翡翠の海賊   作:カズサ

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08.美の化身と無垢な花

ジェイド海賊団と海軍追跡部隊の海戦

 

U字陣形の中央の船に突然現れたジェイドと巨大な烏を見ながら、海軍少将ウィースは思う。「なぜ?」と。

 

「先程までボクの美しい砲撃を回避する敵の船の動きは綺麗だっタ。あと、ボクに向けての砲撃モ」

 

つまり、指揮官クラスの者が2人以外にもいる。そして

 

「あの様な巨体、気付けないわけがなイ」

 

いくら砲撃による激音の中だろうと、アンナは一流の追跡者だ。「能力の性能が低下したから、何も出来ません」などとアンナに限ってはありえない。

 

「何らかの手段を使い、ボク達の目を騙したものがいル」

 

それがもう1人の指揮官と同一人物かどうかは判断できないが。そこまで思考したウィースは視線を戻し、自分に向かってくる巨大な烏を捉える。

 

「たしか……八咫烏、だったかナ。おそらく、黒い翼。美しいボクの攻撃で落としたいところだネ」

 

現在持っている情報を使い相手を特定する。敵の危険性を確認したウィースは邀撃するために己の能力を使う。周りの砲弾が浮かび上がり、上空の黒い翼に向けて飛んでいく。

 

「うーん、流石に高すぎるネ。避けられちゃっタ」

 

自分も飛ぶべきか一瞬悩むその瞬間、上空から1人の少女が落ちてくる。少女は落下しながら、大きな刀をウィース目掛けて振り、斬撃を飛ばしてきた。

 

「白夜・一文字(びゃくや・いちもんじ)」

「おや、これは…3つかナ。采光・遮断・三重奏(サイコー・バリアー・トリオ)」

 

自分に向かって降り注ぐ斬撃を、能力で作ったバリアーで防ぐ。斬撃がバリアーに当たって激しい音を発生するがバリアーを破壊することは出来ず、そのまま消えていく。

 

「え、なにそれ?防がれた」

 

ウィースが乗っている船に難なく着地した少女。ライラは自分の斬撃が防がれたのを見て、ウィースに問う。教えるわけがないのに、聞いちゃう。

 

「気になるかイ?仕方ないネ、特別に教えてあげヨ!ボクのこの美しい能力ヲ!」

「あ、教えてくれるんだ」

 

ウィースの美しい回答を聞いて、少し懐かしむライラ。ユリウスを考えているのだろう。彼も軽く答えてくれた。

 

「美しいボクの名前はウィース。そして、美しいボクが使う美しい能力はネンネンの実。つまリ、念動力サ」

「ねん…どうりょく…?あ、わたしはライラ。よろしく」

 

ライラは念動力を知らないようだ。ウィースは気にしていない。

 

「ああ、よろしく頼むヨ。美しいボクの相手をネ。采光・光線(サイコー・こうせん)」

「うわっ、なに?」

 

ウィースの言葉と共に彼の周りに3つの光の玉が作られる。その玉はウィースの指揮に従い動き、そして光線を放ち始める。見たことのない攻撃に驚きながらもライラは回避する。

 

「おや?よく動くネ。でも、ボクの念動玉は3つだけじゃないヨ」

「わー、たくさんだー」

 

3つの念動玉による攻撃を難なく回避するライラを見て、ウィースは念動玉を追加で作り出す。その数はすべて合わせて10個。10個の念動玉がウィースが持つタクトの動きに合わせライラの周囲を飛びながら光線を放ちだす。

 

「おっ、流石におおいね。なら、わたしも極天・いっ、おわっ!?」

 

強く踏み込もうとするライラだが、途中何かに塞がれ、止まってしまう。

 

「ああ、言わなかったネ。ボクの周りには、いくつかバリアーを貼っておいたんダ。キミ、近寄らせると危険そうだからネ」

「むう、じゃあ、これはどう。白夜・いっおおっ!?」

「させないヨ。先程、斬撃を見せたからネ。警戒はするヨ」

 

大きな斬撃を飛ばそうとするライラだが、念動玉から放たれる光線により慌てて回避を選ぶ。

 

「そして、さらニ。采光・衝撃・四重奏(サイコー・パワー・カルテット)!」

 

ウィースの指揮に従い4つの念動玉が集まり、円形に配置され回りだす。そして、ライラの上に位置したそれから強い衝撃波が放たれライラに当たる。

 

「がっ、なに、これ」

「おや、見かけによらず頑丈な体だネ」

 

強い衝撃により体がふらつくが、なんとか踏みとどまるライラ。痛みは感じるが戦うのに支障はないと判断。そのまま攻撃に移行する。

 

「力を溜めると邪魔される…なら、夜天・一文字(やてん・いちもんじ)」

 

素早く振られる大太刀から細く、鋭い斬撃がウィースに放たれる。

 

「そういうのもあるのかイ?采光・遮断・二重奏(サイコー・バリアー・デュエット)」

 

ライラの斬撃に対し、ウィースはバリアーを形成する。それに念動玉を2つ配置することで、強度をあげ、斬撃を難なく防ぐ。

 

「なら、これは!」

 

防がれた斬撃を見て、ライラはウィースの右側へ一瞬で踏み込む。ウィースの正面からではなく、横や後ろからの巨大斬撃を狙うつもりだろう。

 

「速いネ。なら、これはどうかナ。采光・熱線(サイコー・レーザー)」

「えっ!?」

 

ウィースの横に踏み込もうとするライラだが、突然現れたレーザー線に塞がれ止まってしまう。周りを見ると、2つの念動玉がレーザー線で繋がっていた。

 

「もう、一本が必要かナ」

 

さらに、一本のレーザー線が作られライラの周りを動き回る。これでは移動に邪魔になる。それだけではない。4つの念動玉で作られた2本のレーザー線とは別に、6つの念動玉がライラの周囲を回りながら光線を放ってくる。

 

「うわっ、多すぎるよ!?」

「キミは速いからネ。自由に動かせたりしないヨ」

 

2本のレーザー線と6つの念動玉からの攻撃から逃げ回るライラ。だが、それこそがウィースの仕掛けであった。

 

「っつ、な、なに、壁?」

「言わなかったっケ、バリアーはボクの周囲一定範囲内ならどこにでも張れるヨ。そして、捕まえたヨ」

「え?あっ」

 

前はバリアーで道を塞がれ、横から上まではレーザー線で塞がれている。ライラはもはやどこにも行けなかった。止まるライラに6つの念動玉が集まり円形に配置される。

 

「さあ、終わりだヨ。采光・衝撃・六重奏(サイコー・パワー・セクステット)!」

「ぐっ、がああ、あああ!!」

 

6つの念動玉で作られた円形から放たれた、強力な衝撃波は船の甲板ごとライラを押しつぶす。甲板が軋み、潰され、破壊されるまで放たれた衝撃波が止んだ時には、ライラは既に倒れ伏すだけだった。

 

「フー、ボクにかかればサウスブルーの新米海賊如き簡単だネ。さあ、早く黒い翼を追わないト。アンナは弱いからネ」

 

隣の船の仲間を考え、急いで援軍に向かおうとするウィース。その時、後ろから軋む音が聞こえた。

 

「……おや?…キミ、しぶといネ」

 

後ろを振り向くとそこには、壊された甲板から出てくるライラがいた。その姿はもはやボロボロで今にでも倒れそうだった。だが、ライラの顔には痛みによる苦い表情ではなかった。その顔はどこか嬉しそうな笑顔を浮かべていたのだ。

 

「笑っていル…?ああ、そうカ。ボクの美しい顔を見ることが出来てつい笑顔になってしまったのネ。フー、美しすぎるよ、ボク」

「あは、は……あなた、つよいね」

「当然サ。美しいボクだヨ?強いに決まっているじゃないカ!」

「……?」

 

どうやらライラには理解できないようだ。その反応にウィースは美しすぎるから理解が及ばないと解析する。

 

「よくわからないけど……あなた…つよいから、わたしも…もっとがんばらないと」

「させないヨ……ああ、そう来るのネ」

 

 

言い終えたライラはそのまま、踏み込みに入る。それにすぐ反応したウィースはバリアーを張るが、ライラが選んだのは前進ではなく後進。

 

「今の、わたしの……全力を…だしきる…!」

「妨害は間に合わなネ。采光・遮断・六重奏(サイコー・バリアー・セクステット)!」

 

ライラを追うため念動玉を動かすが、即座に間に合わないと判断。そのまま防御に入る。6つの念動玉を自身の前に円形に配置し、バリアーを展開。そして、振られるライラの大太刀。

 

「いくよ…!……白夜(びゃくや)っ――一文字(いちもんじ)!!」

 

突然、ウィースの視界が白く染まる。光ではなく、ライラの巨大な斬撃によって。ライラから放たれた巨大な斬撃は自身が乗っている船ごとウィースを斬り裂きながら進む。

 

「これはっ――」

 

ウィースが展開したバリアーが一瞬だけ斬撃を止めて、破壊されてしまう。ウィースと船を斬り裂いた斬撃はそこで止まらず、横に位置するアンナの船にまで迫り斬り飛ばしてようやく消えていった。

 

「……あ、すごーい」

 

放った本人の感想だ。

 

「…って、これ、わたし、どうすれば…?うで…動かない」

 

船が半分に割れ沈んでいく中、ライラは今までのダメージで体が重く、先程の斬撃により両手がしびれて動けずにいた。どうするかと周りを見回すライラは空を飛んでいる巨大な烏を見つけた。

 

「あ!ギール!たすけて!わたし、うごけない。のせてー!」

 

空を飛んでいるルッツを見つけたライラは、精一杯声をあげて拾って欲しいと伝えるのだった。

 

「……ライラ嬢は…いろいろと、凄まじいですね」

 

やがて、なんとか刀と一緒に拾われたライラはルッツと共に船に戻るのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

元海賊を海に沈めて船に帰還する途中、ルッツとライラと合流できた。

 

「戻ったか。ルッツ、ライラ。って、ライラ大丈夫?」

「うん……なんとか」

 

おお、ボロボロだな。かなり手強いやつだったようだな。おつかれ。ルッツの方も見るが、傷1つ見えない。私と同じく作業だったようだ。

 

「どうだった、ルッツ。能力は」

「ええ、まあ、なんとか」

「そうか、よくやったな。ルッツ」

 

ぎこちない答えだな。まあ、色々思う所あるのだろう。そっとしておこう。あ、船についた。

 

「イレーナ、無事か?船は?」

「戻ったか。妾も船も問題はない。いつでも出航出来るぞ」

「よーし、全員ちゃんと捕まってろよ!今から全速力でこの海域を脱出する!」

『オオー!!』

 

部下達の鬨の声を聞きながら船に風をいっぱいにぶつける。もはや、慣れすぎた作業だが、この瞬間はいつも胸が踊る。船に強くあたる風を感じると再び旅が始まるのが分かるから。

 

「さあ、行こう。グランドラインの先へ」

 

例えこの先、今以上の巨大な壁が立ちふさがっても、この風が私達の背中を押してくれるから。だから進もう、この果てしない海の向こうまで。

 

こうして、私達のグランドラインでの航海が始まるのだった。

 

 

 




艦隊戦、完!次は後日談ですね。それが終わったら新章かな。
後日談までが序章かな。キャラ紹介ですね。
戦闘まだ慣れない。色々試しながら書いてます。

ウィースのプロフィール。

ウィース
コードネーム:『金彩』
階級:少将
年齢:27歳
体格:身長:185cm/体重:72kg
外見:金髪、ショート/朱色の瞳/黄色のスーツ・コートは普通に羽織っている
イメージカラー:金
出身海:グランドラインの農業に優れた国
武装:タクト
能力:超人系 ネンネンの実 覇気はまだ修行中
六式:剃・紙絵

超人系 ネンネンの実
念動力を操れる。念動力で物を操り投げる、念動力のエネルギーを攻撃手段として使うなどが可能。念動力で物を浮かせてその上に乗ることも可能。
作中の艦隊戦では砲弾を念動力で敵艦に投げてた。

念動玉
念動力で作られた玉。これを使い色んな技を使う。
作れる念動玉の数と移動速度は能力の熟練度による。
今の念動玉の同時展開数は最大15個。普段は10個前後で戦う。

采光・光線(サイコー・こうせん)
念動玉を操りながら光線を放つ技。威力も速さも連射力もそこそこの基本技。
念動玉を四角か円形などに配置しその中から光線を放つことも可能。威力は配置した念動玉の数による。

采光・衝撃(サイコー・パワー)
念動エネルギーの衝撃波を放つ技。範囲も広く、射程も長い。
最大威力は調整可能。ただし威力が高ければ高いほど時間がかかる。
念動玉を円形に配置し、そこから出すことも可能。配置した念動玉の数によって基本威力が変わる。

采光・遮断(サイコー・バリアー)
念動エネルギーを使いバリアーを作る技。バリアーは自分の周りを覆うように展開するか、壁のように作ることが出来る。展開したバリアーに念動玉を配置することで強度を上げられる。
相手の移動経路にバリアーを貼ることも可能。ただし、集中して無いとすぐ消えるし耐久度も低い。
念動玉を配置しそこから作ることも可能。展開速度と強度はこっちのほうが上で防御用は基本こっち。念動玉で作ったバリアーに乗って移動することも可能。

采光・熱線(サイコー・レーザー)
2つの念動玉の間をつなぐ熱線を出す技。レーザーを出したまま動くことが可能。
熱線を展開したまま念動玉を動かせる速度は能力の熟練度による。今はそんなに速くない。
一つの念動玉から複数の線を出し、別の念動玉とつなぐことも可能。繋ぐ線が多ければ多いほど操作が難しくなり移動速度も落ちる。レーザーの威力は高くない。
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