「なぁノノミ。 いや誰でも良いんだが、砂漠で潜水艦を見た事ってあるか?」
無線を後続に飛ばす。
何かオマケで情報を得られるかと。 ところが面白い返答は得られなかった。
「ありませんが……何か見たんですか?」
「ああ。 絶賛目前にいる。 しかも攻撃してくるときた」
「冗談ですよね?」
「そう思うなら来い。 俺がぶっ壊す前に!」
砂の中から浮上したのは潜砂艦サンドマリン。
潜水艦のシルエットはそのままに、左右に砂を掻来る為か、楕円の水車ならぬ砂車がついている。
前方には大砲が積まれ、砲弾を連続して曲射撃ちしてくる他、上面に並んだミサイルハッチからは大量の火の玉を発射。 流星弾として地上に降らせて回避困難な範囲攻撃をしてくる。
トンチキ兵器が多いメタスラ界の中ではマトモな見た目だろうし、強い。 かつてマルコは悪戦苦闘の末に何とか倒した。
ソレが何でキヴォトスにあるのか不明だが、メタルスラッグも何故かその辺にあるのだ。 然もありなん。
「また鉄屑にしてやらぁ!」
さても敵だ。 倒してセリカを助けねば。
マルコ、ヘリに乗っているのを生かす。
ハッチから大量に飛び出す流星弾を避けきれず被弾しながらも、艦の真上に移動。 ありったけの炸裂弾を投下しまくった。
艦の上層、爆発に次ぐ爆発。 爆炎に包まれるも、大型兵器なだけあり、その程度で止まらず動き続ける。
バルカンを撃ち続けながら、アヤネに無線。
「ボムを送ってくれ!」
「直ちに空輸します!」
「ロケットランチャーもだ!」
「はい!」
マルコとサンドマリン、上下で激しく弾を交差し合う。 我慢比べのように。
しかし、先に限界が来たのはヘリの方だ。 何度も被弾、警報が鼓膜を叩きキャノピーが派手に割れ、コックピット内で火花が散り、炎が回る。
「限界だくそっ!」
コックピットから飛び降りて脱出した刹那、機体が爆発。 爆風に背中を押されるがままサンドマリンの上に着地するマルコ。
「痛ってぇなチクショウ! 残ったのはハンドガンとナイフだけか!」
ある意味いつも通りの装備ではある。
ハンドガンだけでも、どこをどうやってか戦車だなんだと戦ってきた。 しかし戦えるだけであって厳しい事に変わりない。
「拳銃だけでもやってやらぁ!」
自らを鼓舞、潜砂艦にしがみついて拳銃を撃つマルコ。 艦表面に火花が散る。
そんな装備でも戦う意志を見せるサマは気迫があるが、見ようによっては滑稽だ。 拳銃程度で何ができると。 サンドマリンの乗務員も内心笑い、勝利を確信しただろう。
だが彼らは知らない。 マルコの戦歴を。
「マルコ先生! お待たせしました!」
そこにドローンが飛来。 4つのプロペラで飛行、お腹には見覚えのある箱を抱えている。
ボムと、Rとついた鉄箱だ。 起死回生。 猫にマタタビ。 マルコに武器だ。
「投下します! 受け取ってください!」
「オッケー、ナイスだアヤネ!」
真上に飛来、投下。
重量物だろうに軽やかにキャッチ、手慣れた動きで箱を開いて中の大筒を構える!
ガチャ!!
“ロケッツランチャァ‼︎“
「くたばれえええ!!」
叫び、トリガーを引いた瞬間。
バシュシュシュシュッ!
ドカァン! ドカァン! ドカァン!
筒の中でロケット弾が点火、次々と発射。
潜望鏡のありそうな辺りに次々と着弾。 ドカンドカンドカンと爆発。 表層を吹き飛ばす。
やがて装甲が抜けて爆風が内部に伝播。 艦全体で爆発が起こり、内から外からと外装が弾け飛ぶ。
一瞬砂の中に沈みかけたがしかし、機能不全となった鉄屑は、その醜態を無様に晒すのだった。
「はぁはぁはぁ……やったぜ。 残るは……」
基地の方を見やる。
トラックが停車していて、側には捕虜の如く縄で胴体を縛られた猫耳生徒、セリカが。
そのセリカに不良は足が笑いながらも拳銃をつきつけ、必死の威嚇をしてきた。
「く、く、来るなぁ!」
「コイツがどうなっても良いのかぁ!?」
「お前らを守る奴らはもういねぇぜ。 俺に折檻されたくなきゃ、その子を返しな」
「うるせぇ! ここだけじゃねぇんだ! 直ぐにでも助けが、ぐはっ!」
「な、ごふっ!?」
マルコ、拳銃を抜いて容赦なく発砲。
寸分狂わず、不良のみを当て無力化した。
「俺が何度、銃撃戦の中で捕虜を助けたと思ってる。 弾を敵にだけ当てるどころか、縄だけ撃ち抜くのだって余裕だぜ。 今回はやらんがな……というか、キヴォトスの生徒は銃弾受けても痛い程度なんだろ。 意味あるのかソレ?」
疲労感の中でも、余裕の表情をするマルコ。
縛られているセリカに近づくと、ナイフで縄を切り解放してやる。
「うっ、ぐすっ。 マルコ先生……!」
「もう大丈夫だ、迎えも来る。 帰るぞ」
頭を撫で、短く言うだけ。
でもその背中は、とても大きく頼もしかった。
「助けてくれて……ありがと」
マルコは振り返らず、片手を上げて答えた。
その表情に笑みはない。 戦いは続くからだ。
戦闘描写、難しい……。