数時間後、おそろしいほどに熱狂的な歓迎を受けながら輸送船の人々と意見交換したオビ=ワンは、船長室にたどり着くと、まず最初に唯一気になっていたことを外部と連絡していたクワイ=ガンへ問いかけた。
「それで、何処へ向かっているんです?」
コルサントへ向かっているとは、オビ=ワンも思っていなかった。
今、この十八隻の大型輸送船には、企業によって奴隷とされていた膨大な数の人々がいる。その奴隷化に関与した巨大企業のCEOがいる。しかも、その男は共和国元老院議員との黒い繋がりを自白している。共和国エージェントが命懸けで集めた証拠もあれば、つい先ほど自分たちを追撃してきた、ツェルカ社との関係が疑われる、存在の公表されていない軍事組織の記録まである。
どれ一つ取っても共和国中を揺るがしかねない。
それが全部、一つの船団に乗っているのだ。
状況すら完全には把握できていない今、これをそのまま共和国の首都へ持ち込むなど論外だった。
何処まで敵なのか分からない。
元老院は腐敗しきっているので議題になった瞬間にアウトだが。アウトなのは、元老院議員だけなのか。その秘書や官僚まで繋がっているのか。治安機関は。企業は。他の加盟惑星は。その他は。
共和国エージェントの訴えが握り潰され、本人たちがテロリストとして追われた以上、「共和国へ戻れば安全だ」などという楽観は、少なくとも事態の全容が判明するまでは持てない。
──というより、好悪の念を無視しても、『ナブーを軍事的に封鎖した通商連合に罪なし』とするほど腐敗している共和国の政治屋どもを信用して楽観できるはずがない。
まして、六百万人もの人々を連れている。
まず必要なのは安全だった。 次に食料と医薬品。そして事情を整理し、証拠を複製し、誰に何を報告するかを決めるための時間。
つまりは、共和国にもツェルカ社にも容易には手を出せない、中立かつ信頼できる場所へ一時的に避難する必要がある。
「タコダナだ」
「タコダナ……」
クワイ=ガンの口から出た意外な単語に、オビ=ワンの頭にはセレノーのドゥーク伯爵を頼ってはという言葉が浮かんだ。
元ジェダイにしてクワイ=ガンの師。孫弟子である自分やアナキンにも何かと目を掛けてくれている──いや、実の孫同然に可愛がってくれている。
何時でも助けになると言ってくれた彼ならば自分たちを助けてくれるだろう、と。
だが、すぐに候補から外した。
最近のドゥーク伯爵は精力的に政治活動を行っている。そんな場所へ、六百万人の解放奴隷と共和国の重要参考人と大量の証拠品を抱えた曰く付きの船団を連れていけるはずがない。
「ああ。しばらく身を隠せる。船を停泊させる場所もあるし、補給もできる。一時的な住居も用意してくれる。連絡したら快く「受け入れる。永住しても構わない」と返してくれた」
「これだけの船団を急にかつアッサリとそこまで受け入れてくれるなんて、随分と都合のいい人をご存じですね」
「古い友人だからな」
その言葉を聞いた瞬間、オビ=ワンは僅かに嫌な予感を覚えた。
「……どのような友人です?」
「マズ・カナタという信頼できる友だ。彼女のルールに従う限り、彼女は味方になってくれる」
「………………」
知っている名前だった。むしろ、ジェダイとして銀河を飛び回っていれば、海賊女王の名は一度くらい耳に入って当然の名前である。
問題は、ジェダイが交流する相手であるかどうかだった。答えはすぐに出た。あまり交流することが褒められる相手ではない、と。
「マスター」
「何だ?」
「どうして貴方は、そういう人物と当然のように知り合いなんですか? いえ、それだけの大盤振る舞いをしてもらえるだけの友人に、どうやってなったのですか?」
「長く生きていれば、友人は増えるものだよ、オビ=ワン」
「私は貴方ほど長く生きていませんが、貴方の歳になっても得ることが出来ない種類の友人だと思います」
クワイ=ガンは答えず、穏やかに笑った。その顔を見て、オビ=ワンは追及を諦めた。今重要なのは、マスターの交友関係ではない。六百万人を安全な場所まで連れていくことだ。
マスターの交友関係について評議会へ報告するかどうかは──それこそ、安全になってから考えればいい。
自分も裏社会の友人が少なからずいることを完全に棚へ上げて、オビ=ワンはそう決意した。
「ところで、マスター」
「何だ?」
「もう一つ確認したいことがあります。あの四十八機のスターファイターです」
オビ=ワンの表情から、僅かに冗談が消えた。
「犯罪組織が所有していたにしては数が多すぎる。しかも状態が良すぎます。鹵獲品や中古品を寄せ集めたようには見えませんでした」
「私も気になっている」
「出所は?」
「同行している共和国エージェントが調べている」
「共和国エージェント? ……ああ」
今更ながら、そんな普段ならばジェダイとはほとんど接点のない相手まで一緒にいることにオビ=ワンは気付いた。
共和国の法を守るエージェントと、共和国の平和を守るジェダイ。
目的だけを見れば協力する機会など幾らでもありそうなものだが、(共和国の腐敗プラスどっかの議長の暗躍により)不思議なほど両者が直接組んで動く機会は少ない。いや、仕事で顔を合わせることはあっても、こうして同じ事件を追い、現場で肩を並べて動くことはほとんどない。
だから、オビ=ワンすら内心割と敬遠していた。
だが実際に任務を共にしてみれば、何故今までそうしなかったのか疑問に思うほど効率が違う。
まだほんの少しの時間だけ僅かな会話だけだが、オビ=ワンの価値観を変えるには十分すぎた。
ジェダイだけでは知り得ない共和国政府内部の情報をエージェントたちは持っているし、分析能力も優れている。そこへフォースを扱えるジェダイが加われば、情報と分析、現場能力が噛み合い、単純な足し算では済まないほど効率が跳ね上がる。
加えて、同じ事件をまったく違う立場から見る人間が見ることで、見えるものそのものも増えた。
何よりも、大嫌いな政治家どもはもちろん、頭硬いなと思うジェダイの一部よりも話が合うし速い。
(──これは今後もやった方がいいな。いや、やらない方が問題だ)
オビ=ワンは素直にそう結論した。 コルサントへ戻ったら、共和国の捜査機関との共同任務について評議会へ提案しよう。
今現在、正式な許可もなく共和国エージェントと合同捜査のような真似をしていることについては、確かにグレーゾーンではある。 だが緊急事態であり、現に必要で、しかも上手くいっている。ならば今ここで問題にする理由もない。
……そうやって、グレー行為に理由付けて納得するあたり、オビ=ワン・ケノービはクワイ=ガンの子でアナキンの兄だった。
そんな弟子を頼もしくなったと言う目で見ながらクワイ=ガンは言葉を続けた。
「先程、君が会話した通り、極めて有能かつ誠実なエージェントたちだ。彼らは既に機体番号、整備記録、部品の製造番号まで照合している」
「……それで?」
クワイ=ガンは少しだけ声を落とした。
「まだ確定ではないが、殆どが中古市場を経由した痕跡がないそうだ」
「つまりは?」
「工場を出て、そのままここへ送られた可能性が高い。登録されずに、かつ検品もされずに。しかも保管されていた会社のデータベースにも一切情報が無かった」
「…………一企業へ、四十八機ものスターファイターが工場直送? 一切の情報なしで?」
「少なくとも殆ど、な」
「嫌な予感しかしませんね」
「同感だ。いま、エージェントたちは少しでも知っているであろう者から聞いている。その間、我々は一休みしよう。この船室へ行くといい」
「なるほど、ならプロに任せて休ませてもらいましょう……ところで少しでも知っているであろう者とは、誰です?」
「重要参考人だ」
「私はあんな軍隊など知らん! 本当だ!」
その頃、共和国エージェント、ヴァンによる事情聴取を受けている重要参考人ことヴァレックは、青ざめた顔で声を荒らげていた。
「私に与えられていたのは人員と施設の管理権限だけだ。あんな戦力を動かす権限など最初からないし知らん! 今回の六百万人を集めたのも、上から命じられた通りにしただけだ!」
「なら、お前は何を知っていた?」
「人員の調達、施設の運営、帳簿の処理、元老院議員たちへの金の流れだけだ! 戦闘機も! 輸送船も! 送られてきたものを受け取って置いていただけだ! 余りにも嫌な香りしかしなかったから調べもしなかった!」
「嫌な香り、か」
「そうだ。新品のピカピカの戦闘機をいきなりしまっておけだぞ。嫌な香りしかなかった──私は多少法の隙間を使って金を稼ぎたかっただけだ! 共和国相手に戦争でも始めかねない秘密軍など、そんなもの商売ですらない! 動乱の火種そのものだろうが! そんな危ないものに絡んで堪るかぁ!」
その証言が手に入れた証拠と一致していることを確認し、ヴァンは二度頷いてから、ちらりと横を見た。
「確かにお前が直接俺たちを嬲ったわけじゃない。それどころか、顔を合わせたことすらない。だが、お前は俺たちを奴隷として使っていた会社の責任者だ。秘密軍を知らなかったからって、俺たちを奴隷にした責任まで消えると思うなよ」
脅し役として呼ばれたアルトの言葉に、管理職だったヴァレックは青ざめたまま何度も頷いた。
「分かっている! だから知っていることは全部話す! 口座も、取引先も、上から来た命令もだ! 私を切り捨てようとした連中のことも、知っている限り全部だ! 私だって、連中に使い潰される駒だったんだ! さっきお前たちと一緒に攻撃されたのを見ただろう!」
「なら全部吐け。お前の知っていることを全部だ。それで何人救えるかで、お前を宇宙船から放り出すかどうかを決める」
「まて、そんなことをジェダイが承知するはず…………っ」
ジェダイがそんなことを許さないと言おうとしたヴァレックの脳裏を、クワイ=ガン一派がやったことがよぎり、口をつぐませた。
そんなヴァレックに対して、ヴァンは全てわかっているという顔で優しく穏やかな言葉を続けた。
「安心しろ。評議員はお前がイメージするジェダイそのものだ。そして、お前のことは評議会に連絡している──事故さえ無ければ、お前は無事にコルサントにつける」
「…………私の財産も、か」
「合法な財産ならな」
こうして洗いざらい吐いたヴァレックの証言により、秘密武装組織は現地法人CEOであるヴァレックにすら存在を知らされておらず、その上層で秘匿されて動いていたこと。同時に、それに関する情報は押収したサーバーデータの中にも一切存在しなかったことが判明した。
つまり、闇が深すぎる事だけが分かった。
一休みする暇もなく、ヴァレックの発言とその裏付けを聞いたクワイ=ガンに呼び出されたオビ=ワンは、何時も通りの厄介事にしても酷いときっかり二秒苦悩すると、人手が足りないからと自主的に機器整備中のアナキン──働き者の美少年なので奥様方に何時も通りに大人気だから、両手いっぱいに渡された焼き菓子を齧っている──と通信越しで三人だけの密談を始めた。
「…………評議会には、何処まで報告したんです?」
オビ=ワンの半眼での問いにクワイ=ガンは少しも悪びれずに答えた。
「ヴァレックを確保したこと。それから彼が複数の元老院議員との不正な関係を認め、その裏付けとなる証拠を共和国エージェントが確保したことだ」
「……それだけですか?」
「ああ」
オビ=ワンは周囲を見回した。
十八隻の大型輸送船。その中を埋め尽くす解放された人々。護衛についている数十機のスターファイター。 先ほどまで自分たちを追撃していた、共和国が存在すら把握していなかった正体不明の秘密武装組織。
どう考えても「それだけ」で済む状況ではない。
「奴隷については?」
「まだだ」
「輸送船は?」
「まだだ」
「スターファイターは?」
「まだだ」
「秘密武装組織は?」
「通信ではまだだ」
「…………」
分かっていた。分かっていたのだ。きっとこうなると分かっていただろうオビ=ワン。今更ではないか。遂に評議会に『省略』出来なくなる厄介事の群れが押し寄せてきただけではないか。いつか来る日がついに来たのだと。覚悟を決めれば良いだけではないか。
シクシクと痛む胃を抑えながらオビ=ワンは、それでも弟弟子の未来と自分たちの保身の為に通信に載せる情報だけは可能な限り省略する覚悟を決めた。
『オビ=ワン、どうしたんですか?』
「いや。どこから注意すればいいのか考えていた」
『僕たち、何か悪いことをしたんですか?』
「その質問を今の段階でする辺りが、一番頭の痛いところだよ」
『でも、みんな助かりましたよ?』
「それについては何も言っていない」
歳の離れた弟に甘い所のあるオビ=ワンはそこだけは即答した。助けたこと自体に異論などない。間違っていないと。
ですよね。とコクコク頷くアナキンに、調子には乗らないようにと釘をさしながらオビ=ワンはクワイ=ガンに向かい直した。
「マスター。少なくとも秘密武装組織については、すぐ評議会へ報告するべきでは?」
「私もそう考えている」
「では──」
「通信では無理だと判断したのだ」
なぜだか分かるなという眼差しを受けたオビ=ワンは即座に理解した。
「……通常の任務報告として送れば、共和国政府にも共有される」
「ああ。今回の件は共和国エージェントと司法機関が関係している。正式な報告として処理されれば、評議会の中だけでは止まらない。関係省庁と議長府にも届くだろう。それだけ多くの人間の目に触れれば、どこから漏れてもおかしくない」
「この状態で『ツェルカ社が秘密軍を持っていました』などと広く知られれば……」
『逃げられてしまいますよね。船を隠して、ドロイドを壊して、知らないって言われたらそれまでです。ナブーを占領したのに有耶無耶になった連中と同じで、元老院も議長も何もしないまま、また有耶無耶ですよ』
「そういうことだ」
「アナキン……相変わらず、その辺りの発想が随分と現実的だな」
『タトゥイーンで、そういう連中はたくさん見ましたから』
「…………そうだったな」
それ以上はオビ=ワンは何も言わなかった。
善良で欲がなく夢を持ち、人を助けたいと願う心は誰より真っ直ぐなアナキンだが。奴隷として育った為、善意だけで人が救われるわけではないことも、力のない者がどれほど簡単に踏みにじられるかもよく知っている。
ゆえに、割と権力者への判定が容赦ない。端的に言って、権力者に対しては発言ではなく実績しか見ないのだ。
具体的には議長だ。
ジェダイの中でも評判の良いパルパティーン議長について、「胡散臭い政治家ですね。故郷のナブーを占領した連中を罰するって言っていたのに、結局ガンレイは総督のままなんでしょう? だったら何をしたんですか?」と一刀両断したくらいに信用してない。
まあ、仕方ないだろう。
母を含めた故郷の人々を、自分たちと共に奴隷から解放できた時、子供のように泣きながら抱きついてきて喜んだアナキンからしてみれば、故郷のナブーが完全な違法行為によってあれほど酷い目に遭わされたというのに、何もしないパルパティーンを信用できるはずがない。
アナキンと同じ理由で、自分もまったく信用出来ない。元々『政治家なんて仕事を進んでする奴に碌な奴はいない』という政治家嫌いなオビ=ワンに、具体的な理由まで出来たのだから信用するはずがない。
パルパティーンを、弟弟子と同じ信用できないカテゴリーへ叩き込んでいるオビ=ワンは情報を秘匿するのに欠片も異論がなく腕を組んだ。
「では、通信では何を報告します? 私は合流し次第、報告しろと命じられているのですが」
その二人の師であり『私利私欲がなく大いなるモノにしか興味がない人物にして、その大いなるモノが一切不明な人物。有能極まりない生粋の政治家だからこそ、注視すべき』と、同じくパルパティーンを信用できないカテゴリーへ叩き込んでいるクワイ=ガンも──大人なのでそんな素振りは欠片も見せないが──万一にも元老院議長らへ余計な情報が流れないよう、報告する内容を選別していた。
「ヴァレックから得た元老院議員の名前と、不正資金の流れ。それを裏付ける記録だ」
「場所は?」
「現在地は知らせない」
「ヴァレックの移送先も?」
「もちろんだ。彼はしばらく同行してもらう」
「六百万人の元奴隷についても?」
「まだ詳細を伝えない」
「十八隻の輸送船と四十八機のスターファイターも?」
「ああ」
「……理由は、分かります」
フォースもそれが間違った選択ではないと告げているし、本質が政治家なオビ=ワンは話し合っている間に嫌というほど理解してしまった。
六百万人を共和国へ引き渡せば保護はされるだろう。だが十八隻の大型輸送船と四十八機のスターファイターは、所有権も登録も不明瞭な証拠品として司法手続きの中で取り上げられる可能性が高い。悪意ある者が一人でも途中に噛めば、そのまま戻ってこない可能性すらある。そうなれば、彼らは自由を得たその日に、共和国の腐敗により自分たちで生活を立て直すための船と仕事を失う。
そうマスターに話すと、会社を作るというアナキンの発案を聞かされた。アルトたちも既に乗り気らしい。
……クワイ=ガンがシレッと後見人になると言った瞬間、ジェダイの中立性が喉から出かかったが、まあ、それしかないから仕方ない。ジェダイ・マスターのバックがある組織ならば共和国の腐敗の手もまだマシになる現実が酷いのだ。
「……まず安全な場所へ移し、会社として動ける状態を作る。その上でアウター・リムで実績を積ませるつもりですね」
「ああ」
「流通が破滅的なアウター・リムで、実際に荷を運び、現地政府や住民から必要とされるようになれば……」
「共和国に後から解体する理由は少なくなる」
「むしろ、止める方が問題になる」
そこまで応えると、オビ=ワンは目を閉じた。理解できる。素晴らしいほどに理屈が通っている。
六百万人の生活を守れる。アウター・リムの流通も改善する。違法に集められた船舶も、人々の生活基盤として有効利用できる。そして、ジェダイ・マスターであるクワイ=ガンが後見人となれば、少なくとも海賊企業や犯罪組織の隠れ蓑として設立された会社ではないことまで保証できる。ここまでの実利があれば共和国のマトモな人たち(当然沢山いる)が絶対に潰させない。
問題があるとすれば、共和国や評議会にその判断を仰ぐ前に、全部やろうとしていることくらいだった。
オビ=ワンの瞼には「「「この問題児どもが」」」という目で見ながら追認してくれる評議員の姿がありありと浮かんだ。
「マスター」
「何だ?」
「今、私の頭の中で『合理的だから仕方がない』という言葉と、『それでも先に評議会報告してください』という言葉が殴り合っています」
「どちらが勝っている?」
「今のところ互角です」
それを聞くと笑顔になり「素晴らしい。君がそう見込むのならば、この計画は成功するだろうな」とか抜かすクワイ=ガン。
あと10年くらい若いパダワンならば突っかかっていただろうが、30近い大人なナイトであるオビ=ワンにはこれが、オビ=ワンの視点に対する称賛だと理解できる。
だから、一呼吸で落ち着く。
「謎の秘密武装組織はどうしますか?通信はしないとのことですが?」
「共和国エージェントのセラたちに証拠を持たせ、司法省の信頼できる人物とマスター・ウィンドゥへ直接届けてもらう」
「そうでなければ漏れる、と?」
「あれだけの軍事力を共和国に隠して用意できる何者かが、情報網だけは持っていないと考える方が危険だ。少なくとも、元老院議員か政府上層部に協力者がいる前提で動くべきだろう」
「…………やはり、マスターもそう見ますか」
「ああ。ナブーの通商連合の一件を起因として、妨害されながらも共和国は大手企業の多くを調査してきた。それでも把握されていない軍事組織が存在するのだ。しかも、ヴァレックほどの幹部にすら存在を知らされていなかった代物が。共和国政府のかなり深い場所にまで何らかの繋がりがある可能性を、排除するべきではない」
「マスター・ウィンドゥはパルパティーンを評価しています。間違いなく彼に知らせますよ。良いんですか?」
「この件に関しては彼を巻き込むべきだ」
パルパティーンを信用してはいないが、有能な政治家であることまで否定しているわけではないクワイ=ガンは断言した。
「他の件はともかく、この件は大きすぎる。議長である以上、何らかの対処をせざるを得ないほどにな。全面的な支援までは期待できなくとも、最悪でも企業を軌道に乗せるまでの時間は稼げるだろう」
オビ=ワンは考え込んだ。
極めて不健全な相談をしている自覚はある。
ジェダイが評議会へ提出する報告書について、何を意図的に書かないかを相談しているのだから。
だが理屈は通っている。いや、通りすぎている──やむを得ないな。規律を少し無視しよう。
評議会が聞いたら「少しぃ! 最初っから最後まで規則を踏み躙ったアウトだよ! オビ=ワンがこんな畜生だったなんて!」と咆哮する内容は師弟間で諒解し終えた。
だから、細かい内容を詰め始めた。