私の優しさを何の疑いもなく受け入れてください。
幾千にも千切れた心は誰にも知られるべきではない。
エデン条約襲撃の最中...
???「ミメシスの出来の確認の為トリニティまで出てきたが...目立った事も無かったな...」
人の気配を感じなくなったトリニティの街並みを歩く影が一つ。
その見た目は普通とはかけ離れていた。
タキシードを身に纏った双頭のマネキン人形-マエストロはトリニティの街並みを歩く。
???→マエストロ「これならばまだ自らの研究室でいた方が良かったか...む、あちらから戦闘音が聞こえるな、行ってみるか。」
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マエストロ「この辺りか...さて、新しい発見があると良いが。」
マエストロの視線の先では拘束衣に身を包んだ生徒とミメシス達が戦闘を行なっていた。
マエストロ(素手か...キヴォトスの生徒にしては珍しいな。これは多少は期待が出来そうだ。)
マエストロ「拘束衣に付けられているあの校章...なるほど、アリウスの尖兵か。だが何故ミメシスと戦闘を『グシャッ!!!ゴリ...ゴリ...』...は?」
マエストロは目の前で起きた出来事を飲み込めずにいた。
マエストロ(今...何が起きた?ミメシスが『喰われた』?待て、理解出来ない...何故その様な行動を取るのだ?何故ミメシスを喰らう事が出来る?ミメシスは活動を停止すれば消滅する筈...彼女は一体...いや、それよりもまずは)
マエストロ「...ベアトリーチェに一度問い詰めねばならぬな...」
マエストロは目の前で起きている事を見て一度ベアトリーチェに聞かねばならないと判断した。
マエストロ「喰らった際に髪が膨張していたな...つまりあの髪の中に口があるのか?いやしかしちゃんと顔にも口がある...ならば...」
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トリニティ-とある路地裏
マル「ねえ〜、タモツ〜!これからどうするの〜?」
タモツ「うん?この後の事はある程度は考えてはいるよ。ただ『伝手』がないのが問題なんだよね。」
タモツとマルは話しながらトリニティの路地裏を歩いていた。
タモツとマルはアリウスから離反した。離反し、その後の事を考えてはいた。しかし彼女は元々アリウスという鳥籠に閉じ込められていた生徒。故に外に伝手がなかったのである。
タモツ「考える事も大事だけど...」クルッ
タモツは後ろを振り返り、奥の暗がりに向かって言葉を投げかける。
タモツ「着いてきてるみたいだけど、話があるなら聞こうか?広場にいた時から気になって仕方が無かったんだよね。」
すると暗がりの奥からタキシードを身に纏った双頭のマネキン人形が現れた。
???「気分を害してしまったのならば申し訳ない。まさか気付かれていたとは...」
タモツ「...もしかしてマダムと同類だったりするかい?」
???「同類...ではあるが彼女と同じ扱いはしないで頂きたい。私は彼女ほど悪辣で歪んではいない。」
タモツ「...同じ扱いをしたのは謝るよ。すまないね。」
マル「あ〜!!私達の事ずっと見ていた人だ!!」
???「そちらにも気付かれていたとは...。おっとすまない、まずは自己紹介からしなければいけなかったな。」
???→マエストロ「私の名前はマエストロ。君達の言うマダムと同じくゲマトリアという組織に属している者だ。」
タモツ「なるほど...。で、そんな組織の人間が私達に何の用かな?もしかして勧誘だったりするかい?悪いけどその様な誘いはお断りさせてもらうよ。」
マエストロ「勧誘という訳ではない、君達に対して興味が湧いてね。少し観察させてもらっていただけだ。」
マエストロ「特に黒髪の君、君は私の作成したミメシスを捕食していたが...君は一体何者だ?」
マエストロはマルに問いかける。しかしマルは何も答えず笑みを浮かべるばかりだった。
マル「......」
マエストロ「.......」
何も答えなかったマルだったが遂にその口を開いた。
マル「.....今は語るべきじゃないかな。貴方にもタモツにも、誰にもね。だけど語るべき時が来れば、その時は私達の口から話すよ。」
マエストロ「その『語るべき時』とは?」
マル「さあ?もしかしたら明日かも?1週間後かも知れないね。でもこれだけは言えるかな〜。」
マルはマエストロに向けて指を向け、笑顔を消して真顔になった。
マル「そう遠くはない。何故なら『乗り越えねばならない事』だから。」ゾッ
マエストロ・タモツ『??!!』
その言葉を放ったと同時にマエストロとタモツは何かを感じた。得体の知れない何かを。
マエストロ「....そうか、それを知れただけでもありがたい。感謝するぞ、マルと呼ばれし少女よ。」
マル「ニコッ、こういう時はどう言うんだったかなぁ...そうだ!『どういたしまして』だ!」
マルは笑顔を浮かべ、いつもの雰囲気を纏った。
タモツ「それよりもマル?あの幽霊みたいな奴食べたの?本当に?」
マル「うん、食べたよ!ちょっと薄かったけど。」
タモツ「『食べたよ!』じゃない。吐き出しなさい、そんなの食べたらお腹壊すでしょ。」
ムニムニムニ
マル「はっへ、ふひふひひはひへ〜。(待って、ムニムニしないで〜)」
タモツはマルの頬を掴みムニムニし始めた。それを見ていたマエストロは、
マエストロ「私はそろそろお暇しよう。知りたい事も知れた。...青髪の少女よ。」
タモツ「どうしたんです、マエストロさん?」
マエストロはタモツの方に向き直り
マエストロ「これだけは言わせてくれ。その『闇』は貴女を救うモノではない。貴女を破滅へと導くモノだ。」
マエストロ「以上だ。また会える事を願っている。」
そう言い残すとマエストロは暗がりの中に消えていった。
タモツ「そう...忠告、感謝するよ。」
その時、タモツの体に一瞬、ノイズの様なモノが走った。
肉体とは最も心の状態が色濃く出るモノです。
エデン条約・Proelium Fatale編:放たれた災禍はこれにて終幕。