またもマルコに、それもデブ相手にボコられたミヤコらRABBITの心身はボロボロだ。
空腹で力も思考も働かなかったと言い訳しても、それで癒されるほど受けた屈辱は浅く無かった。
黒焦げになり、プスプスと燻るミヤコ達は、それぞれに焦げ臭い息を吐き捨てていく。
「……生徒に手を出すなんて、先生最低です」
「……さっさと地獄に落ちろ」
「……もう土嚢を積む力も出ないって」
「……そうして私たち、自然に還るんだ」
「ナニ被害者ぶってんだ。 先に手を出したのはソッチな。 頭大丈夫か? Are you OK?」
正論で言い返して煽るマルコだったが、ミヤコ達は言い返す気力も無いらしい。
「……それぞれ所定の位置に戻ってください」
「動いたら余計に腹減った」
「先生のせいだからね」
「だから素直に飯を受け取ってりゃ良かったんだよ。 それとも今からでもヴァルキューレに行けば良い」
「……まだ、私達は屈してません!」
「OKok、施しを受けるのが嫌だってならこういう方法もある……Here you are」
恨み節をグダグダと続けられたマルコは、メモ用紙を1枚、ミヤコに渡す。
そこにはアルファベットと数字が並んでいる。
「これは座標と日時?」
「読めるだろ。 そこに行けば食糧問題は解決する筈だ。 先方には連絡しとく」
マルコはそう言って、メタスラに搭乗。
前傾姿勢からシリンダーの力でガションと砲塔が車体上部に載ると、そのまま後退していった。
……メタスラは匍匐姿勢とジャンプが出来る謎機能がある癖に、方向転換は苦手である。 基本的に後方に主砲は向けられない。
「あの、マルコ先生!」
「行っちゃったな」
「で、どうするのさ」
「行きましょう。 食糧不足は深刻です。 サキの知識のお陰で、野草やキノコを採取出来るのは有り難いですが、飢えを凌ぐには厳しいですから」
そうして一向は、指定座標に向かうのであった。
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指定された場所はシャーレオフィス、1階にある売店「エンジェル24」だった。
「指定座標はここですが……」
RABBIT小隊がやってくるのを見て、中から店員……中学生のバイト(キヴォトスの法律では年齢制限は異なるのか)である金髪オデコなソラちゃんがやってきた。
「あの、先生が言っていた?」
「あ、はい。 先生の紹介で来た者です」
「良かった、廃棄弁当を処理してくれると聞いています。 立地の問題でお客さんは少なくて、結構余っちゃうんです。 捨てるにも生ゴミで専用の袋に入れなきゃいけない手間もあって……量があるんですが宜しくお願いします」
「「えっ」」
どうやら廃棄弁当の処理係という事になってるらしい。
思わず声を上げたRABBITに、ソラは不安そうに尋ねる。
「もしかして何か手違いが……?」
だがここで引けば、食糧が手に入らない。
生きる為にプライドを捨て、モエは受け取った。
「だ、大丈夫大丈夫! 他にもあれば持ってくよ!」
「ありがとうございます!」
「……おい、流石にコレは駄目だろ!? SRTが廃棄弁当をだなんて、そんな」
「うぅ、私達、こうして惨めに堕ちていくんだ」
「……現状、食糧を手に入れる手段は他にありません。 耐えてください」
ワナワナと震える中。
ミヤコは羞恥と怒りで震えながら廃棄弁当の詰まったゴミ袋を受け取った。
「この屈辱、忘れませんからねマルコ先生」
ミヤコ達の復讐心に薪が焚べられるも。
過酷で不衛生、安全な飲み水も無いような戦場でハイカロリーを消費してきたマルコとしては、マトモな食い物が食えるだけ有難いと思うだろうが。
そこは警察と軍、戦場や経験の違いもある。
「食える時に食っとかないとな(デブ声)」
オフィスの窓から下の様子を見下すマルコは、独り呟いた。
どこからともなく取り出した骨付きチキンを食べながら。
「美味しいから大丈夫だろ(デブ声)」
「食べるか喋るかですよ、先生!」
アロナのツッコミ虚しく、マルコの腹は揺れ動くばかりであった。