ポケモントリオン兵導入によるボーダー隊員の反応 作:ジャサス
たぶん那須隊の2人(那須玲と志岐小夜子)、0とは言いませんが、友達ときゃあきゃあはしゃぐ経験は少ないと思います。
できない・無理な事も多いけど、ボーダーでのアレコレは楽しくて仕方ないんじゃないでしょうか。
(志岐視点)
那須先輩を隊長に那須隊ができて。
熊谷先輩に部屋から引っ張り出されたあたしは、那須隊のオペレーターになった。
隊室も貰って、皆で集まって(さすがのあたしもちゃんと隊室まで行った)、結成祝いのお菓子パーティなんかやっちゃって。いろんなことを話したけど、しばらくすると話題の中心は支給されるポケモンのことになっていた。
急いで選ぶ必要はないからしっかり考えて選びなさいって忍田本部長に言われたけど、やっぱり早くポケモンは欲しい。あたし達みんな同じ意見だったけど、特に那須先輩が乗り気だった。体調の関係で動物と触れ合うのが難しい那須先輩は、病院でポケモンセラピーを受けてからずっとポケモンを持つ事に憧れてたらしい。
でも、みんなでポケモン図鑑も見ても、数が多すぎてどれを選んでいいのか分からない。大きさとか技とか、決める事だって多すぎる。あーだこーだ色々悩んだ末に、それぞれ要望を出して、それを元に開発室にポケモンの候補を絞ってもらうことになった。
那須先輩の要望は「みんなを守れる子」
熊谷先輩の要望は「玲の側で一緒に戦える子」
茜ちゃんの要望は「隊服に合うスタイリッシュな子」
で、あたしの要望は「ホラーっぽい雰囲気の子」
仲間にするのに、変な要望にしちゃったなぁって自分でも思ってる。でも大丈夫、あたしホラー映画大好きだから。まぁ、この要望の理由はそれだけじゃなくて、ちょっと気になっちゃったのだ。ポケモンのデザインってどこまで「アリ」なのか。
ポケモントリオン兵のデザイン原案は1000種を越えているらしい。「らしい」って言うのは、隊員で全種類のデザイン案を見た人がいないから。
デザイン案の中で、不気味さが勝ったり大きすぎたりするものは、メディア対策室が全部ボツにしたらしい。実際、今配備されてるポケモン達はみんな、かわいかったりかっこよかったり愛嬌があったり…つまり人気が出そうな見た目なのだ。
なので、あたしの要望はたぶん無かった事にされるとは思うんだけど、開発室がどんなポケモンを出してくるか、ちょっとワクワクしていた。
あたしのトリオンは無駄に多いから、みんなのトリオンを使わなくても高コストのポケモンが使える。「能力高めでお願いします!」なんて要望書に書き加えてしまった。
そして2日後。先輩達から聞いていた通りの、シンプルを通り越して情報が全く足りてない仕様書が届いた。開発室が選んだ候補は2つ。ミミッキュとアブソルだった。
候補1:ミミッキュ(トリガー能力特化型)
・必要トリオン9
・技1:ばけのかわ
→事前に付与、攻撃を受けると自動で高出力(トリオン10相当)シールドを最大20秒間展開
3回まで付与可能
・技2:あやしい光
→ばけのかわを全て使い切ってから使用可能
周囲に強烈な光を放つ、オペレーターとの連携推奨
※運動機能は低くなっています
候補2:アブソル(バランス型)
・必要トリオン8
・技:かまいたち
→風の刃を撃ち出す
※運動機能も高く、訓練を積めば那須隊長の動きを阻害する事もないでしょう
思ったより「ホラーっぽい」の要望が通って驚いたけど、問題はここからだった。あたし+那須先輩のミミッキュ VS 熊谷先輩+茜ちゃんのアブソル。どちらを選ぶかで、意見が割れちゃったからだ。
「諏訪隊のピチュー?…いえピカチュウの被りのものかしら?」
「ピカチュウの真似っこしてるちっちゃなお化け、みたいな感じですかね…?メディア対策室の許す『ホラー』のラインってこの辺なんだ…かわいい」
「こういうのもアリなんですね」
「ちょっと小夜子、あんたメディア対策室相手に実験でもしてたの?」
「えへへ、ちょっと気になって。技の名前もなんか、ホラーに寄せてきてる…すごっ」
「小夜ちゃんホラー好きなの?オススメの映画あるんだけど、一緒に観る?」
「玲、映画の話はまた後で」
「ミミッキュはかわいいですけど、那須隊の隊服に合うのはアブソルの方だと思います!」
「体の色が白だしね」
「でもミミッキュ、いい能力よ。足が遅くても構わないわ。隊室で先にばけのかわを付与しておけばいいし」
「ランク戦どうするのよ。この子がどれくらい走れるか分からないけど、下手したらばけのかわが残ってる内に落とされちゃうんじゃない?」
「私が抱えて走る、とか」
「いくら那須先輩でも、さすがにちょっと無理ですって」
「安定して強そうのはアブソルの方っぽいですね」
「あ!小夜ちゃんは私の味方だと思ってたのに」
「いや、ミミッキュのデザインほんとに好きですし、すごく強い子だと思うんですけど…那須先輩の負担が大きそうですし」
「いいこと言うじゃん小夜子!」
「私は平気よ?」
「ダーメ!…私じゃさ、全力で走っても玲に追いつけないもの。もちろん訓練頑張って、機動力は上げるけどさ。私が玲のとこにたどり着くまで、玲と一緒に戦ってくれる子は絶対必要だと思うんだ」
「くまちゃん…」
「でもミミッキュのあやしい光、これよくないですか?志岐先輩も一緒に戦闘に参加できる感じで。これ、アブソルにつけてもらいましょうよ!」
「アブソルってどこが光るの?」
「それ言い出したら、ミミッキュだってどこが光るのよ…」
「布の中身?」
みんな思った事をそのまま言うから、全然会話が途切れない。話が二転三転して、どんどんとっ散らかって。結論はなかなか出ないのに、すごく楽しかった。
最終的に選ばれたのはアブソルだった。
最後の最後まで那須先輩はミミッキュと悩んでたけど、決定打だったのが茜の「この子を枕にして、お昼寝したら気持ちよさそう」だったのは笑ってしまった。那須先輩、トリオン体のおかげで動き回れるようになって、やりたい事がいっぱいあるみたい。
那須隊としての防衛任務は明日から。残念ながらアブソルのボックスが届くのは来週で初任務には間に合わないけど。那須先輩のやりたい事リストは、ポケモン関係だけでもだいぶ長そうだし、熊谷先輩も茜ももちろんあたしだってアブソルを楽しみに待ってる。
きっと今日みたいな楽しい事をアブソルともやっていくんだろうな、なんて思いながら、熊谷先輩に手を引かれて隊室を出た…アブソルが来たら隊のみんなとお散歩とかやってみよう。それなら外に出るの、もう少し嫌じゃなくなるかもしれないし。
メディア対策室長によるボツの例
①デスマス/デスカーン/デスバーン
「名前からして『死』を想起させやすいねぇ。デザインとしてはおもしろいから、お化け屋敷とかイベントステージに貸出しならアリ、と」
②コジオ/シオヅム/キョジオーン
「コジオはいいとしても、キョジオーンは…ちょっとネイバーのトリオン兵っぽさがあるんじゃないかね?」
③パッチラゴン/パッチルドン/ウオノラゴン/ウオチルドン
「化石ではよくあることだがね…」