キヴォトスの終末装置ってマジですか!? 作:とっとこ馬鹿野郎ッ!!
本日は、トリニティに来ております。
え? 何でわざわざ苦手なトリニティに来てるのかって?
はは………そうしないとヤバいことになるかもしれないからだよォ!!
ええ、詳しく話すとですね………とある噂を聞いたんです。
その噂とは――――――キャスパリーグ。
怖すぎる。あのキャスパリーグだぜ。
第四の獣、ビーストⅣ………七つの人類悪の一つ「比較」を司る者。
人類に対する【絶対的な殺害権利】を所有している霊長の殺人者。
またの名を――――――――プライミッツマーダー。
出来れば出くわしたくないが、もしあのキャスパリーグと同じ能力を持っているなら…………。
はい、この世界は終わりdeth! こんなんばっかだよ、この世界はよォ!!
だが、まだそこまでヤバい奴だとは決まってない。まだ希望はあるんだ…………!!
少なくとも、生徒というテクスチャを羽織っている間は大丈夫なはず。
けれども、そう楽観視して手遅れになったら笑えないので、こうして様子見に来たのである。
さて、この辺りがキャスパリーグの縄張りらしいが…………。
「宇沢レイサ、ここに参上! 今日こそは懲らしめてみせますよ! キャスパリーグ!!」
「はぁ…………また、あんた?」
おや、なにやら一触即発?
少女二人が睨み合う様子を、物陰から窺う。
そして、戦いが始まった――――――――!!
結果は、宇沢レイサという少女の敗北に終わった。
「くっ……次こそは、必ず勝ちますからねーーー!!」
という捨て台詞を残して、宇沢レイサは敗走した。
それを見送りながら、キャスパリーグはため息をつく。
「ホント……いつになったら懲りるのやら…………」
その一部始終を目撃し、オベロンは――――――当初の目的とは、別の目的を達成していた。
か、か、完璧なアルキャス枠だ!!!
あの魔猪を彷彿とさせる、無鉄砲な猪突猛進!
負けた後の、絶妙に小物っぽいセリフまで………全てがアルキャスっぽい!
キャスパリーグの方は、噂ほど凶暴な感じではなさそうだし、ひとまずは放置でいいだろう。
今は………あの生徒を育成する!!
――――――――
「はぁ………今日も負けてしまいました」
宇沢レイサは、そう言って項垂れる。
だが、直ぐに気を取り直した。
「いえ、まだまだこれからです! 次こそは必ず勝ちます!!」
そんなレイサの足元に、煌びやかな意匠が施された拳銃が転がる。
「おや、これは………落し物でしょうか?」
レイサは、その拳銃を拾い――――――――。
『選ばれし予言の子よ………よくぞこの銃を拾ってくれたね』
「うわぁ!? な、だ、誰ですか!?」
『僕……コホン、私はマーリン。魔法使いさ』
「ま、魔法使い!!」
『ああ、そして君の拾った銃は、選定の銃。世界に選ばれた、ただ一人の予言の子が手にするという、伝説の拳銃さ』
「おお……伝説の…………!!」
『そう、君は世界に選ばれし救世主。そして私は、救世主を導く賢者』
「そ、そうなんですね………!! つまり、私はヒーローと………!!」
『………うん、大体そんな感じ』
「そして、ええと……マーリンさんが私を導いてくれる、ということですね!!」
『ああ、あのキャスパリーグすら打倒できるよう、君を育て上げよう』
「おお! よろしくお願いします!!」
こうして、奇妙な師弟関係(?)が始まった。
時には、射撃訓練をし――――――――
『うわぁ!? 何処に撃ってるんだい!?(やべぇ、丁度俺のいる所に銃弾が来た……!!)』
「ご、ごめんなさい! 急に蚊が飛んできて!!」
時には、スケバンたちと戦い――――――――
「とりゃあ!! 宇沢レイサ、見参!」
「ぐはぁ!!」
「な、なんだコイツ!?」
「ふっふっふ………この宇沢レイサ! 悪は決して見逃しません!!」
『(………なんか、最近凄く強くなってるな………この子)』
そして遂に、因縁の相手を破る――――――――
「やった! 初めて勝ちました!!」
「嘘……今までとは別人みたいに、強い…………!?」
『(ここまで強くなるとはなー)』
だが、どんな関係にも、いずれ終わりは来る。
『宇沢レイサ、もう君に教えることはない』
「そんな………!? お別れなんですか!?」
『ああ、その通りだ』
「そんな………私、マーリンさんくらいしか友達いないのに…………お別れなんて、寂しいです」
泣きそうな顔で、レイサは本音を話す。
どんな時も、明るく熱血な彼女からは、想像も出来ないような声色で弱音を吐いたレイサに、マーリン(オベロン)は言う。
『大丈夫。私たちの間に築かれた絆は、決して無くなることはない。そうだろう?』
「…………はい、その通りです!」
『最後に、魔法の呪文を君に教える。キヴォトスにはいずれ、世界を滅ぼす悪が現れる。その時、この言葉と共に選定の銃を掲げるんだ。忘れてはいけないよ、君は………世界を救う希望となるのだから――――――――』
最後に、レイサに魔法の呪文を教え、マーリンは消えてしまった。
それでも、レイサは前を向く。
なぜなら、あの呪文が自分と共にあるのだから。
あの呪文を唱えると、マーリンさんが近くで見守ってくれているような気がするから。
そう、何時までも下を向いてはいられないのです。
私は――――――ヒーローですから!!
――――――――
よーし! 想像以上に逞しく育ってくれたぞ!
最初は、それなりに強くなったら、丹精込めて作り上げた魔術礼装(オーパーツ仕込み)を渡して、それの起動方法をお教えようと思っていたが…………いやー、かなり強くなったね。
彼女ならきっと、終末装置を止めてくれるはず!!
宇沢レイサちゃんを指導した方法だが――――――――
ステップ1:オーパーツを素材として、道具作成Aのスキルを使って特殊な拳銃を作る。
ステップ2:プリテンダーの詐称能力で、自分の姿を隠す。
ステップ3:レイサの目につく所に作った拳銃を落とす。
ステップ4:魔術を駆使して、レイサに声だけを届ける。
ステップ5:マーリンを名乗って色々でっち上げる。
ステップ6:無事に師匠の座につく。かんぺき~
こんな感じで、自称マーリンとして彼女を育てた訳である。
想定以上に強くなっちゃったんだけどね。いやぁ、最初は中の上くらいまで仕上げようと思ってたんだけど………あれもう上の下はあるね。
流石に、ゲヘナで見かけた風紀委員ちゃんとか、正義実現委員会のバーサーカーほどじゃないけど、このまま成長すれば、その子たち相手でも善戦出来るかもってくらいの成長率だ。
もしかして、俺の指導力ヤバい…………?
それとも、あの子が規格外だっただけ…………?
師匠面してたが、実は何も分かっていない。
なんであんなに強くなったんだろうね、ホント。
キヴォトスって怖ぇー…………。
おまけ:トリニティのバーサーカー
「いやー、トリニティのスイーツはどれも素晴らしいね」
今日は息抜きに、トリニティでスイーツ巡りをしている。
どんな人であっても休息が必要であるように、終末装置である俺にもこういった休息が必要なのである。まぁ、こうしている時も妖精眼による疲弊はあるが…………。
オンオフ出来ないって、不便だよね…………。
そうして、品性ある街並みを歩いていると――――――――
「おや、爆発かい? 珍しいね」
目の前で爆発、そして現れた不良たちに――――――――
「丁度いい所に! お前、人質になってもらうぞ!!」
「え、僕? ちょっとぉ!?」
「はっはっはっ! 正義実現委員会の奴ら! 私たちを追ってくるなら、こいつは無事じゃ済まないぞ!!」
正義実現委員会の生徒と、オベロンを人質に取った不良が睨み合いの状態に陥る。
「オラ! お前ももっと助けを求めたりしろよ!!」
「いやー! 助けてーー!」
こめかみに銃口を突き付けられて、仕方なく声を上げる。
面倒事に巻き込まれてしまった……俺の幸運、Eランクだったりする?
内心、そうため息をついていると、突然となりにあった建物の壁が破壊される。
「はぁ!?」
そこから飛び出してきたのは――――――――
「キエエエエェェェェ!!!」
黒髪ロングのバーサーカー。
「ぎゃあああ!?」
「破壊、してやるーーー!!」
そこで行われたのは、まさに蹂躙劇であった。
突然現れた敵に、不良たちは動揺してオベロンを離してしまう。
人質の心配が無くなったことにより、バーサーカーは躊躇なく銃を乱射。
不良たちは、たった一人に鎮圧された。
す、すごいものを見た…………。
キヴォトスにも、バーサーカーっていたんだ。
「キヒ、ヒ…………お怪我は?」
「………ああ! 大丈夫だとも、君のおかげでね」
何この子………外見と内面の差が凄まじいんだけど。
すごい純粋で優しい子だ、この子。さっきの奇声とかでビビッてしまって申し訳ない。
…………いや、あれはビビるだろ。俺、悪くなくない?
「助かったよ。お礼と言ってはなんだが、これを受け取ってくれるかい? すぐそこの洋菓子店で買ったシュークリームでね、僕のお気に入りなんだ」
「キ、キヒ………ヒャアアアアアア!!」
少女は、シュークリームの入った袋を受け取ると同時に、凄まじい勢いで走り去った。
「え、ええ………?」
「申し訳ありません。ツルギが失礼な態度を…………。彼女にも悪気はないので………」
「ああ、うん。こちらこそ……申し訳ない」
「いえ、そんな……」
これが、後に『歩く戦略兵器』と謳われる、正義実現委員会の最高戦力………剣先ツルギとのファーストコンタクトであった。