翡翠の海賊   作:カズサ

11 / 11
10.一休み中

「ふー、ようやく一息つくねー」

 

ここはグランドラインの入口近くの島。フェーン島。特に何かがあるわけでもない普通の島。街も普通の大きさで、まあまあ栄えてる街。グランドライン入りした新米海賊が主な営業相手。適当な店に入れば当然のように海賊がいる、そんな島だ。ここでログが溜まるのを待ちながら休むとしよう。

 

「そち、そんなに呑気にいてもよいのか?あやつらがまた攻めてくるかもしれぬぞ」

「それはないかなー」

「ほう、なぜそう思うのじゃ?」

 

君の教えのおかげだね。グランドラインの入口近くの島は1つじゃない。どっちに行ったか知らない以上、追跡するには片っ端から探し出すしかない。だが、私達の最大の長所は航海の速さ。最初の一発で当たらなきゃ、絶対に間に合わない。海軍がそれを知らないわけがない。

 

「ふむ、確かにそうじゃな。しかし、あやつらが待ち伏せを仕掛けてきたのを忘れてはおるまい」

「どっちに行くかもしれないのに、私達の行く先に待ち伏せできた。つまり、海軍は私達の居場所を特定できていると?」

 

否定は出来ないけど。すべてがそうではないだろう。完全に把握していて、今の場所もわかっている可能性はかなり低い。

 

「なぜそう思う」

「簡単さ。海軍が待ち伏せを仕掛けてきた場所がグランドラインだからだよ」

 

完璧に分かっているなら、それこそサウスブルーにいる時にでも良かったはず。だが海軍はしなかった。海軍が選んだのはグランドラインで、私達が逃げることが出来ない場所での待ち伏せ。逃げられたら追えないのもあるが、逃げ切られたらもう一度の特定が困難だからだろう。

 

「つまりだ。海軍の一定の範囲内に入らなきゃ、私達の位置は特定できない」

「なるほど。では、その特定の手段に心当たりはあるか」

「それは……嫌味なのかい?」

「ふふ。さぁて、どうじゃろうな」

 

まったく……分かってて言ってるな。海軍が私達の位置を特定できる手段。詳細は不明だが、分かったこともある。範囲内に入ることが最初の条件なら、まず考えられるのは範囲内のものすべてを把握できること。だが、これは考えたところでどうにもならないし、意味もない。私達が海軍の位置をずっと把握すること以外では防げない。まあ、無理だな。だからこの可能性は無視する。

 

次の可能性は範囲内の何かを感知すること。この場合上記と同じ理由で、生命反応などは除外。残るのは私達のうち誰かに対する感知。この場合はイレーナとライラは除く。彼女たちが仲間になったのは海軍が作戦を始めた後。最初に王国に少将1人が入って以来、私達は海軍と接触などしていない。海軍が彼女らを把握することは出来ない。ならば、彼女らを感知することが可能だとしても、対象には選べないだろう。

 

残る可能性は私とルッツ。うち、ルッツは今回初めて能力をちゃんと使ったんだ。感知対象としてはいささか確実性が低い。つまり結論は。

 

「私が付けられているな。おそらく、風かな」

「で、あろうな。そちの風は海軍にも把握されておるし、それ以外なかろう」

「イレーナもそう思うか。困ったものだな」

 

こりゃ遥是は封印か?絶対、嵐の中で使った遥是が読まれたんだろう。今までと同じではいられないな。次も今回のように上手くいくとは限らない。実力を付けるべきだな。あの元海賊に正面から勝てるようにならないと。

 

「何はともあれ。イレーナ、ありがとう。今回の勝利は君のおかげだよ」

「ふふ。なぁに、妾は大したことはしておらん。そち達にほんの少し手を貸してやっただけのこと」

「いや、謙遜は良くないよ。君がいなかったら決して今回のような奇襲は成らなかったよ」

 

これ、ほんと。イレーナの功績はとても大きい。彼女の指揮もそうだが、一番はこれだろう。

 

幻影(ファントム・ヴェール)

 

この技。凄く良い。とても良い。マジでイイ。奇襲の成功はこの技あってのことだ。

 

幻影。対象の周りにバリアーの様な膜を張る技。この時、膜の表面は周りの環境にあわせて隠蔽なども出来る。これのおかげで敵に見つからず奇襲することが出来た。船から飛んでいく前にイレーナに張ってもらったが、海軍は誰も気付かなかった。優秀な技だ。また頼ることになるだろう。

 

「さーて、取り敢えず、状況確認はここまで。しばらくはここでお休みだね。イレーナはどうする?欲しいものがあれば言ってくれ。今回の働きの褒美として買ってあげるから」

「ほう、ではこの島にある本屋にでも行ってみるかのう。ここは各海から来たものが最初に着く島の1つ。物も集まろう」

「おー、良いね。私も後で街に出かけてみるかな」

 

何があるかなー。海賊が多いし、金目の物を売ったりするなら、宝石や芸術品とかもあるだろうな。私が作った木彫りの工芸品もいくつか売っとくかな。金は集める時に集めておかないと。

 

「ほう。あの工芸品、そちが作ったものだったか。なかなかにどうして、見事な一品じゃのう」

「だろう?これでも工芸は得意なんだよ。元は翡翠を使っていたんだが、流石に船の中だと道具や環境とかの問題がね」

 

この部屋の工芸品の殆どは手作りさ。海賊になる前に作った物も置いてある。勿論、船が傾いても問題ないようにしっかり固定してある。山頂から飛ぼうが、嵐の中を突っ切ろうが何の問題もない。

 

「今度、イレーナにも1つ作ってあげるよ。何か希望はある?」

「うむ。まずはそちの判断に任せよう。そちが妾に贈りたいものを作るのじゃな」

 

おお、そう来たか。こういうオーダーが一番面倒だよね。何が良いかな。イレーナの見た目的には古風な感じか気品を感じさせる物が似合うかな。悩むねぇ。

 

コンコン

 

「キャプテン。副船長が戻りました」

「お?そうか、報告ご苦労。すぐに向かうよ」

「はっ!副船長に伝えておきます」

 

どうやら頼んだ仕事は終わったようだな。どれくらい稼いだのかな。

 

「イレーナ、悪いが話はここまでのようだ」

「なぁに、構わぬ。妾も気になっていたところだ。先に行かせてもらうぞ」

 

そう言ったイレーナはそのまま浮かび上がり、そのまま壁をすり抜けて行った。ズッル!霊体化、ズッル!くっ、私も自然系だったら……!いや、それでもすり抜けは出来ないな。うん。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ズルをするイレーナを追って甲板に出れば部下達もそこそこ集まっていた。邪魔なので空からその中に入る。カゼカゼの実だってなぁ、良いんだぞ!

 

「お帰り、ルッツ。成果はどうだ」

「隊長、只今戻りました。成果もバッチリです」

 

こちらに挨拶をするルッツの後ろにはかなりの宝や金貨があった。おお、なかなかじゃん。

 

「よくやった。バレてはないだろうな」

「勿論です。あの様な三流海賊の船、造作もありません」

「流石だな、ルッツ」

「いえいえ。本当に大したことじゃありませんでした。あまりにも雑だったので、ついでに奴らの船の掃除もしてあげましたよ」

 

何してるの?コイツ。痕跡残してるじゃん。時々変なところで真面目を発揮するんだよなー。どうせ、汚すぎて我慢できなかったとかでしょ?他人の船でそういうのは、やめようね?

 

ルッツに任せた仕事は「この島に停泊中の他の海賊達の船から、金目になるものをもってこい」だ。街の略奪は流儀じゃないが、金は必要だからね。他の海賊達にはこうやって世話になっている。いつもありがとう。助かっているよ。君達の名前は生涯忘れないさ、名無きモブ海賊達。

 

「ふふ。なかなか面白いことをするのじゃな。いつもこんなことをしておるのか?」

「そうだよ。サウスブルーの海賊達にはいつも助けてもらったな……懐かしいぜ」

 

彼奴等、元気かな…。あまり金持ってなかったから、しけた奴等だなぁ、とか思ったことちょっとだけ申し訳ないと感じるな。今度会うことがあれば、その時はちゃんと礼を言ってから貰っていこ。それが礼儀というものだから。例え海賊でも必要なら礼儀を持って接する、これ基本ね。

 

ただし、キッドは許さない。なんだよアイツ。ちょっと貰っただけでどこまで追いかけてくるつもり?まったく、みみっちい奴め。そんなの適当に「新しい時代に懸けてきた」とか言って流せよ。海賊のくせに、盗まれたくらいでどんだけだよ。二度と盗まねぇ。……あ、盗みじゃないや。貰うだった。二度と貰ってやらないんだからね!

 

「そち、それは逆恨みがすぎるんじゃないか?」

「何を言ってる、イレーナ。私達は海賊だぞ?逆恨みなんて、仕事みたいなものさ」

「……そうかのう」

 

そうだよ。イレーナは海賊なりたてだからまだ理解できないかもだけど、いずれ分かるさ。

 

ルッツに中に入って休めと命じた後、ルッツが盗んで……もとい、貰ってきた宝を数名の部下に仕分けて運べと命令しておく。報酬として、1人につき1個好きなものを貰ってよし。やる気上がるねー。ちゃんとしろよ―。

 

さーて、後は……ライラの見舞いにでも行くか。

 

 

 




うーん、今出せそうな設定はないな。
ずっと出してたから、なんか物足りない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ONE PIECE 救済を求める神父(作者:ヴァンプッシュ)(原作:ONE PIECE)

ただただ、自己満足に描きたい。そんな感じでやって行きます。感想・意見もお待ちしてます


総合評価:850/評価:7.65/連載:15話/更新日時:2026年09月02日(水) 01:16 小説情報

日向ヒカゲ忍法帖(作者:鍋川太一)(原作:NARUTO)

 NARUTOの世界に転生した、男の物語。木の葉の名門に生まれた彼の運命やいかに?▼ 作者の独自解釈がてんこ盛りです。主人公はいろんな事に疑問を抱いている。苦手な方は戻って下さいな。▼ NARUTOを読んでいないと分かりづらいと思います▼ 続かないかも知れないし続くかもしれない。


総合評価:1222/評価:7.52/連載:23話/更新日時:2026年09月08日(火) 00:00 小説情報

~転生したら奈良シカマルの双子の兄でした~(作者:ZAZAI)(原作:NARUTO)

奈良シカマルの双子の兄・カゲマルとして転生した主人公。アカデミーで仲間との絆を育みながら、未来を変えるため忍として歩み始める。


総合評価:1555/評価:7.23/連載:26話/更新日時:2026年09月01日(火) 19:04 小説情報

分身ハメ殺し忍者『うちはイタチ』(作者:やめろイタチ、その技は俺に効く)(原作:NARUTO)

うちはイタチに転生した元日本人三十路サラリーマンが原作破壊しながら生き延びようとする話


総合評価:21409/評価:8.63/連載:29話/更新日時:2026年08月16日(日) 17:11 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>