オーボエに音を乗せて   作:桜紅月音

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2話 幼馴染と猫

 

北宇治高校に入学して、数日が経った。

僕達、一年生は、一年生指導係である加部先輩と黄前先輩の元、教室に集められていた。

 

 

「以上がサンライズフェスティバルについてです。ここまでで何か質問ありますか?」

 

 

「はい」

 

 

鈴木美玲さんが手を挙げ、質問をする。

 

 

「コンクールメンバーは、オーディションで決めると書かれていますが、本当ですか?」

 

 

真面目な質問だった。

ま、ここでふざけられても困るけど。

 

 

「え~本当です」

 

 

なんか間があったような気もするけど、まあほっておこう。

 

 

「何か気になる?」

 

 

「はい、その… 言ったままの意味ですけど…」

 

 

加部先輩の言葉に、鈴木さんはそう答え、久石が割って入ってくる。

 

 

「あの つまり オーディションにおいて 学年や人間関係などの 実力以外の要素で メンバーが決まる可能性はあるのかという質問だと思います。もっと言えば 上級生が優先される可能性はありますかということです」

 

それに関しては、僕も気になっている点だった。

でも、今の北宇治なら…

 

 

「ないです」

 

 

加部先輩の言葉に、僕はホッとした。

 

 

「あ…」

 

 

「実力のあるものが学年に関係なく選ばれる それだけです」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

黄前先輩…なんか歯切れが悪かったけど、大丈夫なんかな。

 

 

あれから数日、サンフェスに向けての練習が始まった。

オーボエの僕とりりりんはカラーカードの担当になる。

 

 

「りりりん、どうよ調子は」

 

 

「うーん、こう~?」

 

 

「違う違う。こうだって」

 

 

「それも違う…」

 

 

僕達のやり取りに、鎧塚先輩が突っ込んでくる。

 

 

「ほら~ゆい、違うって」

 

 

「ええ…鎧塚先輩どうやるんですか?」

 

 

「えっと…」

 

 

鎧塚先輩は、困惑しながらも教えてくれた。

そして、その日は全体での練習を行って、そのまま終わりとなり、今はダブルリードの4人で帰っていた。鎧塚先輩は、気づいたら居なくなっていた。

 

 

「ゆい~何か奢って~」

 

 

「ええ…お金持ってないよ」

 

 

「そうは言ってもいつもあるじゃん」

 

 

「だから、ないってば」

 

 

僕に、もたれかかって言ってくるりりりん。

そして、気づけばコンビニの前まで来ていた。

 

 

「あっ、久石」

 

 

「これはこれは、伏見君じゃないですか」

 

 

コンビニに着くと、店の中から出てきた久石とばったりと会った。

そんな久石に、りりりんは飛びついた。

 

 

「えっ、ちょっ!?」

 

 

「奏〜何か奢って〜」 

 

 

りりりんは、今度は久石にたかり始めた。

ごめんよ…久石。今のりりりんは止められないんだ。

 

 

「はぁ!?なんで、私が奢らないといけないの」

 

 

久石の反応はごもっともな反応だった。

 

 

「すまん、久石。何か奢ってやってくれ」

 

 

「はぁ~!?伏見君が奢ればいいだけの話では!」

 

 

うん…それはそうなんだよ。それは分かってるんだ。

本当に手持ちがないんだよ。100円玉二枚だけだもん。ジュース一本しか買えない。

 

 

「ゆい~がね。お金ないんだって~」

 

 

「伏見君、ソロコンでお金稼いでるよね!そんな訳ないよね!」

 

 

「それは…そうだけど…」

 

 

「梨々花。もっと強く言った方がいいよ!」

 

 

「ええー面倒だもん~」

 

 

我が幼馴染。面倒の塊みたいになっていた。

久石も面倒くさそうにしてるし、ここらで揶揄うのもほどほどにしておいてあげますか。

 

 

「りりりんも久石から離れなよ」

 

 

そう言い、りりりんを久石から引き離す。

 

 

「だって、ゆい奢ってくれないじゃん」

 

 

「家帰ったら、ご飯作ってやるからそれで手打ちでどうよ」

 

 

「う~ん…ゆいの作るご飯…うん!それで!!」

 

 

交渉成立。

 

 

「はぁ…仲が良くていいですね。じゃあ私はここで」

 

 

久石はそう言って、僕達の前から姿を消した。

 

 

「久石、足早えな。もう見えなくなった」

 

 

本当にあっという間に消えた。

どんな足をしてんだあいつは。

 

 

その後、家に帰って、りりりんに手作りの料理を振舞った。

彼女はとても美味しそうに食べてくれたので、僕としては嬉しかった。

 

りりりんも、料理の腕は上なはずなんだけど。

 

 

「ゆい~私に構って~」

 

 

「はいはい。猫に餌やってからね」

 

 

僕の部屋にいつものごとく居座っているりりりん。

そんな彼女を後ろ目に、僕は飼い猫である。三毛猫の『ルナ』、茶トラ白猫の『ロビン』に餌を上げていた。

 

 

「…ルナもロビンもなんで私に懐いてくれないんだろう…」

 

 

りりりんがそう言うのは、その通りで…二匹以外にも猫を飼っているのだが、この二匹に関しては、りりりんに懐かないのだ。とは言っても、威嚇とかはしないので、尚更謎。

 

 

「ほら、みんなの所に行っておいで」

 

 

僕がそう言うと、二匹は他の猫の元に行く。

 

 

「ゆい~構え~」

 

 

「はいはい、好きなように」

 

 

りりりんはそう言って、僕の事を抱きしめる。

彼女の良い匂いがこっちまで伝わってきて、慣れた匂いの筈なのに、なんかドキドキとしてしまう。

 

 

「鎧塚先輩、どうやったら打ち解けてくれるんだろう」

 

 

「さぁ?りりりんのやりたいようにするしかないんじゃない?」

 

 

「他人事のように言ってる。ゆいだって関係あるんだからね」

 

 

「それは分かってるよ。でも、みぞれ先輩とはそれなりに話してるよ僕」

 

 

「えっ!?嘘。私とはまだなのに」

 

 

僕の言葉を聞いて、りりりんは驚きの表情を浮かべた。

 

 

「まぁ…僕も苦戦したんだけどね…あはは…」

 

 

「ずるい~私だって、鎧塚先輩と仲良くなりたい~」

 

 

そうただをこねるりりりんは、とっても可愛かった。

 

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