魔法少女ノ魔女裁判における魔女が何らかの形でマゾに変換されている。
また魔女に関連する言葉も大体がマゾに関連する言葉へと変換されている。
マゾ化が進行すると誰かを傷つけたくなるらしい。
【みんながいない場所】、には2つ心当たりがある。
あの牢屋敷で行ったことがなく、尚且つ行った人も見かけなかった場所。
1つは1階の応接間、牢屋敷の過去を知っても尚何のために作られたかイマイチよくわからない。
ゴクチョーがたまに出入りしているのを見かけるのみだ。
もう1つはサンルーム、理由はわからないが私も他の少女達もあそこへ立ち入った形跡はなかった。
おそらく物置の物が邪魔になって入らなかったのだろう。
私は───
応接間へ行くことにした <
☠️ サンルームへ行くことにした
応接間へ行くことにした。
サンルームは物置の物を退かさないといけないからだ。
────
応接間は長テーブルが1つ、その右端と左端にイスが2つ並べられているという質素な空間だった。
私はイスに座り、ミリアからもらったメモを見ようとした。
「おや?二階堂ヒロさん、ここでなにをしているんですか?」
ゴクチョーの声が聞こえたためメモをポケットにしまった。
「ゴクチョーか....」
「少し一人になれる場所を探していた。ゴクチョーは見回りを?」
「ええ、そうですね.....」
私は疑問に思っていた事をゴクチョーに投げかける。
「ここは何のために作られたんだ?見たところ、来客がここに来れるようには見えない。」
「外壁が壁に覆われているからな。」
「あっと....私がこれを言っていいのでしょうかね......」
「別に言ってもらって構わない。私は牢屋敷の秘密について知っている。」
「牢屋敷が作られた理由や黒幕も知っている。」
「黒幕.....ですか.....。」
「......本当にそんな人居るんですかね?」
「何....?」
私はそれについて問い詰めようとしたが話を戻されてしまった。
「応接間が作られた理由ですが、人間と魔女、もといマゾが対話をするためです。」
「魔女はこの世界にも存在したのか?」
「いいえ?知りません。」
ゴクチョーはしらを切るつもりのようだ。
「特に異常もなさそうなので私はこれにて。」
ゴクチョーは飛び立っていった。
(人間と魔女、マゾが対話をするため....か)
私はミリアからもらったメモを見た。
『こんな紙を突然押し付けてごめんなさい、でもどうしても伝えたいことがあったんだ。』
『おじさんは君と同じように前の牢屋敷の記憶を持っている。こんな事を言っても信じられないかもだけど....。』
『証明できる材料もないから困ったな...あはは。』
『どうしても見てもらいたいことがあって....明日の朝、サンルームに来てほしい。』
(前の牢屋敷の記憶を持っている?)
ミリアの魔法...【入れ替わり】は記憶を入れ替えるものではないはず。
だとすると黒幕や機関の仕業....?
しかしそう考えても記憶を持つ人と持たない人の基準がよくわからない。
『皆さん、間もなく就寝時間です。』
『外出禁止時間となりますので、速やかに房へお戻りください。』
(時間か...)
私は仕方なく監房へと戻った。
────
監獄生活4週目、初日
原因は不明だが私はまたここに来てしまった。
どうやら【魔女】という言葉が全て【マゾ】に置き換えられているようだ。
私のマゾ化は進んでいることが判明した。
特にエマを見ると制御が効かなくなる時がある。
なるべくエマを避け、落ち着いて生活をすれば衝動的にならずにいられるだろう。
とにかくまずはミリアと会って話をするべきだ。
────
翌日。
私はノアを連れて食堂でご飯を食べていた。
「それにしても、意外な組み合わせだね。」
「ヒロくんのようなタイプは、自由奔放な子を嫌うと思っていた。」
「自由な子こそ、ルールを教え込まないといけない。」
(教えすぎるのも正しくないが.......)
私は手早く食事を終え、サンルームに向かう準備をする。
「どこへ行くんだい?」
「牢屋敷から脱出する方法を模索する。」
あながち嘘ではないだろう。
「ノア、すまないが今日はミリアに呼ばれているんだ。探すのは昼食後でいいか?」
「けちー」
「けちで結構。お絵描きしたくなったら牢屋敷で、いいな?」
「むー.....わかった」
さすがに少し可哀想かなと思い、レイアに頼み事をする。
「そうだな....レイア、私がいない間ノアのお絵描き場所を探してきてくれないか?」
「わかった、ノアくん私とその場所を探そうか」
「ヒロちゃんと探したかったなぁ.....」
その一言はレイアがショックを受けるのに十分だった。
レイアは右手を頭に付け、膝から崩れ落ちている。
(....なんか申し訳なくなってくるな)
私はそういえばと思い立ち、私は席を立った。
「皆、注目!」
「皆、スマホは持ってきているか?私も昨夜色々いじってみたのだが。」
私は自身のスマホを翳す。
「どうやらチャット機能があるアプリが入っている。IDを交換さえすれば、今後自由に連絡がし合える。おそらく通話も可能だ。」
「ゴクチョーに内容が傍受されている可能性はあるが....そもそも軟禁されている事を思えば気にしても仕方ない。」
「拘束時間もあるのだし、この連絡機能は有効活用すべきだ。この場で全員繋がろう。」
レイアが立ち上がる。
「ああ!たしかにいい考えだ! 全員と連絡先を交換.....私には言い出せなかった....!」
レイアは悔しそうな表情を浮かべながら爽やかに私の隣にやってくる。
(レイアはやはり切り替えが早い....!)
「まだ親しくないからと遠慮していたけれど、この状況下でそんなことは言っていられない。どうか私と連絡先を交換してほしい!」
他の少女たちも特に異論はなかったのかスマホを確認し、ID交換をし始めた。
(アリサとはまた明日交換すればいいだろう)
遭遇さえしなかったが昨日の自由時間中に看守に捕まったのだろう。
(そこも変わらないのか....そういえば懲罰房の中はどうなっているのだろうか)
とても意外だがミリアが、交換に積極的だった。
(.....そういえば、メルルがいないな)
(メルルもあとで交換すればいいだろう)
やがてアリサとメルル以外の全員が連絡先の交換をし合い、多くの少女たちが食堂を出ていったころ。
レイアが話しかけてきた。
「ところでヒロくん、ナノカくん、ノアくん、少しいいかな」
「何だ?」
「キミたちは今後、【傷害事件】が起こると思うかい?」
「.....起こり得るだろう、現に私も正しくない感情がよぎるときがある。」
「レイア、この仲間内には投票しないという発言をしようとしているなら、それはやめたほうが良い。」
レイアが動揺した。
「ヒロくん、何故それがわかって....ああそうか。」
「ヒロくんにはこの先起こることについて見てきたんだね。」
「こことは違う牢屋敷だが.....大まかな流れは変わらないからな。」
その直後、
ずしん、ずしんと牢屋敷全体が揺らぐ音が響き渡った。
「何の音だ!?」
私たちは急いで食堂から出る。
────
そこにいたのはエマ、シェリー、ハンナだった。
「あ、ヒロさん、見てください!」
シェリーが看守を殴りながら私の方を見る。
「この看守、いくら殴ってもびくともしないんですよ!」
「──やめなさいッ!」
ナノカが声を張り上げて叫ぶ。
「ナノカちゃん....?」
「看守は....ッ!その看守は過去の魔法少女のなれはてなのよ!!」
「これ以上苦しめないで!!!」
すごい剣幕に圧倒されたのかシェリーが殴るのをやめた。
「よく考えるとそれもそうですね.....ごめんなさい。」
(そうか、この看守はナノカの───)
(しかしそう考えるとおかしいな)
前の牢屋敷の時、シェリーは看守を殴って怒らせていた。
しかし今回は怒るどころがびくともしない。
ふとゴクチョーの言葉を思い出した。
『多くのマゾになった者は処刑されますが、与しやすい者に【快楽を与えて】マインドコントロールしてます。』
(快楽を与えるとマインドコントロールがさらに強くなるのか...?)
(もしや看守は痛みを快楽として認知している?)
(シェリーは痛みを正常に認知していない....似たような例があるならないとも言い切れないだろう。)
私はそう考えつつ、レイアとノアを見送ってサンルームへ向かうことにした。
────
サンルーム前の物をどかし、サンルームに入る。
そこにはイスに座って本を読んでるミリアがいた。
「お、遅かったね....」
「ああ、すこしシェリーが変な行動を起こしていて......」
「変な行動って、なんのこと?」
「看守をひたすら殴っていた。」
「あはは....シェリーちゃんらしいね.....」
サンルーム前の物は一応元に戻し、ホコリを払いイスに座る。
長らく使われていないのかかなりホコリ被っている。
(今は掃除する時間はないか...)
「ごめんね急に呼び出しちゃって....でもこれはヒロちゃんに伝えないといけないって思って。」
「これを見てほしいんだ。」
ミリアに見せられたのはページ数が大体同じの哲学書と小説だった。
「見てて。」
ミリアは左に哲学書、右に小説を起き、手をかざした。
仄かに緑の光を放った後に本の内容を見せられた。
「ッ!これは!?」
どちらの本も見たが、表紙は変わっておらず内容のみが全て入れ替わっていた。
「どうやらおじさんの【入れ替わり】の魔法、人間以外でも使えるみたいなんだ。」