オリジニウムをコラボ先にばら撒アークナイツ! 作:まっすァき
「ええと、リチャードさん。今回の取材を受けていただき、ありがとうございます。」
「前置きは良い、早速語ろう。名誉傷痍除隊が課せられた時のことだ。ホロウの内部にて、かつて私はこのような戦いをしたんだ。」
「一言で言えば、地獄だ」
「『司令部! 我々が交戦している場所は研究室だ! 損壊した場合、問題が発生する場合が確認できた! 判断を頼む!』と私は言った。」
「なぜなら、『サクリファイスのアンプル』とやらを回収するのが当初の目標だったからだ。しかし機関銃の轟音が響き、机やらロッカーやらを粉砕して、金属と木の混じった破片を撒き散らしていて、そのせいで左足首の骨を負傷し、挙句の果てには敵の攻撃で回収寸前だったアンプルまで壊され、状況は依然として劣勢だった。」
「事の経緯としては敵のワイヤーがドアに仕掛けてあり、私が罠に引っかかった。私にはこれまでの交戦で銃創が計三箇所あり、止血済みとはいえ素早く動けなかった。」
「ヘルメットからはカンカンと音が轟き、破片を弾く衝撃が首を痛くした。」
「讃頌会は悍ましくも人類の進化を叫び、健全性を著しく脅かす組織だが、その悪辣さが私の負傷と、任務不達成の要因だった。」
「なるほど、それが……ええと、はい、続けてください」
「奴らは味方もいるかもしれない場所に罠を仕掛け、機関銃を乱射するような精神を持っていて、研究室に辿り着くまでに、何度も即席爆発装置を解除する必要があった。」
「先頭を行く私は赤外線レーザーなど不可視の罠に警戒はしていたものの、『高級品の装備』に頼り切りだったせいで私が物理的なワイヤーを見落としてしまった。」
「『これより交戦区域における致死性発砲および重火器の使用を許可する。繰り返すが、研究資料の保護は優先事項から削除された状態にある』」
「だからこそ司令部からこんな返事が来た時、私は迷わずこう叫んだ。」
「『ラジャー! 皆、我々はあのアンプルたちを破壊可能になったぞ! グレネードランチャーを今すぐ渡してくれ! あの機関銃を無力化する!』」
「分隊全員が私の過ちで危険に巻き込まれたのだから、敵を倒すしか名誉を挽回する手段はないと思ったからね。」
「『コレで卑怯者を黙らせてやれ、隊長!』とか、『弾は装填してある! あとはトリガーを引くだけだ!』とか、そういう声がした。」
「床を這い、手元へ滑り込ませるように投げて渡されたソレは、私にとっての、希望の武器だったんだ。」
「ドアに開いた穴から見えるのは4あるいは5m先の機関銃。それは狙いもいらない距離だったし、今すぐ撃たないといけないと判断した。」
「分隊員たちは遮蔽物に隠れていて、突出しているのは私だけ。ならばここでやるべきことは一つ。背後にあるガラスケースの中では、不気味な蛍光色を放つ無数のアンプルが、激しい戦闘で割れたりしているものの、半分くらいは無事だった。」
「司令部が保護なんてしなくていいと言ったから、ちょっぴり榴弾で全損しちゃったとしても大丈夫だろうと考えた。」
「でもその時、穴だらけになった木のドア、その向こう側から、確かに命乞いの声が聞こえた。」
「『ま、待ってくれ! 投降する! 資料もすべて引き渡す、だから命だけは助けてくれ!』ってね。」
「しかし命乞いとは真逆に、機関銃は一切止まっていないし、射手が居る居ないに関わらず、そこにある脅威を排除するためにはこれしか考えられなかった。」
「だからきっと録音装置の罠だと考えて一顧だにせず、私は撃った。」
「『オープン・セサミ!』ってね。」
「乾いた発射音とともに吐き出された榴弾は、空気を引き裂きながら一直線にドアを貫通した。至近距離だとハッキリ聞こえるんだよ、音速を超えながら飛んでいる音が。たぶんそれから2、3秒くらい経った時、内部で信管が作動した。」
「視界を白く塗りつぶす強烈な閃光と爆風が、狭い廊下に吹き荒れたが、同時に爆発音が悪の野望を木っ端微塵に砕き割ったのだと確信できた。」
「私はあの交戦の後、四肢を義体に交換し、部隊からの傷痍除隊として退役して、今の姿さ。」
「病院で過ごした二週間のうちに草稿は書き上げていたが、回想録を書き連ねている内にも、これは名誉ある戦いの結果だと考えているし、己には果たさねばならない使命があるのだと良くわかるよ。」
「あっそうだ、ルポライターさんに決めゼリフ言うの忘れてたや、『人類を存続させることこそ、最も優先されるべき使命。』、なんてどう?」
「これは、いつでもどこでも頭の中で思い出せるくらいには現役時代に聞いたものなんだけどさ。」
「見て、書いて、話した、その経験が魂と結びついたかのように……深く言葉を覚えている。」
「だってエーテリアスは根絶しなければならないし、もちろん人類に仇なす組織は消し去らなければならないでしょう?」
「まあ、もちろんそうです」
「でもアイツらは人類が全員エーテリアスになれば、ホロウとの共栄ができるだとか、そんなことを抜かすじゃない? そんなこと、できるものか!」
「讃頌会のヤツは大真面目にコレを掲げて、民間人をホロウの中に閉じ込めてエーテリアスにする。そして自我が消えた状態を、共存と呼ぶ。これが悍ましいと言わずして何と形容できようか?」
「それに降伏したフリもするような、勝つためには何もかもやるような卑怯者に騙されるわけにはいかない。だから過去の自分も撃ったのだろう。」
「取材に協力したんだから、ルポじゃ良い感じに書いてくれよ!頼むぜ!」