ポケモントリオン兵導入によるボーダー隊員の反応 作:ジャサス
挨拶回りをしている関係で、原作とは違うタイミングで出会ったり仲良くなったりしています。
(隠岐視点)
「お、この子ヌイグルミみたいでカワエエな!色も赤入っとるし、ウチにピッタリや。それに女の子に人気出そうやない?」
イコさんの一言で、おれらの隊のポケモンはあっさり決定した。
パッチール
・必要トリオン量3
・トリガー機能特化型
・技:フラフラダンス
→半径25m以内の相手の平衡感覚を狂わせる
イコさんはマリオに「アホか!」なんて突っ込まれてはいたけど、なかなかいいやんないかとおれは思う。
生駒旋空のあるイコさん、射手で射程のある水上先輩、おれと海は機動力があるからパッチールが踊り出す前にすぐ逃げたらいい。おれらは皆、無差別範囲攻撃のフラフラダンスをデメリットを踏み倒せる。それに何よりイコさんの言う通り、ヌイグルミみたいでかわええし。
隊にやって来たパッチールは、お揃いのゴーグルももらってみんなに温かく迎え入れられたわけやけど。訓練を始めてみると、色々問題が発生した。
パッチールは必要トリオンが少ないし、トリガー機能特化型やから運動能力は控えめ。それはあらかじめ分かっとったつもりやったけど甘かった。パッチールがどんなに一生懸命走っても「ぽてぽて」が精一杯。フラフラダンスをする前に撃破されて、ボックスに強制収容される未来しか見えんかった。
「仕方ない。パッチール投げよ」
「え、イコさん本気ですか?」
「おん。こう…上手いこと隙ついて攻撃手の乱戦の中とかに投げ込めたら最高やな。みんなフラフラになった所で、オレがズバッとやるわ」
「誰がパッチール投げるんですか?」
「はいはーい!オレやります!投げるの得意っす!」
「アホ、アンタ弧月持っとるんや。手ぇ塞がったらあかんやろ」
「待てや。ウチで手塞がっても大丈夫なん、オレしかおらんけど」
「せなや、ちゅーわけで水上よろしく」
「嘘やろ…そもそもポケモンって投げてええんか?」
「パッチー!」
「乗り気ですね」
「何で投げられる本人がノリノリなんや…」
水上先輩とパッチールの特訓が始まった。
開発室に行って、機能が低下しないギリギリまでパッチールを小型化してもらったり(20cmぐらい小さくなった)。片桐に頼んで投球練習に付き合ってもらったり(ボールとポケモンは違うと思いますって言われとった)とにかく暇な時はパッチールを投げて投げて、投げまくった。
途中の苦労や諸々は省略するけど、水上先輩は「パッチールを狙った所に投げる」っていうボーダーでしか使わん技術を身に付けた。嘘弾といい、水上先輩変な技ばっかり増えよるな。
何はともあれパッチールは、ランク戦でも防衛任務でも水上先輩に投げられて、元気にフラフラダンスを踊る日々を過ごしていた。
「あの、隠岐先輩。相談したいことがあるんですが…」
投げられたパッチールが飛ばされながらフラフラダンスを踊れるようになった頃、狙撃手合同訓練の後で、雨取ちゃんに声をかけられた。
「よろしくお願いします」
「…お願いします」
隊室に雨取ちゃんとユズルが来た。それぞれポケモンを抱えている。
目的はただ一つ。水上先輩からポケモンの投げ方を習うこと。水上先輩先輩は渋い顔しとるけど。
「話は隠岐に聞いたけど、ホントにやるんか?」
「はい。最近のランク戦でマルマイン、すごく警戒されてて…転がるだけじゃなくて私達が投げたりできたら、相手の不意をつけたりするかなって思ったんです」
「ポケモンの移動手段なんて、いくらあってもいいでしょ」
ユズルはアレやな、話聞いて雨取ちゃんが心配でついて来たんやろな。抱えられとるタイレーツ(ヘイが1匹だけ、他は置いてきたらしい)が「そうなの?!オレ今から投げられるの?!」みたいな顔しとるし。
で、雨取ちゃんは真面目な顔して恐ろしい事言っとるな…。「普段はちゃんと走らせます」じゃないんよ。足元警戒しとったら、突然上からビリリダマが降ってきたり投げ込まれたりするってことやろ?ビリリダマもニッコニコやし。やる気に満ち溢れとる。水上先輩が頭抱えてしまった。
抱えたまんまもアレなんで、2人にポケモンを降ろすように促す。パッチールがすぐ寄っていった。たぶん一緒に遊ぶんやろ。
「いやな、教えるんは別にええで。でもなウチと条件が違うやろ。パッチールはサイズといい形といい無茶苦茶投げにくかったから練習がいったんや。君らのは違うやん。むっちゃ投げやすそうやん?」
「それはそうですね。どっちのポケモンも動ける方やし」
パッチールは小型化してもろたとはいえ、身長は90cm。投げる時は、身体動かすのが苦手なパッチールがちゃんと着地できるように考えんといかんらしく、水上先輩はかなり試行錯誤しとった。
対して玉狛第二のビリリダマと影浦隊のタイレーツはどっちも50cmぐらい。ボールとしては大きいけど、丸っこいし、パッチールよりはるかに投げやすいはずや。タイレーツは手足短いけど運動機能特化型やしな。
水上先輩に言われた雨取ちゃんとユズルは顔を見合わせて、それからユズルがポツっと言った。
「でも東さんが『ポケモンを投げるなら水上に聞いたらどうだ?』って言ってたし」
「東さん!?」
これアレか、雨取ちゃんはおれに声かける前に東さんに聞いてみたんやろな。「ポケモンって投げてもいいんですか」とか。で、東さんが水上先輩に聞けって振ったと。ええ人やしすごい人やけど、時々そういうとこあるよな、東さん…。
東さんに言われて仕方ないとでも思ったみたいで、水上先輩はようやく2人に教える気になったらしい。まぁさっき本人も言った通り、パッチールとは投げ心地がかなり違う。だから「ポケモンが嫌がらんかを確認する」みたいな基本的なところだけだけやけど。
ちなみに水上先輩の後ろに、「投げろ」と両手を広げてパッチールが待機しとって。さらにその後ろに順番待ちして並んどるビリリダマとヘイがおるんやけど、これ、いつ水上先輩に言ったらいいんやろな?
パッチールは投げられるのが大好きです。