オッツダルヴァがクレイドルのラジオのパーソナリティやってたら?の話。

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第1話

 クレイドル公共ラジオ、アース。あなたの生活に、地上より少し近い声を。このお時間は、カラードランク1のリンクス、オッツダルヴァさんをパーソナリティに、皆様からのメッセージにお答えする――Radio : Correspondanceです。それでは、オッツダルヴァさん、お願いします。

 

「カラードランク1、オーメル所属のオッツダルヴァだ。ここからのパーソナリティを務める」

 

 Radio : Correspondance

 ――あなたから届く声に、ランク1が応える時間。

 

「今夜もクレイドル各地から多数の投稿が届いている。仕事、生活、人間関係、その他。内容は問わないとのことだ」

「では始めよう」

「ラジオネーム、“高貴なる薔薇”さんからのお便りだ」

『最近、品位に欠ける者と同じ戦場に出る機会が増え、少々辟易しております。そういう相手とは、どのように距離を取るべきでしょうか』

「……まず、その名前を匿名と呼ぶのをやめろ」

「戦場で組む相手に品位まで求めるな。必要なのは敵を落とす能力と、こちらの邪魔をしない程度の判断力だ。交友関係を築けと言われているわけでもないだろう」

「気に入らないなら必要な通信だけ残して黙って仕事をしろ。それでも我慢ならないなら、依頼そのものを断れ」

「選択肢があるなら使え」

「次」

「ラジオネーム、“貧乏くじ”さん」

『強い奴と組まされると楽でいいんですが、あんまり強すぎると俺いらなくないですか?』

「必要とされているから依頼が来ている。以上だ」

『あと報酬を上げたいです』

「……続きがあったのか」

「それは雇用主に言え」

「私に言われても報酬は1Cも増えん」

「次だ」

「ラジオネーム、“逆関節愛好会”さん」

『脚部はやはり逆関節が最も美しいと思うのですが、ランク1はどう思いますか』

「質問の体裁を取った布教活動だな」

「次」

「ラジオネーム、“白ポーン”さんからのお便りだ」

『オッツダルヴァさんに水難の相が出ています。くれぐれもお気をつけて。それと、三食食べていますか? ちゃんと寝ていますか? たまには休んでください』

「……貴様は私の母親か?」

「それに、水難だと? ふん、私が沈むとでも」

「食事については問題ない。睡眠も必要量は確保している。休養についても私が判断する」

「……これで満足か」

「次」

「ラジオネーム、“ヨロイモグラだいすき”さんからのお便りだ」

『最近モグちゃんの足腰が非常に元気で、一日に三回脱走しました。可愛いですね』

「貴様はコーナーの趣旨を理解していないのか?」

「日記なら、一人で書いていろ」

「……一日に三回も脱走するなら、可愛いと眺めている前に飼育環境を見直せ」

「可愛いかどうかは知らん」

 

 Radio : Correspondance

 あなたの言葉が届く夜。

 次の一通は、あなたから。

 

「……では、ここで一曲」

「本日のリクエストから、Frequencyで『Remember』」

 

 クレイドル公共ラジオ、アース。Radio : Correspondanceをお聴きいただいています

「お送りしたのは、Frequencyで『Remember』だった」

「このあとも引き続き、届いた便りに答えていく」

 

『ここで、クレイドル公共ラジオ、アースからのお知らせです』

『オーメル・サイエンスは、より安全で快適なクレイドル環境の実現へ』

『空調設備、循環水処理、居住区環境管理から、次世代エネルギー技術まで、あなたが明日も変わらぬ空で暮らせるように。技術で支える、人類の生活圏。オーメル・サイエンス』

 

『続いて、GAフーズからのお知らせです。忙しい朝にも、栄養のある食事を。新発売、GAフーズ・バランスミール。穀物、野菜、たんぱく質を一食分にまとめ、温め時間はわずか二分。今日は食べた。を、当たり前に。GAフーズ・バランスミール。各居住区の食品販売所にて、本日より発売です』

 

『午後十一時をお知らせします。クレイドル公共ラジオ、アース。続いて交通情報です』

『現在、クレイドル第三居住ブロックと中央区画を結ぶ高架交通網では、定期整備の影響により一部区間で速度制限を実施しています』

『中央区画方面へ向かう便には、およそ十二分の遅れが発生しています』

『復旧は午後十一時四十分頃を予定しています』

『第二居住ブロック、第四居住ブロック、および環状交通線は平常通り運行しています』

『移動の際は、最新の運行情報をご確認ください』

『以上、クレイドル交通情報でした』

 

 Radio : Correspondance

 ――あなたから届く声に、ランク1が応える時間。

 

「戻ったか」

「Radio : Correspondance。後半も引き続き、届いた便りを読んでいく」

「ラジオネーム、“水底からこんにちは”さん」

「…………採用したスタッフは、後で話がある。まだ本文を読んでいない? 名前で十分だ……ふん、まあ、読もうか」

『最近、仕事で大きな失敗をしてしまいました。周囲からはもう気にするなと言われていますが、自分ではなかなか割り切れません。オッツダルヴァさんは、失敗した時どうしますか?』

「原因を確認する。次に、同じことを起こさない方法を考える」

「それだけだ」

「失敗したという事実そのものは消せない。ならば、そこへ余計な意味を足すな」

「自分には能力がない。もう何をしても無駄だ。そういう結論は、失敗したという事実とは別の話だ」

「失敗した。なら、次は変えろ」

「それでもまた失敗したなら、さらに変えろ」

「いつまでも同じ場所へ停滞する必要はない」

「…………」

「次だ。ラジオネーム、“無記名希望”さん」

『戦場以外に、自分の居場所がないような気がします。戦わなくなった時、自分に何が残るのか分かりません』

「知らん。それは私が決めることではない」

「ただし、戦場にしか居場所がないと思っていることと、本当に戦場以外に何もないことは別だ」

「探したことがないだけかもしれない」

「選ぶ余裕がなかっただけかもしれない」

「あるいは、本当に何も見つからないかもしれない」

「だが、それを確かめる前に結論を出すな」

「選べるうちに選んでおけ」

「次」

「ラジオネーム、“ヨロイモグラだいすき”さん」

「……また貴様か」

『モグちゃんは放送が始まる少し前に餌を食べました。今日はまだ脱走していません。偉いですね』

「何故こいつを採用する」

「…………脱走していないなら、それでいい」

「以上だ」

「次」

「ラジオネーム、“白ポーン”さん」

『先ほど食事について問題ないとの回答があり、安心しました。ところで、本日の夕食は何を食べましたか?』

「……貴様」

「これは公開のラジオ番組であって、私の生活監視報告会ではない」

『三食食べているか確認するために必要な質問です』

「便りの中で反論まで完結させるな」

「夕食は摂った。内容まで答える義務はない」

「次回、同じ質問を送ってきても読まんぞ」

 

 Radio : Correspondance

 言葉は距離を越え、今日も誰かへ届いていく。

 

「さて」

「そろそろ今夜の放送も終わりだ」

「最後にもう一曲」

「今夜届いたリクエストの中から」

「……これにする」

「曲名は、Frequencyで『Cosmos』」

 

「お送りしたのは、Frequencyで『Cosmos』だった」

「今夜も多数の投稿に感謝する」

「採用されなかったものについては、次回以降に回される場合があるらしい」

「ただし、ペットの日記については保証しない」

「それから、“白ポーン”」

「余計な心配をする暇があるなら、自分の仕事をしろ。……三食は食べている。何度も聞くな」

「次回も同じ時間、この周波数で放送する予定だ」

「仕事の相談でも、生活の悩みでも構わない」

「質問があるなら送ってこい」

「カラードランク1、オーメル所属、オッツダルヴァだった」

 

 Radio : Correspondance

 ――あなたから届く声に、ランク1が応える時間。

 

『この番組は、オーメル・サイエンスほか各社の提供でお送りしました』

『クレイドル公共ラジオ、アース。あなたの生活に、地上より少し近い声を』

『それでは、また明日』

 

 


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