リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
能力はない。
でも時間はある。
なら、試せるモノはなんでもやってみようじゃない。
やってきましたのはガラクタ置き場、分解して再利用する予定のアレやコレが山積みになっている。ホーエンハイム家に所属する錬金術士たちの練習も兼ねた資材確保、一石二鳥のリサイクル。環境に優しいタイプのファンタジー要素も良いものだ。
でも俺は危ないから近寄れないけどね。そういうお約束だし。
なので、大人に手伝ってもらおう。
「たすけてー」
「おや坊っちゃん、なにか困りごとですか?」
警備隊のお兄さんたちが一斉に振り向く。一瞬だけ身構えたあたり反応速度はさすがのプロフェッショナルだ。ごめん、完全に言葉選びを間違えたわ。早くちゃんと喋れるようになりてぇ〜な〜俺もな〜。
「ばけつ、ほしい」
「バケツですかい? しかしありゃゴミ山ですぜ。メイドさんたちが洗濯なんかに使ってるようなヤツを借りたほうがいいんじゃないですか?」
「だめ。めいど、しごとでつかう。めいど、こまる」
「おっと、こりゃ失礼。そんなことまで考えてくれるたぁ、さすが坊っちゃんはロジャー様の息子さんだけありますねぇ」
「べロムのクソ野郎とはえらい違いだな」
「部下の私物も全部自分の物と思ってますからね」
「バカ、子どもの前で愚痴ってんなよ」
ハハハ、気にすることはないよ? べロム、会話の流れからして警備隊の班長か隊長か、そういう上司的なポジションの人間ね。覚えておこう。
「コレオ、あぶない。ちかくいけない。おとな、あぶなくない。ばけつさがしてー」
「はいはい、そんなことでよけりゃお手伝いしますよっと。ケガなんてされて余計な責任押し付けられることに比べりゃ楽な仕事でさぁ」
「ボク、一応シーマさんかロジャー様に報告だけしてきます。なにせ、コレオ様の頼みとはいえゴミ漁りですからね」
「ハハッ! そうだな、危ない遊びを教えてるなんて誤解されちゃたまんねぇわな」
「隊長には見つかんなよ、ぜったい面倒くせぇことになっし」
簡単に人を使える、これが貴族スタートの特権! 俺の中に生まれる申し訳ない気持ちは目的達成のための致し方ないなんちゃらかんちゃだ!
あとは、使えるバケツが見つかるといいんだけど。
「坊っちゃん、バケツは水も入れるんで?」
「うん、おみず」
「なら、ベコベコに歪んでるヤツを探さないといけませんねぇ」
「べこべこ?」
「えぇそうですよ。形が綺麗なまま捨てられてるってことは、穴が空いて使えなくなってるかもしれないってことですから」
おおー。
そこまで考えてなかった。流石は警備隊の人たち、観察力と情報の使い方に優れている。こういう部分は是非とも見習いたいところだ。
「バケツバケツ〜♪ これは……あー残念、横のトコに亀裂あるな」
「こっちは……ありゃま。完全に底抜けだ」
「ま〜なぁ〜、使い物になんねぇから捨てるワケだし、そう簡単には……お、コレはいいんじゃね?」
「みつかった?」
「ちょっと待っててください。いま、使いやすいようにしますんで」
わ、わぁ……プロテクターが金床の代わり、ってコトッ?! 申し訳なさゲージがギュンギュン伸びるのを感じる……ッ! 警備隊のお兄さんたち、良い人過ぎんか? 地べたに置いた鎧の上で、カンカンと石を使って歪みを叩き直す音に感謝の気持ちしか湧いてこない。
「さぁ、どうですか?」
「ばけつ!」
「これなら使い物になるでしょう」
「れんきんじつ!」
「ハハッ、そんな大層なモノじゃありませんよ」
「それじゃあ坊っちゃん、自分たちは巡回任務に戻りますんで。錬金術の特訓、頑張ってくだせぇ」
「ありがとー」
ロジャーさんに報告に行った人、戻っくるより先に用事が終わっちゃったな。入れ違いにならないといいけど。
▲▼▲▼
さて。
それじゃあ早速、魔法石の粉末を練成できるかの実験を始めるとしよう。
まずはバケツに石ころを適当にポイッちょして。
そこに水を適当な量ドバドバ〜っとして。
そんで手頃な木の棒をサクッと突き立てて。
ここからが俺の錬金術だッ!
みず……おいかけ……きほん……。
そして筋肉ッ!!
さんハイッ、グルグル〜♪
川は板を破壊できぬが雨垂れは石をも穿つ、ってね。つまり水の力は偉大ってコトだ! 川の下流に転がってる石が丸いのは水の中で衝突を繰り返して角が削れて取れたから。人の手じゃ、まして子どもの力じゃ効率もパワーもスズメの涙ほどだがゼロではない。
なにより削れた粉が水の中に沈殿してくれるのがとても良い。砂粒なんて風が吹かなくても鼻息ひとつで簡単に吹き飛んでしまうからね。問題はどうやって魔法石の粉末を選別するかだけど……いや、インベントリにまとめて収納すれば勝手に仕分けられるんじゃね? 試してみる価値ありますぜ!
あと、なんか地味に開発ポイントと能力ポイントに加算されている気配を感じるな? 削れるまで何ヶ月かかるかわからないけれど、それまでに2ポイントぐらい貯まってくれたりして。う〜ん、夢が広がる労働って素敵だ……。