえんぐるま!」
「ルクシオ、スパークで迎え撃って!」
「ガウガウッ!」
「ル…クッ!」
お互いの炎と電撃を纏った突進が、フィールドの中央でぶつかりあう。
お互いのポケモンは再び距離を取り合う。
「ウインディ、こうそくいどうで攪乱しろ!」
「ガウッ!」
ウインディはそう言って、蒼真の周りを高速で回っていく。
(速い…!)
蒼真はそう思ったが、気持ちは落ち着いていた。
「…そのまま、かみつく!」
「ガ…ウッ!」
蒼真にかみついたウインディ。噛みつかれた蒼真も痛みを感じなかったわけじゃない。
…だが、ユウリも落ち着いて次の指示を出した。
「…ルクシオ、かみつかせたままでんじは!」
「ルク!」
「ガウッ!?」
ルクシオから電撃が放たれ、ウインディは動きを鈍らせる。まひの効果だ。
「よしっ、かかってくれた!」
…ユウリは昨日の内にカブのバトル戦法を確認していた。
キュウコンはほのおのうずやおにびでのスリップダメージを狙ってくる。白斗を出したのは、そのダメージで倒れる前に倒し切るという算段だった。
そして、次のウインディはおにびでやけどを狙いながらも、こうそくいどうで相手を翻弄しながら攻撃してくる。
ユウリはかえんぐるまならともかく、蒼真はかみつくなら耐えれると判断した。
そして、その動きを封じるため、そこででんじはで麻痺状態にする。それがユウリの作戦だった。
「そのまま10まんボルト!」
「ル…クッ!」
動きを鈍らせたウインディに、ルクシオの全力の電撃が放たれる。
ウインディには、もう素早く回避する動きはできなかった。
「ガアアッ!?」
電撃を受けたウインディはその場に倒れる。
「ウインディ、戦闘不能!
ルクシオの勝ち!」
『…しゃあっ!』
審判の声を聞いた蒼真は、そう高らかに吼えて見せた。
「よく頑張ったね、ウインディ。
きみの力は十分に伝わったよ。ゆっくり休んでくれ」
カブはそう言ってウインディをボールに戻す。
「…いい戦い方だ、ユウリくん。
ルクシオなら耐えれると判断して、敢えて技を受けたんだね?」
「はい!あまりダメージは受けさせたくないけど、このルクシオなら大丈夫だと思って。
よくやったね、ルクシオ」
「ルクッ!」
ユウリがそう言いながら蒼真を撫でると、蒼真は笑みを浮かべてそう返す。
「…でも、ここで燃え尽きるわけにはいかないかな。
最後まで勝ち筋を探させてもらうよ!」
カブはそう言って次のボールを構えていた。
「君で最後だ、行くぞマルヤクデ!」
「ヤクッ…!」
大きなほのおを纏うポケモン、マルヤクデ。
観客席から声があがる。紛れもなくカブのエースポケモンだ。
「炎は上に燃え上がる!
僕らもまだまだ上を目指す、分かるね!」
カブはそうユウリに対して言い放ってくる。
「チャレンジャー、ポケモンはどうされますか?」
審判がユウリにそう聞いていく。
…ユウリは少し考えた後、「うん」と静かに頷いた後ボールを構えた。
「お疲れ様、ルクシオ。
あとは任せて」
『ああ、頼んだぜ』
蒼真はユウリの言葉にそう返してボールの中に戻っていった。