■ ■
…月”日
今日から千冬ちゃんが中学校に通う事になった。出来れば一夏くんも一緒に通わせてあげたかったんだけど、残念ながら一夏くんはまだ手続きが出来てない。
千冬ちゃんが出る時、一夏くんはすごく寂しそうだった。まぁ、やっぱりこのくらいの子だと、お姉ちゃんと離れるのは嫌だよなぁ。唯一の肉親だし。
でも、俺だってもうお父さんだ。血の繋がりこそないが、お父さんになった以上は親としてしっかり二人の面倒を見なきゃ。
取り敢えず、無難に頭を撫でてみた。一夏くんが俺のズボンをぎゅって握ってくれた。なんて可愛いんだ。
…月"日
手続きが済んで、一夏くんも小学校に通える様になった。本当に社長様様過ぎる。マジで何者なんですか貴方? いよいよビビってきますよ俺。
ただ、その一夏くんはギャン泣きだった。おかしいなぁ、千冬ちゃんと一緒だから大丈夫かなって思ったんだけど……ちょっと嬉しいけど、これはこれで困ってしまった。
でも、通ってみたら多分楽しいとは思うんだよな。友達が出来たりすれば、きっと自分から行きたくなる筈だ。
なんとか一夏くんを説得して、千冬ちゃんと一緒に行ってもらった。頑張れ、一夏くん。きっとお友達が出来たら楽しいぞ!
ちなみに、それを社長に言ったら「しっかりお父さんしてるねー?」と笑われた。ちくしょう、穏やか過ぎて何も言えねぇ。
…月+日
一夏くんと千冬ちゃんが早速友達を作った。いや良いことなんだけどさ、早くない??? まだ通い初めて全然経ってないよ?
2人共、コミュニケーション能力が高いんだなぁ……俺? あまり聞かないで。ちょっと悲しくなるから。
しかも、二人の友達も姉妹なんだそうだ。なんてこった、これはどんな偶然だ? まぁ、仲良くやってくれるなら良いんだけども。
そんな事思ってたら、千冬ちゃんがその友達を俺に合わせたいと言ってきた。何故に俺? 一緒に遊びたいとかではなく?
千冬ちゃんに聞くと、なんか訳ありな子らしい。だから俺と会わせてあげたいって。俺そんなに信頼されてるのか……すごく嬉しくなった。
…月-日
いやー、凄い子だったな。千冬ちゃんはえらい子と友達になったものだ。
篠ノ之束ちゃん———それが、千冬ちゃんの友達の名前だった。
第一印象は……不思議? すごく頭が良いっていうのもあったけど、それ以上に……歳に反して色々と考えてるって言うのか? なんというか、かなり大人な子だった。
でも、かなり人を見下してると言うか……俺を見る目はぶっちゃけ人を見るそれでは無かった気がする。まぁ、話を聞いてる途中からはそれも薄くなってたけど。
一応、話はしたけど……束ちゃんの方はすごく簡潔な答えしか返してくれなかった。好きな物は何か、とか、千冬ちゃんと友達になってくれてありがとうとか、色々と言ったけど、短く返された。
けど、それで千冬ちゃんが束ちゃんを殴ろうとしてたので止めた。俺は気にしてないから全然良いんだよと言ったら、私が嫌だと返してくれた。嬉しい。
後から聞いたんだけど、束ちゃんを殴ったのが交友の切っ掛けらしい。不良漫画か何かかな? それはそれとして、殴るのはダメだと叱った。
多分、頭が良いから気味悪がられたりしてたんだろうな。それであんな性格になっちゃったんだと思うと……放っておけないなって思う。
…月=日
今日は会社が休みだったからゆっくりとしてたら、まさかの束ちゃんがやってきた。しかも窓から。スタイリッシュな子だ。
どうしたのと聞くと、「別に」と一言で返された。うーん、気難しい。仲良くなれるには、まだ長い時間が必要そうだ。
それはそれとして、俺から積極的に話し掛けたりはした。束ちゃんが興味があるものを聞いたり、束ちゃんが知ってる事を教えてって頼んだり。そしたら、思ったよりも話してくれた。
正直、何がなんやら内容は理解出来なかったけど、初めて会った時は沢山話してくれて嬉しかった。だからその事を伝えると、「変なやつ」と言われた。厳しいなぁ。
千冬ちゃんにこの事を話したら、ちょっと怒ってた。「私よりも長く話してた……」って。可愛かったら沢山撫でた。勿論、一夏くんも。
♪月[日
仕事の休み時間に、社長から二人の様子を聞かれた。社長も二人の事を気に掛けてくれているらしい。本当に優しい人だ、俺も嬉しくなる。
千冬ちゃんはアルバイトを始めた。少しでも恩返しがしたいんだそうだ。社長のツテで特別に雇ってもらって、そこの店長さんから優秀だよと声を掛けてもらった。
一夏くんも相変わらず元気だ。最近は、友達になった箒ちゃん……束ちゃんの妹さんと仲良くやってるらしい。うんうん、良いことだ。仲良く出来てるなら、俺も嬉しい。
あ、でも、社長は束ちゃんについても聞いてきた。あれ、束ちゃんについた話したか? と思ったけど、なんでも束ちゃんは天才として有名らしい。
小学校の時点で、数学や科学の難問をいくつも解き明かして賞を贈られているとかなんとか。
うーん……話してる感じ、特別そういうのは感じなかったけどなぁ。なんか、単にそれしかやる事がない様に俺は思える。束ちゃんにも、何か楽しめるようなものが出来れば良いんだけどな。