「結局今日は全施設を使う許可が出なかったか。マスゴミ共が。これがヒーローの半アイドル化の影響だよ」
「そういうの誰かに聞かれたら困るから、外で言わない方が良いっすよ?」
昼休みになり響いた警報、それは結局何者かが崩した校門を通って入り込んだ、マスコミ連中の影響だった。
いや、門が壊れてたからって入って来るか、普通?
明らかな事件なんだから、まずは通報しろやボケ。という不法侵入者共への事後対応があるからとの事だったが、どう考えても校門が崩されたからだろう。
お陰でせっかく取れた使用許可が台無しだ。まあ、どう考えても陽動だから校内の調査があるだろうし仕方が無いが……。
「オールマイトの教師デビューが決まった時、どこから聞き付けたのか知らねえが前No.1の孫もヒーロー科に入ったからって押し掛けて来た事もあってな……」
結局殆ど使われない、一応撮っておこうか程度の映像の為にマンションの他の人にも迷惑をかけた。
なので三人集まって模擬戦の反省会第二弾IN俺の部屋。
「事務所じゃ出来ない個性も有るんだし、ヒーローと候補が訓練する為の広大な土地の施設とか欲しいよな」
「んなもんあっても結局学生じゃ使えねえよ。予約だの料金でな」
「ブウさーん。ブウさんの力でどうにかならないですか?」
愚痴混じるに俺はブウさんに話し掛ける。床に寝転がってスナック菓子を食べながら漫画を読んでいたブウさんに。
うん、俺がそばにいる条件は有るけれど短時間なら出て来れるんだよ、ブウさん。出て来てもこうやって好きに過ごすだけだけれど。
「うん? デキるぞ」
「そうか。流石に……出来るの!?」
え? 今まで聞かれなかったから言ってないだけ?
「あと1時間ていどだけれど、五人くらいなら大丈夫。じゃあ、やるか」
何を、と聞くより先にブウさんの肉の一部が飛び出して俺達を包み込む。
吸収される時ってこんな感じだったのか……。そんな呑気な事を考えてた俺は変な場所にいた。
「ここがブウさんの体内か」
吸収された時に体を包んでいた肉の繭が自動的に開いて解放され、俺達三人が立っていると床が盛り上がってブウさんが姿を見せた。
「じゃあ、かかってこい。サタン言ってた。もし時期が来たならマゴをきたえててやってくれって」
ニコニコしながら言ってくるが、つまり今まで能力の使い方を教えてくれたのは鍛えた内にも入らないって事だ。
「上等! 是非ともお願いします」
ブウさんの力抜きで戦う為の形態。油圧式ジョッキや諸々の機械を吸収しておいたものを体に浮き上がらせる。背中には暴徒鎮圧用のランチャーを、腕には武術の一撃の威力を底上げするような機械を。
「はっ! 前No.1の主戦力たぁ十分だ。それにここなら思いっきり暴れられるんだろ? 最高じゃねえか!」
「さすがに学校で使うには先生の監督が必要そうだけれど、ここなら問題無いっすね!」
さてと、じゃあ先ずは誰が最初に相手をしてもらうかだな。いきなり連携は無理だし、一時間しかないからさっさと決めないと。
「取り敢えずアミダくじ作った。横線の部分隠してるからさっさと決めて相手してもらおうぜ」
結果、かっちゃん一番 イサナ 二番 俺が三番
さてと、どれだけ持つのやら。
「ハウザーインパ、ちぃ!!」
空中で回転しつつの爆破の叩き付けという大技。こんな場所でもないと威力と爆発音のせいで練習もままならない。
実際、空中で姿勢制御に失敗してしまった。受け身はちゃんと取る辺りが流石はかっちゃんとでも言うべきか。
「これなら……ハウザーインパクトォオオオオオオオオ!!」
「おおっ! 三度目の正直。てか、俺と最後に会ってから相当鍛え込んでるな、やっぱし」
訓練の難しい個性だろうに、場所の確保だって大変だろうにね。
「わっはっは! おもしろいおもしろい!」
それだけの規模の受けてもブウさんにダメージは無し。笑顔で手を叩いてさえいた。
そして一時間が経過して、俺達三人は足腰立たなくなるまで叩きのめされて、回復されるまでぶっ倒れていた。
イサナの風も俺の武術も一切通じないんだもん。とんでもねえよ、あの人。
「さてと、いよいよだな」
昼休みの終わりが近付くと同時にワクワクが押し寄せてくる。
寿司のワサビが辛すぎたが泣いてる場合じゃねえ。
午前は座学、ヒーローやりつつ普通にレベルの高い授業出来るんだから教師陣が半端ねえ
そして、午後からは実技が始まる。本格的なヒーローとしての訓練だ。
「わ~た~し~が~! 普通にドアから来た!」
指導するのはオールマイト、爺ちゃんの次のNo.1ヒーロー。
やっぱ妙だよな。爺ちゃんの葬儀の時にも会ったけれど、体幹のバランスが崩れている。
なんとなくだけど、生命力が衰えている感じがするんだが、50歳を前にして、若い頃の無茶が今頃になって押し寄せたのか?
それでも、平和の象徴と呼ばれるだけの強さがあるのは見ているだけで分かった。
せっかく先生なんだし、生徒全員対とかで良いから強さを体感してみたいな。
ブウさんも高校入学前までは爺ちゃんの道場に通っていたことからオールマイトとも親しい知り合いらしいから聞いたが、かなり鍛え上げていたらしい
マスコミが知りたがっている。個性については、個人情報の観点から爺ちゃんが絶対に離さないように言ってブウさんに言っているから教えてもらってないが。
「では諸君! 早速だが入学前に申請したコスチュームを着てグラウンドβに集まるように!」
事前に要望を出していたヒーローコスチューム。俺もちゃんと要望を出している。
デザインはミスターサタンとサタン道場の道着。但し色も全部同じにするのは物真似っぽいので山吹色だ。
農家やってて父さんが子供の頃に心臓病で死んだほうの爺ちゃんが習っていた武術の道着がこの色だったらしい。
腰には爺ちゃんの世界チャンピオンのベルトを模したギミック有り、つっても緊急時の道具を入れているだけなんだが、それを着けている。
「それミスターサタンのか」
グラウンドに向かうと轟が気付いた。此奴の兄貴の縁もあるからかオールマイトに埋もれて忘れられている前No1ヒーローについて直ぐ分かったらしい。
「橙矢兄の事と授業は別だから、競い合うのなら負ける気無ぇからな」
「上等。俺も負ける気ねぇよ。お前以外の奴にもな」
そして、今回のヒーロー基礎学の内容は核ミサイルを奪ったヴィランがビルに立てこもったと言う事件を想定しての2対2の実戦。
組み合わせはくじで決定。俺はヴィランチームでペアは……かっちゃんか。
「授業で競い合うのは次にお預けだな。それよりも相手は……」
「デクは俺がやる。お前はさっさと半々野郎をぶっ倒してやがれ」
ヒーローチーム 緑谷 轟
ヴィランチーム 阿久間 爆豪
何かいきなりって感じだよな……。